女神様から同情された結果こうなった

回復師

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学園ロワイヤル編 1日目

1-1-13 チート無双?チートの極み?

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 どこかで1体攫ってから帰るので少し遅くなると菜奈にメールを送った。
 この【クリスタルプレート】画面にはちゃんとサイレント機能はあるのだが、もし戦闘中だと気が削がれるのでメールの返信はしないでくれと最後に一言添えててある。

 MAPで確認すると数カ所に3、4体で集まって群れからはぐれている奴らがいる。だが、重なるように人を示す光点もある。女の子が襲われているのだろう。助けられるのだが、どうしたものか今迷っている。

 助けるのを迷っている理由に、これ以上パーティーメンバーを増やしても、面倒みきれないというのがある。
 まだ美加ちゃんですら完全に救えていないのだ。

 皆のレベルアップをさせるのにも、彼女たちの直接戦闘は無謀だから一体一体オークを捕らえて殺させる必要がある。十数体それを用意しないといけないのだ……他者の事まで構っていては本当に助けたい者が危険に晒されてしまう。悪いが今は見なかった事にするしかない。助けるのならこちらの余裕ができてからだ。この場の感情で動いて、結局仲間全員飢えて死ぬとか無責任な事はできない。

『ナビー、完全に孤立して、オークだけで居る手頃な獲物はいないか?』
『……駐車場に6頭で移動中のオークがいます。正確にはゴブリンが5頭いますので11頭の集団です』

『11頭か……ちょっと多くない?』
『……シールドを張れば余裕かと思います。奇襲で先にオーク2頭倒せば残りはシルードが切れる前に倒せるはずです』

『そうだな、いけそうな気がしてきた』


 オークたちは駐車場から体育館の方に移動しているようだ。先回りして各種バフスキルを展開。おそらく先頭を歩いてるやつがパーティーのリーダーなのだろう。奴から倒すのが定石だな……隠密スキルのおかげか、すぐ近くの車の陰にいるのだが、まだ気付かれていない。

 横を通り過ぎようとした瞬間、先頭のリーダーの首に剣を突き刺す。剣を抜きながらすぐ後ろのオークの心臓付近を思いっきり後ろ蹴りで吹き飛ばす。槍持ちが構える前に袈裟切りで深手を負わせ、まだ抜剣前のオークの首を薙ぐ。この時点でやっと槍を持ったオークが構えを取った。

 もう1体のオークはまだ剣すら抜けてない。先にまだ抜剣してない無防備なオークの心臓に剣を突き入れ一撃で葬る。ゴブリンが2体向かってきたが頭を回し蹴りで蹴ったら首が変な方を向いて即死した。

 この時点でレベルが上がり白黒世界に変わり【クリスタルプレート】が現れる。


『ふぅー、怖かった!』
『……なにを言っているのですか? 掠り傷どころか剣さえまだ抜かせていないではないですか。お見事でした!』

『みろ、手足がガクブルだ! 怖い物はやっぱり怖い! 特に槍には恐怖を感じてしまう』
『……そういうものなのでしょうか? 私には五感がないので想像しかできません。ですが適度な緊張は必要ですが、恐怖は体を硬縮させ動きが断然鈍ります。十分お気を付け下さい』

『そうだな、残ってるオークは槍持ちとどいつだ? 蹴った奴かな?』
『……心臓を蹴った奴は即死でした。袈裟切りにした方がまだ生きていますが瀕死ですので、注意さえしていれば失血死で倒せるでしょう。残るは槍持ち1・瀕死オーク1・ゴブリン3ですね』

『ゴブリンは蹴りだけで死んだのか?』
『……【身体強化】で筋力が上がっていますし、マスターの攻撃力が高いので本気の蹴りは骨ごと粉砕できます。APに余裕ができたら【格闘術】を取るのもいいかもです。剣の間合い内に入られた時に、さっきのゴブリンのように倒せますからね』

『もう少し先の話だな』

 APに余裕があるし、強化と魔法の補充をしとこうかな。



  初級魔法
  ・【身体強化】Lv5→Lv6   
  ・【剣術】Lv5→Lv6
  ・【マジックシールド】Lv1→Lv3
  ・【プロテス】Lv1→Lv3
  ・【ファイアボール】Lv1、【サンダースピア】Lv1、【ヘイスト】Lv1、【フロート】

  生活魔法
  ・【ライト】

 取り敢えずこんなもんか、後はオリジナルだな。
 そういえば菜奈は【サンダーボール】の方を取っていたな。

 スピア系の方が威力はあるが、魔法発動後に着弾までの魔法誘導があまりできない。
 ボール系の方が誘導しやすく命中力に差が出るのだ。あと刺さるのと弾けるという違った特性もあるので余裕ができれば両方獲得したいところだ。

 さて、手の震えも治まったし、もうすぐ時間切れの30分になる。

 残党を狩りますかね。


 残りは現実世界にもどった瞬間に瞬殺だった……もう次元が違うと言っていい。
 シールドいる? ってぐらいの実力差があるのだ。

 だが、油断はしない……できる事はやっておかないとな。

 【魔法創造】
 1、【詳細鑑識】
 2、・人、物、武器、防具、道具、アイテム等の鑑定ができる
   ・ナビー経由で平均価格や相場がユグドラシルのデータから得られる
   ・【周辺探索】と併用する事によりMAPに人物名や魔獣名などが表記できる
   ・熟練レベルにより得られる情報が増える
   ・ナビーのサポートにより余計な情報はカットしてもらえる
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動

 体術系は結構強化できたので、次は魔法系だ。

  【魔法創造】
 1、【無詠唱】
 2、魔法を呪文の発動無く、イメージだけで発動できるようになる
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動


 【魔法創造】
 1、【並列思考】
 2、・思考を並列的に同時に行えるようになる
   ・熟練レベルにより同時思考できる数が増える
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動


 【魔法創造】
 1、【多重詠唱】
 2、・【並列思考】と【無詠唱】を使用する事により多重詠唱が行える
   ・熟練レベルにより多重詠唱できる数が増える
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動


 【魔法創造】
 1、【高速思考】
 2、・思考の高速化により魔法発動や考えが早くなる
   ・熟練レベルにより思考速度が上がる
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動


 【魔法創造】
 1、【ホーミング】
 2、・魔法にホーミング機能を付与する
   ・イメージした部位にピンポイントで当てられるようになる
   ・相手が避けても自動追尾で狙った箇所を当たるまで追いかける
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動



  【魔法創造】
 1、【自動拾得】
 2、・死亡させた魔獣や獣のインベントリ自動格納
   ・ドロップした武器やアイテムのインベントリ自動拾得
   ・魚やエビなどの小さな生物だった場合は食材や素材品のみ自動拾得可能とする
   ・人体は殺しても勝手に拾わない事
   ・歩いてて知らない間に殺した昆虫類も勝手に拾わない事
   ・ON・OFFできる
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動


 【魔法創造】
 1、【音波遮断】
 2、・空間魔法、時空魔法、風魔法の併用で指定した空間内の音を操れる
   ・空間内の音をエリア外に漏らさない
   ・空間内に外の音を入れないない
   ・外部の音は選択して取り入れ可能
   ・発動時間の調整ができる
   ・任意に解除できる
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動


『……次から次へと、よくもまぁそんなずるいスキルを思いつきますね。マスターの世界のゲームとやらにあるのですか?』

『いやいや、無いから! 有るモノもあるけど、【経験値増量】こんなの課金アイテム以外で見つかったら、ゲームマスターが速攻飛んできてアカウント停止にされちゃうから。【自動拾得】とかあるけど大抵は課金でペット買わせてそいつが拾うようになる』

『……スキルを獲得するのにお金が要るのですか? 世知辛い世界なのですね』
『そうですね……』



 その後、1時間ほど狩りまくって種族レベルも9になっている。もうキングも単体でなら余裕だそうだ。

 でもどうしようかな。未だに周りでは女の子が襲われている。
 一度皆と相談して今後の方針を決めた方が良いかも知れない……10頭ほど捕まえて一度戻るか。


 【魔法創造】
 1、【魔力感知】
 2、・周囲の魔力を感知できるようになる
   ・【周辺探索】に連動させ表示できる
   ・ゴーストや擬態や隠形などで姿を隠している敵も発見できる
   ・体の魔力の流れを見ることができる
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動


  【魔法創造】
 1、【魔力操作】
 2、・体の魔力の流れを操作できるようになる
   ・魔力の流を良くし疲労回復や傷の治りを早くすることができる
   ・魔力の流を良くしHP・MP回復を早くすることができる
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動


 【魔法創造】
 1、【ボディースキャン】
 2、・体をスキャニングし異常個所を詳細に分析する事ができる
   ・魔力の流れをより詳細に見れるようになる【魔力感知】のレベルが反映される
   ・スキャニングした詳細はタブレットや網膜上に表示できる
   ・表示はスキャン対象の人型模型に色別で表示され横に異常状態や病名が注釈される
   ・赤色:生命に危険水準、すぐに対処が必要なレベル
   ・黄色:何らかの状態異常中、対処が必要なレベル
   ・桃色:何らかの状態異常中、危険はないが注意は必要なレベル
   ・黒色:魔力の流れが滞亭っている箇所
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動 


 【魔法創造】
 1、【アクアフロー】
 2、・体の魔力の流れを操作し、滞りのある場所の流れを良くする
   ・魔力の流を良くし疲労回復や傷の治りを早くすることができる
   ・魔力の流を良くしHP・MP回復を早くすることができる
   ・ヒール魔法を魔力の流れに練り込み体に浸透させることができる
   ・痛みを軽減しリラックス効果を与える
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動 


   【魔法創造】
 1、【魔糸】
 2、・魔力で創りだした魔法糸、魔力で操作できる
   ・この糸に捕まると本来の力の1/10になる
   ・MPドレイン効果があり、拘束された者はスキルが発動できなくなる
   ・効果は俺が糸を持っている時のみ発揮される
   ・糸の発動時間は込めた魔力量に比例する
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動


  【魔法創造】
 1、【魔枷】
 2、・魔力で創った枷で拘束できる
   ・枷に拘束された者は魔力を散らされ、スキルが発動できなくなる
   ・枷で捕まると本来の力の1/10になる
   ・枷の発動時間は込めた魔力量に比例する
 3、イメージ
 4、【魔法創造】発動



 捕縛系のスキルを創った。これで捕らえて生きたまま連れて帰れるな。
 丁度、今、裏山付近に15頭いる……纏めて捕らえるか。

 向かったのだが、食料調達要員のようだ……肩に1人ずつ人間を担いでいる。高等部の男子生徒のようだが見知った顔はいない。MAPに光点が出ない事から皆すでに殺されているのが分かる。

 無詠唱で【サンダースピア】を10個、自分の周りに衛星のように周回させる。見た目ではリング状に10個の光の槍が斜めに廻っているように見える。多分超かっこいいと思う……菜奈に自慢してやろう。

「ヘイ! オークども御用だ!」

 敢えて声を出してこちらに気付かせた。
 そして背中の担いでる死体を放り投げ襲ってくる順に【サンダースピア】を落としていく。

 雷の筋硬縮で麻痺したら【魔糸】を操作して縛っていく。ちょっとまだ練習がいるな、手際が良いとは言えない。

 【サンダースピア】を4つ落としてしまったオークは死んでしまい、結局捕らえたのは11頭だった。
 【魔糸】の効果でかなり弱くなってるが、一応手と足に【魔枷】も嵌めてエビゾリ状態の姿勢に縛りあげている。

『……マスター、そんなに捕まえても、どうやって拠点まで運ぶのですか? 【インベントリ】は生き物は入れられないのですよ?』

『うん? こうやるんだよ【フロート】11連発動! ほら、浮かせて【魔糸】で引っ張ればフヨフヨ浮いて付いてくるだろ。摩擦が無いから引っ張っても力もそんなに要らないしね』

『……まぁ!』

 まぁ! の意味が解らなかったが、納得してくれたようだ。
 さぁ、帰りますかね。


 戻ってる最中に、別館と中等部の通路の脇で4体のオークに襲われている女子生徒を見かけた。
 これまで同様見ない振りでいこうと思っていたのだが、その彼女と目が合ってしまった。

 叫んで助けを求めてくるかと思ったが、彼女は俺からスッと視線を逸らし目を閉じた。死を覚悟した者の顔をしていた……俺を巻き込まないように視線を外したのだ。

 俺の体は勝手に彼女の下に駆けていた。【魔糸】を飛ばしオークどもを引きずり倒し蹴りまくってた。
 1体が死んでしまったが、残る3体は捕らえた。もう、剣も抜かず、【魔糸】だけで4体相手に勝てるぐらい強くなっているのだ。

「大丈夫か? 【アクアヒール】【クリーン】生きる気力はあるか?」

 ヒールをしながら質問した。

「ありがとう。もうダメかと思った……質問の意味はどういう事ですか?」
「さっき俺から視線を逸らせたとき、生きるのを諦めたろ? 俺を逃がすためか、オークに穢されて生きる気力を無くしたのか判断できないのでね」

「まだ死にたくないです。化け物が4匹もいたので関係ない人を巻き込んじゃいけないと思って……」

「ああ、やはりそうか。そんな気がしたから助けたんだな……君は生きたいのならこいつらを殺す必要があるんだけどできるか? 1体殺せばレベルが上がって、俺のように強くなっていける。最低1体倒さないとこの世界での生は許されないんだ。生きたいならそいつをこの槍で殺すんだ! 心臓を突けばいい。レベルが上がると神の部屋に行けるから、【クリスタルプレート】でいろいろ情報が見られる。俺の言ってることは今一解らないだろうが、殺せば向こうで理解できるまで過ごしてくればいい」

「殺せば理解できるのですね?」

 彼女は槍を構え、躊躇なく心臓に突き刺した。
 2回ほど刺しているのを眺めていたら急に声を掛けてきた。

「戻りました! びっくりです!」
「俺の方も君のテンションにびっくりだよ!」

「スキルを覚えてきました! 魔法使いですよ! リアルサリーちゃんです!」
「サリーちゃんって古くない? それに君、全裸だよ? 恥ずかしくないの? 可愛いおっぱいとか見えてるんだけど、寒くない?」

「きゃ! あわわ、あっち向いてください!」

 俺はインベントリから毛布を出して巻き付けてあげた。

「ありがとうございます。見ましたよね?」
「あれだけの時間だ……見ていないとか大嘘通用しないだろ? オークの事も裸の事も、事故だと思って忘れろ。沢山人が死んでいる……辛いかもだけど、生きているだけマシだと思う事だ。お前、仲間とかいないのか?」

「夕飯を食べに友達と食堂にいたのですが、こいつらがやってきて皆、散り散りに逃げたのです。寮の方からも悲鳴が聞こえてて、私は茶道部なので、まだひょっとしたら先輩が残ってないかと思って人気の少ない別館の方に来たのですが、そこの通路で見つかっちゃって。最初は1体だったのに、私の悲鳴で集まってきて気が付けば4体になってました」

「未来ちゃんの後輩か……仕方ない、付いてくるか?」
「未来先輩の事知っているんですか? それに仕方ないって、今更見捨てないでくださいよ?」

「未来ちゃんは、今、俺が保護している。俺の指示に従えるなら連れて行ってあげるけどどうする?」
「従います! 付いていきます! 裸でここに置き去りは嫌ですよ!」

「体は大丈夫なのか?」
「正直あっちこっち凄く痛いです。でも大丈夫です! 【治癒】魔法を覚えてきました!」

「少し声が大きいぞ。オークがまた来る」
「あわわ、ごめんなさい」

 動けないならもう一度ヒールを掛けて、上で支援組のC班に回復魔法を取らせたのちに、全快させるつもりだったが、自分で回復魔法を獲得してきたのならその必要もなさそうだな。


「治癒と他に何を取ってきたんだ?」

「【ファイアボール】と【アクアボール】です。後【治癒】をLv2にしました」

「魔法使いね。まぁ、一度皆の所に行こうか。他に14人いるからそこで詳しく説明する」
「そんなにいるんですね……あの、後ろのオークは殺さないのですか?」

「上で待ってる娘たちの贄にする為に捕らえてきた。レベル0状態だと魔素で皆、死んじゃうんだよ。とりあえず行くぞ」

「はい、私は中等部2年の間宮沙織です。助けてくれてありがとうございました。よろしくお願いします」
「俺は、高等部1年の小鳥遊龍馬だ。よろしくね。移動前に自分で回復するんだぞ?」

 美少女なうえに、礼節を弁えたしっかりした娘だ。
 人を巻き込まないように視線を外すとか中々できる事じゃない……こういう娘は好感が持てる。

 お互いに自己紹介をし、2時間ぶりに拠点の倉庫に帰還するのだった。
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