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学園ロワイヤル編 7・8日目

1-8-4 雅のちょっと気になる事?戦利品?

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 武器庫のような部屋にはいろいろな種類の武器が置いてあった。だが殆どが錆びてしまっていて、このままの状態だとあまり価値がない。

 美咲先輩と雅は2人でなにやら武器を手に取ったりして盛り上がっていたが、ある程度見回った後に雅が美咲先輩の刀を羨ましそうに眺めているのに気付いた。

「どうした雅? 良い武器はなかったか? 雅に1番最初に好きな武器を選ばせてあげるよ? 好きなのを自分のにしていいからね」
「ん、嬉しいけど。美咲先輩の刀がカッコ良すぎて他のが霞んでしまう……」

「ふふふ、この刀はフィリア様から頂いた神器、神刀だからね。いくら雅ちゃんでもあげられないよ。ごめんね」
「ん、解ってる。ちょっと斬鉄剣が羨ましいだけ……」

「そうでしょ! 私もお気に入りなの」

「おーい! 美咲先輩も何否定しないんですか! それ、斬鉄剣とかじゃないでしょ! 性能はそれ以上かもだけど……」

「なんじゃ、其方ら、美咲の斬鉄剣が羨ましいのか?」
「お前もかよ!」

「ん! かっこいい! フィリア、私にも作って!」
「すまぬのぅ、妾にはもう神力がない故、そのような神器は創ってやれぬのじゃ」

「ん、役立たず。ボソッ」
「はぅっ!」

「コラ雅!」
「ん、冗談」

 口でボソッとか言ってるから冗談なのは解るけど……。

「妾はちょっと傷ついたのじゃ! ボソッとか口で言っておったのじゃ……シクシク」
「フィリアもシクシクとか口で言ってんじゃない!」

 何だかんだで、皆、事が終わって少し浮かれ気味のようだな。


『……マスター、そこの奥にある箱をお開け下さい』
『これの事か?』

 スーツケースぐらいの箱の中身はパチンコ玉くらいの物から、テニスボールぐらいの大きさの物まで大小さまざまで色とりどりの丸い球だった。大きな玉石ほど奇麗に布に包まれて区分けされた場所に丁重に保管されていた。

『これって魔石か?』
『……はい、1番大きなやつがSランク魔獣の雷属性の魔石ですね。次のもSランク魔獣の水属性の魔石です』

『30個ほどあるけど、売るといい値になるのか?』
『……そうですが、それ全部ナビーが頂いても宜しいですか?』

『え? 何するんだ?』
『……【ハウスクリエイト】で家や魔道具開発に使わせて頂きます』

『ああ、そういう事か。ああ、それなら好きに使っていいぞ』
『……ありがとうございます。ふふふ……これでいろいろ遊べる。あ、キングとクイーンの魔石も下さいね』

 ここにも浮かれ気味の奴がいた。ナビーの奴何して遊ぶんだか……。

『まぁいいだろ。あ、家を造るなら、屑魔石を利用してトイレは便座タイプでお尻とおまたの洗浄乾燥機能付き仕様で頼むな。便器の底に【クリーン】の術を付与した魔石を設置して浄化ボタンを押したら、押したその人から魔力を消費して【クリーン】が発動し浄化されるようにすれば、匂いや汚れも一気に解消されて掃除要らずに出来そうだよな』

『……相変わらず、マスターの発想はどこからポンポン出てくるのでしょう。念のためにマスターの方でざっとでいいので【プランクリエイト】の方で簡単に設計しておいてくれると有難いです』

『そうだな、解った。お風呂はちょっと拘りたいし、空調設備や電気設備も整えて、どうせなら快適空間にしたいからね』
『……では、設計の方はお任せします。設計が出来次第建築を開始しますので、できるだけ早急にお願いしますね』

 コロニーの中の物は全て俺の【インベントリ】に放り込んだ。皆、帰ってからゆっくり選定したいとの事だ。


「じゃあ菜奈、皆を【テレポ】で送ってやってくれるか?」
「え? 兄様はどうされるのです? 一緒に来ないのですか?」

「ほら、俺はこいつらを生きたまま連れ帰らないといけないから、魔法でゆっくり飛んで帰るよ」
「解りました。お1人でその数を運ぶのは大丈夫なのですか?」

「ああ、【フロート】で浮かせて引っ張って行くだけだからね。力はそんなに要らないんだ」

 皆と別れてオーク52頭を引っ張って帰ろうとしたら、雅が残ってくれていて手伝ってくれた。

「雅、手伝ってくれてありがとうな」
「ん、龍馬ほど【魔糸】の扱い上手くないけど、問題ない」

「で、本当は何か俺に聞きたい事があるんだろ?」
「ん、今日いろいろスキルをコピーしてくれたけど、あれ何? 訳わかんない」

「まぁ、そうだろうな」
「ん、フィリアと奈菜は龍馬と同じスキル使っているの見て知ってた」

「雅は気付いてたんだ……」
「ん、桜や美弥ちゃんも何となく気付いてるけど、龍馬が何も言わないので皆、黙って様子を見てるのだと思う」

「近いうちに何人かには教えるつもりではいたんだけどね。雅なら分かると思うけど、コピーできるとかヤバすぎるよね?」

「ん、スキルにもよるけどヤバいのは分かる……あの【無詠唱】での連弾魔法はヤバい」
「あはは、あれは本来禁呪指定だからね」

「ん、ねぇ……どうして今日私にコピーして教えてくれたの?」
「それが雅の聞きたい事?」

「ん、そう。龍馬が私に教える気になってくれた理由が知りたい」

 俺のスキルがどういうものかとかじゃなくて、雅に教えてコピーしてあげた理由の方が聞きたいのか……。
 何やら雅は真剣だし、ここははぐらかしたりしないで正直に言ってあげた方が良いな。

「雅の事が可愛くて仕方がないんだ……だから後で全部教えるつもりでスキルをコピーしてあげたんだよ」
「んぅ……凄く嬉しい!」

 雅は嬉しいと言って、俺に抱き付いてきた。

「正直雅の事は性の対象としてはまだ見れないぞ?」
「ん、それは理解できる。逆に今の私に欲情とか……只のロリ変態! 警察呼ばないといけないレベル」

「あはは……そりゃそうだ。でも年齢差で言えばたった3つしか違わないんだ。今は幼くても、俺が20歳の時雅は17歳だからな。きっとその頃にはいい女になってるだろ?」

「ん! 桜や未来のようなバインバインになってるはず!」

「バインバインって……まぁ、それはともかくスキルコピーの事は皆には内緒な」
「ん? どうして? コピーしてあげて、皆、強くなれば楽に町まで行ける」

「そうだけど、コピーできる数に上限があるんだ。レアなヤツほど上限数が少ないんだよ。中には5人までしかコピーできないものもある。そうなったら『どうして私にはくれないの?』とかになっちゃうだろ? 【無詠唱】とかは魔法職にあげるべきだし、それ以前に俺にちゃんと暫く付いてきてくれるような者にしかあげられないよね?」

「ん、コピー数に上限があるんだ……私にくれて良かったの?」
「その辺も今晩辺りに皆と一緒に話すよ。皆と言っても、嫁候補者のみだけどね」
「ん、私も? お嫁さんにしてくれる?」

「ああ、雅が16歳になったら、俺の方からお願いするぞ」
「んふぅ~えへへ……凄く嬉しい♪」

 可愛い奴め~。


 雅にも手伝ってもらい、裏山の洞窟から学園までオークを【魔糸】で引っ張って牽引してきた。 

 【音波遮断】を張り、高等部の校舎の空き教室2クラスに分けてオーク52頭を収容してある。
 外だと他の魔獣が寄ってきそうだし、中等部別館の2F・4Fの教室だとなんか糞尿で館自体が養豚場のように臭くなりそうで嫌だった為だ。

