62 / 184
学園ロワイヤル編 4~6日目
1-6-3 ハティにメロメロ?龍馬の誕生会?
しおりを挟む
現在茶道室で森探索の報告を行っているのだが、ハティがかなり興奮気味だ。
皆の周りをうろうろして、一人一人匂いを覚えるかのようにクンクンしながら徘徊をしている。
そのハティなのだが、フィリアの匂いを嗅いだ瞬間、これまでと違う反応をした。腹を見せて寝転んで、尻尾をフリフリしながらフィリアに愛想を振りまいている。
絶対服従のポーズだ。
「ほぅ、こやつ分かっておるではないか! 可愛い奴じゃのぅ!」
フィリアももうメロメロで腹をワシャワシャ撫でてあげている。
「こいつ、フィリアが元女神だとか分かったんだろうか?」
「そんな訳なかろう。じゃが、何かしら感じ取ったのじゃろうの」
「皆も喜ぶだろうと思って内緒にして連れてきたけど、犬が苦手な人とかいる?」
愛華ちゃんがちょっと苦手だったらしいが、ハティは大丈夫だそうだ。以前犬に噛まれた事があり、吠えたり唸りをあげるような犬は苦手になってしまったそうだ。今回は愛華ちゃんに権利をあげよう。
「愛華ちゃん、このジュースをあげてごらん」
哺乳瓶を見たハティは俺の前でお座りをして、尻尾を振って待っている。愛華ちゃんに哺乳瓶を手渡し、ハティを膝の上に抱っこさせてあげる。哺乳瓶を咥えさせてあげると、チューチュー吸い始めて大人しいものだ。
「可愛いです! この子だと怖くないです!」
「でしょ。まだ歯も生えてないし、全く怖がることは無いからね」
「「愛華だけいいな~!」」
「あはは、皆にも今度やらせてあげるけど、注意事項を守ってね。まだこの子は生後3日で歯も生えていないから、固形の物は絶対食べさせないでね。それと1日3食あげているけど、量はあまり要らないから勝手にあげない事。従魔契約してると本来餌は要らないそうだけど、味覚はちゃんと残っているから嗜好品として食べさせてるだけなので、やり過ぎは厳禁ね。尻尾を触ったり、耳を引っ張ったり、嫌がるような事もしちゃダメだよ。この子はレア種で人の言葉も理解するぐらい賢くなるそうだから、話し掛けてあげてくれると学習して言葉を覚えるので、犬と同じと思わないでどんどん話し掛けてあげてね」
「会話ができるようになるのですか?」
「直ぐにはできないけど、その子の種は2段階進化するそうだよ。上手く進化させれば念話で会話する事ができるようになるみたいだ」
「ホワイトウルフは聖獣フェンリルになれる可能性を秘めた種じゃな。そうそうなれるものじゃない故、まずはホワイトファングウルフという王種に進化できるとよいのぅ」
「ふふふ、フィリア。俺の【コネクト】と【カスタマイズ】を使えばフェンリルに至れるんだよ」
「なっ! そうであった! とんでもないのぅ……フェンリルは単体で国を滅ぼせるほどのものじゃ。危険故ちゃんと育てるのじゃぞ。破壊神的ヤバい不良狼に育てたら許さぬぞ」
「龍馬君、森の中の生存者は、小西さんだけだったの?」
「うん。4人食い散らかされた遺体を見かけたけど、MAP内で発見できたのは彼女だけだった。森の方はかなり魔素が高くて、1つレベルが上がってないともうそろそろダメな時期に入っている。キングのコロニーを中心に半径10kmのエリアを探索してきたけど、生き残りは穂香ちゃんだけだった」
「じゃあ、もう学園外の者は全滅したと思ってもいいのかな?」
「いや、それは早計かな。桜がオークに追われて学園を逃げ出すとしたら、どっちに逃げる?」
「あ! そうか……私なら上の森じゃなく下に逃げるわね」
「うん、穂香ちゃんのように追われて迷子になってどんどん奥に入って彷徨って行ったのならともかく、普通は助けを求めて街のある方の下を目指すよね」
「じゃあ、今度は下の方を探索してくるの?」
「いや、キングのコロニー周辺で100頭規模の集落を10個ほど見つけてきたから、うちのメンバーのレベル上げを開始することにした。街に向けての本格始動だ」
「そうよね、いつまでもここには居られないわね」
「夕食後、その事でまた皆で話し合ってほしい事がある」
「分かったわ。あ、女子寮C棟のお風呂にお湯を張ってあるから、穂香ちゃんと順番に入ってらっしゃいよ」
「ホントか! それは嬉しいな! 大きな風呂で足を伸ばして入れるのは有り難い。ハティも連れていくかな……雅も一緒に入るか?」
「ん! 入る!」
「何言ってるのよ! ダメに決まっているでしょ! 雅もすぐそうやってホイホイついて行かない!」
桜に止められるが、雅なら別にいいんじゃないかな?
