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※ 王様とライランド様の副音声込みでお届けしております。以下の会話の中では、メリノはふりがなの部分しか理解できていません。
@@@@@
「パミールは、ワシの唯一の王子だ。
それに、今日30年越しに家に帰ったばかりで、まだ家族の時間を過ごせていない。
よって、パミールを 嫁にはやれん。」
「はい。心得てございます。
長らく市井の暮らしをして、ご苦労を重ねられたパミール様です。
今はご両親と妹君の元で、政務に悩まされる事なく、存分にご家族の時間を過ごされますよう。」
「そうだ。よって、もしパミールと結婚したいならば、君が この国を全身全霊で立派に治めなさい。妹の子を養子に迎えて後継に添えればよい。
さすれば、婚姻を認めてやろう。」
「願ってもない栄誉でございます。パミール様を公私共に支えていく所存でございます。」
ええぇ!!
なんか話がどんどん大きくなっているよぉ。どうしよう。
これはつまり、ロマノフ王国が実質ズワルト王国の属国になるという事ではないだろうか。
いや、ライランド様が姓を捨てるならば、違うのか?
いやいやでもでも、ボクは確かに地理や歴史、戦術の本を読むのは好きだけど、それはただの知識として面白かっただけで、国を治めるだなんて事は、責任重大すぎて恐ろしくて出来ない。そうなるとライランド様に頼らざるを得ない。
結局、この国をライランド様に譲るということではないのだろうか。
王様、あれだけライランド様のことをボロクソ言ってたのに、そんな大事なことをすぐに決めちゃって良いの?え?
「だが、これは我が国があの悪趣味で節操がないエロオヤジの属国となるという意思表示ではない。解るな?」
「はい。あのクソオヤジの介入は、パミール様への永遠の愛に誓って、このライランド=フォン=ロマノフの名にかけて、必ずとも阻止してみせましょう。」
「ほっほっほ。ロマノフを名乗るには気が早いわい。若造め。」
「ハハハハ。では、いつ頃なら宜しいので?」
「それは、あのエロオヤジをいつ退治できるか次第だ。」
「では、婚礼の準備も半年で済ませてご覧に入れましょう。」
「全く、食えん小僧だ。」
なんだか知らないけど、結婚の日取りまでトントン拍子に決まってしまった…?
王様、この短期間でライランド様の事、気に入りすぎじゃない?
ライランド様も、ただのお芝居で求婚までやらなくても良いんじゃない?
後から聞いたことだが、ライランド様はとてつもなく優秀なのに、その持って生まれた色からズワルト王から大事にされていない事を、当然の事ながら王様は知っていたらしい。
と同時に、実の息子とはいえ、市井で育ち帝王学を一切学んでいない息子を血筋だというだけで後継者に指名する事には、やはり不安があった。
その為、カモがネギを背負ってきた。ならぬ、ボクが為政者として優秀なライランド様を背負ってきたのは、王様にとっては非常に都合が良く、渡りに船だった様だ。
このトントン拍子は、二人の思惑の絶妙な一致が織りなす予定調和だったのだ。
そう解ると、なんだか副音声が聞こえてきそうな会話だ。
ブルブルブルブル。王族同士の会話、ナニソレ、コワイ。
いやでもこれ、ボクもうパミールじゃなくてもパミールにならなきゃいけないんじゃないだろうか。それも、ただの王子ではなく、よりによって王太子に。
えらいこっちゃ。
メリノ、34歳。王太子になる。
従軍娼夫から王太子なんて、もはや転職というレベルではない。
わらしべ長者もびっくりな大出世物語である。
@@@@
その日から、ボクの王太子教育と、ライランド様の王太子妃教育が始まった。
そう、国王が妻に収まる訳にはいかないので、なんとライランド様がボクの妻になることになったのである。
人生、もうこれ以上のサプライズはないと思っていたのに、これにはボクが一番驚いた。まさか、あのライランド様を妻にする日が来るなんて。
大丈夫かな…。あの巨根を持つ人を、ボクのソーセージが如く細きもので、満足させられるのかな。
