蛇の狂人図鑑

ハライツキ

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赤い糸

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  「ねえ、私達赤い糸で結ばれていたんだよね。」
   「そんなわけないじゃん、お前とは遊びだよ。あ、そ、び。」  
   男は、笑いながら答えた。悪びれる様子はない。女の顔は、鬼のような形相を表す。しかし、彼女は深い息を吐くと少し微笑む。
  「じゃあ、しょうがないね・・」
  「おう、赤い糸なんて言ってないで、新しい恋見つけな!!ははは。」  
   男は笑いながら、立ち去ろうとする。女は、鞄の中からハンカチをとりだすと彼の口と鼻を覆った。男は、突然の事にためらいながら抵抗をするも、手足の力は抜けて徐々に意識が遠のいていった。
   「これから、ずっと一緒だよ。」
  女は微笑みながら、男の頭を撫でる。











  「ん・・ここは、どこだ・・」
  男が目を覚ますと、ベッドの上に寝ていた。体は拘束されて、片方の腕だけベッドの外に出されていた。
  「なんだよ・・これ・・」
  「あら、起きたのおはよう。」
   女は男に微笑む。男は、その笑顔に胸の奥を握られた感触を覚えた。
  「なんなんだよ、これはよお。早く離せよ。」
  「慌てないで、私とあなたの赤い糸をより強くするから。」
   彼女の指先がキラリと光る。男は、目を凝らすと、そこには赤い糸が通された針が握られていた。
  「赤い糸を強くするって・・」
  「私とあなたの腕を縫い付けるの、これからずっと一緒だよ。」
   彼女は、彼の腕に針を突き刺す。腕からの鋭い痛みの感覚が脳に届く。  
  「があっ・・お前正気かよ‼」 
   男は、声を荒げ暴れだす。ベッドが振動するだけで、痛みはただそこにあった。針は彼の腕の肉を通り、先端が現れる。そして、その先端を彼女は自分の腕に突き刺した。
  「っつ・・・・気持ちいい・・」
   彼女は光悦の表情を浮かべる。その顔は、交わった時のそのものだ。男は、狂気を目の当たりにして、下着を濡らした。
  「ねぇ、見て・・私達、赤い糸でつながってるよ・・セックスより気持ちいいよ・・ねえ、もっと繋がろうよ・・」
    彼女は腕から、針の先端を出した。赤黒くヌメリと輝きながら、その針は男の腕にめがけて突き刺さる。また、痛みが彼を襲う。興奮する女を前に、彼の心は完全に縛りつけられた。彼らの荒い呼吸だけが、部屋を満たしていた。
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