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暗転
84.悪魔のささやき(オメガ視点)
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「初めまして。君が蒼空くんだね。
最近うちに身売りの問い合わせをしてくれたよね?その時に対応した職員だよ。
二週間君のお世話をさせてもらうから、よろしくね。」
「あ。その節は丁寧にご回答いただきまして、ありがとうございました。
これから二週間、よろしくお願いします。」
お金の心配が無くなった今、その件は既に僕にとっては過去の事だったから、既に記憶の彼方に仕舞い込んで、忘れてしまっていた。
その時の人かぁ。ちょっと気まずいなぁ。
僕は出来る限り愛想良く挨拶をした。
「うん。痩せてないし、元気そうで良かったよ。
君が自分から身売りを打診する位お金が無いって聞いてたから、ちゃんと食べれてるか心配してたんだ。」
「ありがとうございます。僕のご主人様は凄く良い人なので、大丈夫です。
逆に僕に食べさせて自分は余り食べずに働き続けるものだから僕心配で、それで僕も何か出来ないかとつい自分の売値を聞いてしまったんです。
でも、もうお金は大丈夫になりました。ご心配ありがとうございました。」
良かった。良い人だった。
「そうなのかい?それはホントに凄くいいご主人様だね。」
「はい!」ニコニコ。
「実はさ、君にいい話があるんだ。
前回問い合わせてくれた時は一晩100万円くらい出してくれる人はいるんじゃないかと話したよね。
とあるお方がね。蒼空くんを3日間2千万円で買いたいと言っているんだ。
蒼空くんはこれからここで二週間過ごすわけだから、ご主人様に言わなければ誰に抱かれたかなんて絶対バレないと思うし、こんなに良いお話はなかなかないと思うよ。どうかな?」
「3日で2千万、ですか!?」
僕は、その金額に圧倒されていた。それだけあれば、二年分の返済額になる。
三日だけ。三日だけ我慢すれば、二年間のローン返済額になるなんて、こんな良い事があるのだろうか。
もうお金は足りていると聞いたけど、この金額なら正吾さんが聞いても、さすがに心動かされるんじゃないだろうか。
「そう。とあるお方からの個人的な謝礼という事になるから、もちろん税金なんてかからない。
仲介料もそのお方から貰うから、その2千万円はまるまる蒼空くんのものになるよ。
ここに査定に来た地下オメガがご主人様の為だったり、自分のお小遣いの為だったりで、身売りをするのはよくある事だけど、こんなにいい話はなかなかないよ。
むしろ初めて聞く金額だよ。
蒼空くんって人気があるんだね。流石中堅商社の元社長令息だね。」
よくある事。そうか、確かオークション規定では、身売りはオークション組織でしかやってはいけないと定められているから、査定でオークション組織に来たついでに身売りをするのは、確かにあることなのかもしれない。
よくある事。みんなやってる事なら、僕がやっても、変ではないよね。
もし一晩100万円とかならさすがにそんな少額のお金の為に正吾さんを裏切れないけれど、もし僕が2千万円も持ち帰ったら、さすがの正吾さんも、怒りながらも最終的に納得はしてくれるはず。
戦争も世界恐慌も一体いつ終わるのか全く解らないし、この先世界がどうなるかも全くわからない。お金は転ばぬ先の杖で、あればあるほどいいはずだ。
僕の父の会社だってそれなりに大きかった。でも、潰れる時は一瞬だったんだ。
正吾さんの会社も巨大企業だけど、今回潰れちゃった隣国の不動産会社もどれも正吾さんの会社と同じかそれ以上の規模のものばかりだった。最大手でも何があるか解らないのが世界恐慌だ。
「それからさ、もし君の査定額が2億4千万円に足りなければ、蒼空くんはご主人様の元に帰れなくなるって知ってる?」
「え!!!
僕、正吾さんの傍に帰れなくなる可能性があるんですか?」
それに関しては、僕は完全に寝耳に水だった。
最近うちに身売りの問い合わせをしてくれたよね?その時に対応した職員だよ。
二週間君のお世話をさせてもらうから、よろしくね。」
「あ。その節は丁寧にご回答いただきまして、ありがとうございました。
これから二週間、よろしくお願いします。」
お金の心配が無くなった今、その件は既に僕にとっては過去の事だったから、既に記憶の彼方に仕舞い込んで、忘れてしまっていた。
その時の人かぁ。ちょっと気まずいなぁ。
僕は出来る限り愛想良く挨拶をした。
「うん。痩せてないし、元気そうで良かったよ。
君が自分から身売りを打診する位お金が無いって聞いてたから、ちゃんと食べれてるか心配してたんだ。」
「ありがとうございます。僕のご主人様は凄く良い人なので、大丈夫です。
逆に僕に食べさせて自分は余り食べずに働き続けるものだから僕心配で、それで僕も何か出来ないかとつい自分の売値を聞いてしまったんです。
でも、もうお金は大丈夫になりました。ご心配ありがとうございました。」
良かった。良い人だった。
「そうなのかい?それはホントに凄くいいご主人様だね。」
「はい!」ニコニコ。
「実はさ、君にいい話があるんだ。
前回問い合わせてくれた時は一晩100万円くらい出してくれる人はいるんじゃないかと話したよね。
とあるお方がね。蒼空くんを3日間2千万円で買いたいと言っているんだ。
蒼空くんはこれからここで二週間過ごすわけだから、ご主人様に言わなければ誰に抱かれたかなんて絶対バレないと思うし、こんなに良いお話はなかなかないと思うよ。どうかな?」
「3日で2千万、ですか!?」
僕は、その金額に圧倒されていた。それだけあれば、二年分の返済額になる。
三日だけ。三日だけ我慢すれば、二年間のローン返済額になるなんて、こんな良い事があるのだろうか。
もうお金は足りていると聞いたけど、この金額なら正吾さんが聞いても、さすがに心動かされるんじゃないだろうか。
「そう。とあるお方からの個人的な謝礼という事になるから、もちろん税金なんてかからない。
仲介料もそのお方から貰うから、その2千万円はまるまる蒼空くんのものになるよ。
ここに査定に来た地下オメガがご主人様の為だったり、自分のお小遣いの為だったりで、身売りをするのはよくある事だけど、こんなにいい話はなかなかないよ。
むしろ初めて聞く金額だよ。
蒼空くんって人気があるんだね。流石中堅商社の元社長令息だね。」
よくある事。そうか、確かオークション規定では、身売りはオークション組織でしかやってはいけないと定められているから、査定でオークション組織に来たついでに身売りをするのは、確かにあることなのかもしれない。
よくある事。みんなやってる事なら、僕がやっても、変ではないよね。
もし一晩100万円とかならさすがにそんな少額のお金の為に正吾さんを裏切れないけれど、もし僕が2千万円も持ち帰ったら、さすがの正吾さんも、怒りながらも最終的に納得はしてくれるはず。
戦争も世界恐慌も一体いつ終わるのか全く解らないし、この先世界がどうなるかも全くわからない。お金は転ばぬ先の杖で、あればあるほどいいはずだ。
僕の父の会社だってそれなりに大きかった。でも、潰れる時は一瞬だったんだ。
正吾さんの会社も巨大企業だけど、今回潰れちゃった隣国の不動産会社もどれも正吾さんの会社と同じかそれ以上の規模のものばかりだった。最大手でも何があるか解らないのが世界恐慌だ。
「それからさ、もし君の査定額が2億4千万円に足りなければ、蒼空くんはご主人様の元に帰れなくなるって知ってる?」
「え!!!
僕、正吾さんの傍に帰れなくなる可能性があるんですか?」
それに関しては、僕は完全に寝耳に水だった。
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