蛇の狂人図鑑

ハライツキ

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ベジタリアン

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   全く持って、最近おかしなことばかりだ。死体を盗む男や、ダッチワイフだけの部屋。警官になって27歳になる今まで働いてきたが、転職を考える。
   昼飯を食べに近くのファミレスに来たが、ヒステリックな母親が子供にかな切り声をあげて、叱っていた。とても、一息をつくことなんて出来ない。
   「たっくん、なんでハンバーグなんてたのむの!?」
  「だって、食べたいんだもん。皆、食べてるのに、なんで駄目なの?」
  「動物がかわいそうでしょ!!お母さんは、あなたを動物を食べるような、野蛮人にはしたくないの!!」
   母親が言っていることに、理解ができなかった。周りの客達も、怪訝そうな顔で母親を見ている。他者の食の価値観に文句を言うつもりはないが、母親の様子が明らかにおかしい。
 「なんで、わからないの!!なんで!!なんで!!なんで!!」
  「ママやめて!!苦しい・・」
   母親が子供の胸ぐらをつかむ。流石に、まずい。俺は、母親を止めに入る。
  「何よあんた!!親子の問題に口をはさまないで‼」
  「あなたのやってることは、しつけではないですよ。」
   母親は、子供から手を離すと、俺に水をかけた。俺が怯んでいる隙に、子供を抱え、その場から走りだした。
   俺は、追おうとしたが、何かを踏んでしまいバランスを崩してしまった。そのせいで、彼女達を見失なった。
   俺は、踏んだものを確認する、女性ものの財布だった。中から母親の免許証が出て来た。とりあえず、ファミレスの従業員に話をして、財布を回収させてもらおう。
   とんだ昼休みになってしまった。スーツは、濡れてしまった。戻ったら、色々面倒ごとがあるなと肩を落とした。














  「笹原さん、ちょっと良いですか・・」
  ファミレスの件から、数日経っていた。俺は、担当部署の警官に、起きたことを話した。彼に任せれば、あの子供のことを何とかしてくれる。他力本願だが、信頼ある人間に頼んだのだ。
   彼の顔は青ざめていた。彼についていくと、例の子供、たっくんがいた。彼の足には、血が付着していた。
  「どうしたんですか?あの子?」
  「お肉を・・食べたんです・・」
   そういうと、彼はトイレに駆け込んだ。






  
   俺は、たっくんが保護された時の、現場の写真を確認した。部屋の中には、一人の女が横たわっていた。あの母親だ。 
   彼女の体は血まみれで、腹から中身が飛び出ていた。目を覆いたくなる。 そして、そばには、ナイフとフォークが。

    他の写真には、口のまわりを真っ赤に汚した子供の写真があった。笑顔のたっくんがそこにはいた。
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