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オラネコBL編
7.アーティ
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「それは良かった。いつも路上に寝てるのか?」
「う~ん。まぁ、廃屋みたいなのがあってさ、他のストリートチルドレン達と一緒に、そこで固まって寝てる。
俺みたいなのを買ってくれる人なんてもう殆ど居ないからさ。用心棒兼雑用みたいな感じで仲間に入れて貰ってる。」
「いや。そう言うなって。アーティは可愛いし、綺麗だと思うよ。」
「ありがと。じゃあ、買ってくれてもいいのに。」
「それは…ちょっと…ごめん。まだ決心がつかなくて。」
「いいよ。いいよ。今日はシャワーが浴びれたし、ふかふかのベッドで寝れて、明日は朝ご飯が食べられる。
僕、それだけで幸せだから。」
「そうか…。」
俺はどう声をかけてよいのか解らず、黙り込んでしまった。
「明日はどこ行くの?」
「え~っと、出来る限り地下鉄を使わずにこの寺に行こうと思ってて…。」
「あ~そこなら歩いても20分かからないから、大丈夫だよ。そこは観光地だからさ、普通に街も綺麗だし。」
「そうか…。なぁ、俺、スラムって初めて来たんだが、そういうところ、バンポクにはまだ沢山あるのか?」
「あぁ、前まではね。観光客が多かったから、結構綺麗にされちゃっててさ。スラムらしいスラムは大分少なくなってきてたんだ。
でも、ほら、この病禍だろ?観光客が来なくなっちゃったらこの通り。
僕達ストリートチルドレンも、この街の人たちも、観光客が落としてくれるお金で生活してたから…。この3年間で、何人も仲間が餓死で死んだよ。
観光客に見られた時に見苦しくない様に整備してた様なもんだからさ、観光客が来ないんなら、別に綺麗にしなくてもいいってんでさ。こんなに観光地に近いのに、街は荒れ放題。病気も流行り放題。
最近はちょっと良くなってきたけど、今度は飛行機代が高いんだろ?だからそんなに観光客も戻ってないんだ。この3年間が僕の一番の稼ぎ時だった時だったのにな。観光客が来るのを待ってたら、もう盛りが過ぎちゃったよ。
薹が立っちゃったから、今から新規の客を捕まえるのも無理だし。困ってるんだ。」
アーティは色々と話してくれるし、良い機会だから、ずっと気になっていた事を聞いてみる事にした。
「日本人に飼われてたってのは…聞いてもいいか?」
「別に聞いちゃいけない事はないさ。単身赴任の駐在員にね。飼われてたんだ。
でも、病禍で駐在が無くなったんだって。だから帰っちゃったんだ。日本に。
日本には奥さんも子供も居たらしいよ。今までそんな事一言も言わなかったのに。」
「それは…。」
「それが三年前の事。それから僕はまたストリートチルドレンに戻ったんだけど、もう僕の居場所は無かった。飼われてる間にさ、僕はもう、ここをシマにしてるマフィアの保護から外れちゃってたんだ。そりゃあ三年間も不在にしていて、ずっと媚びを売ってなかったんだもの。仕方ないよね…。
だから僕はさ、もう碌な仕事を回してもらえないから、自分で探すしかないんだ。
クイ人とか、あんまり金にならない客を中心にさ。」
え?つまりその日本人駐在員の人は、今16歳のアーティを三年前に捨てて、更にその三年前から飼い始めたから…え!?
俺は更に何も言えなくなってしまった。聞けば聞くほど悲しくなる。
世界にそんな経験をしている子供がいるなんて。しかも、同じ日本人がそんな悲しい経験をさせているなんて…。
俺はどうアーティに謝って良いのか解らなかった。本当は沢山謝りたい。
でも、口から零れ落ちたのは、「ごめん。」という、思っていたよりも軽い言葉だった。情けなくて、涙が滲んでくる。
「え??なんでリョウが謝るの?」
それだけでもアーティは驚いたみたいだった。
「いや…その…同じ日本人が。だからごめん。」
「まぁ、ここではよくある事だよ。別に僕の経歴なんて、恵まれてる方だよ。少なくとも三年間は、食事と寝床に不自由しなかったからね。」
「でも…。」
「あーあーあー変な話してごめんね!明日から観光でしょ?寺は朝早くからやってるから、今夜は早く寝たら?僕ももう寝たいし。おやすみなさい!」
そう言って、アーティはすぐに寝てしまったから、俺も寝ることにした。
広いと思っていたベッドも、二人で寝ると案外狭く感じるものだな。男の子と同じベッドに寝るのも初めてだ。
隣にアーティが居ると思うと、ちっとも眠れない。さっき視線の端でのぞき見してしまったアーティの裸体が、脳裏を過ぎる。
明日も観光があるんだから、早く静まってくれ!!俺の童貞マインドよ!!
「う~ん。まぁ、廃屋みたいなのがあってさ、他のストリートチルドレン達と一緒に、そこで固まって寝てる。
俺みたいなのを買ってくれる人なんてもう殆ど居ないからさ。用心棒兼雑用みたいな感じで仲間に入れて貰ってる。」
「いや。そう言うなって。アーティは可愛いし、綺麗だと思うよ。」
「ありがと。じゃあ、買ってくれてもいいのに。」
「それは…ちょっと…ごめん。まだ決心がつかなくて。」
「いいよ。いいよ。今日はシャワーが浴びれたし、ふかふかのベッドで寝れて、明日は朝ご飯が食べられる。
僕、それだけで幸せだから。」
「そうか…。」
俺はどう声をかけてよいのか解らず、黙り込んでしまった。
「明日はどこ行くの?」
「え~っと、出来る限り地下鉄を使わずにこの寺に行こうと思ってて…。」
「あ~そこなら歩いても20分かからないから、大丈夫だよ。そこは観光地だからさ、普通に街も綺麗だし。」
「そうか…。なぁ、俺、スラムって初めて来たんだが、そういうところ、バンポクにはまだ沢山あるのか?」
「あぁ、前まではね。観光客が多かったから、結構綺麗にされちゃっててさ。スラムらしいスラムは大分少なくなってきてたんだ。
でも、ほら、この病禍だろ?観光客が来なくなっちゃったらこの通り。
僕達ストリートチルドレンも、この街の人たちも、観光客が落としてくれるお金で生活してたから…。この3年間で、何人も仲間が餓死で死んだよ。
観光客に見られた時に見苦しくない様に整備してた様なもんだからさ、観光客が来ないんなら、別に綺麗にしなくてもいいってんでさ。こんなに観光地に近いのに、街は荒れ放題。病気も流行り放題。
最近はちょっと良くなってきたけど、今度は飛行機代が高いんだろ?だからそんなに観光客も戻ってないんだ。この3年間が僕の一番の稼ぎ時だった時だったのにな。観光客が来るのを待ってたら、もう盛りが過ぎちゃったよ。
薹が立っちゃったから、今から新規の客を捕まえるのも無理だし。困ってるんだ。」
アーティは色々と話してくれるし、良い機会だから、ずっと気になっていた事を聞いてみる事にした。
「日本人に飼われてたってのは…聞いてもいいか?」
「別に聞いちゃいけない事はないさ。単身赴任の駐在員にね。飼われてたんだ。
でも、病禍で駐在が無くなったんだって。だから帰っちゃったんだ。日本に。
日本には奥さんも子供も居たらしいよ。今までそんな事一言も言わなかったのに。」
「それは…。」
「それが三年前の事。それから僕はまたストリートチルドレンに戻ったんだけど、もう僕の居場所は無かった。飼われてる間にさ、僕はもう、ここをシマにしてるマフィアの保護から外れちゃってたんだ。そりゃあ三年間も不在にしていて、ずっと媚びを売ってなかったんだもの。仕方ないよね…。
だから僕はさ、もう碌な仕事を回してもらえないから、自分で探すしかないんだ。
クイ人とか、あんまり金にならない客を中心にさ。」
え?つまりその日本人駐在員の人は、今16歳のアーティを三年前に捨てて、更にその三年前から飼い始めたから…え!?
俺は更に何も言えなくなってしまった。聞けば聞くほど悲しくなる。
世界にそんな経験をしている子供がいるなんて。しかも、同じ日本人がそんな悲しい経験をさせているなんて…。
俺はどうアーティに謝って良いのか解らなかった。本当は沢山謝りたい。
でも、口から零れ落ちたのは、「ごめん。」という、思っていたよりも軽い言葉だった。情けなくて、涙が滲んでくる。
「え??なんでリョウが謝るの?」
それだけでもアーティは驚いたみたいだった。
「いや…その…同じ日本人が。だからごめん。」
「まぁ、ここではよくある事だよ。別に僕の経歴なんて、恵まれてる方だよ。少なくとも三年間は、食事と寝床に不自由しなかったからね。」
「でも…。」
「あーあーあー変な話してごめんね!明日から観光でしょ?寺は朝早くからやってるから、今夜は早く寝たら?僕ももう寝たいし。おやすみなさい!」
そう言って、アーティはすぐに寝てしまったから、俺も寝ることにした。
広いと思っていたベッドも、二人で寝ると案外狭く感じるものだな。男の子と同じベッドに寝るのも初めてだ。
隣にアーティが居ると思うと、ちっとも眠れない。さっき視線の端でのぞき見してしまったアーティの裸体が、脳裏を過ぎる。
明日も観光があるんだから、早く静まってくれ!!俺の童貞マインドよ!!
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