蛇の狂人図鑑

ハライツキ

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ブラックコーヒー 2

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 「いやあ、こんな天気の良い日は公園でのんびりするのも良いですね。夕方近くですが。」 
   のんびりしたら、眠ってしまいそうなサラリーマンに老人が話しかける。
 「えぇ、そうですね・・このまま、家に帰りたい位夕方ですね。」
   サラリーマンも、適当な返しをする。会話は出来るが、目付きは虚ろだ。
 「コーヒーいかがですか?」
 「あっ、どうも。ありがとうございます。」
   老人は、缶コーヒーを差し出す。ブラックコーヒー、眠気覚ましの飲み物の定番だ。子供がいる賑やかな公園に缶を開ける音が混じる。
   「飲みはじめる前に、眠気ざましのおまじないをしてあげましょう。」
   サラリーマンは、老人の発言に思わず、ふっと笑ってしまった。女の子みたいなことを言う爺さんだと思った。
  「じゃあ、よろしくお願いいたします。」
   老人は手をかざした。思わず身構える。どんなことをするのだろう。興味津々な半笑いのサラリーマンの意識は飛んだ。老人が何をしたかはわからない。










  「はっ!・・寝ちまった。時間は?」
   サラリーマンは、体の震えで起き上がる。すぐに時計を確認した。
  「数分だけ、うたた寝しただけですから、大丈夫ですよ。」
   老人は、落ち着いた物腰で、サラリーマンにつたえる。
  「眠気ざましのつもりが、寝てしまうとは・・あれ?」
   サラリーマンは、自分の体の変化に気づいた。体が軽く、眠気がすっかり消えていた。
 「ね?眠気は覚めたでしょ?」
「あ、ありがとうございます。」

  老人は、ニッコリ微笑む。サラリーマンには、彼が仙人のように感じた。  
   サラリーマンは、軽やかな足取りで会社へ向かった。
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