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王都街道編 8・9日目

2-8-1 発熱?筋肉痛?

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 ごそごそと動く気配で目が覚める。俺は結構寝起きの反応は良く、すぐに事態を把握する。
 腹の上のハティが尻尾を振った為に目が覚めたようだ。


 後、良く嗅ぎ慣れた良い匂いがするので、そっちもすぐに解った。俺の両サイドはとても暖かく良い匂いがしている。確認すると、思ったとおり雅と菜奈が俺にくっ付いてすやすや眠っていた。昨晩は久しぶりに1人で眠ったのに、俺が熟睡している間にやってきてこっそりベッドに忍び込んだようだ。

 俺は寝つきは悪いのだが、寝入った直後の2、3時間は少々の事では目覚めないという特性がある。
 勿論殺気や悪意のある者が近付くと【気配察知】の効果で瞬時に目覚める……仮に爆睡していてもナビーが起こしてくれるはずだ。

 今回悪意も害意もない2人なのでナビーも放置したし、俺も目覚めなかったようだ。そしてこの俺の特性を良く知っているのが菜奈だ……つまり菜奈が主犯というわけだ。

『……菜奈が忍び込もうとしているのを雅が見つけて止めようとしたのですが、菜奈から寝入ってから暫く熟睡するから大丈夫だと聞き、なら自分もと雅が便乗したようです。後、雅と居たハティが喜んで潜り込んできました』

 そういえばハティも他の娘たちの相手で忙しく、最近一緒に寝てなかったな。

『雅は止めようとしてくれたのか?』
『……疲れているだろうから、今日はゆっくり寝かせてあげようと菜奈に言ってました』

 うっ~~可愛いヤツめ!
 おもわず雅に抱き付こうと横を向いたのだが、全身に痛みが走った。

 アタタッ……うわ~筋肉痛になってる……特に両足のふくらはぎはヤバいレベルで痛みがある。
 薬湯風呂に入り、雅にマッサージをしてもらったのにこれほど逝ってるという事は、他の者は動けないレベルかもしれない。俺は週に2、3回ペースで軽いランニングをして体を鍛えていたのにこの有り様なのだ。なにも体を鍛えてない文科系の者は、おそらく立つのも困難なのじゃないかな?

 現在3:26分……起きるにはまだ早い。

『……マスターの予想通り、すでに激痛で眠れない者が結構な数いるようです』
『あちゃ~、昨日無理をし過ぎちゃったか……あの森が危険だからといっても、100kmの強行軍は無謀だったかな。うちのグループにも多い?』

『……沙希が発熱を伴ってますね。未来と茜と美弥も歩けないレベルでしょう』
『4人がダメか……うちの班員って文科系だもんね。雅や菜奈は?』

『……筋肉痛は酷いですが、バイトのおかげでしょうか? 他の者より程度は軽いです』
『ああそうか、あの戦場のような食堂でのバイトだもんね。2時間以上は立ちっぱなしだし、足は比較的他の者より鍛えられてたんだね』



 それにしても良い匂いで、温かい。菜奈を【暗視】で眺めているんだけど、やっぱ可愛いな。
 俺は向こうの世界で居た時は、仲の良い兄妹で居たかったので、菜奈と距離を置いて接してきた。全寮制の学園を選んで家を出たのもそのせいだった。血の繋がりは全くなく、俺を物心ついた時から男として見ていて、大好きだと迫ってくる妹。中1の頃、初めて菜奈を女の子と意識してから俺は距離をおくようになった。

 理由は簡単……もしそういう関係になって、いざ喧嘩や仲違いをした時に、血の繋がりのない俺たちは決定的に関係性が破綻する。血の繋がった本当の兄妹なら、いくら喧嘩しても兄妹である関係性が覆る事はない。だが、戸籍上だけの兄妹の俺たちは、一度こじれたらそこで終わってしまう……夫婦の関係性と同じなのだ。

 市役所に行って、紙切れ一枚で赤の他人になってしまう。

 両親を亡くし、親類が皆、屑だと知った俺には家族はもう白石家しかないと思い、菜奈とずっと家族で居たかったから、男と女の関係を拒んでいたのだ。そろそろ覚悟を決める時かな……菜奈の事は女の娘として大事にしたい。もう兄妹は辞め、元の隣近所の幼馴染に戻ったと思えば普通に女の子として見る事ができるだろう。


「くう~~ん……」

 ゆっくりと、またハティの尻尾が降られる……。
 寝ているのに随分甘えた声で鳴いて尻尾が降られている……菜奈以上に可愛い。

 夢でも見てるのかな?
 良い夢だと良いけどな~とか思ってたら、ナビーがどうやら夢も覗けるようで教えてくれた。

『……ナビー的には理解できないのですが、マスターと追いかけっこをしているようですね。逃げるハティをマスターが全力で追いかけて、近くまで追いつくと急停止し、ハティと3秒ほど見つめ合って、不意にマスターが逃げ出すと、それを今度はハティが追いかける番に替わるような遊びです……それをずっと繰り返しているようです』

『追いかけっこか……ハティ的に楽しいのかな?』
『……寝ているハティの尻尾はゆっくり振られていますが、夢の中のハティは尻尾が千切れそうなくらいブンブン振られていますよ』


 なら楽しいんだろうな……近いうちに遊んであげなきゃな。
 そんな事を考えていたら、2人の個人香の効果で再度眠りに落ちた……。



 翌朝6:00……高畑先生からのコールで目覚める。菜奈と雅は既に起きたようで、ベッドには居なかった。

『……見つかると怒られると思い、2人共ハティを連れて4:00頃に自室に帰っています』

 怒ったりはしないのにな……。



『高畑先生おはようございます』
『おはよう小鳥遊君。寝てるところごめんなさいね。ちょっと大変な事になっているので、早めに知らせておこうと思って……』

『筋肉痛ですか?』
『あら……もう知ってたの? そうなのよ……発熱者も結構居て、どうしたら良いかな? 正直私も、立つのさえきついくらいよ』

『知ってたと言うより、実は俺もです……今からそっちに行きます』



 緊急リーダー会議を行う事にした。お屋敷からログハウスに全員で転移する。

「沙希ちゃん大丈夫か?」
「龍馬先輩……ごめんなさい。少し熱があるみたいです……」

「謝る事ないよ、こっちこそ無理させちゃってごめんね」 
「どれ、妾が治してやろう。とりあえずベッドに横になるのじゃ」

「フィリア、任せて良い? 俺ちょっと会議に出てくるよ」
「ふむ。雅と菜奈も妾を手伝うのじゃ。他の筋肉痛患者を【アクアフロー】を使って癒すのじゃ」

「あ、俺も帰ってきたらお願いするよ」




 会議の結果だが……本日の移動は中止となった。発熱者が何名もいるのに、無理に移動する事はない。

「格技場の男子は平気そうですね?」
「平気じゃないけど、動けないってほどでもないな」

「鍛え方が違うか……一応大浴場の方にも薬草を放り込んで薬湯風呂をまた用意しますので、発熱者も含めて全員入ってください。それで、明日には移動できるほどには回復するはずです」

「それはありがたいですね」

「38度以上の発熱者は居ますか?
「3名居ます……ヒールはしたのですが、今一効果が無いです」

「足の筋肉の炎症が原因ですので、ふくらはぎに直接施術した方が効果が高いですよ。俺が診ましょうか?」
「ええ、お願いするわ」



「柳井恵、発熱者ってお前か……」
「何よ! 悪かったわね! これ以上迷惑かけたくないと思ってたのに……後、フルネームで呼ばないでよ!」

「高熱なのに、意外と元気だね……まぁ、ちょっと治してやるよ。生足出せや!」

 腰回りに毛布を掛けてやり、ジャージのズボンを脱がせる。パンツが見えないように配慮したのに、痴漢とか変態とか言って罵られた。

「今更だろうに……そんなに嫌なら止めとくか?」
「うっ……本当に改善されるんでしょうね?」

「勿論だよ……」



「ンギャー! 痛い! ちょっと待って! 痛いって!」

 【アクアフロー】で疲労物質を霧散させるイメージで指圧しているのだが……かなり痛いらしい。

 片足5分ずつ、計十分で騒がなくなった。全裸にならないといけない【ボディースキャン】は流石に使えないので、完治したかどうか分からないが、お礼を言ってきたので、かなり改善されたのだろう。

