【完結】もう一度君に蒼空を見せたい〜奴隷オークションで高額な処女地下オメガを買ってしまったので借金返済に追われています〜

相互理解

43．お風呂上がりの大人のお色気フェロモンダダ漏れのアルファは、紳士な男だぜ作戦

「あの、もし聞いてはいけない事でしたら聞きませんが、差し支え無ければ教えて頂きたい事がいくつかあります。」

「もちろん。蒼空くんには誠実でありたいと思っている。
　私が知っている事ならなんでも答えるよ。」

「お金が無いと聞いていたのに、今日お湯を溜めてお風呂に入ってしまって、すみません。
　あの、差し支えなければ、どれ位お金が無くて、どれ位節約した方が良いのか、教えて頂けませんか？」

　俺がこの部屋のものは自由に使っていいと言ったのに、お風呂に入った水道光熱費を気にしてくれるなんて、本当にいい子だな。
　俺のオメガ、可愛いな。

　おぼっちゃま育ちだから、お風呂に毎日浸かるのは当たり前でしょ？位考えていてもおかしく無いのに。

　待てよ。これはもしかして、地下にあるお風呂に入る絶好のチャンスなのでは？


　この地下は後から設計で追加されたものだから、もちろん上物うわものだけで普通の一軒家としての機能は全て揃っている。
　お風呂もトイレも、キッチンも。
　なんなら、トイレなんて一階と二階に一つずつある位だ。

　家具家電も、親がいつ来てもおかしく思わない様に、一通り地上にも揃えてある。

　だから俺が地下のお風呂に入る必要は全く無い。
　必要は無いんだが、蒼空くんが入ったお風呂に俺も浸かりたい。


　蒼空くんの出汁が出ているお風呂だぞ。むしろ飲みたい位だ。
　ご褒美だ。
　じゅるる。

　いけない、いけない。


　上手くいけばお風呂上がりで俺を男として意識して貰えるかもしれないし、ジムに行って鍛えていたこの身体は、俺の隠れた自慢でもある。

　もしかしたら、アルファらしい俺の身体付きを見て、蒼空くんが惚れてくれるかもしれないしな。

　お風呂上がりのどさくさに紛れてアルファのフェロモンを薄く撒いて俺のアルファ性を意識させ、それでも手を出さない紳士なところを見せつけて、蒼空くんの好感度を上げる作戦だ。


　そうだ。金策と同じくらい大事なのが、蒼空くんの俺への好感度を上げる事だ。
　暫くはこの二つが俺の至上課題だ。

　題して、『お風呂上がりの大人のお色気フェロモンダダ漏れのアルファは、紳士な男だぜ』大作戦！長いな。

　だが、我ながらいいアイディアだ。

　そこまで短時間で計算した上で、俺は口を開いた。


「実は、俺の毎月の給料だけでは、借金を返済するには11万円足りない。
　四月には2万円昇給するんだが、それでも9万円も足りないんだ。

　僕たちの生活費もあるし、商社マンは交際費が高い。
　部下達の飲み会があれば、上司の当然の務めとして、軍資金を支援しなければならない。

　貯金も今は39万円しかない。

　私はサラリーマンだから、月の給与は安定しているが、うちの会社のボーナスはカンパニーの業績によって大きく変動する。

　借金はボーナス支払い時に普段の返済よりも100万円多く支払う事になっているから、万が一ボーナスが大幅にカットされた時にはお金が足りなくなってしまう可能性もあるんだ。


　私は蒼空くんを連れて行かれたくはないから、返済が滞る事だけは絶対に絶対に避けたいと思っている。
　貯金は何かあった時の為の予備にしたいから、出来る限り手をつけたくない。

　利息の負担が重いから、繰り上げ返済で早くお金を返した方が利息が安く済むし、返済の予備となる貯金も多ければ多い方がいいと考えている。


　蒼空くんも、ここでの生活に慣れるまでは、私が家に居ない方が落ち着いて過ごせるのではないかと思うし、ここ数ヶ月はとにかく沢山働いて、稼げるだけ稼ぎたいと思っているんだ。

　ここまでで、何か質問はあるかな？」


　少し一気に話し過ぎてしまっただろうか。でも、口に出したことで更に危機感が募った。
　本当に金銭的にギリギリの綱渡りだ。


「僕の為に本当にありがとうございます。

　あの、さっき、もし万が一返済が滞ったらっておっしゃったんですが、僕はどこかに連れていかれちゃうんですか？」

　蒼空くんはその目に恐怖を宿していた。
　そこは、彼にとっては一番の関心事だろう。