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三章

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「なんでこんなこともできないの?」
人の形をした影が私を殴る。
「私の娘だなんて信じられない」
痛い。痛い。痛い。
「やめなさい。まだ、ほんの子どもじゃないか。こんな小さな子を働かせるなんて」
別の影が私の前に立ち塞がる。
「それならあなたが養えばいい。私は出てくわ」
やめて。
「シオン。貧しいけれど、これからは父さんがシオンを守るからね」
父親の影が次第に薄くなり、別の影が現れる。
「あなたのお父さんは過労で倒れられました。お父さんから、あなたのことを頼まれたので、お父さんが迎えに来るまで、あなたは私たちの娘です」
やめて。
「このブスが今日から私のお姉ちゃんなの?うわ、雑巾みたいな臭いする。私の部屋には近付けないでね」
私より小さな影に蹴りつけられる。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
「いつまで夢見てるんだ。お前は借金のカタに父親に売られたんだよ。信じていた父親にな」
新しい影が2つ現れた。
「今日からあんたは、この家の家政婦だ。少しでも手抜きしてみな。追い出してやる。服は売れるから置いてきな。あんたの肌は綺麗だから、裸でそこらに横たわってれば誰かが買ってくれるかもね」
イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ…
「そんなに、アイツらが憎い?」
不思議な声が聞こえる…
頭の中に直接響いて、身体に染み渡る。乾ききって、今にもガラガラと崩れ落ちそうなこの身体に。
「それなら、殺せばいい。全員、生きていることを後悔したくなるぐらい苦しめて…」
聞いたことはないはずなのに、安心する。
黒い影はいつのまにか全て消えていた。
「殺せ。憎い奴を全員」
そんなこと、してもいいの?
「お前はその権利を得た」
でも、私は独りぼっち。報復されたら…
「俺がお前の力になる」
あなたは、誰?
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