 同じように高熱者の施術を行い、その娘たちから感謝され、ちょっと良い気分になった。女の娘に本気で感謝されるとか……男なら悪い気はしないよね。


 さて、空いた時間は良いのだが、盗賊たちをどうしようかな。

『……マスター、助けてあげないのですか?』
『盗賊を売ると結構お金になるんだよね?』

『……はい。殺しても町から報奨金は出ますが、生かしたまま捕縛すれば、犯罪奴隷として最低でも1人5万ジェニーで売れます。健康体で力が有りそうであれば、50万ほどで売れます。それと盗賊の持ち物は、討伐者の者になりますので、装備品や馬なども売りに出せますね。そこそこの額が稼げるので、それ専門の賞金稼ぎもいるぐらいです』

『終身奴隷としての売値が、良くて50万とか……人の命が安い世界だな』
『……荒くれ者の犯罪者ですからね。奴隷紋でいくら縛っているとはいえ、買っても扱いにくいのですよ。それより、お金云々はおいておいて、可愛い女の娘たちを助けてあげましょうよ。あれから更に奴隷商人が2名女の子を仕入れたみたいです』

 オークションに出される予定の娘たちか……冒険者たちが護衛に2PT付くようなので、加勢したとしても全てが貰えるわけじゃない。リーダーが礼儀知らずなら奴なら、要らぬ加勢だったと言われて、ちょろっとの額しかもらえない可能性もあるとの事だ。


 何名か個人的に呼び出して、相談する事にした。

「「俺も盗賊退治に行きたい!」」

 格技場の男子は全員呼んだのだが、全員参加したいみたいなんだけど……こいつら解ってるのか?

「先輩たちはこの世界の人間を殺せるんですか? オークと違って、盗賊は人なんですよ?」
「「「うっ……人殺しか……」」」

 一気に行きたいという人間が居なくなった。

「未来ちゃんはどうする? ヒーラーとして声を掛けたんだけど、殺人はしたくないよね?」
「私はもう覚悟はできています。佐竹たちと体育館で決闘すると決めた時に決心しています」

「そか……薫ちゃんはどうする?」
「私も覚悟はできています。街でじっと先輩たちの帰りを待つより、龍馬先輩達と一緒に居たいですから」

 未来と薫を選んだのは、まだ殺人経験が無いからだ。美咲先輩の勇者の使命を果たす旅に同行するなら、殺人は必ず必要になってくる。その確認を込めて、今回のメンバーに選んでみたのだ。

 本音を言えば、中学生の彼女たちに殺人という重い枷をしょってほしくはない……俺1人で事が終えるなら、殺人なんか全部俺がしょい込んでやりたい。だが、フィリアの話を聞く限り、邪気に侵された人間相手にそんな甘い事を言っていられないと判断し、戦闘班の彼女たちだけでも事前に一度経験させておこうと考えたのだ……。


 俺・フィリア・雅・未来・薫・三田村先輩・三月先輩の7人で行く事になった。水谷先輩はまだ殺人はちょっとできそうにないからと、自ら辞退した。三月先輩は彼女を守るために必要な事と判断したようで、俺たちが居る安全なこの機会にという事みたいだ。【マジックシールド】があるので、俺たちの安全は確約されている……後は殺人ができるかどうかだけなのだ。

 この世界で冒険者になり、シルバーランク以上を目指すなら殺人が必須項目になっている。理由は護衛依頼があるからだ。護衛依頼は盗賊から守る必要があるのに、殺人ができませんでは話にならないのだ。なので、1人前の冒険者になるには人も殺す必要がある。


「では、このメンバーで明日出立後、先行して待ち伏せ地点に向かいましょう」

「「「了解」」」
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