「別に雅ならいいと思うけどな? 偶に温泉とかで親に連れられた雅ぐらいの子を見かけるぞ?」
「う~ん。私はギリアウトだと思うけど……皆はどう思う?」
「「「微妙……?」」」
「微妙なら、本人がイイって言ってるんだし別に良いんじゃないか?」
「龍馬君的に、変な趣味はないんだよね?」
「ないよ! 失礼な……でも責任はちゃんと取るつもりだけどな」
「責任って?」
「その辺も夕食後に話すよ。穂香ちゃん先に入ってきなよ。俺は後でも火魔法で温める事もできるからね、湯船が温かいうちに行っといで」
「はい。私は一緒でも良いのですが、なんかそういう雰囲気じゃなさそうなので行ってきます」
「なんか、意味深ね……ちょっと龍馬君、彼女に何もしてないでしょうね?」
「兄様、どうなんですか! 何かしたのですか!?」
「したとかしないとか、なんでそんな事報告しなきゃいけないんだよ」
「うっ、そうだけど。龍馬君が暴走したら、風紀が乱れると言うか……」
「風紀関連の事も夕食後に話がある。結構大事な話になるので、食後ゆっくり話したい」
「解ったわ」
穂香ちゃんが出た後、俺はハティを連れてお風呂に向かった。
冗談のつもりだったのに、雅がマジで付いてきた。
「おい雅? お前マジで入ってくるのか? 恥ずかしくないのかよ?」
「ん、超恥ずかしいけど、一緒に入りたい気持ちの方が強い」
「雅がイイなら良いんだけどね。よし、折角だから俺がシャンプーしてあげるよ」
「ん、ホント? 凄く嬉しいかも!」
見た目8歳児の雅だが、一応ちっこいおっぱいがちゃんと付いていた。
本当に膨らみ始めって感じのもので、まだ胸と言うほどではないのだが、この分だともうすぐ生理も始まるのかもしれない。美人になるのは間違いないのだが、胸の大きさは育ってみないと分からないからね。桜や未来のように大きくなるんだぞ~!
ハティは最初お湯を怖がっていたが、シャンプーでワシャワシャしてゆっくりかけ湯をしてからリンスまでしてあげた頃には、気持ち良さげな顔をしていた。
人間用の物なので嗅覚が鋭い犬からすれば匂いがかなりきついと思うので、湯船に浸けてよく洗い流す。
どうやらハティはお湯に浸かるのが気に入ったようだ。俺に抱かれて湯船の中でウトウトし始めた。
「ん、ハティ可愛いね」
「そうだな、雅も可愛いけどね」
お風呂から出て、ハティの毛を火魔法と風魔法の応用で、ドライヤーのように温風を手の先でだして乾かしていく。乾かし終えたハティはふわふわのモコモコで、可愛さ3割増しだ!
