158 / 184
商都フォレスト編
3-4 奴隷事情?元家令の男?
しおりを挟む
現在俺は奴隷商に向かっている。国側の間者を受け入れない為の事前策として、自分で必要な人材を確保することにしたのだ。正直あまり良い気分ではない。金で人の一生を買うとか、日本人の感覚からすれば考えられない事だ。エリスは奴隷商に向かうと言ったあたりから落ち着きがなくなっている。どうやら売られるんじゃないかと内心ビクビクしてるようだ。偶然街で会わなかったら、そのまま売られていたのだから仕方ないのかもしれない。ある意味、運の良い娘なのかも……。
奴隷商は繁華街の裏路地にあるらしく、現在表通りを歩いているのだが、煌びやかでウキウキする。綺麗な露出度の高いお姉さんが一杯居て、建物の窓から笑顔で手を振っているのだ。営業スマイルと分かっていても、美少女の微笑みはいいものだ。
雰囲気は昔の遊郭って感じかな……でも女性の方から声を掛けるのは禁止なようで、声掛けは呼び込み専属の男が各店に1人いるみたいだ。
俺がキョロキョロ女性を物色しているのに気付いている菜奈と雅の視線が痛いが、こういう場に初めて足を踏み入れた俺からしたら興味が尽きない。
高級そうな店に並んでいる女性は、やはり綺麗どころを揃えているようだ。
「エリス、お前ならあの高級店に並んでもダントツ1位だな」
「ご、ご主人様お許しください! 心を入れ替えて一生懸命働きますので、娼館だけはお許しください!」
冗談のつもりだったのだが、冗談になってなかったようでマジ泣きされてしまった。
「兄様……今のは酷すぎます」
「ん、龍馬は時々シャレになんない……」
「エリス、ごめん冗談のつもりだったんだ……人並みに働いている限り売ったりしないから、そう心配するな」
気まずくなったので、さっさと奴隷商に行くことにした。
「いらっしゃいませ。どのような御用件ですかな?」
恰幅の良い50代ぐらいの男が店番をしていて話しかけてきた。俺をチラリと見た後、後ろに居る菜奈と雅とエリスを舐めまわすように見ている。
『……マスターの事を買い手ではなく、同業の若い売り手と思ったようですね』
『つまり、女の品定めを既に始めているって事か……』
「ああ、奴隷を見せてもらおうかと思ってね」
「どのような奴隷がご必要でしょうか? 条件に見合ったものをお連れ致しましょう」
『……買い手と解ると、今度はかなりの金持だと思ったようです……エリスの首の奴隷紋を見て、菜奈と雅も奴隷と思ったようで、美少女を3人も所持している、かなりの金持の好色家と判断したようです。しかもマスターの事をロリっ子好きな変態だと思っていますね……くくくっ……』
どうやら貴族のボンボンが金にモノを言わせて美少女を買い漁っているのだと思ったようだ。しかも俺の事はロリ専と判断されたみたいだ……。
『ムカつく奴だな……奴隷の条件はどうしようかな……セシルの母親を名指しで呼び出すか?』
『……それはお止め下さい。欲しい相手が居ると思われたら、相場より高めの金額を提示されてしまいます』
『そりゃそうか……』
「条件か……そうだな……礼儀作法がしっかりした者を取り敢えず何人か見せてもらえるか?」
「礼儀作法でございますか? もう少し具体的な情報がほしいですね……男性か女性か、あと年齢とか、性対象の女性なら処女か非処女とかでも随分お値段が変わってきます」
どうやらアバウトすぎたようだ……やっぱり俺を好色ロリと思っているようだ。
・男女、年齢は問わない
・貴族の礼儀作法に詳しい者
・終身奴隷であること
・借金奴隷は良いが犯罪奴隷はNG
・処女性は問わない
『おや?』って顔をしてやがる……ムカつく。俺が男を買うのがそんなにおかしいか!
「それでは、こちらの椅子にお掛け下さってお待ちください」
「おい、妹とその友人にも椅子を用意しろ。お前、こいつらを侍女や奴隷と思っているのか?」
「失礼いたしました! そちらの美しい女性の奴隷紋が見えたものですから、てっきり他の方もそうなのだと誤解しておりました。お許しくださいませ!」
もし俺が貴族だとしたら、その家族を奴隷と同じ扱いをしたとなると侮辱罪にあたる行為だ。少し横柄な喋り方をして、貴族っぽく振る舞ってみてはいるが、どうやらそれっぽく見えているようだな。相手の思い込みだが、これで少し交渉がしやすくなった。
部屋の広さから、一度に見せるのは10人ずつのようだ。
最初に連れてきたのは全員女子……しかも5歳児から16歳ぐらいの比較的可愛い少女ばかりだ……。
あからさまで腹立たしかったが、それよりもこんな幼女が既に一生を奴隷として決まってしまっている事が不憫でならなかった。
菜奈や雅も声にならないため息を出していた……2人を連れてくるんじゃなかったな。
「おい、俺の出した条件を忘れたのか? 貴族の礼儀作法に詳しい者だと言っただろう」
「ええ、承知しております。その子は元子爵家のご令嬢で、幼いながらも最低限の貴族の振る舞いは承知しているようです」
例のセシル一家を破産させた子爵家の者だったか……親の借金のせいでこんな子供まで……。
「俺は後ろに居る元農家の娘に、貴族の侍女のような礼節を指導できるような人材が欲しいのだ」
「その娘が農家の娘なのですか? 日焼跡すらないので、とても農業に従事していた者には見えませぬが……健康そうに見えますが、病弱だったのでしょうか……」
エリスは、家族に売られてから自分の愚かさを痛感させられている……行く先々で農家の娘に見えないと言われれば、自分がいかに怠惰に暮らしていたか……そして家族に負担を掛けていたか……また涙目になっている。
「この娘の事はいい……それより条件に見合った人を見せてくれ」
「ええ、承知しています。お時間が宜しければ、是非見ておいて損はしないお薦めの子たちなのです」
商人は彼女たちを見て手を2回叩いた。
そしたら、彼女たちは着ている貫頭衣のような物を一斉に脱いだ……下着はつけておらず、全員素っ裸だ。
おお! パラダイス!
「兄様、見てはなりません!」
「ん、みちゃダメ!」
「妹様、失礼ですが、奴隷の品定めの為には必ず行うものなのですよ?」
「ああ、当然だ。人材を買うのに、痩せ細った不健康で病弱な使えない者を買わされてはたまったものじゃないからな」
「ええ、その通りでございます。健康状態は勿論、性の対象にするなら火傷や傷の有無、好みによっては乳房の大きさや、乳首や乳輪の色やサイズまで拘る方もいらっしゃいます。買った後に脱がせてみて気に入らないと、不当に甚振られては可哀想ですからね。当店では事前にしっかりと品定めをしていただいております」
お触りは禁止のようだが、両手を横に広げさせて前、後ろ横と、奴隷商人の指示に従って全身をくまなく見せてくれる。
5歳児の子と8歳ぐらいの子以外は、羞恥に頬を染めていた。菜奈と雅には鬼畜を見るような目で睨まれてしまったけどね。
奴隷商人は順番に年齢と簡単なプロフィールを、手に持った紙を見ながら説明していき、首に数字の入ったプラカードを下げさせていく。後で気に入った子の番号を言えば再度ゆっくり検討できる仕組みのようだ。
「この中にお好みの子はいなかったでしょうか?」
「いない事もないが、他の者も見たい。条件に見合ったものは後何人居るのだ?」
「そうですね……女性が7人、男性が6人でございます。実は半月ほど前に、ある子爵家が開拓事業に失敗して結構な人数の者が借金奴隷になりまして、今うちでもいい人材が揃っているのですよ。お手頃の子は何人か既に売れてしまいましたが、この子たちはわたくしのお薦めでございます」
最初に見た者のうち4名が子爵家の関係者だった。そこで働いていた終身奴隷も、子爵家の家財として売られてしまうようだ。期間が決まっている契約奴隷として働いていた者は免責されるのだそうだ。
【奴隷紋】の更新の事もあったので、奴隷について商人から詳しく聞いてみた。
【奴隷紋】というのは首の周りに、円環状に鎖の刺青が浮き上がる魔法で、この魔法で対象者を縛る事になるのだ。縛る程度は奴隷のランクによって変わってくる。
終身奴隷A(刑期無期限の重犯罪者)>終身奴隷B(事実上返済不可能な額の負債・弁償・借金など)>犯罪奴隷(刑期年数)>借金奴隷(返済まで期日なし)>契約奴隷(個人によって細かく内容は変わる)
うちのアルヴィナとルフィーナは本当は盗賊に攫われた子なので、売買は違法なのだ。裏取引から始まって、何箇所か奴隷商を経由され、最終的には正規ルートで高額で売りに出されたのだ。なんだかんだで不当に売り捌く抜け道はあるみたいで、人攫いは後を絶たないそうだ。
終身奴隷・犯罪奴隷・借金奴隷に基本人権はない……物として扱われるのが普通だ。
終身奴隷は生きる権利まで購入者に委ねられる……主に重犯罪者が多いため、被害に遭った家族が買い取り、家族の手により公開処刑が行われたりもする。
犯罪奴隷と借金奴隷は、命と寝食の最低保証はされるが、労働に対して何をさせられても文句は言えない。男の殆どは鉱山や土木作業の一番過酷で危険な場所に配属されることになる。女の場合、若くてそれなりに可愛ければ娼館が買って娼婦にされる。可愛くなければ、同じく重労働で長期の労働が待っている。犯罪奴隷は刑期が終えるまで、借金奴隷は職種は選べないうえで返済が終えるまでの期間強制労働する事になる。
契約奴隷だけはハローワーク的なもので、雇用主と条件が合えば、その内容で契約して雇われるだけのようだ。
「ありがとう。大体理解できた。先に男の方を見せてくれるか?」
「かしこまりました」
6人部屋に入ってきたのだが……1人あきらかに雰囲気の違う異質な存在が居る。どうやらこの人がナビーお薦めの人だろう。奴隷商人の説明を聞いていたのだが、国の制度が理解できない。
「その男は子爵家の家令をしていただけなのだろう? しかも子爵家の奴隷ではなく準男爵の称号を得ているのに、一緒に奴隷に落とされたのか?」
「家令だからこそです。家令とはその家の取り纏め役みたいな立場の者です。家令がしっかりしていれば、家が傾くこともございますまい……主を支えるとても責任のある立場です」
「では、この者が無能ゆえ、子爵家がお取り潰しになったのだな?」
奴隷商人は『しまった!』という顔をしている……無能な人材を高くは売れないからね。
「いえいえ、その者は執事としてだけではなく、見てのとおり護衛としても有用です。きっとお役にたつでしょう」
目の前で裸になっているのだが……この人現役の戦士だ……いや騎士か……。
菜奈たち女子3人には隣の商談室に行ってもらっている。流石にお年頃の娘に男の全裸を見せるのはどうかと思ったからだ。菜奈も雅も裸くらい見ても全然平気だとは思うけどね。
白髪交じりの66歳のじいさんなのだが、脱いだら筋肉隆々で引き締まった凄い体をしていた。種族レベルはなんと47、ダリルやレイラさんたちより遥かに強い。
他に子爵家の庭師の男もいたが、貴族の礼節は知らないようだ。
「その2番の者を残して、残りの7人を見せてくれ」
いよいよ本命が見れそうだ。
奴隷商は繁華街の裏路地にあるらしく、現在表通りを歩いているのだが、煌びやかでウキウキする。綺麗な露出度の高いお姉さんが一杯居て、建物の窓から笑顔で手を振っているのだ。営業スマイルと分かっていても、美少女の微笑みはいいものだ。
雰囲気は昔の遊郭って感じかな……でも女性の方から声を掛けるのは禁止なようで、声掛けは呼び込み専属の男が各店に1人いるみたいだ。
俺がキョロキョロ女性を物色しているのに気付いている菜奈と雅の視線が痛いが、こういう場に初めて足を踏み入れた俺からしたら興味が尽きない。
高級そうな店に並んでいる女性は、やはり綺麗どころを揃えているようだ。
「エリス、お前ならあの高級店に並んでもダントツ1位だな」
「ご、ご主人様お許しください! 心を入れ替えて一生懸命働きますので、娼館だけはお許しください!」
冗談のつもりだったのだが、冗談になってなかったようでマジ泣きされてしまった。
「兄様……今のは酷すぎます」
「ん、龍馬は時々シャレになんない……」
「エリス、ごめん冗談のつもりだったんだ……人並みに働いている限り売ったりしないから、そう心配するな」
気まずくなったので、さっさと奴隷商に行くことにした。
「いらっしゃいませ。どのような御用件ですかな?」
恰幅の良い50代ぐらいの男が店番をしていて話しかけてきた。俺をチラリと見た後、後ろに居る菜奈と雅とエリスを舐めまわすように見ている。
『……マスターの事を買い手ではなく、同業の若い売り手と思ったようですね』
『つまり、女の品定めを既に始めているって事か……』
「ああ、奴隷を見せてもらおうかと思ってね」
「どのような奴隷がご必要でしょうか? 条件に見合ったものをお連れ致しましょう」
『……買い手と解ると、今度はかなりの金持だと思ったようです……エリスの首の奴隷紋を見て、菜奈と雅も奴隷と思ったようで、美少女を3人も所持している、かなりの金持の好色家と判断したようです。しかもマスターの事をロリっ子好きな変態だと思っていますね……くくくっ……』
どうやら貴族のボンボンが金にモノを言わせて美少女を買い漁っているのだと思ったようだ。しかも俺の事はロリ専と判断されたみたいだ……。
『ムカつく奴だな……奴隷の条件はどうしようかな……セシルの母親を名指しで呼び出すか?』
『……それはお止め下さい。欲しい相手が居ると思われたら、相場より高めの金額を提示されてしまいます』
『そりゃそうか……』
「条件か……そうだな……礼儀作法がしっかりした者を取り敢えず何人か見せてもらえるか?」
「礼儀作法でございますか? もう少し具体的な情報がほしいですね……男性か女性か、あと年齢とか、性対象の女性なら処女か非処女とかでも随分お値段が変わってきます」
どうやらアバウトすぎたようだ……やっぱり俺を好色ロリと思っているようだ。
・男女、年齢は問わない
・貴族の礼儀作法に詳しい者
・終身奴隷であること
・借金奴隷は良いが犯罪奴隷はNG
・処女性は問わない
『おや?』って顔をしてやがる……ムカつく。俺が男を買うのがそんなにおかしいか!
「それでは、こちらの椅子にお掛け下さってお待ちください」
「おい、妹とその友人にも椅子を用意しろ。お前、こいつらを侍女や奴隷と思っているのか?」
「失礼いたしました! そちらの美しい女性の奴隷紋が見えたものですから、てっきり他の方もそうなのだと誤解しておりました。お許しくださいませ!」
もし俺が貴族だとしたら、その家族を奴隷と同じ扱いをしたとなると侮辱罪にあたる行為だ。少し横柄な喋り方をして、貴族っぽく振る舞ってみてはいるが、どうやらそれっぽく見えているようだな。相手の思い込みだが、これで少し交渉がしやすくなった。
部屋の広さから、一度に見せるのは10人ずつのようだ。
最初に連れてきたのは全員女子……しかも5歳児から16歳ぐらいの比較的可愛い少女ばかりだ……。
あからさまで腹立たしかったが、それよりもこんな幼女が既に一生を奴隷として決まってしまっている事が不憫でならなかった。
菜奈や雅も声にならないため息を出していた……2人を連れてくるんじゃなかったな。
「おい、俺の出した条件を忘れたのか? 貴族の礼儀作法に詳しい者だと言っただろう」
「ええ、承知しております。その子は元子爵家のご令嬢で、幼いながらも最低限の貴族の振る舞いは承知しているようです」
例のセシル一家を破産させた子爵家の者だったか……親の借金のせいでこんな子供まで……。
「俺は後ろに居る元農家の娘に、貴族の侍女のような礼節を指導できるような人材が欲しいのだ」
「その娘が農家の娘なのですか? 日焼跡すらないので、とても農業に従事していた者には見えませぬが……健康そうに見えますが、病弱だったのでしょうか……」
エリスは、家族に売られてから自分の愚かさを痛感させられている……行く先々で農家の娘に見えないと言われれば、自分がいかに怠惰に暮らしていたか……そして家族に負担を掛けていたか……また涙目になっている。
「この娘の事はいい……それより条件に見合った人を見せてくれ」
「ええ、承知しています。お時間が宜しければ、是非見ておいて損はしないお薦めの子たちなのです」
商人は彼女たちを見て手を2回叩いた。
そしたら、彼女たちは着ている貫頭衣のような物を一斉に脱いだ……下着はつけておらず、全員素っ裸だ。
おお! パラダイス!
「兄様、見てはなりません!」
「ん、みちゃダメ!」
「妹様、失礼ですが、奴隷の品定めの為には必ず行うものなのですよ?」
「ああ、当然だ。人材を買うのに、痩せ細った不健康で病弱な使えない者を買わされてはたまったものじゃないからな」
「ええ、その通りでございます。健康状態は勿論、性の対象にするなら火傷や傷の有無、好みによっては乳房の大きさや、乳首や乳輪の色やサイズまで拘る方もいらっしゃいます。買った後に脱がせてみて気に入らないと、不当に甚振られては可哀想ですからね。当店では事前にしっかりと品定めをしていただいております」
お触りは禁止のようだが、両手を横に広げさせて前、後ろ横と、奴隷商人の指示に従って全身をくまなく見せてくれる。
5歳児の子と8歳ぐらいの子以外は、羞恥に頬を染めていた。菜奈と雅には鬼畜を見るような目で睨まれてしまったけどね。
奴隷商人は順番に年齢と簡単なプロフィールを、手に持った紙を見ながら説明していき、首に数字の入ったプラカードを下げさせていく。後で気に入った子の番号を言えば再度ゆっくり検討できる仕組みのようだ。
「この中にお好みの子はいなかったでしょうか?」
「いない事もないが、他の者も見たい。条件に見合ったものは後何人居るのだ?」
「そうですね……女性が7人、男性が6人でございます。実は半月ほど前に、ある子爵家が開拓事業に失敗して結構な人数の者が借金奴隷になりまして、今うちでもいい人材が揃っているのですよ。お手頃の子は何人か既に売れてしまいましたが、この子たちはわたくしのお薦めでございます」
最初に見た者のうち4名が子爵家の関係者だった。そこで働いていた終身奴隷も、子爵家の家財として売られてしまうようだ。期間が決まっている契約奴隷として働いていた者は免責されるのだそうだ。
【奴隷紋】の更新の事もあったので、奴隷について商人から詳しく聞いてみた。
【奴隷紋】というのは首の周りに、円環状に鎖の刺青が浮き上がる魔法で、この魔法で対象者を縛る事になるのだ。縛る程度は奴隷のランクによって変わってくる。
終身奴隷A(刑期無期限の重犯罪者)>終身奴隷B(事実上返済不可能な額の負債・弁償・借金など)>犯罪奴隷(刑期年数)>借金奴隷(返済まで期日なし)>契約奴隷(個人によって細かく内容は変わる)
うちのアルヴィナとルフィーナは本当は盗賊に攫われた子なので、売買は違法なのだ。裏取引から始まって、何箇所か奴隷商を経由され、最終的には正規ルートで高額で売りに出されたのだ。なんだかんだで不当に売り捌く抜け道はあるみたいで、人攫いは後を絶たないそうだ。
終身奴隷・犯罪奴隷・借金奴隷に基本人権はない……物として扱われるのが普通だ。
終身奴隷は生きる権利まで購入者に委ねられる……主に重犯罪者が多いため、被害に遭った家族が買い取り、家族の手により公開処刑が行われたりもする。
犯罪奴隷と借金奴隷は、命と寝食の最低保証はされるが、労働に対して何をさせられても文句は言えない。男の殆どは鉱山や土木作業の一番過酷で危険な場所に配属されることになる。女の場合、若くてそれなりに可愛ければ娼館が買って娼婦にされる。可愛くなければ、同じく重労働で長期の労働が待っている。犯罪奴隷は刑期が終えるまで、借金奴隷は職種は選べないうえで返済が終えるまでの期間強制労働する事になる。
契約奴隷だけはハローワーク的なもので、雇用主と条件が合えば、その内容で契約して雇われるだけのようだ。
「ありがとう。大体理解できた。先に男の方を見せてくれるか?」
「かしこまりました」
6人部屋に入ってきたのだが……1人あきらかに雰囲気の違う異質な存在が居る。どうやらこの人がナビーお薦めの人だろう。奴隷商人の説明を聞いていたのだが、国の制度が理解できない。
「その男は子爵家の家令をしていただけなのだろう? しかも子爵家の奴隷ではなく準男爵の称号を得ているのに、一緒に奴隷に落とされたのか?」
「家令だからこそです。家令とはその家の取り纏め役みたいな立場の者です。家令がしっかりしていれば、家が傾くこともございますまい……主を支えるとても責任のある立場です」
「では、この者が無能ゆえ、子爵家がお取り潰しになったのだな?」
奴隷商人は『しまった!』という顔をしている……無能な人材を高くは売れないからね。
「いえいえ、その者は執事としてだけではなく、見てのとおり護衛としても有用です。きっとお役にたつでしょう」
目の前で裸になっているのだが……この人現役の戦士だ……いや騎士か……。
菜奈たち女子3人には隣の商談室に行ってもらっている。流石にお年頃の娘に男の全裸を見せるのはどうかと思ったからだ。菜奈も雅も裸くらい見ても全然平気だとは思うけどね。
白髪交じりの66歳のじいさんなのだが、脱いだら筋肉隆々で引き締まった凄い体をしていた。種族レベルはなんと47、ダリルやレイラさんたちより遥かに強い。
他に子爵家の庭師の男もいたが、貴族の礼節は知らないようだ。
「その2番の者を残して、残りの7人を見せてくれ」
いよいよ本命が見れそうだ。
10
お気に入りに追加
8,870
あなたにおすすめの小説
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
神様との賭けに勝ったので異世界で無双したいと思います。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。
突然足元に魔法陣が現れる。
そして、気付けば神様が異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
もっとスキルが欲しいと欲をかいた悠斗は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―――
※チートな主人公が異世界無双する話です。小説家になろう、ノベルバの方にも投稿しています。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる