4 / 14
オラネコBL編
4.救いの手
しおりを挟む
おかしいな。俺は地図の通りに歩いているはずなのに、ホテルらしき看板が無いぞ。
早くしないと暗くなってきてしまう。こんな街灯も無さそうな妖しげな雰囲気の街で、夜に迷子になるなんて冗談じゃない。
誰かに聞こうと思っても、俺は英語があんまり話せない。クイ語なんてもっての他だ。
焦る俺に、声を掛けてきた人が居た。
「お兄さん、ニホンジン?」
お!日本語話せる人発見!!良かった。これでホテルの場所が聞ける。
振り返ると、そこには可愛らしい顔立ちの青年が居た。外国人で年齢が解りにくいが、多分…青年…だよな?
身長が高めで、165cmはあるだろうか。俺にとっては充分小柄だが、クイ人の中では高い部類だろう。
良かった!救いの女神だ!と思って、俺は彼に地図を見せた。
「あぁ!そうなんだ!君、ごめん!今迷子になっていて…。
このホテル、どこにあるか解る?」
「あぁ、駅から来たの?ずいぶん通り過ぎちゃったんだね。」
「え?そうなのか?ごめん。今この地図の中だと何処に居るのか教えてくれないか?」
「う~ん。
ねぇお兄さん、僕を買ってくれたら、ホテルまで案内してあげるよ?」
「え??」
「ん??バンポクに一人って、そういう事でしょ?
こんなスラム街の連れ込み宿まで予約しちゃってさ。
もし今夜の相手がまだ決まってないんなら、僕を買ってよ。
そしたらホテルまで連れて行ってあげる。」
ここはいわゆるスラム街だったのか…。そうか…、
いかにもヤク中みたいな奴、酒瓶を抱きしめて地面に寝てる奴、浮浪者、ストリートチルドレン。鼻が曲がる様な匂いに、ゴミが散乱し、何の液体なのか解らないがベトベトに汚れている地面。虫やドブネズミどころか野犬だって闊歩している。
そうだよな。スラム街ってそういう所だよな。でも、実際に目にするとこんなに酷いところだったなんて思っていなかった。しかも、思っていたよりも人がびっしりと座っている。
こんなに汚いのに、こんなにたくさん人が居るの?いや逆か…人がいっぱいいるからこそ汚いのか。
俺は迷った。確かに、もう一秒たりともこの地獄の釜の中の様な場所には居たくない。でも、こんなタイに着いて早々、誰かを買おうとは思っていなかった。まだ俺の繊細な童貞ハーツに見切りをつける準備が出来ていない。
最初は健全に観光して、夜はゴーゴーバーに行って、ちょっと耐性をつけて。
次の夜はゲイバーに行って、またちょっと耐性をつけて。
それを2日間繰り返して充分に耐性がついたなと思ったら…。
最終夜に、もしこれならイケるぞ!と決心がつけば、あわよくばちょっと大人の階段を登ってみようかな。それくらいの認識だった。
「あの…じゃあ、さ。二千円あげるから、道案内だけお願いできない?」
早くしないと暗くなってきてしまう。こんな街灯も無さそうな妖しげな雰囲気の街で、夜に迷子になるなんて冗談じゃない。
誰かに聞こうと思っても、俺は英語があんまり話せない。クイ語なんてもっての他だ。
焦る俺に、声を掛けてきた人が居た。
「お兄さん、ニホンジン?」
お!日本語話せる人発見!!良かった。これでホテルの場所が聞ける。
振り返ると、そこには可愛らしい顔立ちの青年が居た。外国人で年齢が解りにくいが、多分…青年…だよな?
身長が高めで、165cmはあるだろうか。俺にとっては充分小柄だが、クイ人の中では高い部類だろう。
良かった!救いの女神だ!と思って、俺は彼に地図を見せた。
「あぁ!そうなんだ!君、ごめん!今迷子になっていて…。
このホテル、どこにあるか解る?」
「あぁ、駅から来たの?ずいぶん通り過ぎちゃったんだね。」
「え?そうなのか?ごめん。今この地図の中だと何処に居るのか教えてくれないか?」
「う~ん。
ねぇお兄さん、僕を買ってくれたら、ホテルまで案内してあげるよ?」
「え??」
「ん??バンポクに一人って、そういう事でしょ?
こんなスラム街の連れ込み宿まで予約しちゃってさ。
もし今夜の相手がまだ決まってないんなら、僕を買ってよ。
そしたらホテルまで連れて行ってあげる。」
ここはいわゆるスラム街だったのか…。そうか…、
いかにもヤク中みたいな奴、酒瓶を抱きしめて地面に寝てる奴、浮浪者、ストリートチルドレン。鼻が曲がる様な匂いに、ゴミが散乱し、何の液体なのか解らないがベトベトに汚れている地面。虫やドブネズミどころか野犬だって闊歩している。
そうだよな。スラム街ってそういう所だよな。でも、実際に目にするとこんなに酷いところだったなんて思っていなかった。しかも、思っていたよりも人がびっしりと座っている。
こんなに汚いのに、こんなにたくさん人が居るの?いや逆か…人がいっぱいいるからこそ汚いのか。
俺は迷った。確かに、もう一秒たりともこの地獄の釜の中の様な場所には居たくない。でも、こんなタイに着いて早々、誰かを買おうとは思っていなかった。まだ俺の繊細な童貞ハーツに見切りをつける準備が出来ていない。
最初は健全に観光して、夜はゴーゴーバーに行って、ちょっと耐性をつけて。
次の夜はゲイバーに行って、またちょっと耐性をつけて。
それを2日間繰り返して充分に耐性がついたなと思ったら…。
最終夜に、もしこれならイケるぞ!と決心がつけば、あわよくばちょっと大人の階段を登ってみようかな。それくらいの認識だった。
「あの…じゃあ、さ。二千円あげるから、道案内だけお願いできない?」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
可愛くない猫でもいいですか
緑虫
BL
オラネコBL企画向けに書きました。
高校時代、可愛らしい見た目でネコをしていた次郎。だけど高三になり差がぐんぐん伸びて当時の彼氏に「萎える」と言われて振られてしまい、傷心のまま大学へ進学する。
誰とも触れ合わないまま一年が過ぎた頃、突然寄ってくるようになった陽キャハーフイケメンの拓海に段々と絆されていく。
でも、もう恋なんてしたくない。トラウマを抱えていた次郎は素直になれずーー?
ムーンさんでも掲載。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる