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その後の二人
189.パンツ交換
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俺は運転代行を呼んで、蒼空と一緒に後部座席に乗り込んだ。
二人で手を繋いで車に乗るのも初めてだ。二人が再会してからのこの2週間のうちに経験したことの、あれもこれも初めてばかり。
出会って7年半。二人はもう2年間も一緒に住んでいた。それなのに、もう何が初めてだといちいち数えるのも難しい程初めての事だらけである事が、二人の関係の異常性を物語っていた。
「ちょっとお腹いっぱいになりすぎちゃったね。」
と少し丸くなったお腹を笑顔でポンポンとする蒼空。俺はその動作で、蒼空の妊娠中の事を思い出してしまい、また少しセンチメンタルな気分になってしまいそうになった。
まだそのことに関して考えるのは差し控えようと思う。二人の長男である空正の行方は探偵事務所に探してもらっているが、未だ見つかっていない。
せっかく再会したばかりなのだから、今は二人だけの時間を思う存分楽しもう。そう自分に言い聞かせて、なんとか目の前の楽しそうな蒼空に意識を引き戻した。
蒼空はお酒も飲んでいないのに、るんるんと鼻歌を歌いながらご機嫌だ。俺の婚約者は世界一可愛いな。
家に戻ると、衣服や新しく買った服にも自由の香りが絡みついてしまっていた。あぁ、車に積み込まずにそのまま焼き肉屋に直行したのは失敗だったな。
幸せな重みだったから、ついそのまま持ち歩きたくなってしまったんだ。
一緒にお風呂に入り、仲良く洗いっこして、自由の香りを落とした湯上り。
早速お互いの為に買ったパンツを贈りあう事にした。
今は二人ともノーパンで、買ったばかりのお揃いのバスローブだけを着ているという心許ない恰好だ。
もうカーテンをテープで固定する必要が無くなった夫婦の寝室のベッドの上。そこにお互いが選んだパンツを広げる。
蒼空くんが俺の為に選んでくれたのは、くまさんの柄が沢山ちりばめられているパンツだった。
蒼空に言わせてみれば、
「だって正吾さんは大きくて、のそのそドシドシしていて、くまさんに似ているから。それに美味しいものを作ってくれる大きな手があるし。」という事らしい。
そうか?のそのそ、ドシドシしてるか?
あ。してるな。蒼空を抱っこで運んでいる時はな。
それ以外はしてないと思う。俺はどちらかと言えば『しゅたっしゅたっ』って感じだろ?蒼空をいつでも守れる様に筋トレにも精を出しているから、俺の身体は殆ど筋肉で出来ているし。
でも、美味しいものを作ってくれる手というのは嬉しいな。熊の手はそのものが食材になるから少し意味合いが違うがな。なんとなく蒼空が言いたいことは解った。
蒼空が俺の為に選んでくれたパンツに、俺は大満足だった。
俺の方は蒼空に、同じシリーズの猫柄が散りばめられたパンツを用意していた。
「あ!予期せずお揃いになっちゃいましたね!」
とパンツを見て嬉しそうにしている蒼空。
ふふふ、可愛いなぁ。本当に猫みたいだ。そのうちカチューシャと尻尾が付いてる様なパンツも欲しいなぁ。
「ふふふふ。そうだね。お揃いだ。俺たち気が合うな。付き合おうか。」
俺はちょっとした冗談のつもりでそう言った。でも、蒼空は途端に両手でほっぺたを覆って、もじもじし始めた。
「あの時は僕からだったから、改めて正吾さんからの告白、ふふふ。嬉しいなぁ。」
俺はハッとなって、そういえばそうだったと思い出した。当時の俺は、初めてした本気の恋に戸惑っていた。力関係があるから少し大胆に距離を詰める訳にもいかず、何もかもが後手後手に回ってしまっていて、ダメダメだったんだった。
確か、『俺に抱かれるのは嫌じゃない』という蒼空の言葉を聞き流して、痺れを切らせた蒼空にいきなり抱きつかれて、驚いたんだった。
「確かに…そうだね。今まで何から何まで蒼空にリードされてしまっていて、本当に済まない。」
「いやそれは…。僕たちの特殊な環境のせいで、正吾さんのせいでは。それに、後出しですが正吾さんもちゃんと僕に、恋人になってくれって言ってくれてたし。
むしろ、立場が強い正吾さんの方から強要されなかったからこそ、僕は正吾さんの事を好きになったんだと思います。」
自分が述べている事が真実だと確信しているかの様な、吸い込まれる様な強い瞳だった。俺が惚れた、蒼空の瞳だ。
「それも少しはそうかもしれないけれど、それでも蒼空を焦らしてしまったのは俺の責任だよ。
蒼空。改めて、あの時に戻ったつもりで、今度は俺の方から言わせてくれ!
蒼空、君が好きだ!君と出会ってからずっと、もう君以外は考えられない。俺と付き合ってくれませんか。」
俺は一瞬バスローブ姿のままであることに躊躇したが、今回は全裸ではない。それに、このバスローブはある意味俺の戦闘服だ。
『お風呂上がりの大人のお色気フェロモンダダ漏れのアルファは、紳士な男だぜ』大作戦は大成功だった。バスローブはウブな蒼空に、俺を大人なアルファとして意識させるための戦闘服だった。
結果的に蒼空と両想いになれた際の、一番の功労者かもしれない。
二人で手を繋いで車に乗るのも初めてだ。二人が再会してからのこの2週間のうちに経験したことの、あれもこれも初めてばかり。
出会って7年半。二人はもう2年間も一緒に住んでいた。それなのに、もう何が初めてだといちいち数えるのも難しい程初めての事だらけである事が、二人の関係の異常性を物語っていた。
「ちょっとお腹いっぱいになりすぎちゃったね。」
と少し丸くなったお腹を笑顔でポンポンとする蒼空。俺はその動作で、蒼空の妊娠中の事を思い出してしまい、また少しセンチメンタルな気分になってしまいそうになった。
まだそのことに関して考えるのは差し控えようと思う。二人の長男である空正の行方は探偵事務所に探してもらっているが、未だ見つかっていない。
せっかく再会したばかりなのだから、今は二人だけの時間を思う存分楽しもう。そう自分に言い聞かせて、なんとか目の前の楽しそうな蒼空に意識を引き戻した。
蒼空はお酒も飲んでいないのに、るんるんと鼻歌を歌いながらご機嫌だ。俺の婚約者は世界一可愛いな。
家に戻ると、衣服や新しく買った服にも自由の香りが絡みついてしまっていた。あぁ、車に積み込まずにそのまま焼き肉屋に直行したのは失敗だったな。
幸せな重みだったから、ついそのまま持ち歩きたくなってしまったんだ。
一緒にお風呂に入り、仲良く洗いっこして、自由の香りを落とした湯上り。
早速お互いの為に買ったパンツを贈りあう事にした。
今は二人ともノーパンで、買ったばかりのお揃いのバスローブだけを着ているという心許ない恰好だ。
もうカーテンをテープで固定する必要が無くなった夫婦の寝室のベッドの上。そこにお互いが選んだパンツを広げる。
蒼空くんが俺の為に選んでくれたのは、くまさんの柄が沢山ちりばめられているパンツだった。
蒼空に言わせてみれば、
「だって正吾さんは大きくて、のそのそドシドシしていて、くまさんに似ているから。それに美味しいものを作ってくれる大きな手があるし。」という事らしい。
そうか?のそのそ、ドシドシしてるか?
あ。してるな。蒼空を抱っこで運んでいる時はな。
それ以外はしてないと思う。俺はどちらかと言えば『しゅたっしゅたっ』って感じだろ?蒼空をいつでも守れる様に筋トレにも精を出しているから、俺の身体は殆ど筋肉で出来ているし。
でも、美味しいものを作ってくれる手というのは嬉しいな。熊の手はそのものが食材になるから少し意味合いが違うがな。なんとなく蒼空が言いたいことは解った。
蒼空が俺の為に選んでくれたパンツに、俺は大満足だった。
俺の方は蒼空に、同じシリーズの猫柄が散りばめられたパンツを用意していた。
「あ!予期せずお揃いになっちゃいましたね!」
とパンツを見て嬉しそうにしている蒼空。
ふふふ、可愛いなぁ。本当に猫みたいだ。そのうちカチューシャと尻尾が付いてる様なパンツも欲しいなぁ。
「ふふふふ。そうだね。お揃いだ。俺たち気が合うな。付き合おうか。」
俺はちょっとした冗談のつもりでそう言った。でも、蒼空は途端に両手でほっぺたを覆って、もじもじし始めた。
「あの時は僕からだったから、改めて正吾さんからの告白、ふふふ。嬉しいなぁ。」
俺はハッとなって、そういえばそうだったと思い出した。当時の俺は、初めてした本気の恋に戸惑っていた。力関係があるから少し大胆に距離を詰める訳にもいかず、何もかもが後手後手に回ってしまっていて、ダメダメだったんだった。
確か、『俺に抱かれるのは嫌じゃない』という蒼空の言葉を聞き流して、痺れを切らせた蒼空にいきなり抱きつかれて、驚いたんだった。
「確かに…そうだね。今まで何から何まで蒼空にリードされてしまっていて、本当に済まない。」
「いやそれは…。僕たちの特殊な環境のせいで、正吾さんのせいでは。それに、後出しですが正吾さんもちゃんと僕に、恋人になってくれって言ってくれてたし。
むしろ、立場が強い正吾さんの方から強要されなかったからこそ、僕は正吾さんの事を好きになったんだと思います。」
自分が述べている事が真実だと確信しているかの様な、吸い込まれる様な強い瞳だった。俺が惚れた、蒼空の瞳だ。
「それも少しはそうかもしれないけれど、それでも蒼空を焦らしてしまったのは俺の責任だよ。
蒼空。改めて、あの時に戻ったつもりで、今度は俺の方から言わせてくれ!
蒼空、君が好きだ!君と出会ってからずっと、もう君以外は考えられない。俺と付き合ってくれませんか。」
俺は一瞬バスローブ姿のままであることに躊躇したが、今回は全裸ではない。それに、このバスローブはある意味俺の戦闘服だ。
『お風呂上がりの大人のお色気フェロモンダダ漏れのアルファは、紳士な男だぜ』大作戦は大成功だった。バスローブはウブな蒼空に、俺を大人なアルファとして意識させるための戦闘服だった。
結果的に蒼空と両想いになれた際の、一番の功労者かもしれない。
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