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生まれてはじめての、彼女が出来た。笑顔が素敵な彼女だ。2回目の告白をして、ようやく返事をもらえた。
最初に、告白していた時には、
「元彼の後処理がまだ、残ってて」
と言われてしまった。元彼がストーカー紛いのことをしているのかと思ったが、彼女は明るくいつもの笑顔を振り撒いていた。
そんな彼女に、誘われて彼女の家を訪れた。彼女の家は大きな一軒家だった。居間にとおされて、まず、目にしたのは大きな鹿の頭だった。
「すごいね‼ドラマのセットみたい!!」
僕は、やや大げさにリアクションをとってみせた。
「両親の趣味なんだあ、他にもあるよ。」
ふとあたりを見ると、大きな鹿の前で笑顔の男女の写真を見つけた。趣味で一緒に狩猟をしているなんて、仲の良い夫婦だなあと思った。良く見ると、居間のテーブルの敷物も、何かの獣の毛皮だった。
「お父さんたち帰って来ないから、大丈夫だよ」
彼女の言葉に、良からぬ期待を覚えた。家に呼ばれると言うのは、良いということと考えていたので胸が高鳴った。そんな、僕に彼女はアイスティーを持ってきた。
(とりあえず、落ち着こう)
僕は、彼女が持ってきたアイスティーに手をつけた。
「そうだ、二階にもっと面白いものがあるよ。」
彼女に、言われるがまま、二階に上がった。
「そこの扉に入ってみてよ」
僕は、扉を開けた。
そこには、様々な動物の剥製があった。
「ここは、私が作った剥製を置いてあるんだあ。私の好きなモノを剥製にしたの。」
彼女の発言にも驚いたが、その剥製の数にも驚いた。彼女にこんな趣味があるとは、まあ、両親の影響もあるのだろう。僕は部屋の隅に足を進めた。
「ねえ、これって・・」
「お父さんと、お母さんだよ。私、二人の
こと大好きだもん。」
そこには、先程の居間の写真の二人がいた。そして、そのそばには若い男がいた。
「大丈夫だよ、私、あなたのことも好きだから。」
僕の体は恐怖と不意に来た眠気に襲われた。ああそうか、さっきの飲み物に薬が。
僕は、精一杯の力で彼女を睨み付けた。せめてもの、反抗のつもりだった。彼女の顔は相変わらず笑顔だった。
僕の意識は闇の中に沈んでいった。
最初に、告白していた時には、
「元彼の後処理がまだ、残ってて」
と言われてしまった。元彼がストーカー紛いのことをしているのかと思ったが、彼女は明るくいつもの笑顔を振り撒いていた。
そんな彼女に、誘われて彼女の家を訪れた。彼女の家は大きな一軒家だった。居間にとおされて、まず、目にしたのは大きな鹿の頭だった。
「すごいね‼ドラマのセットみたい!!」
僕は、やや大げさにリアクションをとってみせた。
「両親の趣味なんだあ、他にもあるよ。」
ふとあたりを見ると、大きな鹿の前で笑顔の男女の写真を見つけた。趣味で一緒に狩猟をしているなんて、仲の良い夫婦だなあと思った。良く見ると、居間のテーブルの敷物も、何かの獣の毛皮だった。
「お父さんたち帰って来ないから、大丈夫だよ」
彼女の言葉に、良からぬ期待を覚えた。家に呼ばれると言うのは、良いということと考えていたので胸が高鳴った。そんな、僕に彼女はアイスティーを持ってきた。
(とりあえず、落ち着こう)
僕は、彼女が持ってきたアイスティーに手をつけた。
「そうだ、二階にもっと面白いものがあるよ。」
彼女に、言われるがまま、二階に上がった。
「そこの扉に入ってみてよ」
僕は、扉を開けた。
そこには、様々な動物の剥製があった。
「ここは、私が作った剥製を置いてあるんだあ。私の好きなモノを剥製にしたの。」
彼女の発言にも驚いたが、その剥製の数にも驚いた。彼女にこんな趣味があるとは、まあ、両親の影響もあるのだろう。僕は部屋の隅に足を進めた。
「ねえ、これって・・」
「お父さんと、お母さんだよ。私、二人の
こと大好きだもん。」
そこには、先程の居間の写真の二人がいた。そして、そのそばには若い男がいた。
「大丈夫だよ、私、あなたのことも好きだから。」
僕の体は恐怖と不意に来た眠気に襲われた。ああそうか、さっきの飲み物に薬が。
僕は、精一杯の力で彼女を睨み付けた。せめてもの、反抗のつもりだった。彼女の顔は相変わらず笑顔だった。
僕の意識は闇の中に沈んでいった。
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