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学園ロワイヤル編 3日目
1-3-7 龍馬協定?菜奈般若?
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俺は隣の部屋が気になりつつも、ここ数日の疲れのせいかすぐに眠ったようだ。
突然の背中の痛みで目が覚めると、恐ろしい般若が俺を睨んでいる。そして目が合うと、その般若は再度俺を蹴りあげた……おっかない時の菜奈だ。
「菜奈何すんだ! 痛いだろうが! 俺が寝ているのを起こされるの嫌いなの知っててやったんだ、ちゃんと理由があるんだろうな!」
「沙織ちゃんの避妊処置を兄様がしたとはどういう事でしょう?」
俺はこの鬼に心臓を鷲掴みにされたような気分になった。
般若の面とは恨みや妬みや嫉妬に狂った女の顔だそうだ、まさに目の前にいる愛妹の顔がそうなのだろう、げに恐ろしい。
「菜奈違うんだ! あれは医療行為だ! 落ち着け!」
わらわらと俺の自室になってる華道室に人が集まってきた。
その中に泣きそうな顔で手を合わせて俺に謝罪をしている沙織ちゃんの姿が視界に入った。犯人は君なのね……亜姫ちゃんだったら凄く怒ったけど、当の本人なら仕方ない。でも美加ちゃんの事までは言ってないよね? でも俺が言って自爆もあり得るので、ここは黙って様子見かな。
「やったのですね! 中学2年の女子の子宮に指を入れたのですね! しかも亜姫ちゃんがやったと菜奈に嘘までついて!」
「指を入れたのは子宮じゃなくて膣だ! じゃなくて、あれは医療行為だって言っているだろ! それになんでお前に報告する義務があるんだ! 沙織ちゃんのプライバシーを勝手に話せる訳ないだろうが!」
「これ、菜奈も龍馬も下らない兄妹喧嘩をするでない!」
「下らないとはなんです! 兄様はエッチな行為をしていたのに菜奈に嘘を吐いたのですよ!」
「菜奈いい加減にしろよ。流石に俺も怒るぞ」
流石に長年俺のストーカーをしていただけあって、俺の本気の怒りを敏感に察したようだ。般若の顔が治まったと思ったら急に泣き出した……しかもわんわんと大きな声でマジ泣きだ。
「沙織の処置は龍馬がするのが正しかったのじゃ。排卵周期に入ってる沙織はおそらく何もしなければ100%に近い確率でオークの子を宿す。それほどオークの繁殖率は高いのじゃ。スキルレベルも魔力操作もあの時点では龍馬が1番じゃったじゃろ、失敗は許されないのじゃ。1%でも成功率が高い者がやるべき事ではないかの?」
「菜奈、先に言っておくが、もし今後この中の誰かがオークに犯されるような事があって、俺に避妊処置をしてほしいと頼んできたら俺はまたやるぞ」
「兄様! 私もオークに犯されてしまいました! 処置をお願いします!」
聞いた瞬間、俺は菜奈を引っ叩いた。
カッとなった俺は、結構本気でやってしまった。平手だが頬骨にヒビが入ったかもしれない。これまでにも菜奈とは何回も口喧嘩はしてきたが、俺が手をあげたのは今回が初めてだ。
菜奈は3mほど横に吹っ飛んで畳に打ち付けられた。すぐに起きようとしたのだが脳震盪を起こしたのだろう、その場にパタンと倒れてしまう。それを見た未来ちゃんはすぐ菜奈にヒールを飛ばそうとしたので、未来ちゃんに極力抑えたサンダーを飛ばしてヒールを強制的に解除させた。
菜奈は俺に初めて叩かれ、痛みより叩かれたという事実に驚いて愕然とした顔で俺を見ている。俺は菜奈に近寄り髪を掴んで畳に頭を擦り付けるように下げさせ一言だけ言った。
「沙織と美加に今すぐ心から謝れ!」
菜奈はハッとして俺の怒ってる理由が理解できたのか、自分の言った暴言がとんでもない失言だった事に気付いたようだ。
「沙織ちゃん美加ちゃんごめんなさい! 2人の気持ちも考えないで……えぐっ……ごめんなしゃい。ひぐっ」
菜奈は大泣きしながら土下座をして2人に謝っている。
とりあえず菜奈に中級回復魔法を掛けて、菜奈の隣に土下座して俺も一緒に謝った。
「美加、沙織、うちの妹がとんでもない暴言を言って悪かった。2人もこいつが悪気があって言ったんじゃないと解っているだろうけど、許してやってほしい」
「私は別に怒ってないですよ。でも菜奈ちゃんに少し言わせて。私は勝手に飛び出してトイレに行ってオークに犯されちゃったのだけど、たった数分だったけどとても痛かったし怖かった。もうあんな怖い思いはしたくない。菜奈ちゃんにも想像はできるでしょうけど、本当の恐怖は犯された当人しか分からないと思うの。それと同じように妊娠の恐怖も同じくらい怖かった。これも菜奈ちゃんには本当の恐怖は伝わらないと思うのよね。だからこの事で私と沙織や龍馬先輩に何か言うのは止めてほしいかな」
「え!? 美加ちゃんも兄様に処置されたのですか!?」
「あっ!」
美加ちゃんやっちゃったね……今更口を押さえてももう遅いよね。
「そうだけど! 本当に妊娠の恐怖は当人しか分からないわ! 少しでも成功の可能性が高い龍馬先輩に頼んで何が悪いのよ!」
「私は数分じゃなくて、龍馬先輩が助けてくれるまでに1時間ほど4頭のオークに代わる代わる何回も犯され続けました。肋骨も数本折られ、顔も何度も殴られ、どこが痛いのか解らないほどでした。何度ももう死ぬって思ったこらいです。怖いなんてものじゃないです。それに私は排卵周期に入っていたので確実に避妊がしたかったのです。だから恥ずかしかったけど龍馬先輩にお願いしました。この事で菜奈先輩が怒るなら龍馬先輩を怒るんじゃなくて私を怒ってください」
「ごめんなさい。菜奈は沙織ちゃんに嫉妬したのです。抑えられないほどの感情に襲われたのです。美加ちゃんや沙織ちゃんの事を全く考えられない激情に襲われました。今も兄様が2人に治療行為だとしても、そういう事をしたんだと想像しただけで頭が変になってしまいそうです」
「菜奈よ、先ほどの件は大丈夫なんじゃろうな? もはや無かった事にしてくれとか今更言わぬじゃろうな?」
「フィリア何の話だ?」
「クククッ、其方には秘密じゃ! じゃが楽しみにしておれ!」
俺にはピーンときた。
ふふふっ、フィリア解りやすいな。そんな言い方だとすぐ分かっちゃうぞ!
そうなのだ、もうすぐ俺の誕生日なのだ。11月23日勤労感謝の日が俺の誕生日だ。
今日が20日なので、後3日後だ。
「忘れてたよ、そういえばもうすぐだったね。楽しみにしているよ」
おやって顔をして、菜奈がフィリアに何やら耳打ちしている。
目の前でこそこそと……バレバレだって!
「そうか、その事も楽しみにしておれ」
「ん?」
「気にするでない、其方はただ楽しみに待っておればよい」
「ああ、解った。それで桜、もう井口さんの動画は見たのか?」
「ええ、見させてもらったわ。思っていたより酷かったです……」
「「龍馬先輩ごめんなさい」」
「優ちゃんもみどりちゃんも気にしなくていいよ。でも嫌な気分になっただろ? あんなもの皆に見せたくなかったんだけどな。それから皆にも言っておくけど、井口さんの事を悪く言うのもなしな。ちゃんと守ってやれなかった俺の責任も大きいから」
「兄様は悪くないです!」
「いや、強さが全てって訳じゃないけど、あの時守れるだけの強さや知力があればもう少し何か良い方法があったと思う。実際今なら皆を守る自信あるからな」
「龍馬君は他の拠点の人の事はもう考えないで。今ここにいる娘たちの事だけ考えてほしいわ」
「桜、どういう意味だ?」
「そのまんまよ。井口さんの事も佐竹の事も、龍馬君の担任の事も無視して私たちの事だけ考えて行動してほしいの。その過程で他の者が絡んできた時には龍馬君の好きにしてもらってもいいわ」
「俺の私怨は我慢して、皆の事だけ考えて行動しろって言うのか?」
「ぶっちゃけそうね。あの動画を見るまでは仕返しも仕方ないかなって思ってたのだけど。あんなくだらない人たちに龍馬君がこれ以上係わって気を病むのが我慢できないの。どうしてもって言うなら、今から私と菜奈と雅の3人で行って、龍馬君の望む部位を切り取ってきてあげるわ」
「ん! いい案! 桜と行ってくる!」
「桜先輩、それ良いですね! 兄様好きな部位を言ってください。なんでしたらチョッキン刑でもいいですよ!」
桜の奴、とんでもない事を言ってきた。
「はぁ~、分かったよ。お前たちがそこまで言ってくれるなら我慢できそうだ。恨みより嬉しさの方で俺の心が満たされるよ。でも佐竹の方から絡んできたら、俺が対処するからその時は手出ししないでほしい。決して俺からは仕掛けないようにする。それでいいか?」
「ええ、ありがとう。皆もそれでいいよね?」
「「「いいでーす」」」
「じゃあ、美味しい夕飯を作りましょ!」
「「「はーい!」」」
ここにいる娘たちは皆、本気で俺を心配してくれている。あんな奴らに係わるなと言い、心の支えになってくれようとしているのが感じ取れる。そんな良い娘たちに心配させるような事はできないし、したくない。
桜が言うように、今はこの娘たちの事だけ考えよう。
「あ! 菜奈、さっきは悪かった。ついカッとなって引っ叩いちゃった……ごめん」
「はい、兄様に初めて叩かれちゃいました。心も体も凄く痛かったです。叩いたところを撫でてくれないと許してあげません」
仕方ないので菜奈の頬を優しく何度も撫でてやった。周りで見ている娘たちは微笑ましいものを見るように見守ってくれているが、正直見世物になった気分で恥ずかしい。
「はい、じゃあ許して差し上げます。菜奈も考え無しに暴言を言ってしまいすみませんでした。そのせいで兄様にまで土下座をさせてしまいました。本当にごめんなさい」
こちらの世界に来てから、菜奈は以前にも増して俺に積極的に自分の感情をぶつけてくるようになった。あちらに居た時も好き好きアピールはしてきていたが、これほど顕著ではなかった。両親から離され死が身近に感じられるため、なにか吹っ切れたのかもしれない。
今日の夕飯もめちゃくちゃ旨かった。
美少女たちの最高に旨い手料理……これだけでも他の拠点の男どもに刺されてもおかしくないと思える。ぶっちゃけ俺にとって、この食事の時間は至福の時なのだ。毎回楽しみで仕方がない。部費2万円も納得だ。
「兄様どうですか?」
「美味し過ぎて思考が止まってしまう。美弥ちゃん先生が中学生に2万という高額の部費を容認してしまったのも頷ける」
「そうでしょ? そうよね! これは仕方ないよね? 先生の安月給から2万払っても惜しくなかったもん!」
まぁ、教師の給料は年功序列型だしね……若手の給料が安いのは皆知っている事だ。
「特にこの澄んだ、色の無い野菜スープなんなんだ? 凄くコクと甘みがあるのに、どんな調味料使ってるのかさっぱりわかんない。今まで飲んだ野菜スープの中で1番好きかもしれない」
「そのスープは綾と薫の合作ね」
綾ちゃんと薫ちゃんは俺に1番と言われて凄く嬉しそうだ。
「確かにこのスープは美味しいわね。煮込みスープじゃないところも評価できるしね。2人ともまた腕をあげたわね」
「えへへ、本当は3日ほどコトコト煮込んだ至高のスープを龍馬先輩に出したかったけど、残念ながらガスの節約をしないといけないからね。ちなみに調味料は塩だけです」
「え? 塩だけなの? 塩だけでこのコクと旨味が出るの?」
「コクと旨味は野菜とオークのお肉から出たものですね。オーク肉、予想以上にいろいろ使えます」
「話は変わるが桜よ、其方動画を見た後、茜や沙織にやたらとエッチな話を振っておったな?」
「ちょ! フィリア、龍馬君の居る前でそんな話しないでよ!」
「いや、龍馬がおるから妾は今言っておるのじゃ」
「怒るよ! 私を辱めようとするなんて酷いよ!」
「これこれ、勘違いするでない。其方近いのではないか? それ故いろいろ皆に聞いていたのではないか? もしそうなのだとしたら龍馬に一番に知らせるべき事案じゃぞ」
「……フィリア恐ろしい娘。フィリアの言うとおりよ。もうすぐ私、排卵周期に入るの。だから性欲とかエッチ関連が気になって茜や今現在排卵周期中の沙織にいろいろ聞いていたの。沙織を見る限り大丈夫そうだけど、やはり自分で一度体験するまでは不安ですからね」
「桜先輩……私、全然大丈夫じゃないですよ? 今すぐにでも龍馬先輩を押し倒したいぐらいです!」
「「「エッ!?」」」
皆が一斉にハモッてしまった。
正直沙織ちゃんの告白に1番驚いていたのが俺だ。
「これはダメじゃの。ちと夕食後に龍馬を縛っていろいろ検証するとするかのぅ」
なんか一方的に、夕食後俺を使って実験をする事になったようだ。唯一の男である俺が女子を襲わないかの検証らしい。当然この中に襲う男は俺しかいないので拒否権はないそうだ。
縛ってとか言ってるし、何されるのか凄く不安だ……。
突然の背中の痛みで目が覚めると、恐ろしい般若が俺を睨んでいる。そして目が合うと、その般若は再度俺を蹴りあげた……おっかない時の菜奈だ。
「菜奈何すんだ! 痛いだろうが! 俺が寝ているのを起こされるの嫌いなの知っててやったんだ、ちゃんと理由があるんだろうな!」
「沙織ちゃんの避妊処置を兄様がしたとはどういう事でしょう?」
俺はこの鬼に心臓を鷲掴みにされたような気分になった。
般若の面とは恨みや妬みや嫉妬に狂った女の顔だそうだ、まさに目の前にいる愛妹の顔がそうなのだろう、げに恐ろしい。
「菜奈違うんだ! あれは医療行為だ! 落ち着け!」
わらわらと俺の自室になってる華道室に人が集まってきた。
その中に泣きそうな顔で手を合わせて俺に謝罪をしている沙織ちゃんの姿が視界に入った。犯人は君なのね……亜姫ちゃんだったら凄く怒ったけど、当の本人なら仕方ない。でも美加ちゃんの事までは言ってないよね? でも俺が言って自爆もあり得るので、ここは黙って様子見かな。
「やったのですね! 中学2年の女子の子宮に指を入れたのですね! しかも亜姫ちゃんがやったと菜奈に嘘までついて!」
「指を入れたのは子宮じゃなくて膣だ! じゃなくて、あれは医療行為だって言っているだろ! それになんでお前に報告する義務があるんだ! 沙織ちゃんのプライバシーを勝手に話せる訳ないだろうが!」
「これ、菜奈も龍馬も下らない兄妹喧嘩をするでない!」
「下らないとはなんです! 兄様はエッチな行為をしていたのに菜奈に嘘を吐いたのですよ!」
「菜奈いい加減にしろよ。流石に俺も怒るぞ」
流石に長年俺のストーカーをしていただけあって、俺の本気の怒りを敏感に察したようだ。般若の顔が治まったと思ったら急に泣き出した……しかもわんわんと大きな声でマジ泣きだ。
「沙織の処置は龍馬がするのが正しかったのじゃ。排卵周期に入ってる沙織はおそらく何もしなければ100%に近い確率でオークの子を宿す。それほどオークの繁殖率は高いのじゃ。スキルレベルも魔力操作もあの時点では龍馬が1番じゃったじゃろ、失敗は許されないのじゃ。1%でも成功率が高い者がやるべき事ではないかの?」
「菜奈、先に言っておくが、もし今後この中の誰かがオークに犯されるような事があって、俺に避妊処置をしてほしいと頼んできたら俺はまたやるぞ」
「兄様! 私もオークに犯されてしまいました! 処置をお願いします!」
聞いた瞬間、俺は菜奈を引っ叩いた。
カッとなった俺は、結構本気でやってしまった。平手だが頬骨にヒビが入ったかもしれない。これまでにも菜奈とは何回も口喧嘩はしてきたが、俺が手をあげたのは今回が初めてだ。
菜奈は3mほど横に吹っ飛んで畳に打ち付けられた。すぐに起きようとしたのだが脳震盪を起こしたのだろう、その場にパタンと倒れてしまう。それを見た未来ちゃんはすぐ菜奈にヒールを飛ばそうとしたので、未来ちゃんに極力抑えたサンダーを飛ばしてヒールを強制的に解除させた。
菜奈は俺に初めて叩かれ、痛みより叩かれたという事実に驚いて愕然とした顔で俺を見ている。俺は菜奈に近寄り髪を掴んで畳に頭を擦り付けるように下げさせ一言だけ言った。
「沙織と美加に今すぐ心から謝れ!」
菜奈はハッとして俺の怒ってる理由が理解できたのか、自分の言った暴言がとんでもない失言だった事に気付いたようだ。
「沙織ちゃん美加ちゃんごめんなさい! 2人の気持ちも考えないで……えぐっ……ごめんなしゃい。ひぐっ」
菜奈は大泣きしながら土下座をして2人に謝っている。
とりあえず菜奈に中級回復魔法を掛けて、菜奈の隣に土下座して俺も一緒に謝った。
「美加、沙織、うちの妹がとんでもない暴言を言って悪かった。2人もこいつが悪気があって言ったんじゃないと解っているだろうけど、許してやってほしい」
「私は別に怒ってないですよ。でも菜奈ちゃんに少し言わせて。私は勝手に飛び出してトイレに行ってオークに犯されちゃったのだけど、たった数分だったけどとても痛かったし怖かった。もうあんな怖い思いはしたくない。菜奈ちゃんにも想像はできるでしょうけど、本当の恐怖は犯された当人しか分からないと思うの。それと同じように妊娠の恐怖も同じくらい怖かった。これも菜奈ちゃんには本当の恐怖は伝わらないと思うのよね。だからこの事で私と沙織や龍馬先輩に何か言うのは止めてほしいかな」
「え!? 美加ちゃんも兄様に処置されたのですか!?」
「あっ!」
美加ちゃんやっちゃったね……今更口を押さえてももう遅いよね。
「そうだけど! 本当に妊娠の恐怖は当人しか分からないわ! 少しでも成功の可能性が高い龍馬先輩に頼んで何が悪いのよ!」
「私は数分じゃなくて、龍馬先輩が助けてくれるまでに1時間ほど4頭のオークに代わる代わる何回も犯され続けました。肋骨も数本折られ、顔も何度も殴られ、どこが痛いのか解らないほどでした。何度ももう死ぬって思ったこらいです。怖いなんてものじゃないです。それに私は排卵周期に入っていたので確実に避妊がしたかったのです。だから恥ずかしかったけど龍馬先輩にお願いしました。この事で菜奈先輩が怒るなら龍馬先輩を怒るんじゃなくて私を怒ってください」
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「菜奈よ、先ほどの件は大丈夫なんじゃろうな? もはや無かった事にしてくれとか今更言わぬじゃろうな?」
「フィリア何の話だ?」
「クククッ、其方には秘密じゃ! じゃが楽しみにしておれ!」
俺にはピーンときた。
ふふふっ、フィリア解りやすいな。そんな言い方だとすぐ分かっちゃうぞ!
そうなのだ、もうすぐ俺の誕生日なのだ。11月23日勤労感謝の日が俺の誕生日だ。
今日が20日なので、後3日後だ。
「忘れてたよ、そういえばもうすぐだったね。楽しみにしているよ」
おやって顔をして、菜奈がフィリアに何やら耳打ちしている。
目の前でこそこそと……バレバレだって!
「そうか、その事も楽しみにしておれ」
「ん?」
「気にするでない、其方はただ楽しみに待っておればよい」
「ああ、解った。それで桜、もう井口さんの動画は見たのか?」
「ええ、見させてもらったわ。思っていたより酷かったです……」
「「龍馬先輩ごめんなさい」」
「優ちゃんもみどりちゃんも気にしなくていいよ。でも嫌な気分になっただろ? あんなもの皆に見せたくなかったんだけどな。それから皆にも言っておくけど、井口さんの事を悪く言うのもなしな。ちゃんと守ってやれなかった俺の責任も大きいから」
「兄様は悪くないです!」
「いや、強さが全てって訳じゃないけど、あの時守れるだけの強さや知力があればもう少し何か良い方法があったと思う。実際今なら皆を守る自信あるからな」
「龍馬君は他の拠点の人の事はもう考えないで。今ここにいる娘たちの事だけ考えてほしいわ」
「桜、どういう意味だ?」
「そのまんまよ。井口さんの事も佐竹の事も、龍馬君の担任の事も無視して私たちの事だけ考えて行動してほしいの。その過程で他の者が絡んできた時には龍馬君の好きにしてもらってもいいわ」
「俺の私怨は我慢して、皆の事だけ考えて行動しろって言うのか?」
「ぶっちゃけそうね。あの動画を見るまでは仕返しも仕方ないかなって思ってたのだけど。あんなくだらない人たちに龍馬君がこれ以上係わって気を病むのが我慢できないの。どうしてもって言うなら、今から私と菜奈と雅の3人で行って、龍馬君の望む部位を切り取ってきてあげるわ」
「ん! いい案! 桜と行ってくる!」
「桜先輩、それ良いですね! 兄様好きな部位を言ってください。なんでしたらチョッキン刑でもいいですよ!」
桜の奴、とんでもない事を言ってきた。
「はぁ~、分かったよ。お前たちがそこまで言ってくれるなら我慢できそうだ。恨みより嬉しさの方で俺の心が満たされるよ。でも佐竹の方から絡んできたら、俺が対処するからその時は手出ししないでほしい。決して俺からは仕掛けないようにする。それでいいか?」
「ええ、ありがとう。皆もそれでいいよね?」
「「「いいでーす」」」
「じゃあ、美味しい夕飯を作りましょ!」
「「「はーい!」」」
ここにいる娘たちは皆、本気で俺を心配してくれている。あんな奴らに係わるなと言い、心の支えになってくれようとしているのが感じ取れる。そんな良い娘たちに心配させるような事はできないし、したくない。
桜が言うように、今はこの娘たちの事だけ考えよう。
「あ! 菜奈、さっきは悪かった。ついカッとなって引っ叩いちゃった……ごめん」
「はい、兄様に初めて叩かれちゃいました。心も体も凄く痛かったです。叩いたところを撫でてくれないと許してあげません」
仕方ないので菜奈の頬を優しく何度も撫でてやった。周りで見ている娘たちは微笑ましいものを見るように見守ってくれているが、正直見世物になった気分で恥ずかしい。
「はい、じゃあ許して差し上げます。菜奈も考え無しに暴言を言ってしまいすみませんでした。そのせいで兄様にまで土下座をさせてしまいました。本当にごめんなさい」
こちらの世界に来てから、菜奈は以前にも増して俺に積極的に自分の感情をぶつけてくるようになった。あちらに居た時も好き好きアピールはしてきていたが、これほど顕著ではなかった。両親から離され死が身近に感じられるため、なにか吹っ切れたのかもしれない。
今日の夕飯もめちゃくちゃ旨かった。
美少女たちの最高に旨い手料理……これだけでも他の拠点の男どもに刺されてもおかしくないと思える。ぶっちゃけ俺にとって、この食事の時間は至福の時なのだ。毎回楽しみで仕方がない。部費2万円も納得だ。
「兄様どうですか?」
「美味し過ぎて思考が止まってしまう。美弥ちゃん先生が中学生に2万という高額の部費を容認してしまったのも頷ける」
「そうでしょ? そうよね! これは仕方ないよね? 先生の安月給から2万払っても惜しくなかったもん!」
まぁ、教師の給料は年功序列型だしね……若手の給料が安いのは皆知っている事だ。
「特にこの澄んだ、色の無い野菜スープなんなんだ? 凄くコクと甘みがあるのに、どんな調味料使ってるのかさっぱりわかんない。今まで飲んだ野菜スープの中で1番好きかもしれない」
「そのスープは綾と薫の合作ね」
綾ちゃんと薫ちゃんは俺に1番と言われて凄く嬉しそうだ。
「確かにこのスープは美味しいわね。煮込みスープじゃないところも評価できるしね。2人ともまた腕をあげたわね」
「えへへ、本当は3日ほどコトコト煮込んだ至高のスープを龍馬先輩に出したかったけど、残念ながらガスの節約をしないといけないからね。ちなみに調味料は塩だけです」
「え? 塩だけなの? 塩だけでこのコクと旨味が出るの?」
「コクと旨味は野菜とオークのお肉から出たものですね。オーク肉、予想以上にいろいろ使えます」
「話は変わるが桜よ、其方動画を見た後、茜や沙織にやたらとエッチな話を振っておったな?」
「ちょ! フィリア、龍馬君の居る前でそんな話しないでよ!」
「いや、龍馬がおるから妾は今言っておるのじゃ」
「怒るよ! 私を辱めようとするなんて酷いよ!」
「これこれ、勘違いするでない。其方近いのではないか? それ故いろいろ皆に聞いていたのではないか? もしそうなのだとしたら龍馬に一番に知らせるべき事案じゃぞ」
「……フィリア恐ろしい娘。フィリアの言うとおりよ。もうすぐ私、排卵周期に入るの。だから性欲とかエッチ関連が気になって茜や今現在排卵周期中の沙織にいろいろ聞いていたの。沙織を見る限り大丈夫そうだけど、やはり自分で一度体験するまでは不安ですからね」
「桜先輩……私、全然大丈夫じゃないですよ? 今すぐにでも龍馬先輩を押し倒したいぐらいです!」
「「「エッ!?」」」
皆が一斉にハモッてしまった。
正直沙織ちゃんの告白に1番驚いていたのが俺だ。
「これはダメじゃの。ちと夕食後に龍馬を縛っていろいろ検証するとするかのぅ」
なんか一方的に、夕食後俺を使って実験をする事になったようだ。唯一の男である俺が女子を襲わないかの検証らしい。当然この中に襲う男は俺しかいないので拒否権はないそうだ。
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ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。
小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。
本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。
お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。
その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。
次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。
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