【完結】もう一度君に蒼空を見せたい〜奴隷オークションで高額な処女地下オメガを買ってしまったので借金返済に追われています〜

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184.一つになりたい

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 お義母様?らしき方が後部座席のガラスをバンバンと叩いているが、大丈夫だろうか。でも、そんな事に構っている余裕は今の俺には無い。
 お義父様の車が見えなくなると、俺はそのまま蒼空を抱き上げて部屋に入り、二階の寝室に直行しようとした。


 蒼空可愛い。ちょっと精悍な顔つきになったかな。俺と離れている間、一人で頑張ったんだな。社会の荒波にも揉まれたのかな。ふふふ。可愛い。


「正吾さん、荷物!荷物忘れてます!」


 家に入り、寝室に向かう階段を一歩上がったところで、蒼空が必死に教えてくれた。

 その一言で我に返った俺は、また玄関まで取って返して、小型のスーツケースを持ち上げてみた。
 そしてそれが重くない事を確認したら、一度下ろした蒼空に渡し、蒼空ごと横抱きに持ち上げた。このままリビングに連れて行く為だ。
 だって蒼空と離れられない。でも、確かに荷物をこのまま外に置いておくわけにはいかない。このままここに置いておくと、いつ室内に回収できるか解らないからな。
 何故なら、俺にはこれから大事な用があるんだ。久しぶりに再会できたツガイを、蒼空を。味わい尽くすという大事な用が。


「正吾さん!今度は靴!靴!」


 そうだよな。ずっと室内だったから、何気に靴を履いている蒼空は初めてだもんな。
 ふふふ。真面目だなぁ。慌てている蒼空が可愛い。
 でも、こんなに真ん丸なお目目をしていたら、悪いアルファに狙われちゃうのでは。やはり俺が守らなくては。

 幸いなことに、のおかげで、今俺は時間的な拘束が一切ない仕事をしている。毎日蒼空の通勤の送り迎えをする事だって出来る。


「ふふふふふ。蒼空くん。お帰り。良かった俺の元に帰ってきてくれて。」


 蒼空をそのままソファーに横向きに下ろした俺は、蒼空から素早くスーツケースを奪い取り、床に置いた。
 蒼空が靴を履いているという貴重な姿を堪能したい気がするが、それはまた後日でも出来る。俺はもうこれ以上待てが出来ない状況だった。蒼空の靴もあっという間に脱がせて、その場に転がした。

 せっかく部屋を塵一つなく掃除したのに。もうスーツケースや靴に着いた泥にまで気を配る余裕はなかった。


「正吾さん、そんなに焦らなくても、僕、逃げたりしませんって!」


 涙をいっぱい浮かべた蒼空が半笑いだ。俺もつられて涙が出そうになる。いやすまん。カッコつけた。既に涙が溢れ出てしまっている。


「ごめん。この5年間、ずっと不安で。
 今すぐ確かめさせてくれないか。

 本当に、俺でいいのか?」


「はい。僕、正吾さんが良いです!
 正吾さん。ただいま!」


 あぁ!蒼空くんのただいまが聞けるなんて、なんて幸せなんだ!いつだってそれを言うのは俺の方だった。

 正吾はソファーの背もたれに蒼空を追い詰めると、飛び切り濃厚なキスをした。
 あぁ、蒼空の味だ。濃厚なツガイの香りだ。
 蒼空が帰ってきてくれた!!この瞬間を、この溢れるほどの喜びを噛み締めたい。


「おかえり。蒼空。」


 何度も角度を変えながら、いつものお帰りのちゅーよりも、20倍は濃厚なやつをした。


 あぁ、『蒼空くんとやりたいことリスト』なんて、今日は絶対に意味が無い。
 だって蒼空も俺も、きっと今やりたいことなんか一つだけだ。

 お互いの不在を埋めるかの様に一つになって、ただただ溶け合いたい。

 その日は、日がどっぷりと暮れるまで愛し合った。



 色々と丹精込めて食事を作ってあげたいと思っていたのに。結局出来あいのお惣菜を食べる事になってしまった。でも、この事態を想定してもいたから驚かない。

 なんだか、こうやって二人で食卓を囲んでいると、夜勤のバイトで忙しかった頃が思い起こされて懐かしい。

 蒼空くんを迎えた事で、俺の人生は全部変わってしまった。でも、全く後悔していない。例えあと何百回神様がやり直す機会をくれたとしても、俺はまた蒼空くんと出会える人生を選ぶのだろう。


 明日から、『蒼空くんとやりたい事リスト』を消化するんだ。と思ったけど、朝起きて蒼空の顔を見ただけで、もうそれどころじゃなくなった。結局チュッチュして、ただただお互いの存在を確かめ合う事しかできなかった。

 なんと俺は、その後一週間も蒼空くんを出社させてあげることが出来なかった。その日から、蒼空に発情期が来てしまったからだ。
 そりゃあ久しぶりにツガイのフェロモンをたっぷりと浴びたら、発情期が誘発されるのも然りだろう。


 俺たちは未だかつてないほどの濃厚な日々を過ごしてしまった。だって、声やフェロモンが近隣に漏れる事だってもう気にしなくてよい。
 うちには、お風呂もトイレも台所も近くて、発情期を過ごすのに超絶便利な地下室がある。邪魔な鉄格子を取っ払ったそこは、俺たち二人だけの秘密基地だ。
 俺は遠慮なく盛大に蒼空を喘がせた。


 結局俺に理性が戻ったのは、蒼空の発情期が完全に収まってからだった。
 気合を入れて用意した秘密のプレゼント。もし蒼空が帰ってきてくれたらすぐ渡す予定だったのに…。

 発情していたのは、蒼空ではなく俺の方だったのかもしれない。凄く大事な事だったのに。つい遅くなってしまった。
 多分、それ以上に俺の腕の中に戻ってきてくれた蒼空を、最大限に貪りたくて仕方が無かったんだ。激情を抑えきれなかったんだ。
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