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第三章
開放宣言 2
しおりを挟むやっとの思いで登って来た階段を、綾は再び降りていた。桐真に言われた通りにするのは悔しいが、目指す場所は中庭である。
正門を向かいに、ぐるっと中庭を囲むように建っている校舎はどこへ向かうにせよ中庭を通過するのが一番近い道のりになる。
生徒たちが日頃学ぶ教室がある第一棟と、理科など移動を伴う特殊教室のある第二棟。職員室や応接室などは第三棟にあり、部室や生徒会室など生徒主導で自由に使える部屋が第四棟に並んでいる。
第一棟から第三棟までは、たしかに中庭を通るのが最も最短ルートなのだ。
中庭は季節をよく感じられる良い場所で、今日も清々しい風が吹き抜けている。爽やかな初夏の季節に相応しく、午前中のまだ優しい日差しと影が心地よい。
様々な生徒たちがここを利用していて、綾もお気に入りの場所だ。
昼食を摂ったり、恋人同士で語り合ったり。疲れた時は昼寝をしたり、授業をさぼって情事にふける、不真面目な男子たちの溜まり場だったり--
「りょーうちゃん!」
「え、んぐっ!?」
名前を呼ばれて振り返った、その瞬間綾は後ろから抱きすくめられ、物陰に連れ込まれていた。
「どぅもぉ。ハジメマシテ!」
「アハ、やっぱりかわいー顔してる!わけわかんないって感じ、いいねぇー!」
「なぁ、ほんまにええんやろな?ちゃんと確認とったか?」
--な、なに、なに、なに…ッ!
何が起こったか分からずに、綾は目の前の顔を見つめた。
茶髪の童顔、ショートヘアのスポーツマン。後ろから押さえ込んでいる人間の顔は分からないが、身じろぎひとつできない。口を塞がれて声も出せず、綾はただ状況を見るしかできない。
「大丈夫やって!あの春人が直々に開放宣言しにきたんやし。問題ないっしょ!」
「ま、バレんやろ一回くらい。どーせヤりまくられとんのやし」
「それもそうか。したらはよ脱がそーや」
「んんんッ…!」
開放宣言?ヤりまくる?
耳に入る単語の意味を考える間に、服に手をかけられて綾は思わず足を蹴り上げていた。
目の前のスポーツマンがしかめ面で腕を押さえている。隣で爆笑しているのは先ほどの童顔か。後ろの男子もくつくつ、笑っている声が聞こえる。
痛みと笑い者にされた腹立たしさとで、スポーツマンの彼は大きく舌打ちして綾の両足を強く押さえつけた。
「っち、大人しくしてろや」
「ハハ!なかなかやるやーん、オヒメサマも!」
「ええからさっさと口塞げ!」
「じゃー僕は続きさしてもらおーかなぁ」
至極楽しそうに顔を歪ませた童顔の彼が、その表情とは裏腹にひどく丁寧にシャツのボタンを外していく。
後ろから口を塞いでいた指が無遠慮に口内に入り込んで、綾の舌を掴む。ぐちゅぐちゅと、わざと水音を立てて出入りする無骨な指先から逃げようとすればするほど、奥までそれは追ってくる。
がっしりと押さえつけられた四肢は震えても自由は利かなくて、露わにされた胸元を、華奢な指が触れた。
「んぅ、ゔ、んん!」
「ふふふ、イヤそー。睨んでる顔もかわいーねぇ」
「ん、ふっ…ゔぅッ…!」
「でもホラ、見て?ちくび、おっきくなってきたよ?」
言われて、かぁっと顔が赤くなるのを感じた。
口を出入りする指が速くなる。
カリ、耳を齧られてびくん、震えて、かりかりかり、両方の乳首を引っ掻かれて、堪えようのない電気信号が頭に登ってくる。
「あッ…!」
いつの間にか、下腹部が外気に晒されていた。
足を押さえていた彼が緩く勃ちあがっていた綾自身に刺激を与え始める。
三ヶ所同時に迫りあがってくる電流が、綾の思考を焼き切ろうと責め立てる。
「腰揺れてんな」
「ひっ、ン、ァ」
「あーかわいい。もー我慢できないよ。けーちゃん指抜いて」
「あ?」
「早く僕も可愛がってもらわなきゃっ…」
「んぶッ…!?」
ぐい、頭を引き寄せられて、口の中に男の匂いが充満した。
綾がえづくのもお構いなく、好き勝手喉の奥を突いてくる。
気持ち悪さと驚きとで視界が滲む。
喉の最奥で、彼は遠慮なく白濁をぶちまけた。
「ごほっ…、げほ、ゔぅ…っ」
「あーすごかったぁ…いっぱい出ちゃったごめんねー?」
「お前なぁ」
「りっくんごめんごめん、こっちは譲るやんー?」
く、ぱ、尻を広げられて、綾ははっとした。
このままではいいようにされてしまう。
油断していて何も抵抗できないままに。
この前夕貴に言われたことを何一つ実現できないまま、玩具にされてしまう。
そんなのは嫌だ、と思った。
何とかして逃げなくちゃ。隙を見て、どうにかして。
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