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学園ロワイヤル編 7・8日目
1-7-7 ハティに嫌われた娘たち?キングとの初顔合わせ?
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どうしても雅とフィリアが目立ってしまう。見た目8歳児の美少女な雅と、桜以上の美少女オーラを振りまく見た目10歳児のフィリアは、高等部のお姉さま方に速攻見つかり捕獲されてしまう。母性を刺激するというか……あのちみっ子可愛いさは構わずにはいられないのだろう。
殆どが高等部の女子なんだが、中等部の女子の生き残りも若干は居る。当然フィリアを見てあんな子いたっけという風な話になるのだが、美弥ちゃん先生がフィリアはあの転移の日の数日後に一時編入する予定だった留学生だと上手くごまかしてくれた。
体育館ではハティが良い仕事をしていた。
井口さんとのやり取りや、大影さんとの不和で殺伐としていたが、ハティが一瞬で和ませてくれた。
皆にモフられても嫌な顔ひとつせず、尻尾を振って愛想を振りまいている。
100名近くいる人間全員に尻尾を振っているのかといえばそうでもないようで、ハティの方からは一切近づこうとしない人も居るようだ。何が基準なんだろうと思っていたらナビーが教えてくれた。
『……個人香です、マスター。ハティは嫌な匂いを嗅ぎつけて自己防衛本能が働いているのです』
『つまり、ハティに危害を加える可能性があるって事か?』
『……そうではありません。ハティが匂いを嫌ってる理由に3種類あるようです。1、単に臭い。2、化粧や香水を大量に付けていてハティには耐えられない。3、性根が悪く、個人香に若干の悪臭が漏れ出ている。3つ目の理由の人間には警戒が要りますが、性根が悪い=犯罪者という訳ではないので、警戒しつつも必要以上に避けるのもどうかと思われるので扱いに困る存在ですね』
『単に臭いって……【クリーン】は使ってないのか?』
『……非戦闘員は、体育館では人数が多いので2日に1回程度ですね』
『APポイント1で獲得できるんだから、もっと【クリーン】持ちを増やすように高畑先生に言っておくかな。それと香水は没収だな……メールで注意しておいたのに、付けてる奴がいるとはね。個人香での悪臭者は厄介だな。犯罪予備軍と言ってもいいくらいだろ?』
『……犯罪予備軍とかそこまで酷くはないですが、何かのきっかけでそうなる可能性の高い人たちですね。人一倍妬み僻みの強い人たちです。周囲の配慮で事前に回避や改善できるレベルですので、高畑先生と他の教員にリストを渡して見守れば大丈夫ではないでしょうか?』
『じゃあ、そうするか。類は友を呼ぶじゃないけど、こっちの世界の悪意を持った輩に利用される可能性もあるからね。誘拐されて、洗脳とか従属契約を無理やり施され、強制レベルアップとかさせられて暗殺スキル系や毒スキル系とか黒い仕事を無理やりやらせたりする奴もでるかもしれないしね』
『……絶対ないとは言いませんが、ラノベ脳過ぎです。そうなりそうな時は、事前にお知らせしますので、マスターが救ってあげればいいだけです』
『性根の悪い奴の為に俺は動く気はないぞ』
『……元からそんな奴はいないのですよ。悪臭を放つようになってしまうまでにはそれなりの理由があったのです。その殆どが幼少期から思春期の間の家庭環境、学校環境によるものですが、救いの手を差し伸べてあげるのも男の甲斐性の1つだとナビーは思います』
『俺は身内だけで手一杯だ。でも、その身内に被害が出るかもだから、リストは作って先生たちに報告だけはしておくかな』
『……なんだかんだ言いつつも、そうやって関与するんじゃないですか。マスターは素直じゃないですね』
香水等は今日の狩りの時に気付いてたらその場で文句を言ったのだが、女子の匂いを嗅いでいたら桜や菜奈がやたら怒るので、できるだけ距離を取っていたのだ。俺は密閉されたここの地下のような空間内では基本【嗅覚強化】はOFFにしてある。【身体強化】だけでもかなり鼻が利くようになっているのに【嗅覚強化】をONにしておくと狭い空間内では皆の匂いが混ざり合って吐きそうになるのだ。
ハティが避けた娘たち4人の名前をメモし、事情を話し高畑先生に手渡す。あくまで可能性があるというだけだとちゃんと断りは入れておいた。変に警戒してしまうと逆効果になるかもだしね。それと香水については先生も何度も言ってるが中々改善されないようだ。どうも校則の延長線と勘違いしてる輩がいるようなので、俺の方から少しフォローしてやろうと思う。
「皆さん少しいいですか? ちょっと聞いてほしい事があります」
皆の注目が集まったので、匂いについての危険を教える。
「うちのハティに逃げられる人が居ますよね? そういう人の殆どは香水や化粧の匂いを嫌って逃げられたのです。それほど臭いって事なんですが、今後は一切の化粧は禁止です。横暴だと文句を言われる前に説明しますね」
既に何人かが声をあげそうにしていたので、先を制する。茶道部の娘たちの事を思うと少し配慮に欠けるけど、大事な事なので話に使わせてもらう。
「転移初日の話なのですが、うちのメンバーで唯一亡くなった娘がいます。その娘は多量のコロンを付けていたようで、勝手にトイレに行った際にオークに見つかって殺されてしまいました。その時点では知らなかった事なので仕方ないのですが、問題はその後にその娘の匂いを辿って俺たちが隠れ潜んでいた用具置き場までオークが来たって事なんです。オークは豚並みに鼻が良いのですよ。風上なら数百メートル先からでも香水の匂いを察知するでしょう。ハティと同種の狼たちはもっと凄いらしいです。【嗅覚強化】持ちが風下に居たのなら数キロ先からでも感知されてしまいます」
「小鳥遊君、何度かその事は話したのですが、それでも止めてくれない子もいるのです。不甲斐ないリーダで申し訳ないですが、こういう場合どうすればいいのです?」
「香水や化粧を止めない理由は聞きましたか?」
「女子の身だしなみだそうよ……」
「その身だしなみは命より大事な事なのですか?」
「その娘にとってはそうらしいわね……」
「なら、その娘たちはここに置いて行きましょう。オークだけではなくハティと同種のホワイトウルフ、知能は低いが凶暴なブラックウルフ、森にもいる暴れん坊の猪の魔獣スタンプボア、凄く鼻の利く魔獣は沢山います。豚を使ってトリュフを探すテレビ番組を見た事ないですか? オークも豚族なのでとても鼻が良いのです。匂いを振りまいて餌がここに居ますよってアピールするような人を連れていく訳にいきませんからね。草原なら遮蔽物が無いので匂いは風向き次第で数キロ先からでも嗅ぎつけられるでしょうしね。そんな危険な娘を連れていくのは自殺行為です」
「あの、ちょっと待って! ごめん! もう一切化粧やコロンは付けないから、置いて行かないで!」
数名の女子が手を挙げて、もう付けないアピールをしてくれる。
「理解してくれた人は勿論置いて行ったりしませんよ。ですが一応持ち物検査でもして、街に着くまでは誰か1人に預けるような形にした方が良いかもですね。たった1人のバカな行動のおかげで100人の命が消える可能性もあるのです。数頭の狼なら対処できますが、1人殺されて血の匂いで更に集まって100頭とか来た場合はおそらくこの中の半分以上は守れず死んじゃうでしょう。うちのグループは初日に一切の化粧は禁止にしました。幸いうちは皆理解力が有り、すぐその危険性を解ってくれたので問題は起こっていないですがね」
遠まわしに今香水を付けてる奴はバカだと言ったのだが、数か所から強い視線を感知したのでバカにされたのが解った娘もちゃんといるようだ。1番困るのがバカにされた事にも気づかない、本当の馬鹿たちなんだよね。
その娘たちは馬鹿故に何をするか分からないので特に注意が要る。
「死んでも止めないって娘も本人の意思ですので特に止めたりしません。でも、高畑先生に申告して別グループを組んでください。集団生活で協調性のない者は、その集団を混乱させたり、最悪瓦解させてしまいます。そうなる前に自主的に女子寮に引っ越すとかして離れてくれると助かります。勿論、人数割りして食料は同じ分だけ渡してもらえるようにします」
それ以上文句を言う人はいなかった。
「ありがとう小鳥遊君、後はこっちで話し合っておくわね」
「そうしてください。正直言うと自分のグループだけで手一杯です」
態と皆に聞こえるように言った。俺はあくまで別グループであって、そっちの事まで知らないアピールだ。
もう話す事もないなと思い、自分たちの拠点に戻ろうとしたのだが、ナビーから緊急連絡が入る。
『……マスター! オークキングが暴挙に出そうです』
『ん? 暴挙? どういう事だ?』
『……現在キングのコロニーで生き残ってる女子は36名いるのですが、全員かなり弱っています。明日の朝には予定の20名を切るかと思っていたのですが、日々弱っていき、ヒールで回復しない女子たちに見切りをつけたようです。弱り切った状態での出産は無理と判断したみたいですね』
『あたた……そういう可能性もあったんだな。それは考えていなかった、どうしよう?』
『……36名の女子のうち、既に妊娠している女子が8名居ますが全員【クリーン】の処置がまだ間に合います。問題は20名切るまでの間にキングが全員殺しちゃう可能性があるって事です。現在キングとクイーン、ジェネラルなどの幹部たちがその話し合いをしていますが、弱って死んでからより生きているうちに凍らせて保存食にしたいという意見が通りそうな感じです』
俺1人の判断ではどうしようもない。36名は助けるには多すぎる。かと言って知らん顔して俺1人の判断で見殺しにするのは俺の心が壊れそうだ……見殺すにしても共謀者がほしい……ズルいが大人が良く使う責任の分散化だ。
「皆、聞いてほしい! 女神様から緊急連絡が入った! どうもキングのコロニーで動きがあったようで、生き残っている女子を全員殺して凍らせて保存食にしようという案が出ていて、その案が通りそうだと知らせてきた。現在女子の生き残りが36名。あっ……35名。正直この人数は助けた後、レベルアップさせる魔獣が足らない。魔素から助けるだけでも1レベルアップさせるためにオークが35頭も要る。この分は何とか確保するけど【身体強化】をLv5にするのに、はぐれ魔獣を狩らないといけない。食料の消費も増えるから負担が増える分節約しないといけなくなる。皆でどうするか急いで話し合ってほしい」
「そっちではそういう話はこれまでしなかったの?」
「大影さん、また君か……勿論したよ」
「小鳥遊君……言いにくいけど、体育館のグループでは、コロニーの娘たちの事は見捨てるって話になっているの」
高畑先生は申し訳なさそうに言ってきた。
「それは体育館の全員の総意なのですか?」
「いいえ、全員の意見ではないわ。中には助けてほしいって言ってる子も勿論居るわ。ひょっとしたら友人が生き残ってる可能性もあるんですもの、当然よね。でも、現実的じゃないでしょ? まず助けられるほどの戦力がうちにはないし、助けた後、守ってあげられる甲斐性もない。正直うちでは荷が重いわ」
「格技場の男子はどうですか?」
「済まない、そういう話はしていなかった。明日自分たちが生き残れるか自信がないのに、他を助けるとか考えもしていなかったよ。小鳥遊……お前本気出したら捕まってる人たち助けられるのか?」
「キングはかなり強いです。ジェネラルもうちでは雅がなんとか相手をできるかどうかってぐらい強いです。でも救助は可能です。問題は赤の他人を命懸けで助けても、その後どうするかって事なんですよ。助けた以上知らん顔はできないです。でも35人も養えるほど、うちのグループにも余裕はないです」
「結局助けた後が一番困るって事か?」
「そうです。先日森で彷徨ってた娘を1人偶々救助したのですが、かなり弱っていました。特殊な魔法でなんとか一命は取り留めましたが、35名となると、その処置を施すにしても多過ぎます」
「リーダーとして、非情だが見捨てるのが正しいんじゃないか?」
「三田村先輩の意見はそうなのですか?」
「あくまで俺の意見だけどな。可哀想だけど、今後のリスクが高すぎる。助けるにしても命掛けなんだろ? 捕らわれている者が身内ならともかく、関係ない料理部の娘たちまで危険に遭わせるのはどうかと思うぞ。小鳥遊1人で行くというなら俺は止めないけどな」
「1人じゃ無理ですよ……」
『……マスター、残念ながら明日の朝まで待てなかったようです。洞窟前の広場に連れ出され公開処刑が始まりそうです。まだ、暴力は振るわれてはいませんがこのままだと嬲殺しにされます』
「桜! A班とB班の主力は装備を装着して待ってろ! 美咲先輩も戦闘準備をしていてください!」
嬲殺しと聞いてどうにも我慢ができなかった……沙織の時の光景が脳裏をよぎったのだ。あいつらはわざと痛めつけて泣き叫ばせてから殺す……とんでもなく嗜虐性が高い奴らなのだ。
「兄様! 何する気ですか! まさか1人で突っ込む気じゃないでしょうね!」
「龍馬君ダメよ! 行くなら私も行きます!」
「ん! 私も行く!」
『……マスター、処刑が始まりました……』
「様子を覗いてすぐ戻る! 戦闘準備をしておいてくれ! くれぐれも後を追ってくるなよ、計画が狂う! フィリア、美弥ちゃん、後頼んだ!」
俺は転移魔法で事前に登録しておいたキングのコロニーのすぐ近くまで飛ぶ。
既に生き残っている娘は19名しか居ない。この間にもどんどん嬲り殺されていく。広場では女子たちの絶叫が響き渡っている。【マジックシールド】【プロテス】【シェル】【ヘイスガ】【レビテガ】を張り【隠密】スキルを最大に発揮して上空からできるだけ広場に近づき、今現在生き残ってる13名の女子と周辺のオークにマーキングを入れる。
途中でキングに見つかって俺と視線が絡み合う。
速攻でマーキングした女子に【マジックシールド】と周辺のオークも含めて重力魔法の【フロート】を掛け、【魔糸】を50本放って釣り上げて退却する。
弓矢や魔法がバンバン飛んできたが構っていられない。そのまま学園まで空を飛んで中庭に降り立ち、急いで死なないように初級の回復魔法を施す。初級魔法なのは、あまり上位の魔法は魔素が溜まっている状態では却って危険なのだとナビーに止められたためだ。
連れてきたオークを完全に拘束し、五月蠅いので【音波遮断】を施す。
美弥ちゃん先生にコールをし、戦闘員は中庭にきてもらう。
裸の女子に毛布を被せてあげ、格技場の男子がくる前に裸体を隠してあげる。
『ナビー、敵の動きは?』
『……キング、相当怒ってます。このまま攻めてくるかもですが、今のところ広場で集まったままですね』
『動きがあったら知らせてくれ』
『……解りました』
最終的に助かった女子は11名。ここに着くまでに2名の女子が亡くなってしまっていた。
捕らえたオークは29頭、オークにはシールドを張らなかったので矢や魔法で8頭死んだようだった。
殆どが高等部の女子なんだが、中等部の女子の生き残りも若干は居る。当然フィリアを見てあんな子いたっけという風な話になるのだが、美弥ちゃん先生がフィリアはあの転移の日の数日後に一時編入する予定だった留学生だと上手くごまかしてくれた。
体育館ではハティが良い仕事をしていた。
井口さんとのやり取りや、大影さんとの不和で殺伐としていたが、ハティが一瞬で和ませてくれた。
皆にモフられても嫌な顔ひとつせず、尻尾を振って愛想を振りまいている。
100名近くいる人間全員に尻尾を振っているのかといえばそうでもないようで、ハティの方からは一切近づこうとしない人も居るようだ。何が基準なんだろうと思っていたらナビーが教えてくれた。
『……個人香です、マスター。ハティは嫌な匂いを嗅ぎつけて自己防衛本能が働いているのです』
『つまり、ハティに危害を加える可能性があるって事か?』
『……そうではありません。ハティが匂いを嫌ってる理由に3種類あるようです。1、単に臭い。2、化粧や香水を大量に付けていてハティには耐えられない。3、性根が悪く、個人香に若干の悪臭が漏れ出ている。3つ目の理由の人間には警戒が要りますが、性根が悪い=犯罪者という訳ではないので、警戒しつつも必要以上に避けるのもどうかと思われるので扱いに困る存在ですね』
『単に臭いって……【クリーン】は使ってないのか?』
『……非戦闘員は、体育館では人数が多いので2日に1回程度ですね』
『APポイント1で獲得できるんだから、もっと【クリーン】持ちを増やすように高畑先生に言っておくかな。それと香水は没収だな……メールで注意しておいたのに、付けてる奴がいるとはね。個人香での悪臭者は厄介だな。犯罪予備軍と言ってもいいくらいだろ?』
『……犯罪予備軍とかそこまで酷くはないですが、何かのきっかけでそうなる可能性の高い人たちですね。人一倍妬み僻みの強い人たちです。周囲の配慮で事前に回避や改善できるレベルですので、高畑先生と他の教員にリストを渡して見守れば大丈夫ではないでしょうか?』
『じゃあ、そうするか。類は友を呼ぶじゃないけど、こっちの世界の悪意を持った輩に利用される可能性もあるからね。誘拐されて、洗脳とか従属契約を無理やり施され、強制レベルアップとかさせられて暗殺スキル系や毒スキル系とか黒い仕事を無理やりやらせたりする奴もでるかもしれないしね』
『……絶対ないとは言いませんが、ラノベ脳過ぎです。そうなりそうな時は、事前にお知らせしますので、マスターが救ってあげればいいだけです』
『性根の悪い奴の為に俺は動く気はないぞ』
『……元からそんな奴はいないのですよ。悪臭を放つようになってしまうまでにはそれなりの理由があったのです。その殆どが幼少期から思春期の間の家庭環境、学校環境によるものですが、救いの手を差し伸べてあげるのも男の甲斐性の1つだとナビーは思います』
『俺は身内だけで手一杯だ。でも、その身内に被害が出るかもだから、リストは作って先生たちに報告だけはしておくかな』
『……なんだかんだ言いつつも、そうやって関与するんじゃないですか。マスターは素直じゃないですね』
香水等は今日の狩りの時に気付いてたらその場で文句を言ったのだが、女子の匂いを嗅いでいたら桜や菜奈がやたら怒るので、できるだけ距離を取っていたのだ。俺は密閉されたここの地下のような空間内では基本【嗅覚強化】はOFFにしてある。【身体強化】だけでもかなり鼻が利くようになっているのに【嗅覚強化】をONにしておくと狭い空間内では皆の匂いが混ざり合って吐きそうになるのだ。
ハティが避けた娘たち4人の名前をメモし、事情を話し高畑先生に手渡す。あくまで可能性があるというだけだとちゃんと断りは入れておいた。変に警戒してしまうと逆効果になるかもだしね。それと香水については先生も何度も言ってるが中々改善されないようだ。どうも校則の延長線と勘違いしてる輩がいるようなので、俺の方から少しフォローしてやろうと思う。
「皆さん少しいいですか? ちょっと聞いてほしい事があります」
皆の注目が集まったので、匂いについての危険を教える。
「うちのハティに逃げられる人が居ますよね? そういう人の殆どは香水や化粧の匂いを嫌って逃げられたのです。それほど臭いって事なんですが、今後は一切の化粧は禁止です。横暴だと文句を言われる前に説明しますね」
既に何人かが声をあげそうにしていたので、先を制する。茶道部の娘たちの事を思うと少し配慮に欠けるけど、大事な事なので話に使わせてもらう。
「転移初日の話なのですが、うちのメンバーで唯一亡くなった娘がいます。その娘は多量のコロンを付けていたようで、勝手にトイレに行った際にオークに見つかって殺されてしまいました。その時点では知らなかった事なので仕方ないのですが、問題はその後にその娘の匂いを辿って俺たちが隠れ潜んでいた用具置き場までオークが来たって事なんです。オークは豚並みに鼻が良いのですよ。風上なら数百メートル先からでも香水の匂いを察知するでしょう。ハティと同種の狼たちはもっと凄いらしいです。【嗅覚強化】持ちが風下に居たのなら数キロ先からでも感知されてしまいます」
「小鳥遊君、何度かその事は話したのですが、それでも止めてくれない子もいるのです。不甲斐ないリーダで申し訳ないですが、こういう場合どうすればいいのです?」
「香水や化粧を止めない理由は聞きましたか?」
「女子の身だしなみだそうよ……」
「その身だしなみは命より大事な事なのですか?」
「その娘にとってはそうらしいわね……」
「なら、その娘たちはここに置いて行きましょう。オークだけではなくハティと同種のホワイトウルフ、知能は低いが凶暴なブラックウルフ、森にもいる暴れん坊の猪の魔獣スタンプボア、凄く鼻の利く魔獣は沢山います。豚を使ってトリュフを探すテレビ番組を見た事ないですか? オークも豚族なのでとても鼻が良いのです。匂いを振りまいて餌がここに居ますよってアピールするような人を連れていく訳にいきませんからね。草原なら遮蔽物が無いので匂いは風向き次第で数キロ先からでも嗅ぎつけられるでしょうしね。そんな危険な娘を連れていくのは自殺行為です」
「あの、ちょっと待って! ごめん! もう一切化粧やコロンは付けないから、置いて行かないで!」
数名の女子が手を挙げて、もう付けないアピールをしてくれる。
「理解してくれた人は勿論置いて行ったりしませんよ。ですが一応持ち物検査でもして、街に着くまでは誰か1人に預けるような形にした方が良いかもですね。たった1人のバカな行動のおかげで100人の命が消える可能性もあるのです。数頭の狼なら対処できますが、1人殺されて血の匂いで更に集まって100頭とか来た場合はおそらくこの中の半分以上は守れず死んじゃうでしょう。うちのグループは初日に一切の化粧は禁止にしました。幸いうちは皆理解力が有り、すぐその危険性を解ってくれたので問題は起こっていないですがね」
遠まわしに今香水を付けてる奴はバカだと言ったのだが、数か所から強い視線を感知したのでバカにされたのが解った娘もちゃんといるようだ。1番困るのがバカにされた事にも気づかない、本当の馬鹿たちなんだよね。
その娘たちは馬鹿故に何をするか分からないので特に注意が要る。
「死んでも止めないって娘も本人の意思ですので特に止めたりしません。でも、高畑先生に申告して別グループを組んでください。集団生活で協調性のない者は、その集団を混乱させたり、最悪瓦解させてしまいます。そうなる前に自主的に女子寮に引っ越すとかして離れてくれると助かります。勿論、人数割りして食料は同じ分だけ渡してもらえるようにします」
それ以上文句を言う人はいなかった。
「ありがとう小鳥遊君、後はこっちで話し合っておくわね」
「そうしてください。正直言うと自分のグループだけで手一杯です」
態と皆に聞こえるように言った。俺はあくまで別グループであって、そっちの事まで知らないアピールだ。
もう話す事もないなと思い、自分たちの拠点に戻ろうとしたのだが、ナビーから緊急連絡が入る。
『……マスター! オークキングが暴挙に出そうです』
『ん? 暴挙? どういう事だ?』
『……現在キングのコロニーで生き残ってる女子は36名いるのですが、全員かなり弱っています。明日の朝には予定の20名を切るかと思っていたのですが、日々弱っていき、ヒールで回復しない女子たちに見切りをつけたようです。弱り切った状態での出産は無理と判断したみたいですね』
『あたた……そういう可能性もあったんだな。それは考えていなかった、どうしよう?』
『……36名の女子のうち、既に妊娠している女子が8名居ますが全員【クリーン】の処置がまだ間に合います。問題は20名切るまでの間にキングが全員殺しちゃう可能性があるって事です。現在キングとクイーン、ジェネラルなどの幹部たちがその話し合いをしていますが、弱って死んでからより生きているうちに凍らせて保存食にしたいという意見が通りそうな感じです』
俺1人の判断ではどうしようもない。36名は助けるには多すぎる。かと言って知らん顔して俺1人の判断で見殺しにするのは俺の心が壊れそうだ……見殺すにしても共謀者がほしい……ズルいが大人が良く使う責任の分散化だ。
「皆、聞いてほしい! 女神様から緊急連絡が入った! どうもキングのコロニーで動きがあったようで、生き残っている女子を全員殺して凍らせて保存食にしようという案が出ていて、その案が通りそうだと知らせてきた。現在女子の生き残りが36名。あっ……35名。正直この人数は助けた後、レベルアップさせる魔獣が足らない。魔素から助けるだけでも1レベルアップさせるためにオークが35頭も要る。この分は何とか確保するけど【身体強化】をLv5にするのに、はぐれ魔獣を狩らないといけない。食料の消費も増えるから負担が増える分節約しないといけなくなる。皆でどうするか急いで話し合ってほしい」
「そっちではそういう話はこれまでしなかったの?」
「大影さん、また君か……勿論したよ」
「小鳥遊君……言いにくいけど、体育館のグループでは、コロニーの娘たちの事は見捨てるって話になっているの」
高畑先生は申し訳なさそうに言ってきた。
「それは体育館の全員の総意なのですか?」
「いいえ、全員の意見ではないわ。中には助けてほしいって言ってる子も勿論居るわ。ひょっとしたら友人が生き残ってる可能性もあるんですもの、当然よね。でも、現実的じゃないでしょ? まず助けられるほどの戦力がうちにはないし、助けた後、守ってあげられる甲斐性もない。正直うちでは荷が重いわ」
「格技場の男子はどうですか?」
「済まない、そういう話はしていなかった。明日自分たちが生き残れるか自信がないのに、他を助けるとか考えもしていなかったよ。小鳥遊……お前本気出したら捕まってる人たち助けられるのか?」
「キングはかなり強いです。ジェネラルもうちでは雅がなんとか相手をできるかどうかってぐらい強いです。でも救助は可能です。問題は赤の他人を命懸けで助けても、その後どうするかって事なんですよ。助けた以上知らん顔はできないです。でも35人も養えるほど、うちのグループにも余裕はないです」
「結局助けた後が一番困るって事か?」
「そうです。先日森で彷徨ってた娘を1人偶々救助したのですが、かなり弱っていました。特殊な魔法でなんとか一命は取り留めましたが、35名となると、その処置を施すにしても多過ぎます」
「リーダーとして、非情だが見捨てるのが正しいんじゃないか?」
「三田村先輩の意見はそうなのですか?」
「あくまで俺の意見だけどな。可哀想だけど、今後のリスクが高すぎる。助けるにしても命掛けなんだろ? 捕らわれている者が身内ならともかく、関係ない料理部の娘たちまで危険に遭わせるのはどうかと思うぞ。小鳥遊1人で行くというなら俺は止めないけどな」
「1人じゃ無理ですよ……」
『……マスター、残念ながら明日の朝まで待てなかったようです。洞窟前の広場に連れ出され公開処刑が始まりそうです。まだ、暴力は振るわれてはいませんがこのままだと嬲殺しにされます』
「桜! A班とB班の主力は装備を装着して待ってろ! 美咲先輩も戦闘準備をしていてください!」
嬲殺しと聞いてどうにも我慢ができなかった……沙織の時の光景が脳裏をよぎったのだ。あいつらはわざと痛めつけて泣き叫ばせてから殺す……とんでもなく嗜虐性が高い奴らなのだ。
「兄様! 何する気ですか! まさか1人で突っ込む気じゃないでしょうね!」
「龍馬君ダメよ! 行くなら私も行きます!」
「ん! 私も行く!」
『……マスター、処刑が始まりました……』
「様子を覗いてすぐ戻る! 戦闘準備をしておいてくれ! くれぐれも後を追ってくるなよ、計画が狂う! フィリア、美弥ちゃん、後頼んだ!」
俺は転移魔法で事前に登録しておいたキングのコロニーのすぐ近くまで飛ぶ。
既に生き残っている娘は19名しか居ない。この間にもどんどん嬲り殺されていく。広場では女子たちの絶叫が響き渡っている。【マジックシールド】【プロテス】【シェル】【ヘイスガ】【レビテガ】を張り【隠密】スキルを最大に発揮して上空からできるだけ広場に近づき、今現在生き残ってる13名の女子と周辺のオークにマーキングを入れる。
途中でキングに見つかって俺と視線が絡み合う。
速攻でマーキングした女子に【マジックシールド】と周辺のオークも含めて重力魔法の【フロート】を掛け、【魔糸】を50本放って釣り上げて退却する。
弓矢や魔法がバンバン飛んできたが構っていられない。そのまま学園まで空を飛んで中庭に降り立ち、急いで死なないように初級の回復魔法を施す。初級魔法なのは、あまり上位の魔法は魔素が溜まっている状態では却って危険なのだとナビーに止められたためだ。
連れてきたオークを完全に拘束し、五月蠅いので【音波遮断】を施す。
美弥ちゃん先生にコールをし、戦闘員は中庭にきてもらう。
裸の女子に毛布を被せてあげ、格技場の男子がくる前に裸体を隠してあげる。
『ナビー、敵の動きは?』
『……キング、相当怒ってます。このまま攻めてくるかもですが、今のところ広場で集まったままですね』
『動きがあったら知らせてくれ』
『……解りました』
最終的に助かった女子は11名。ここに着くまでに2名の女子が亡くなってしまっていた。
捕らえたオークは29頭、オークにはシールドを張らなかったので矢や魔法で8頭死んだようだった。
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その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
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俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。
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仕事からの帰宅途中に突如足元に出来た穴に落ちて目が覚めるとそこは異世界でした。
元の世界に戻れないと言うので諦めて細々と身の丈に合った生活をして過ごそうと思っていたのに心配性な方々が守護霊として付いてきた所為で静かな暮らしになりそうもありません。
登場してくる神の性格などでツッコミや苦情等出るかと思いますが、こんな神様達が居たっていいじゃないかと大目に見てください。
追記 小説家になろう ツギクル でも投稿しております。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
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ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
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「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。
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18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。
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本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。
お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。
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次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
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