 教員棟や男子寮の奴に横取りされる可能性もあるかなと思い、格技場の男共にお昼まで見張りをさせることにした。


「小鳥遊! 俺たちを良いようにパシリに使ってんじゃないぞ!」
「なに人聞きの悪い事言ってるんですか。そのオークたちはお昼から格技場の男子と、剣道部女子、体育館組の主力たちのレベルアップ用に態々捕まえてきてあげたのですよ」

「え!? そうなのか?」
「そうですよ。本当はうちの主力組に全部使いたいのですけど、先輩たち格技場の男子には移動の際に殿を任せるので、もう少しレベルを上げてほしいですからね」

「それだったらなんで自分たちだけでコロニーに行ったんだよ!」
「その事は体育館組からも言ってくるでしょうから、お昼から合同会議の場で説明します。それまでここでオークの見張りを頼みますね。お昼に可愛い料理部の子たちがにぎにぎしてくれたおにぎりを昼食に持ってきますので、頼みますよ」

「「「可愛いおにぎり! 良し、オークの監視の任務引き受けた!」」」

「可愛いおにぎりって……おにぎりじゃなく、握ってくれる娘が可愛いんですよね? まぁいいですけど」

 格技場の男子は扱いやすくて良い。別に彼らもバカなわけではない……只、素直に俺の指示に従うのがちょっと癇に障っているだけだ。だから、こっちから下らないような言い訳でも作ってあげれば、敢えてそれに乗ってこのように動いてくれる。俺の指示に従うのではなく、可愛い子が握ったおにぎりが食べたいから、依頼として受けてやってるんだぞと、彼らの言い訳を与えてあげたのだ。

 面倒だが、年下のハーレム野郎に従うのが嫌な彼らに、ちょっとした理由を与えてあげないといけないのだ。



 茶道室に戻ると沙希と遊んでいたハティが俺に気付き尻尾をフリフリ走ってきた。おお! 可愛い奴め~。俺は座ってハティを膝に乗せてワシャワシャお腹を撫でてやる。

「ん!? あぁっ~!」

 なんか生温かいと思ったら、ハティの奴、興奮しすぎて膝の上におしっこしやがった。
 俗にいううれションというヤツだ。

 ハティは耳を項垂れ、尻尾を股の間に丸め込み、お腹を俺に見せ絶対服従の姿勢を取ってク~ンと鳴いている。

「あの! 龍馬先輩、それって態とじゃないんです! 怒らないであげてください!」
「沙希ちゃん、全然怒ってないよ。これはうれションだからね。子犬や老犬が嬉しかったり緊張しすぎたりした時についついやっちゃう事なんだから怒るほどの事じゃないよ。【クリーン】ほら、この世界は魔法ですぐ綺麗にできるしね」

「はい! 良かったねハティちゃん! 龍馬先輩、怒ってないって」

 ハティは上目遣いでこちらの様子を窺っている。

「怒ってないからおいで」

 俺が怒ってないと分かると、また尻尾をぶんぶん振って飛びついてきた。
 ハティ、マジ可愛い~。



 お昼からの合同会議の前にリーダー会議を行おうとうちのメンバーと美咲先輩・高畑先生・岡村先輩・格技場の主将3人を交えて俺から話し合ってもらう課題を提示する。

「皆で今から話し合ってもらいたい事があります。それは今日手に入れた戦利品についてなんだけど、俺たちだけで独占してもいいのだけど、それだと他のグループの者が街に着いた時に国や領主から保護が受けられないとその時点で破たんして困った事になる。なので、戦利品を少しあげようと思うのですが、どうでしょう?」


 お宝の分配と聞いて皆がざわめき立つ。


 まぁ、当然だよな。
 うちの組からすれば『何もしてないのに、何で他に分けてあげないといけないの?』だそうだ……。
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