「ん、ハティ……ヤバい! モフラーがほっとかない!」
「もふもふだな……ずっと撫でていたい。これマジやばいな」
雅の髪も乾かしてあげ、別館に戻ったのだが、そのまま一階の試食室に連れて行かれた。
扉を開けた瞬間、俺は驚いた。
「「「龍馬先輩! 誕生日おめでとう!」」」
「兄様! 16歳おめでとうございます!」
「龍馬、成人おめでとうなのじゃ」
「龍馬君、おめでとう」
「ん! おめでとう!」
今日は11月23日で俺の16歳の誕生日だ。まさかここまで大々的に祝ってくれると思ってなかった。
「みんなありがとう!」
フィリアのインベントリを利用したようで、俺の到着と同時にどんどん料理が出される。
その数12品、どれもこれも旨そうなものばかりだ。
皆がせっかく作ってくれたのだ。作り過ぎだとか野暮な事は言わない。
「龍馬君、温かいうちに食べてみて。料理部の本気の品よ」
「なっ! これマジ旨い!」
どれもこれも美味しかった。一流レストランに入ったかと思えるほどの出来栄えだ。
味は勿論、見栄えも考えられていて、素晴らしいとしか言えない。
「穂香ちゃんの歓迎会も兼ねているから、穂香ちゃんも遠慮しないでね。お腹に優しいものも用意してあるからね」
「城崎先輩、ありがとうございます! 皆さんも受け入れて下さって感謝しています。よろしくお願いしますね」
「桜ありがとう、皆もこれだけ作るの大変だったろう? 本当に美味しいよ、ありがとう」
桜たちは誕生ケーキまで用意してくれていた。この苺ケーキも凄く美味しいものだ。
2時間ほど宴は行われて、残り物は俺の【インベントリ】に放り込んだ。前回同様いざという時の俺の非常食だ。牡丹鍋は今回の野営でとても重宝したのだ。残り物でも【インベントリ】があれば美味しくいただける。
片付けまで終えると、茶道室で会議を行う。
「で、龍馬君、話って何かな?」
「うん。とりあえず今日はみんなありがとう。とても美味しかった」
「「「どういたしまして」」」
「こちらの世界だと16歳ってのは成人になるので特別な日なんだって。お酒も結婚も16歳で解禁になるそうだよ。それを踏まえて、俺の決意表明と今後の活動指針みたいな事を話そうと思う」
「私は4月、茜は10月に16歳になっているからもう私たちも成人って事ね」
「そか、もう誕生日は終えているんだね。皆といつまで一緒に居られるか分からないけど、それほど多い人数じゃないのだから皆の誕生日も同じように祝いたいね」
「そうね、皆の誕生日を聞いて、今後もお祝いぐらいしたいわね」
「フィリアの年齢はどういう扱いなんだ? 肉体年齢は成長を止められて14歳なんだろ? 今後もそのままなのか? それとも成長するのか?」
「どうなのじゃろうな? 正直妾にもさっぱりじゃ……」
『ナビー、フィリアの成長ってどうなるのか分かるか?』
『……はい、おそらくとでしか言えませんが。14歳からゆっくり人として成長を開始するでしょう。もうすぐ生理も再開されるようです。3日後ぐらいですね』
「フィリア、システムに問い合わせたところ、14歳からの成長スタートだそうだ。3日後ぐらいに生理も再開されるそうだよ?」
「なんと! 妾も成長できるのか! 嬉しいのぅ……生理は面倒じゃがな。じゃが子が産めるという事かの?」
「そうなるのかな? それも踏まえて今から皆に話がある」
ああ、ドキドキする……でも頑張る!
