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白兎編

4-3.白兎は愛を知る

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ぐち、ぐちゅ、ぐ、ちゃ。

椿の手が上下するたび、いやらしい水音が響く。
太い指の節が通り過ぎるたびに堪らない気持ち良さが身体を駆け巡って、私は必死に膝を抱えた。

「気持ち善いか?うさぎ」
「ぁっ…ン、うんっ…」
「もっと気持ち善くしてやる。全身で俺を感じろ」
「ひ、ァんっ…そこ、は…?」
「此処は男にも女にも付いてるが、男のものには意味が無い。気持ち善くなるためだけのものさ」
「く、すぐったい…!」
「違うな。気持ち善いんだよ。ほら」

下腹部の手はそのままに、椿の空いた指先は胸の突起を弄り始めた。
かりかり、爪先で引っかかれる。
ぴりぴりと細かい刺激が其処から足の先へと伝わってゆく。
柔らかだった感覚がどんどん確かなものになっていくのが分かって、それが固く形を変えているのに自分でも自覚する頃、今度は二つの指で摘ままれくりくり、捏ねられる。
もう堪らなくて、堪らなくて、私の腰はまた揺れ始めた。

「言ってみろ、うさぎ。何故、腰が動いてる?」
「え、ぁ…っ、な、ぜ?わ、わからな…ッ」
「嘘だろう。ちゃんと言えるさ。お前はもう知ってる筈だ」
「…ッ、ぅ、きもち、善いから…っ」
「良い子だな。ほら、もっと言ってみろ。言え!」
「ぃ、い…!きもちいいっ…きもちい、ぁ、あ、あ、あアッ…!」

頭の中が、真っ白に弾けた。

快感を口にするたびに熱いものがどんどん上がってきて、もっともっと欲しくなって、それが何かも分からずにただただ出したくて、本能の赴くままに私は椿の手から快楽を貪り取っていた。

はぁ、はぁ、はぁ。

荒い息で下半身を見下ろすと、私は椿の手の平に白いものを垂れ流していた。
それが何なのか聞こうとしたけれども、呼吸がまだままならなくて、掠れた声しか出なかった。

「ふ、ぁ…つばきぃ…」
「イったな」
「い、く…?」
「最高に気持ち善くなったってことだ」
「ああ…」
「おい、まだ落ちるなよ。これからが本番なんだから」

そう言って月明かりの下に姿を現した椿の顔は恐ろしくぎらついていて、ぞくり、再び背筋がぞわ立つのを感じた。
椿の手は私の出したもので濡れていて、椿は、そのぬるついた指を、私の後ろの穴にゆっくりと差し入れた。

「ぃ……っ」

無骨なものが、肉をかき分けて侵入って来る。
皮膚の内側に触られているような気持ち悪さに吐きそうだ。
思わず歯を食いしばると、より一層後ろの感覚が鮮明になってしまった。

助けを求めるつもりで椿を見ると、鼻先が椿の頰に触れた。
思っていたよりも、椿は近くに居る。

「少し我慢しろ。すぐに善くしてやる」

中の指先が何かを探るように蠢いて、私の奥へと進んでくる。
一つずつの動き、全てが脳みそに伝わってくる。
右の壁を引っ掻いて、左の壁を撫で上げて。奥を突いて少し引いて…。
気持ち悪いだけだったその感触が、ああ、どうしてだろう。もっと欲しい。

「ン、んっ……、あっ…」

ぐち、ぐちゅ、か、り、こり。

指が奥の奥を捉えた。
肉壁がきゅう、と締まる。
二本、三本、椿は締め付ける肉をものともせず指を増やしてそのしこりを責め立て始めた。
と、同時に好き勝手暴れ始める。
私は椿の首に縋り付いて、喘ぐのを必死に押し殺した。

最初は異物を拒絶していた穴も、気が付けば指が三本自由に出入りできるほどになっていて。
椿はそれらを引き抜くと、代わりに自身の熱いものを押し当てた。

「うさぎ、もう一つ教えてやる」
「ぁ、なに…?」
「これが愛だ。覚えておけ」
「あ、ぁ、ぁあッ…!」

その圧倒的な快楽に、薄い着物一枚に縋ることで耐えることができるだろうか。
私は背に敷かれた椿の着物を辛うじて掴んだけれども、椿から脊髄を通って脳髄に直接響く痛みのような快感は勢いを少しも緩めることなく私を襲った。

椿は私の腰を持ち上げて何度も何度もその熱を打ち付ける。
萎えていた私のものも、いつしかまた硬くなって白濁を垂れ流しながらぶるぶる震えていた。

「あ、ぁ、い…」
「うさぎ…綺麗だ。お前を見てしまったら、他のものはもう…」
「あ、い、…っ、つばき…ッ」
「いつか、きちんと、お前の名を…」

椿は私をきつくきつく抱きしめて、深く深く唇を重ねた。
身体の奥に熱いものが流し込まれる感覚がして、私たちは果てた。

「…つばき」
「明日も来る。夜まで待っていろ」
「うん…わかった」

私に着物を着せて、布団に寝かしつけてから椿は廊下へと消えていった。

白い布はひやりと冷たい。
今まで感じたことのなかった温度に、私は身体を丸めて目を閉じた。
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