【完結】もう一度君に蒼空を見せたい〜奴隷オークションで高額な処女地下オメガを買ってしまったので借金返済に追われています〜

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この世の地獄

38.番の強制解除(オメガ視点)

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 そんなある日、借金取りの親玉が僕に言ったんだ。

 母と父のつがい契約は、このままいけばあと2ヶ月も経たないうちに解除されると。
 
 だから、僕と同じ日のオークションには出せないけど、僕の次に開催されるオークションには、出品出来るかもなと。

 但し、もう既に母の買い手はほぼ決まっていて、オークションに出して競わせる事で、売値を吊り上げようとしているだけらしい。
 そしてその内定している買い手が、父と母のつがい契約の解除を望んだらしい。


 赤の他人が薬剤で強制的につがい関係を解除できるなんて、僕は知らなかった。
 つがいのアルファだけが、オメガとのつがい契約を解除出来るものだと思っていた。



 母に使用されていたのは、まだ日本では承認されていない薬で、継続的にうなじに注射して、体内に受け入れたつがい以外のアルファフェロモンとアルファの精液が、つがいのそれを超えると、強制的につがいの解除が出来るらしい。
 受け入れるのは、上からでも下からでもどこからでもよいとの事だった。





 もしかしたら僕がちゃんと聞いてなかっただけで、両親が話してくれた事があったのかもしれないけれど、父と母がいくつの時に出会ったのかなんて、僕は覚えていない。
 でも、少なくとも結婚して23年以上は経っているはずだ。だって、僕が22歳なんだから。


 その23年以上もの長い間に受け入れた精を、ここに来てたった10日かそこらで希釈して、あと2ヶ月で塗り替える。
 そんな事を、彼らはしようとしていた。


 つがいが居るオメガは、つがい以外との子は妊娠しないらしい。
 だから、彼らは母に対して避妊をしていない。


 もし両親が普段から避妊していたんだとしたら、父の精の量を超えるのも、そう難しくは無いのかもしれない。

 
 僕に兄弟が居なくて一人っ子だからと言って、両親が避妊していたのか、避妊して居なかったのかなんて、僕は全然知らないし、知りたくも無かったけれど、僕から見ても両親は仲が良かった。
 少なくとも、発情期は常に一緒に過ごしていた様に思う。


 そんな仲良しつがいの父と母が20数年間で溜めた精を超えるほどの精ってどれくらい?
 しかも、もし番解除するのに必要なのが、アルファの精だけなら、ベータの男は要らなくない?
 なぜベータの男も群がってたの?


 
 僕は、訳が解らなくなって、もう彼らがする事に関して、考えるのを止めた。


 もしこの先母が、ずっと苦海に生きるしか無いならば、確かに父とのつがい契約は解除した方が母は楽に生きられるかもしれない。
 最近はアルファの発情誘引フェロモンも効く様になっているし、発情して訳がわからないうちに一日が終わっている様だ。

 ただ、その解除の手法には甚だ問題があるが。


 となると、父は逃げ切れたのか、それとも捕まっても尚、まだ母とのつがいの解除を拒んでいるのか。
 多分、前者の可能性が高い気がした。


 少なくとも、父が母の今の惨状を知って、すぐに父が母との番契約を解除すれば、母はもうここでは必要以上に苦しまなくて良くなるはずなのだから。
 母だって、僕と同じく大切な商品には違いないんだから。


借金取りの親玉に父の事を聞いても、「さぁ、どうだろうなぁ、今頃はどこの炭鉱だったかなぁ。」としか言わないから、もしかしたら父だけは逃げ切れたんじゃないかと僕は思っている。
 母を子供の目の前で陵辱させる下衆だ。
 もし父も捕まっていたら、コイツならば、父の境遇を面白おかしく話すくらいはしそうだったから。
 場合によっては、わざわざ父を連れてきて、他のアルファで発情した母を見せつけながら陵辱する位しても不思議じゃない。
 
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