俺は一大決心でフィリアにプロポーズするのだった。
皆の周りをうろうろして、一人一人匂いを覚えるかのようにクンクンしながら徘徊をしている。
そのハティなのだが、フィリアの匂いを嗅いだ瞬間、これまでと違う反応をした。腹を見せて寝転んで、尻尾をフリフリしながらフィリアに愛想を振りまいている。
絶対服従のポーズだ。
「ほぅ、こやつ分かっておるではないか! 可愛い奴じゃのぅ!」
フィリアももうメロメロで腹をワシャワシャ撫でてあげている。
「こいつ、フィリアが元女神だとか分かったんだろうか?」
「そんな訳なかろう。じゃが、何かしら感じ取ったのじゃろうの」
「皆も喜ぶだろうと思って内緒にして連れてきたけど、犬が苦手な人とかいる?」
愛華ちゃんがちょっと苦手だったらしいが、ハティは大丈夫だそうだ。以前犬に噛まれた事があり、吠えたり唸りをあげるような犬は苦手になってしまったそうだ。今回は愛華ちゃんに権利をあげよう。
「愛華ちゃん、このジュースをあげてごらん」
哺乳瓶を見たハティは俺の前でお座りをして、尻尾を振って待っている。愛華ちゃんに哺乳瓶を手渡し、ハティを膝の上に抱っこさせてあげる。哺乳瓶を咥えさせてあげると、チューチュー吸い始めて大人しいものだ。
「可愛いです! この子だと怖くないです!」
「でしょ。まだ歯も生えてないし、全く怖がることは無いからね」
「「愛華だけいいな~!」」
「あはは、皆にも今度やらせてあげるけど、注意事項を守ってね。まだこの子は生後3日で歯も生えていないから、固形の物は絶対食べさせないでね。それと1日3食あげているけど、量はあまり要らないから勝手にあげない事。従魔契約してると本来餌は要らないそうだけど、味覚はちゃんと残っているから嗜好品として食べさせてるだけなので、やり過ぎは厳禁ね。尻尾を触ったり、耳を引っ張ったり、嫌がるような事もしちゃダメだよ。この子はレア種で人の言葉も理解するぐらい賢くなるそうだから、話し掛けてあげてくれると学習して言葉を覚えるので、犬と同じと思わないでどんどん話し掛けてあげてね」
「会話ができるようになるのですか?」
「直ぐにはできないけど、その子の種は2段階進化するそうだよ。上手く進化させれば念話で会話する事ができるようになるみたいだ」
「ホワイトウルフは聖獣フェンリルになれる可能性を秘めた種じゃな。そうそうなれるものじゃない故、まずはホワイトファングウルフという王種に進化できるとよいのぅ」
「ふふふ、フィリア。俺の【コネクト】と【カスタマイズ】を使えばフェンリルに至れるんだよ」
「なっ! そうであった! とんでもないのぅ……フェンリルは単体で国を滅ぼせるほどのものじゃ。危険故ちゃんと育てるのじゃぞ。破壊神的ヤバい不良狼に育てたら許さぬぞ」
「龍馬君、森の中の生存者は、小西さんだけだったの?」
「うん。4人食い散らかされた遺体を見かけたけど、MAP内で発見できたのは彼女だけだった。森の方はかなり魔素が高くて、1つレベルが上がってないともうそろそろダメな時期に入っている。キングのコロニーを中心に半径10kmのエリアを探索してきたけど、生き残りは穂香ちゃんだけだった」
「じゃあ、もう学園外の者は全滅したと思ってもいいのかな?」
「いや、それは早計かな。桜がオークに追われて学園を逃げ出すとしたら、どっちに逃げる?」
「あ! そうか……私なら上の森じゃなく下に逃げるわね」
「うん、穂香ちゃんのように追われて迷子になってどんどん奥に入って彷徨って行ったのならともかく、普通は助けを求めて街のある方の下を目指すよね」
「じゃあ、今度は下の方を探索してくるの?」
「いや、キングのコロニー周辺で100頭規模の集落を10個ほど見つけてきたから、うちのメンバーのレベル上げを開始することにした。街に向けての本格始動だ」
「そうよね、いつまでもここには居られないわね」
「夕食後、その事でまた皆で話し合ってほしい事がある」
「分かったわ。あ、女子寮C棟のお風呂にお湯を張ってあるから、穂香ちゃんと順番に入ってらっしゃいよ」
「ホントか! それは嬉しいな! 大きな風呂で足を伸ばして入れるのは有り難い。ハティも連れていくかな……雅も一緒に入るか?」
「ん! 入る!」
「何言ってるのよ! ダメに決まっているでしょ! 雅もすぐそうやってホイホイついて行かない!」
桜に止められるが、雅なら別にいいんじゃないかな?
「別に雅ならいいと思うけどな? 偶に温泉とかで親に連れられた雅ぐらいの子を見かけるぞ?」
「う~ん。私はギリアウトだと思うけど……皆はどう思う?」
「「「微妙……?」」」
「微妙なら、本人がイイって言ってるんだし別に良いんじゃないか?」
「龍馬君的に、変な趣味はないんだよね?」
「ないよ! 失礼な……でも責任はちゃんと取るつもりだけどな」
「責任って?」
「その辺も夕食後に話すよ。穂香ちゃん先に入ってきなよ。俺は後でも火魔法で温める事もできるからね、湯船が温かいうちに行っといで」
「はい。私は一緒でも良いのですが、なんかそういう雰囲気じゃなさそうなので行ってきます」
「なんか、意味深ね……ちょっと龍馬君、彼女に何もしてないでしょうね?」
「兄様、どうなんですか! 何かしたのですか!?」
「したとかしないとか、なんでそんな事報告しなきゃいけないんだよ」
「うっ、そうだけど。龍馬君が暴走したら、風紀が乱れると言うか……」
「風紀関連の事も夕食後に話がある。結構大事な話になるので、食後ゆっくり話したい」
「解ったわ」
穂香ちゃんが出た後、俺はハティを連れてお風呂に向かった。
冗談のつもりだったのに、雅がマジで付いてきた。
「おい雅? お前マジで入ってくるのか? 恥ずかしくないのかよ?」
「ん、超恥ずかしいけど、一緒に入りたい気持ちの方が強い」
「雅がイイなら良いんだけどね。よし、折角だから俺がシャンプーしてあげるよ」
「ん、ホント? 凄く嬉しいかも!」
見た目8歳児の雅だが、一応ちっこいおっぱいがちゃんと付いていた。
本当に膨らみ始めって感じのもので、まだ胸と言うほどではないのだが、この分だともうすぐ生理も始まるのかもしれない。美人になるのは間違いないのだが、胸の大きさは育ってみないと分からないからね。桜や未来のように大きくなるんだぞ~!
ハティは最初お湯を怖がっていたが、シャンプーでワシャワシャしてゆっくりかけ湯をしてからリンスまでしてあげた頃には、気持ち良さげな顔をしていた。
人間用の物なので嗅覚が鋭い犬からすれば匂いがかなりきついと思うので、湯船に浸けてよく洗い流す。
どうやらハティはお湯に浸かるのが気に入ったようだ。俺に抱かれて湯船の中でウトウトし始めた。
「ん、ハティ可愛いね」
「そうだな、雅も可愛いけどね」
お風呂から出て、ハティの毛を火魔法と風魔法の応用で、ドライヤーのように温風を手の先でだして乾かしていく。乾かし終えたハティはふわふわのモコモコで、可愛さ3割増しだ!
「ん、ハティ……ヤバい! モフラーがほっとかない!」
「もふもふだな……ずっと撫でていたい。これマジやばいな」
雅の髪も乾かしてあげ、別館に戻ったのだが、そのまま一階の試食室に連れて行かれた。
扉を開けた瞬間、俺は驚いた。
「「「龍馬先輩! 誕生日おめでとう!」」」
「兄様! 16歳おめでとうございます!」
「龍馬、成人おめでとうなのじゃ」
「龍馬君、おめでとう」
「ん! おめでとう!」
今日は11月23日で俺の16歳の誕生日だ。まさかここまで大々的に祝ってくれると思ってなかった。
「みんなありがとう!」
フィリアのインベントリを利用したようで、俺の到着と同時にどんどん料理が出される。
その数12品、どれもこれも旨そうなものばかりだ。
皆がせっかく作ってくれたのだ。作り過ぎだとか野暮な事は言わない。
「龍馬君、温かいうちに食べてみて。料理部の本気の品よ」
「なっ! これマジ旨い!」
どれもこれも美味しかった。一流レストランに入ったかと思えるほどの出来栄えだ。
味は勿論、見栄えも考えられていて、素晴らしいとしか言えない。
「穂香ちゃんの歓迎会も兼ねているから、穂香ちゃんも遠慮しないでね。お腹に優しいものも用意してあるからね」
「城崎先輩、ありがとうございます! 皆さんも受け入れて下さって感謝しています。よろしくお願いしますね」
「桜ありがとう、皆もこれだけ作るの大変だったろう? 本当に美味しいよ、ありがとう」
桜たちは誕生ケーキまで用意してくれていた。この苺ケーキも凄く美味しいものだ。
2時間ほど宴は行われて、残り物は俺の【インベントリ】に放り込んだ。前回同様いざという時の俺の非常食だ。牡丹鍋は今回の野営でとても重宝したのだ。残り物でも【インベントリ】があれば美味しくいただける。
片付けまで終えると、茶道室で会議を行う。
「で、龍馬君、話って何かな?」
「うん。とりあえず今日はみんなありがとう。とても美味しかった」
「「「どういたしまして」」」
「こちらの世界だと16歳ってのは成人になるので特別な日なんだって。お酒も結婚も16歳で解禁になるそうだよ。それを踏まえて、俺の決意表明と今後の活動指針みたいな事を話そうと思う」
「私は4月、茜は10月に16歳になっているからもう私たちも成人って事ね」
「そか、もう誕生日は終えているんだね。皆といつまで一緒に居られるか分からないけど、それほど多い人数じゃないのだから皆の誕生日も同じように祝いたいね」
「そうね、皆の誕生日を聞いて、今後もお祝いぐらいしたいわね」
「フィリアの年齢はどういう扱いなんだ? 肉体年齢は成長を止められて14歳なんだろ? 今後もそのままなのか? それとも成長するのか?」
「どうなのじゃろうな? 正直妾にもさっぱりじゃ……」
『ナビー、フィリアの成長ってどうなるのか分かるか?』
『……はい、おそらくとでしか言えませんが。14歳からゆっくり人として成長を開始するでしょう。もうすぐ生理も再開されるようです。3日後ぐらいですね』
「フィリア、システムに問い合わせたところ、14歳からの成長スタートだそうだ。3日後ぐらいに生理も再開されるそうだよ?」
「なんと! 妾も成長できるのか! 嬉しいのぅ……生理は面倒じゃがな。じゃが子が産めるという事かの?」
「そうなるのかな? それも踏まえて今から皆に話がある」
ああ、ドキドキする……でも頑張る!
俺は一大決心でフィリアにプロポーズするのだった。
10
お気に入りに追加
8,871
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。
突然足元に魔法陣が現れる。
そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―――
※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ
トール
恋愛
会社帰り、駅までの道程を歩いていたはずの北野 雅(36)は、いつの間にか森の中に佇んでいた。困惑して家に帰りたいと願った雅の前に現れたのはなんと実家を模した家で!?
自身が願った事が現実になる能力を手に入れた雅が望んだのは冒険ではなく、“森に引きこもって生きる! ”だった。
果たして雅は独りで生きていけるのか!?
実は神様になっていたズボラ女と、それに巻き込まれる人々(神々)とのドタバタラブ? コメディ。
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる