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九曜は木龍に抱えられ、翼弦と宝物庫を後にした。
木龍は九曜を抱えたまま、翼弦と廊下で別れ、別の場所へと向かう。
「お、降ろせっ」
九曜は木龍の肩の上で暴れ、喚き散らしたが、木龍は聞かない。
九曜は、仙人の弟子として体得していた力の全てを奪われていて、今や非力な存在でしかなかった。
そうしているうちに、翼弦の不穏な台詞が九曜を不安に駆り立たせる。
今宵の相手。
(冗談じゃない!)
翼弦に怪我を負わせてしまった九曜は、当然ながら報復を覚悟したが、まさかここまで執念深いとは想定していなかった。
九曜を生ける彫像にするだけではあきたらず、自分の代理を仕立て上げ、現状では不可能な行為を実行しようというのだ。
湯殿に到着した木龍は、ようやく九曜を肩から降ろし、着せていた上着を脱がせた。
「暴れないでください。お体をきれいにいたします」
木龍はぶっきら棒な口調で言うと、桶に浴槽の湯を汲んで九曜の体を流し始めた。
「や、やめろっ」
「九曜様、動かないでください」
木龍は無表情で九曜の体を布巾で本格的に洗う。
抵抗していた九曜は壁に追いやられた。
「頼む、木龍とやら、見逃してくれ……私には夫がいるんだ」
逃げ場を失った九曜は悲壮な顔で訴えた。
木龍は朴訥な印象の二つの瞳にわずかに好奇の色を宿した。
「今、夫と申されましたか?」
「そうだ。私には夫がいる。だから、翼弦様の好奇心につきあうわけにはいかない。頼む、見逃してくれ」
九曜は木龍に懇願したが、木龍は眉を八の字にして弱った顔をした。
「私の主人は翼弦様です。ですので、翼弦様を裏切るようなご命令は、どんなに切実な内容でも聞くことができません」
木龍の淡々とした返事に、九曜は絶望に打ちひしがれた。
「浴槽からこんなに離れてしまっては、お体を流せません。さあ、九曜様、こちらへ」
九曜は木龍から手を引かれて、浴槽の方へ引き戻された。
再び木龍から湯を汲んだ桶で体を洗い流された九曜は、今度は浴槽の端に腰かけた木龍の膝の上に引きずられた。
「な、なにをするっ!?」
木龍は嫌がる九曜の尻を広げると、桶に入った湯でそこを洗浄した。
木龍は九曜の内部を洗浄すると、九曜の視界の端に並んでいた化粧用具と思われる小瓶の一つを手に取った。
木龍が瓶の蓋を開けると、微かな香りが九曜の鼻を刺激した。
「香油でございます」
嫌がる九曜を尻目に、木龍はそこに香油を垂らす。
「よせ……っ」
香油の冷たい感触に、九曜の嫌悪感は増す。
木龍は再び九曜のそこに指を差し入れ、さらに手入れをした。
「よせっ、木龍っ、触れるな……っ」
木龍の膝の上で、九曜は激しく膝蹴りをして抵抗した。
木龍の手入れが本格的になるにつれ、九曜の前が九曜の意思に反して昂ぶり、九曜の唇から漏れた途切れ途切れの悩ましい声が、湯殿に響きわたる。
嫌悪感のあまり、九曜は握り締めていた木龍の衣服を引き千切った。
やがて、九曜の膝蹴りは力を失い、両の脚がだらしなく垂れた。
「げん……い……っ」
木龍の膝の上で、九曜はついに果てた。
「それが夫君のお名前でございますか。私はご命令の通りにお手入れをいたしただけですのに、九曜様は、真に、お可愛らしい」
木龍は笑いを含んだ低い声を密かに湯殿に響かせた。
木龍は九曜を抱えたまま、翼弦と廊下で別れ、別の場所へと向かう。
「お、降ろせっ」
九曜は木龍の肩の上で暴れ、喚き散らしたが、木龍は聞かない。
九曜は、仙人の弟子として体得していた力の全てを奪われていて、今や非力な存在でしかなかった。
そうしているうちに、翼弦の不穏な台詞が九曜を不安に駆り立たせる。
今宵の相手。
(冗談じゃない!)
翼弦に怪我を負わせてしまった九曜は、当然ながら報復を覚悟したが、まさかここまで執念深いとは想定していなかった。
九曜を生ける彫像にするだけではあきたらず、自分の代理を仕立て上げ、現状では不可能な行為を実行しようというのだ。
湯殿に到着した木龍は、ようやく九曜を肩から降ろし、着せていた上着を脱がせた。
「暴れないでください。お体をきれいにいたします」
木龍はぶっきら棒な口調で言うと、桶に浴槽の湯を汲んで九曜の体を流し始めた。
「や、やめろっ」
「九曜様、動かないでください」
木龍は無表情で九曜の体を布巾で本格的に洗う。
抵抗していた九曜は壁に追いやられた。
「頼む、木龍とやら、見逃してくれ……私には夫がいるんだ」
逃げ場を失った九曜は悲壮な顔で訴えた。
木龍は朴訥な印象の二つの瞳にわずかに好奇の色を宿した。
「今、夫と申されましたか?」
「そうだ。私には夫がいる。だから、翼弦様の好奇心につきあうわけにはいかない。頼む、見逃してくれ」
九曜は木龍に懇願したが、木龍は眉を八の字にして弱った顔をした。
「私の主人は翼弦様です。ですので、翼弦様を裏切るようなご命令は、どんなに切実な内容でも聞くことができません」
木龍の淡々とした返事に、九曜は絶望に打ちひしがれた。
「浴槽からこんなに離れてしまっては、お体を流せません。さあ、九曜様、こちらへ」
九曜は木龍から手を引かれて、浴槽の方へ引き戻された。
再び木龍から湯を汲んだ桶で体を洗い流された九曜は、今度は浴槽の端に腰かけた木龍の膝の上に引きずられた。
「な、なにをするっ!?」
木龍は嫌がる九曜の尻を広げると、桶に入った湯でそこを洗浄した。
木龍は九曜の内部を洗浄すると、九曜の視界の端に並んでいた化粧用具と思われる小瓶の一つを手に取った。
木龍が瓶の蓋を開けると、微かな香りが九曜の鼻を刺激した。
「香油でございます」
嫌がる九曜を尻目に、木龍はそこに香油を垂らす。
「よせ……っ」
香油の冷たい感触に、九曜の嫌悪感は増す。
木龍は再び九曜のそこに指を差し入れ、さらに手入れをした。
「よせっ、木龍っ、触れるな……っ」
木龍の膝の上で、九曜は激しく膝蹴りをして抵抗した。
木龍の手入れが本格的になるにつれ、九曜の前が九曜の意思に反して昂ぶり、九曜の唇から漏れた途切れ途切れの悩ましい声が、湯殿に響きわたる。
嫌悪感のあまり、九曜は握り締めていた木龍の衣服を引き千切った。
やがて、九曜の膝蹴りは力を失い、両の脚がだらしなく垂れた。
「げん……い……っ」
木龍の膝の上で、九曜はついに果てた。
「それが夫君のお名前でございますか。私はご命令の通りにお手入れをいたしただけですのに、九曜様は、真に、お可愛らしい」
木龍は笑いを含んだ低い声を密かに湯殿に響かせた。
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