47 / 184
学園ロワイヤル編 3日目
1-3-12 体育館太平?教員棟動乱?
しおりを挟む
駆け寄ってきた美弥ちゃん先生に新たな火種を聞かされる。教員棟と男子寮が女子を解放しないそうだ。
「体育館を占拠して、女子専用にしたという事を伝えたのですが、高等部の教頭先生に勝手な事をするなと先生怒られちゃいました~」
「現状どういう状況です。もっと詳しく知りたいです」
「じゃあ、順番に説明しますね。まず体育館の女の子たちですが、全員裸にされていましたが、実際に強姦された者は7名でした。怪我をしていたりした者も自分たちで治療をしたようです。龍馬君に付いていってた4人以外は避妊処置も自分たちでしたようですね」
あの4人は7人のうちの被害者メンバーだったのか。どおりであの鬼気迫るなぶり殺しになるわけだ。
「裸で全員泣いていたので、てっきり皆手遅れかと思ってたのですが、そうですか……」
「龍馬君、避妊処置の判定できる魔法があるって言ってましたよね?」
「一応ありますが裸になってもらう必要があります。スキャナーに掛けるようなイメージで診察するように創った俺のオリジナル魔法ですので、服を着ていると上手くスキャンできない仕様になっています。本来は避妊治療判定の為のモノじゃなく、あらゆる治療の為に創ったモノです」
「そうですか。もし希望者が居ればその魔法をお願いできますか?」
「俺は良いけど、全裸ですよ? 希望者なんかいますかね?」
「龍馬君、自分で言っていたじゃないですか? 妊娠の恐怖は当人しか解らないって」
「そうですけど。希望者がもしいるなら俺はいつでも良いですよ」
「後で確認を取っておきますね。で、ここは高畑先生がリーダーで仕切る事になりました。問題は教員棟に女子を分離するよう連絡したのですが、今3グループに分かれて揉めているようです。1つは中等部校長と女子中心の賛成派。もう1つは高等部教頭と教員棟リーダーの大谷先生と男子のグループの反対派。もう1つは決まった事に従うと言っているどっちつかずの中立派ですね。男子寮は聞く耳持たないですね、一方的に通話を切られてその後は繋がりません。かろうじて女子のメールで状況が解る程度です。でも、その女子たちも男子寮に残ると言っているようです。脅されているのかもしれないですが、メールでしか返信がないので実際のところは分かりません」
「教員棟は3グループの話し合いの結果待ちという事ですか? 面倒そうですね……男子寮の方もどうするのでしょうね?」
「なんか龍馬君、俺には関係ないって感じですね?」
「まさか美弥ちゃん先生、俺に何とかしろとか言わないですよね?」
「流石にそんな事言えませんよー、ここの救出ですら先生止めようと思ったぐらいです」
「龍馬君、どうなりました?」
「あ、美咲先輩。一応一緒についてきた4人がグラウンドで片を付けました。遺体も全て焼却して荼毘に伏しましたのでここの件については完了ですね。お疲れ様でした」
「柳生先輩から美咲先輩に変わってる……事件です! 菜奈ちゃんに知らせなきゃ!」
「美弥ちゃん? 何言ってるのかな? 余計な事を言うなら、今から美弥ちゃんはオークの巣に放り込んであげるけどどうする?」
「先生何も聞いてないです! 先生に怖い事しないよね? ネ? ネ?」
この先生は……可愛いんだけどなんだかな~とても残念だ。
「美弥ちゃん先生、俺たちは戻りましょうか。ここは美咲先輩と高畑先生にお任せしましょう。男の俺がいると出来ない治療もあるでしょうしね」
「そうですね、そうしましょうか」
「美咲先輩がいれば問題ないでしょうけど、ヘルプが居る時はすぐ呼んで下さい。可能な限り駆けつけますので」
「龍馬君ありがとう。おかげで1人だけで殺人の重みを背負わなくて済みました。随分気が楽です」
「そうですか。俺は逆にこんなもんかと思ってしまいました。相手に対して罪の意識がないからでしょうね。元から俺はそういう奴だったのでしょう。なので殺さないといけないようなやつは俺が全部引き受けますね」
料理部がいる茶道室に戻ったのだが、ここは凄く落ち着く。俺が殺人をしてきたのに怯える様子もなく、むしろ気遣ってくれる。茶道部の未来ちゃんと美加ちゃんが、2人で帰ってきた俺にお茶をたててくれた。本格的な抹茶を今回初めて飲んだが、渋みと甘みがある優しい味だ……2人の気遣いで凄く癒される。
「龍馬君お疲れ様でした。思ったより大丈夫そうね」
「うん、俺も意外に平気な事に驚いているよ。オークを散々殺してきて耐性が付いちゃったのかな?」
「それはあるでしょうね」
お茶を飲みながら桜と話をしていたら、5人ぐらいで固まっているグループが声を掛けてきた。
「龍馬先輩ちょっとちょっと、こっちにきてください」
「どうした?」
行くと優ちゃんを囲んで【クリスタルプレート】で会話を聞いているようだ。
優ちゃんの【クリスタルプレート】は教員棟の女子と繋がっており、こっそりこっちに向こうの状況を流してくれている娘がいるみたいだ。
「優ちゃんとみどりちゃんって、やたらと人脈多いね?」
「この2人は耳年増なだけですよ。いわゆるマセガキってやつです」
「綾も大差ないくせに、良く言うわ」
「そうですよ。部長が一番耳年増でしょ」
「あはは、結局、今向こうはどういう状況になっているんだ?」
優ちゃんの周りに全員集まってきて、状況を生中継で聞いている。
「硬直状態ですね。何度か怒鳴り合ったりしてましたが、未だ結論に至っていません」
「美和たちもそんなの無視してさっさと出てくればいいのにね」
「教員棟も教師陣や男子が前線で戦闘してたみたいだからね。女子は威圧されたら怖くて逆らえないんじゃない?」
「でも武力で押さえてるんじゃなくて、ちゃんと話し合ってるんだろ?」
「会話聞いていたら、女子分離反対派の意見て、イミフな事ばかり言っていますよ。しかも同じ事の繰り返しで、話が進まないのです」
「龍馬先輩ちょっと行って、美和たちを体育館に連れて行ってあげてくださいよ」
「あはは、俺は嫌だよ。ヒーロー願望とかないし、会った事もない人の為にあっちこっちで怨みとか買いたくないしね」
「まぁ、そうですよね。今でしゃばって先輩が行ったら、確実に男子に恨まれちゃいますよね」
「だろ? 他人の為にこっちから態々怨みを買うような事はしたくないしね」
暫く生中継を聞きながら皆でおしゃべりをしていたのだが、不意に桜がフィリアに話を振った。
「そういえばフィリアは、何の目的で勇者召喚をしたの?」
「桜、お前意外とバカだな! それ聞いちゃいけないヤツだろ!」
「うっ、龍馬は相変わらずじゃの。こやつは例の神域で妾と丸一日おったにも拘らず、結局最後までその事を聞こうとしなかった」
「そういうフィリアこそ、俺になにも言わなかっただろ?」
「あの時はまだ妾には神眼があったからのぅ。其方の考えが解っておった故、妾からは何も言えなんだ」
「龍馬君らしくなくない? どうしてそんな大事な情報を聞かなかったの?」
「ん! 桜はやはりダメダメ! リーダーは龍馬で正解!」
「雅に言われるとちょっと悔しいわ! どういう事?」
「勇者召喚だぞ? 絶対凄いトラブル抱えているに決まっているじゃないか。そこに自分から質問して首を突っ込んでいくのはバカだよ」
「ん! そういう事! 流石龍馬!」
「兄様素敵です! 先を読んで危機回避ですね! 桜先輩は危機回避能力なしですね。むしろ自分から突っ込んでいくと」
「うっ、悪かったわね! 全く気づきませんでした!」
「それに地球でも、多分これまでに何回か勇者召喚はされていると思う。しかも大概不運な最期を遂げているんじゃないか?」
「「「え!? どういうこと?」」」
地球でも勇者がいたかもという事に、皆、驚いているようだ。
「絶対とは言い切れないけど、神話や壁画にそれっぽいのないか? ブッタとかキリストとかノアの方舟とか、インドの方じゃ、ガルーシャとかもそれっぽいよな。あれってラノベで聖獣とかでいそうじゃん。シヴァ神とかただの雷魔法が得意な奴だったりしてな。モーゼが海を割ったとか言うけど、空間魔法が使えるやつならそれっぽいのできるしな。ジャンヌダルクとか只の異世界の女剣士だったりして」
「「「ええー! でも言われてみれば」」」
「フィリア、その辺どうなの?」
「うっ、言えぬのじゃ! そのような事は全て禁句指定になっておる!」
「なんかそれって、認めちゃってない……」
「まぁ、あくまで俺の空想だけどね。で、そいつらの最期って、大抵はその時の権力者に殺害されているんだよ。キリストは磔だったかな? ジャンヌダルクとかも火刑とかだっけ? まぁ、そういう訳で、勇者召喚にはあまり係わらない事。それは柳生先輩の仕事だからね」
「うーん、そう言われたら。係わらない方が良い気がしてきた」
「妾の前で、皆してよく言えるのう。可愛い女神の為に一肌脱ごうという気はないのかのぅ」
「フィリアは確かに可愛いけどね。でも生死に係わるような事でしょ? それはちょっとね」
「そうじゃが……桜もつれないのぅ」
「ん! 否定しなかった! 命懸けの事案決定!」
「桜に引っ掛けられてしもうた!」
その時優ちゃんの【クリスタルプレート】から女子の悲鳴が聞こえてきた……何か起こったようだ。
「優ちゃん何があった?」
「女子擁護派の中等部の校長先生が刺されたみたいです。刺したのは大谷先生です」
「大谷って言ったら、教員棟のリーダーしてるんだったよな? なんでまたそんなやつが? 校長や教頭より慕われてリーダーやってるのじゃなかったのか?」
【クリスタルプレート】から聞こえる大谷の声は、どこか狂気めいたものだった。
『何かあった時の責任逃れの為に俺をリーダーにしておいて、都合が悪くなったらリーダー失格だ? ふざけんな! どいつもこいつもクズばっかで呆れるよ!』
「どうやら擁護派の校長も善人ではなかったようだな」
「そうみたいね。大谷先生の言い分じゃ、校長も教頭も随分な狸ね……教師ってこんなのばかりなのかしら」
「いやいや、桜の目の前に善の塊みたいなちみっこがいるじゃん」
「あはは、それもそうね。美弥ちゃんは可愛いね!」
「先生なんか凄く子ども扱いされてる気がするのだけど……」
「それで龍馬君、うちはどう動くの?」
「まだ動かない……少し様子見だな。フィリア、そんな顔するな。お前が悪いわけじゃないんだ」
「じゃがの……」
「転移そのもののミスはフィリアの責任だけど、今起こってる事は俺たちの世界の人間の矮小さのせいだから、フィリアが気に病むことじゃない。完成された生物なら争いは起きない。そもそも確固としたオークという敵がいるのに、こんなにばらけて拠点を構えない。普通はヌーやシマウマのように1カ所に纏まってやり過ごすのが正解だ。それを俺たちは不信感や警戒心でばらけてしまってる。アホな生き物だろ? 俺は自分以外の男を信じずここに、女子寮は女子以外を信じず一度は壊滅寸前、野球部に至っては部員しか信じず壊滅しちゃっている。体育館は仲間を襲って崩壊、教員棟も結局仲間内で刃傷ざただ。人間なんてマジ救えない種族だよな」
「あの、龍馬先輩。もし美和たちに危害が及ぶようなら、一緒に行ってもらっていいですか?」
うっ……できるだけ放置するつもりだったのに。優ちゃん、俺に助けてきてじゃなく、一緒に行ってくれときた。そう可愛く言われちゃ、嫌と言えないじゃないか。
「ハァ~、兄様、結局行くんですね……」
「ん、優に可愛く言われて、もうその気になってる」
「龍馬君、結構チョロイのね……」
「くっ……少し様子を見よう。女子に危害を加えるようならすぐ動く」
「龍馬先輩、ありがとうございます」
可愛い女子にはやはり弱かった……とりあえず様子見だ。
「体育館を占拠して、女子専用にしたという事を伝えたのですが、高等部の教頭先生に勝手な事をするなと先生怒られちゃいました~」
「現状どういう状況です。もっと詳しく知りたいです」
「じゃあ、順番に説明しますね。まず体育館の女の子たちですが、全員裸にされていましたが、実際に強姦された者は7名でした。怪我をしていたりした者も自分たちで治療をしたようです。龍馬君に付いていってた4人以外は避妊処置も自分たちでしたようですね」
あの4人は7人のうちの被害者メンバーだったのか。どおりであの鬼気迫るなぶり殺しになるわけだ。
「裸で全員泣いていたので、てっきり皆手遅れかと思ってたのですが、そうですか……」
「龍馬君、避妊処置の判定できる魔法があるって言ってましたよね?」
「一応ありますが裸になってもらう必要があります。スキャナーに掛けるようなイメージで診察するように創った俺のオリジナル魔法ですので、服を着ていると上手くスキャンできない仕様になっています。本来は避妊治療判定の為のモノじゃなく、あらゆる治療の為に創ったモノです」
「そうですか。もし希望者が居ればその魔法をお願いできますか?」
「俺は良いけど、全裸ですよ? 希望者なんかいますかね?」
「龍馬君、自分で言っていたじゃないですか? 妊娠の恐怖は当人しか解らないって」
「そうですけど。希望者がもしいるなら俺はいつでも良いですよ」
「後で確認を取っておきますね。で、ここは高畑先生がリーダーで仕切る事になりました。問題は教員棟に女子を分離するよう連絡したのですが、今3グループに分かれて揉めているようです。1つは中等部校長と女子中心の賛成派。もう1つは高等部教頭と教員棟リーダーの大谷先生と男子のグループの反対派。もう1つは決まった事に従うと言っているどっちつかずの中立派ですね。男子寮は聞く耳持たないですね、一方的に通話を切られてその後は繋がりません。かろうじて女子のメールで状況が解る程度です。でも、その女子たちも男子寮に残ると言っているようです。脅されているのかもしれないですが、メールでしか返信がないので実際のところは分かりません」
「教員棟は3グループの話し合いの結果待ちという事ですか? 面倒そうですね……男子寮の方もどうするのでしょうね?」
「なんか龍馬君、俺には関係ないって感じですね?」
「まさか美弥ちゃん先生、俺に何とかしろとか言わないですよね?」
「流石にそんな事言えませんよー、ここの救出ですら先生止めようと思ったぐらいです」
「龍馬君、どうなりました?」
「あ、美咲先輩。一応一緒についてきた4人がグラウンドで片を付けました。遺体も全て焼却して荼毘に伏しましたのでここの件については完了ですね。お疲れ様でした」
「柳生先輩から美咲先輩に変わってる……事件です! 菜奈ちゃんに知らせなきゃ!」
「美弥ちゃん? 何言ってるのかな? 余計な事を言うなら、今から美弥ちゃんはオークの巣に放り込んであげるけどどうする?」
「先生何も聞いてないです! 先生に怖い事しないよね? ネ? ネ?」
この先生は……可愛いんだけどなんだかな~とても残念だ。
「美弥ちゃん先生、俺たちは戻りましょうか。ここは美咲先輩と高畑先生にお任せしましょう。男の俺がいると出来ない治療もあるでしょうしね」
「そうですね、そうしましょうか」
「美咲先輩がいれば問題ないでしょうけど、ヘルプが居る時はすぐ呼んで下さい。可能な限り駆けつけますので」
「龍馬君ありがとう。おかげで1人だけで殺人の重みを背負わなくて済みました。随分気が楽です」
「そうですか。俺は逆にこんなもんかと思ってしまいました。相手に対して罪の意識がないからでしょうね。元から俺はそういう奴だったのでしょう。なので殺さないといけないようなやつは俺が全部引き受けますね」
料理部がいる茶道室に戻ったのだが、ここは凄く落ち着く。俺が殺人をしてきたのに怯える様子もなく、むしろ気遣ってくれる。茶道部の未来ちゃんと美加ちゃんが、2人で帰ってきた俺にお茶をたててくれた。本格的な抹茶を今回初めて飲んだが、渋みと甘みがある優しい味だ……2人の気遣いで凄く癒される。
「龍馬君お疲れ様でした。思ったより大丈夫そうね」
「うん、俺も意外に平気な事に驚いているよ。オークを散々殺してきて耐性が付いちゃったのかな?」
「それはあるでしょうね」
お茶を飲みながら桜と話をしていたら、5人ぐらいで固まっているグループが声を掛けてきた。
「龍馬先輩ちょっとちょっと、こっちにきてください」
「どうした?」
行くと優ちゃんを囲んで【クリスタルプレート】で会話を聞いているようだ。
優ちゃんの【クリスタルプレート】は教員棟の女子と繋がっており、こっそりこっちに向こうの状況を流してくれている娘がいるみたいだ。
「優ちゃんとみどりちゃんって、やたらと人脈多いね?」
「この2人は耳年増なだけですよ。いわゆるマセガキってやつです」
「綾も大差ないくせに、良く言うわ」
「そうですよ。部長が一番耳年増でしょ」
「あはは、結局、今向こうはどういう状況になっているんだ?」
優ちゃんの周りに全員集まってきて、状況を生中継で聞いている。
「硬直状態ですね。何度か怒鳴り合ったりしてましたが、未だ結論に至っていません」
「美和たちもそんなの無視してさっさと出てくればいいのにね」
「教員棟も教師陣や男子が前線で戦闘してたみたいだからね。女子は威圧されたら怖くて逆らえないんじゃない?」
「でも武力で押さえてるんじゃなくて、ちゃんと話し合ってるんだろ?」
「会話聞いていたら、女子分離反対派の意見て、イミフな事ばかり言っていますよ。しかも同じ事の繰り返しで、話が進まないのです」
「龍馬先輩ちょっと行って、美和たちを体育館に連れて行ってあげてくださいよ」
「あはは、俺は嫌だよ。ヒーロー願望とかないし、会った事もない人の為にあっちこっちで怨みとか買いたくないしね」
「まぁ、そうですよね。今でしゃばって先輩が行ったら、確実に男子に恨まれちゃいますよね」
「だろ? 他人の為にこっちから態々怨みを買うような事はしたくないしね」
暫く生中継を聞きながら皆でおしゃべりをしていたのだが、不意に桜がフィリアに話を振った。
「そういえばフィリアは、何の目的で勇者召喚をしたの?」
「桜、お前意外とバカだな! それ聞いちゃいけないヤツだろ!」
「うっ、龍馬は相変わらずじゃの。こやつは例の神域で妾と丸一日おったにも拘らず、結局最後までその事を聞こうとしなかった」
「そういうフィリアこそ、俺になにも言わなかっただろ?」
「あの時はまだ妾には神眼があったからのぅ。其方の考えが解っておった故、妾からは何も言えなんだ」
「龍馬君らしくなくない? どうしてそんな大事な情報を聞かなかったの?」
「ん! 桜はやはりダメダメ! リーダーは龍馬で正解!」
「雅に言われるとちょっと悔しいわ! どういう事?」
「勇者召喚だぞ? 絶対凄いトラブル抱えているに決まっているじゃないか。そこに自分から質問して首を突っ込んでいくのはバカだよ」
「ん! そういう事! 流石龍馬!」
「兄様素敵です! 先を読んで危機回避ですね! 桜先輩は危機回避能力なしですね。むしろ自分から突っ込んでいくと」
「うっ、悪かったわね! 全く気づきませんでした!」
「それに地球でも、多分これまでに何回か勇者召喚はされていると思う。しかも大概不運な最期を遂げているんじゃないか?」
「「「え!? どういうこと?」」」
地球でも勇者がいたかもという事に、皆、驚いているようだ。
「絶対とは言い切れないけど、神話や壁画にそれっぽいのないか? ブッタとかキリストとかノアの方舟とか、インドの方じゃ、ガルーシャとかもそれっぽいよな。あれってラノベで聖獣とかでいそうじゃん。シヴァ神とかただの雷魔法が得意な奴だったりしてな。モーゼが海を割ったとか言うけど、空間魔法が使えるやつならそれっぽいのできるしな。ジャンヌダルクとか只の異世界の女剣士だったりして」