ボクのそんな心配を汲み取ってくれたのか、数ある教科の中でも、特にダンスと閨教育に多くの時間を割かれた。
閨教育では、後腔の洗浄の仕方、解し方から怪我をしにくい体位、白濁を留めておくとお腹を壊す事、掻き出し方などを学んだ。
うんうん。ボクの王妃になってくれるライランド様の事は大切にしないといけないからね。
まずは自分に実践して、その感覚を知っておく事は大事だ。
それにライランド様は、ナディーを国から呼び寄せ、またボクの侍従兼護衛にしてくれた。ずっとボクの準備を手伝ってくれていたし、元はライランド様の侍従だし、ナディーならきっとライランド様のことも支えてくれるだろう。
一方ダンスの方も、ボクは漢らしく男性パートを踊れる様になって、ライランド様をリードしないといけないから大変だ。
相手は、幼い頃からダンスを踊り慣れている王族だ。リードするには、生半端な練習量ではいけない。
目標は、3ヶ月後の王太子宣誓式と貴族へのお披露目会で、ライランド様を完璧にリードすること。
そこでライランド様とのダンスを披露する必要があるのだ。
これには、王妃様自らボクのダンスの練習相手を務めてくださる事になり、高貴で綺麗な王妃様相手に、ボクは緊張しっぱなしだった。
王太子宣誓式までは余り日にちが無く、1刻も無駄に出来ないはずなのに、ボクが帝王学を学ぼうとすると、何故だかお父様やお母様からお茶を飲もうと誘いが来る。
ボクは急いで王太子にならないといけないはずなのに、何でだろうか。むしろボクよりライランド様の方が勉強漬けにされてしまっている様な……。
でも、お父様やお母様からは、嫁入り前のお嫁さんに軽々しく会ってはいけない、部屋にも入ってはいけないと言われている。ボクは夫として、ライランド様の潔白を穢すわけにもいかないし、寂しいなと思いながらも、それを忠実に守っていた。
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「パミールは、ワシの唯一の王子だ。
それに、今日30年越しに家に帰ったばかりで、まだ家族の時間を過ごせていない。
よって、パミールを 嫁にはやれん。」
「はい。心得てございます。
長らく市井の暮らしをして、ご苦労を重ねられたパミール様です。
今はご両親と妹君の元で、政務に悩まされる事なく、存分にご家族の時間を過ごされますよう。」
「そうだ。よって、もしパミールと結婚したいならば、君が この国を全身全霊で立派に治めなさい。妹の子を養子に迎えて後継に添えればよい。
さすれば、婚姻を認めてやろう。」
「願ってもない栄誉でございます。パミール様を公私共に支えていく所存でございます。」
ええぇ!!
なんか話がどんどん大きくなっているよぉ。どうしよう。
これはつまり、ロマノフ王国が実質ズワルト王国の属国になるという事ではないだろうか。
いや、ライランド様が姓を捨てるならば、違うのか?
いやいやでもでも、ボクは確かに地理や歴史、戦術の本を読むのは好きだけど、それはただの知識として面白かっただけで、国を治めるだなんて事は、責任重大すぎて恐ろしくて出来ない。そうなるとライランド様に頼らざるを得ない。
結局、この国をライランド様に譲るということではないのだろうか。
王様、あれだけライランド様のことをボロクソ言ってたのに、そんな大事なことをすぐに決めちゃって良いの?え?
「だが、これは我が国があの悪趣味で節操がないエロオヤジの属国となるという意思表示ではない。解るな?」
「はい。あのクソオヤジの介入は、パミール様への永遠の愛に誓って、このライランド=フォン=ロマノフの名にかけて、必ずとも阻止してみせましょう。」
「ほっほっほ。ロマノフを名乗るには気が早いわい。若造め。」
「ハハハハ。では、いつ頃なら宜しいので?」
「それは、あのエロオヤジをいつ退治できるか次第だ。」
「では、婚礼の準備も半年で済ませてご覧に入れましょう。」
「全く、食えん小僧だ。」
なんだか知らないけど、結婚の日取りまでトントン拍子に決まってしまった…?
王様、この短期間でライランド様の事、気に入りすぎじゃない?
ライランド様も、ただのお芝居で求婚までやらなくても良いんじゃない?
後から聞いたことだが、ライランド様はとてつもなく優秀なのに、その持って生まれた色からズワルト王から大事にされていない事を、当然の事ながら王様は知っていたらしい。
と同時に、実の息子とはいえ、市井で育ち帝王学を一切学んでいない息子を血筋だというだけで後継者に指名する事には、やはり不安があった。
その為、カモがネギを背負ってきた。ならぬ、ボクが為政者として優秀なライランド様を背負ってきたのは、王様にとっては非常に都合が良く、渡りに船だった様だ。
このトントン拍子は、二人の思惑の絶妙な一致が織りなす予定調和だったのだ。
そう解ると、なんだか副音声が聞こえてきそうな会話だ。
ブルブルブルブル。王族同士の会話、ナニソレ、コワイ。
いやでもこれ、ボクもうパミールじゃなくてもパミールにならなきゃいけないんじゃないだろうか。それも、ただの王子ではなく、よりによって王太子に。
えらいこっちゃ。
メリノ、34歳。王太子になる。
従軍娼夫から王太子なんて、もはや転職というレベルではない。
わらしべ長者もびっくりな大出世物語である。
@@@@
その日から、ボクの王太子教育と、ライランド様の王太子妃教育が始まった。
そう、国王が妻に収まる訳にはいかないので、なんとライランド様がボクの妻になることになったのである。
人生、もうこれ以上のサプライズはないと思っていたのに、これにはボクが一番驚いた。まさか、あのライランド様を妻にする日が来るなんて。
大丈夫かな…。あの巨根を持つ人を、ボクのソーセージが如く細きもので、満足させられるのかな。
ボクのそんな心配を汲み取ってくれたのか、数ある教科の中でも、特にダンスと閨教育に多くの時間を割かれた。
閨教育では、後腔の洗浄の仕方、解し方から怪我をしにくい体位、白濁を留めておくとお腹を壊す事、掻き出し方などを学んだ。
うんうん。ボクの王妃になってくれるライランド様の事は大切にしないといけないからね。
まずは自分に実践して、その感覚を知っておく事は大事だ。
それにライランド様は、ナディーを国から呼び寄せ、またボクの侍従兼護衛にしてくれた。ずっとボクの準備を手伝ってくれていたし、元はライランド様の侍従だし、ナディーならきっとライランド様のことも支えてくれるだろう。
一方ダンスの方も、ボクは漢らしく男性パートを踊れる様になって、ライランド様をリードしないといけないから大変だ。
相手は、幼い頃からダンスを踊り慣れている王族だ。リードするには、生半端な練習量ではいけない。
目標は、3ヶ月後の王太子宣誓式と貴族へのお披露目会で、ライランド様を完璧にリードすること。
そこでライランド様とのダンスを披露する必要があるのだ。
これには、王妃様自らボクのダンスの練習相手を務めてくださる事になり、高貴で綺麗な王妃様相手に、ボクは緊張しっぱなしだった。
王太子宣誓式までは余り日にちが無く、1刻も無駄に出来ないはずなのに、ボクが帝王学を学ぼうとすると、何故だかお父様やお母様からお茶を飲もうと誘いが来る。
ボクは急いで王太子にならないといけないはずなのに、何でだろうか。むしろボクよりライランド様の方が勉強漬けにされてしまっている様な……。
でも、お父様やお母様からは、嫁入り前のお嫁さんに軽々しく会ってはいけない、部屋にも入ってはいけないと言われている。ボクは夫として、ライランド様の潔白を穢すわけにもいかないし、寂しいなと思いながらも、それを忠実に守っていた。
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