蛇の狂人図鑑

ハライツキ

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ダイエット before

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  「はあ、ダイエットしたいなあ。」
  昼飯を食べながら、太めな女は呟いた。その口とは裏腹に、彼女は大量の昼食をとっていた。彼女の弁当は、同世代の女性社員の倍ほどの大きさがあった。
   ものの数分で、昼食を済ました彼女は、自分の席に戻った。ふと、忘れ物があったからである。その途中で、男性社員が話しているのが聞こえた。
  「やっぱり、女はほっそりしてるのがいいよな。」
  「ああ、確かにな。」
  「あいつ見たかよ、デカイ弁当食べて。ああいうのは、ないよなあ。」
   彼らの話に、心苦しくなり、ドシドシと走りだした。




  「はあ、本当にダイエットしなきゃ。」
   帰宅中に、彼女はパンを頬張りながら、呟いた。彼らを見返したいが、食欲が抑えられない。家について、ポストを確認すると一通の封筒が入っていた。
  「おめでとうございます。飲むだけで痩せるカプセルのテスターに選ばれました。ぜひ、お試しください。料金は頂きませんので、ご安心を。」
    中には、手紙とカプセルが入っていた。
 「こんな怪しいもの、信じられないわよ、馬鹿にして!!」
   彼女は、封筒をゴミ箱に捨てようとしたが、その手が止まる。昼間の男性社員達の顔が頭をよぎる。もし、これで痩せたならという誘惑に負けて、彼女はカプセルを飲み込んだ。
   ここまでは二ヶ月前の話である。









  「はあ、ダイエットしたいなあ。」
  昼飯を食べながら、女は呟いた。その口とは裏腹に、彼女は大量の昼食をとっていた。
   彼女の弁当箱は、同世代の女性社員の倍ほどの大きさがあった。 
   「何をいってるのよ、あなた急に痩せすぎよ‼前まで、一番太ってたのに。」
同世代の女性社員は、ムッとしたように呟く。二ヶ月前に太めの彼女は痩せていた。もともと背が高い彼女は、スタイルがよくなっていた。
今では、社内の高嶺の花だ。
   「どうやって痩せたの?教えなさいよ!!」
   「ふふ、内緒よ。」
   彼女は、颯爽と席を外した。ある人に呼びだされたからだ。社内で女性社員に一番人気の男に。呼びだされた内容は、食事の誘いだった。彼女は天にも昇る気分だった。
   
    仕事が終わり、 パンを頬張りながら、上機嫌でアパートに帰る。部屋の前には、一人の男がいた。
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