「「「ええー! でも言われてみれば」」」
「フィリア、その辺どうなの?」
「うっ、言えぬのじゃ! そのような事は全て禁句指定になっておる!」
「なんかそれって、認めちゃってない……」
「まぁ、あくまで俺の空想だけどね。で、そいつらの最期って、大抵はその時の権力者に殺害されているんだよ。キリストは磔だったかな? ジャンヌダルクとかも火刑とかだっけ? まぁ、そういう訳で、勇者召喚にはあまり係わらない事。それは柳生先輩の仕事だからね」
「うーん、そう言われたら。係わらない方が良い気がしてきた」
「妾の前で、皆してよく言えるのう。可愛い女神の為に一肌脱ごうという気はないのかのぅ」
「フィリアは確かに可愛いけどね。でも生死に係わるような事でしょ? それはちょっとね」
「そうじゃが……桜もつれないのぅ」
「ん! 否定しなかった! 命懸けの事案決定!」
「桜に引っ掛けられてしもうた!」
その時優ちゃんの【クリスタルプレート】から女子の悲鳴が聞こえてきた……何か起こったようだ。
「優ちゃん何があった?」
「女子擁護派の中等部の校長先生が刺されたみたいです。刺したのは大谷先生です」
「大谷って言ったら、教員棟のリーダーしてるんだったよな? なんでまたそんなやつが? 校長や教頭より慕われてリーダーやってるのじゃなかったのか?」
【クリスタルプレート】から聞こえる大谷の声は、どこか狂気めいたものだった。
『何かあった時の責任逃れの為に俺をリーダーにしておいて、都合が悪くなったらリーダー失格だ? ふざけんな! どいつもこいつもクズばっかで呆れるよ!』
「どうやら擁護派の校長も善人ではなかったようだな」
「そうみたいね。大谷先生の言い分じゃ、校長も教頭も随分な狸ね……教師ってこんなのばかりなのかしら」
「いやいや、桜の目の前に善の塊みたいなちみっこがいるじゃん」
「あはは、それもそうね。美弥ちゃんは可愛いね!」
「先生なんか凄く子ども扱いされてる気がするのだけど……」
「それで龍馬君、うちはどう動くの?」
「まだ動かない……少し様子見だな。フィリア、そんな顔するな。お前が悪いわけじゃないんだ」
「じゃがの……」
「転移そのもののミスはフィリアの責任だけど、今起こってる事は俺たちの世界の人間の矮小さのせいだから、フィリアが気に病むことじゃない。完成された生物なら争いは起きない。そもそも確固としたオークという敵がいるのに、こんなにばらけて拠点を構えない。普通はヌーやシマウマのように1カ所に纏まってやり過ごすのが正解だ。それを俺たちは不信感や警戒心でばらけてしまってる。アホな生き物だろ? 俺は自分以外の男を信じずここに、女子寮は女子以外を信じず一度は壊滅寸前、野球部に至っては部員しか信じず壊滅しちゃっている。体育館は仲間を襲って崩壊、教員棟も結局仲間内で刃傷ざただ。人間なんてマジ救えない種族だよな」
「あの、龍馬先輩。もし美和たちに危害が及ぶようなら、一緒に行ってもらっていいですか?」
うっ……できるだけ放置するつもりだったのに。優ちゃん、俺に助けてきてじゃなく、一緒に行ってくれときた。そう可愛く言われちゃ、嫌と言えないじゃないか。
「ハァ~、兄様、結局行くんですね……」
「ん、優に可愛く言われて、もうその気になってる」
「龍馬君、結構チョロイのね……」
「くっ……少し様子を見よう。女子に危害を加えるようならすぐ動く」
「龍馬先輩、ありがとうございます」
可愛い女子にはやはり弱かった……とりあえず様子見だ。
11
お気に入りに追加
8,870
あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる