43 / 57
再起
姉特権/風邪/本当にすまないと思っている
しおりを挟む
「ご主人様~、痒い所はないですか?」
「ない。というか力入れすぎてちょっと痛い・・・・・・」
「ご、ごめんなさい~」
ミィナは姉特権で早速トラジを洗っていた。いつものようにメイド服姿で。
姉特権とは言うがいつも通りの光景である。一人増えた事以外は。
「やっぱり私が洗った方がいいんじゃない?」
「大丈夫です~!というか気が散るから関係ない人は出て行ってください!」
「でも、あなたが初めてご主人様を洗った時、何度も耳や鼻にお湯を入れちゃってたのを見てたから。見てないと不安なのよね」
ナイミは湯船に浸かりながら、ミィナに洗われるトラジを羨ましそうに見ていた。
ちなみにトラジはそんなナイミをチラチラ見ていた。
「い、今は~、たまにしかしません!」
「まだやっちゃうのね・・・・・・。ご主人様、いつでも私の方を姉にしていいですからね?」
「私が姉です~!」
「あっ、まちなさい!」
ミィナはトラジの体についた泡を勢いよく洗い流した。
「ゲホゲホッ!ミィナ、いきなり洗い流さないでくれ・・・・・・。鼻に入った・・・・・・」
「ご、ごめんなさい~」
「ほんとにたまになの?」
「たまに~です!」
いつもよりもやる事が雑になってるような・・・・・・。
んー。これはもしかするとマズいかもな。
姉がミィナにとってのプレッシャーになっちまうかもしれん。
ミィナの方を姉にしときたいが、ナイミの方がうまく洗ってくれそうではあるな。
「ご主人様」
「どうしたナイミ?」
「私の裸が気になります?」
「えっ・・・・・・」
やっべー。見すぎたか?
だって仕方ないじゃん俺は男だもの!
「そうなんですか~・・・・・・?」
いかん!ミィナがまた、すごく面白くないと言わんばかりの顔してる!!
ごまかさねばっ!
「あ、いや・・・・・・、そうじゃなくてな。ナイミがさっき言った事が気になっててな」
「何でしょう?」
「初めてミィナが俺を洗った時の話だ。なんで知っているんだと思ってな」
「そういえば~、そうですね。確かに気になります」
た、助かった。
うまくごまかせたようだ。
「それはその子が見た物を、私も見ていたからです」
「ミィナが見た物を見る?そういう力があると?」
「いえ、それは違います。私が見ていたのは土に埋められる前までの事です。今は見れませんし、その子が見た物を眺めていた感じでしょうか?説明しずらくてごめんなさい」
ミィナが見ていた物を見ていた、か・・・・・・。
視界を共有していたのか、それとも多重人格の人みたいにミィナの中に同居でもしていた?
本人にもよく分かってないみたいだし、想像でしかないが・・・・・・。
「あー、悪いがナイミこの桶にお湯を入れてくれ」
「私の入ってるお湯でいいのですか?」
「ああ。それで構わない」
「ご主人様が私の浸かったお湯をご所望とは!」
「ん?ダメだったか?」
「ご主人様~お湯なら新しいのを入れますから――」
「いいえ!大丈夫です!!どうぞ、私の成分の入ったお湯をご堪能下さい!!ハァハァ!」
「変な言い方をするな!湯に浸かりたかっただけだから!あと、ミィナが引いちゃってるじゃないか!」
「てっきりお飲みになるのかと・・・・・・」
「飲まねぇから!あと、なんで残念そうなんだよ!」
バシャッ!
ミィナは無言でナイミ湯を捨てた。
「何も捨てなくてもいいのに」
「なにか~、問題でも?」
笑顔で答えたミィナであるが、目が笑っていなかった。
「笑顔なのに怖い!」
「すぐに~、新しいお湯を入れますから。も、もしくは、私が入った後のお湯を・・・・・・」
「・・・・・・新しいお湯でいいか」
「そうですね。私も悪ふざけが過ぎました・・・・・・」
「どうしてそうなるんですか~!」
トラジはごまかすように新しい湯に浸かる。
「あー。いい湯だなー」
そういや、ナイミはミィナの見てた物を見ていたと言ってたな。
昔からミィナをずっと見ていたと言うなら、ちょっと試しに聞いてみるか。
「ナイミに、もう一つ聞いてみたいんだがいいか?」
「何でもお聞き下さい。ご主人様」
「ミィナの嫌いな食べ物って何か知ってるか?」
「ご、ご主人様~!」
「確か、にんじんとカボチャだったと思います」
「ギクギク~・・・・・・」
「いつの事だったか定かではありませんが、嫌いと思われる食べ物を端に避けていた事がありました」
「ほう・・・・・・」
子供っぽいな。
いや、実際子供なんだけども。
つーか、これくらいの方が可愛い。
が、いつか克服させてやるとしよう。
ぐふふふふ・・・・・・食わせる日が楽しみだな!
「む~!あなたはもう黙ってて!!」
「そ、そうね。そろそろのぼせそうだし、先に上がらせてもらうわ」
ナイミは浴槽から出て脱衣所に向かった。
ナイミはスレンダー美人な感じがして目を引くなぁ。
つい目で追ってしまった。
「ご主人様~」
「な、なんだ?」
「私~、やっぱりあの子は苦手です・・・・・・」
「向こうはこっちの事をよく知ってるのに、こっちは相手の事がよく分からない状態だからな。苦手に感じるのも仕方ないが、そのうち仲良くなるさ」
「そうでしょうか~?」
「そういうもんだ。ミィナは俺が好きだろ?」
「はい~、とっても!」
「で、それはナイミも同じ――」
「私の方が大好きです~!」
「そ、そうか。まぁ、今は落ち着け。同じ物が好きなら、そこから相手の考えや気持ちだって分かるはずだ。相手への理解を深めていけば、うまく付き合えるようにもなるさ」
「でも~・・・・・・」
「ミィナは姉だろ?少しは譲るつもりで許容できないとダメだぞ?ナイミの方は距離感つーか引き際を測っているような気もするし。ミィナが歩み寄ればすぐ仲良くなるさ」
「ご主人様を~、譲りたくはないです・・・・・・」
やれやれ、姉への道のりはまだまだ長そうだな。
ミィナとトラジがお風呂を終えて、ミィナの部屋のベッドで寝ようとするとなぜかナイミが待機していた。上半身裸の黒の下着姿で。
「ナイミ・・・・・・。服は着ないのか・・・・・・?」
「この方が楽なので」
「というか~、どうしてあなたがいるんですか!」
「ご主人様と寝るからに決まっているじゃない」
「決まってません~!」
トラジはナイミとミィナが言い争いをしそうだったので、話題を変えることにした。
「そういや、ナイミの部屋とか決まってなかったな」
「ご主人様と同じ部屋であれば、どこでも構いません」
「ご主人様の部屋は~、私の部屋です!」
「なら、私もこの部屋で決まりね」
「決まってません~~!!」
「わがまま言わないの」
「わがままじゃないです~!」
結局こうなるか・・・・・・。
しかし、部屋か。そういやこの家の部屋全部は見て回ってなかったな。
一度家の中を見て把握しておいた方がいいか。
ま、それはまた今度にして今は寝よう。
「ミィナ少しは譲らないとだろ」
「え~・・・・・・」
「仕方ない。なら俺とミィナとナイミみんな別々の部屋で寝るか」
「「却下!!」」
たく。
こういう時だけは息ピッタリだよな。
「んじゃ、みんな一緒で決まりだな」
「し、仕方ないですね~・・・・・・」
「さすがご主人様です。この子の扱いがお上手です」
こうしてミィナのベッドにみんなで寝る事になったトラジだが・・・・・・。
弱ったな、いつもにも増して寝れない。
右を見るとミィナの服の隙間から見える二つの山の谷間が目に入る。
左を見るとナイミの・・・・・・、あーなんだ?なんでコイツは服を着ないんだ?ま、ようするにモロ見えな訳だ。
気温も高めだし毛布とか服が無くても今は問題ないが・・・・・・。そういやナイミは服とか持ってないんだったな。
埋めた時の服を着まわしてたようだし、そのうち用意してやらないとな。
トラジはどうするか悩んだ。
金銭的な問題もあった。
お金といえば、まだリーヤ達にお金を返してなかった。
色々考える事は多いが・・・・・・、さて俺は右と左どちらを見ながら寝ればいいのだろうな。それが問題だ。
悩ましい・・・・・・。
えっ?天井を見る選択肢?何言ってんだか、そんな選択は無い!!
「ん~、ご主人様ぁ・・・・・・。むにゃむにゃ・・・・・・」
「ご主人様・・・・・・。好きで、すぴー・・・・・・」
またベタな寝言だな。
「うおっ、ちょ・・・・・・」
ナイミとミィナは寝ながらトラジに手を伸ばし、ミィナは首にナイミは脇に手をかけ自分の方に引っ張った。
「いたっ!痛いから!や、やめぇ・・・・・・」
首に手をかけられ声がうまく出せず、そのまま強制ブラックアウトした。
「あー、昨日は酷い目に遭った。まさかあんな方法で寝ることになるとは・・・・・・」
「ご主人様~、起きたんですね!たいへんです!」
「どうした?」
ミィナは風呂桶に水を入れて濡れタオルを用意していた。
「その~、隣を見てください!」
「ん?となりとな?」
ナイミは汗を掻き、呼吸も苦しそうにしていた。
ナイミは風邪を引いていたのだ。
「風邪引いてしまったか。熱も高そうだな」
「はい~、朝起きたらすでにこんな感じでした」
ミィナは濡れタオルでナイミの汗を拭いていく。
「ミィナ薬とかはないのか?」
「ないんです~・・・・・・」
「となると組合に行く必要があるか」
この世界では病院というものはない。回復薬等の薬の調合は錬金術で作られている都合上、治療は医術に精通した錬金術士の仕事だ。錬金医士または医術士と言われている。
「祭りの期間中は仕事はないからと言われてたが、今日からまた行くし都合がいいといえばいいが・・・・・・」
「でもお金が~・・・・・・。リーヤちゃん達に借りたお金は使わなかったのでありますけど・・・・・・」
「ご主人様・・・・・・。わ、私の事は気にせず、休めばよく、なりますから・・・・・・」
トラジは苦しそうにするナイミを見てどうするか決めた。
「おし!決めた!リーヤ達には悪いが使わせてもらおう!」
「ですよね~。ご主人様ならそう言うと思いました」
「そ、そこまでしなくても、だ・・・・・・、大丈夫ですから・・・・・・」
「風邪引いて苦しそうにしてるやつが、冷静に正しい判断を下せてると思うなよ?これは決定事項だ!」
「知ってるとは思いますけど~、ご主人様はこういう猫なんですよ?諦めて下さい」
「ありが、とぅ・・・・・・、ございます」
ほんとに苦しそうだな。
「ミィナ!一旦体を拭き終えたら、上だけでいいから寝巻きを何か着せてやってくれ」
「は~い」
「あと、濡れタオルで首の両側を冷やすように当ててくれ」
「えっと~、額じゃないんですか?」
「基本的には体温を下げるなら脇か首筋を冷やした方がいいんだ。なるべく心臓に近い血管を冷やすのが効率的と言われてる。ま、気持ちよさなら額だし、精神的に楽になれるだろうから額にも乗せてやってくれ」
頭を直接冷やす意味はあまりないという人もいるが、気分が楽になるならするべきだな。
人間の体はストレスや気分等、精神的なもので体調を崩したり悪化させる事もあるわけだし。
「了解です~!」
トラジの指示通りナイミを寝かせ、準備を終えて組合に向かう時にミィナから思わぬセリフが出た。
「いいのか?」
「はい~、任せてください。医術士さんを連れてきますから、その間あの子を看てあげててください」
「あのミィナが、姉っぽい事を自分から・・・・・・。ほろり」
「ほんとは嫌ですけど~、あの子のおかげでご主人様が無事なので・・・・・・。その、しかたなーくちょっとは譲ろう。そう思っただけですから!」
「それでもいいと思うぞ。あと、ナイミの事は名前で呼んでやってくれな」
「う~・・・・・・。か、考えておきます」
「おし!頑張って来い!」
「行って来ます~」
ミィナが出かけたあとトラジは早速ナイミの元に向かった。
「ナイミ大丈夫か?」
「ええ。なんとか・・・・・・」
「何か食うか?つっても野菜炒めくらいしか出せないが・・・・・・」
「ご、ご主人様の・・・・・・」
「俺の?」
「口移しなら、いけそうです」
難易度たけーのきたーーー!!
つーか、無理!!俺には無理!!
つーか衛生的にもマズイ!!
「冗談が言えるようなら大丈夫だな。口移しは無理だが、あーんくらいはしてやるから待ってな」
「冗談では、ないんですが・・・・・・。分かりました」
本気だったんかい!!
トラジは台所に向かった。
「さて、どうやって運ぶか・・・・・・」
台所のフライパンに残された、ナイミの分の野菜炒めを見つつトラジは思案する。
「両手で運ぶか、銜えて運ぶか。正直2足歩行であの距離は無理だなバランス崩してぶちまけるのがオチだ。なら、咥えて運ぶしかないが、衛生的になぁ。うーむ・・・・・・、間接的ならいけるか?」
使えそうな物がないな・・・・・・。
となれば・・・・・・。
これならいけるか?
トラジはふきんを風呂敷代わりに使うことにした。
「まずはふきんを広げーの、皿を両手で置いてーの、フライパンをその隣で回転させーのでひっくり返して・・・・・・。あーちょっと落としちまった。まぁいいや、あとで片付けよう。後はフォークを載せてーの、ふきんの角を中央に持ってきてーので、咥えて運ぶだけだ」
トラジはふきんを風呂敷代わりにして野菜炒めを運ぶ。
おーしこれならいけそうだ!!
「ナイミ!おまたせ」
「ご主人様は・・・・・・、器用です、ね」
「喉も枯れてきてるな。だが、大丈夫だ。俺が付いてるし、ミィナが医術士を連れてきてくれるからな」
「あの子、が・・・・・・、ですか?」
「ああ。驚きだろ?」
「は、い。私と同じ、で・・・・・・。ご主人様と、いたがる、筈です」
「ナイミのおかげで俺が助かったから今回は譲るってさ」
「そう、ですか・・・・・・。私は、あの子に謝らないと、ですね・・・・・・」
「何かは分からんが頑張れナイミ。どうなろうと俺が助けてやるから」
「あの、子が・・・・・・、怒ると、しても?」
「怒るとしてもだ。俺はミィナもナイミも助けると決めたからな」
「ご主人様、らしい・・・・・・、ですね」
カチャ、カチャ。
トラジは両手でフォークを挟んで野菜炒めを器用に刺していく。
「喉が枯れてきてんだ、あまり喋らず食え。ほら、あーんだ」
「あー、ん」
「どうだ?まだ食えるか?」
「水が・・・・・・、欲しいです」
「おう!まってろ用意してやる」
しばらくトラジがナイミを看病していると、予想より早くミィナが錬金医士を連れて帰ってきた。
なんでも、病人がいる事を話したら早めに仕事を切り上げさせてくれたらしい。
ちなみにミィナが連れてきた錬金医士の使い魔は白いキツネだった。
「で~、これはどういう事ですか?」
「すまないと思っている」
錬金医士の人にナイミを診察して貰っている間、部屋の外に出たミィナとトラジだったがトラジはミィナに怒られていた。
「私が~、戻るのを待っても良かったんじゃないですか?」
「・・・・・・本当にすまないと思っている」
何を怒られたかと言うと、台所からミィナの部屋付近にかけて野菜がぽろぽろ落ちていたり、所々水で濡れていたからだ。
うまく運んだつもりだったのになぁ。
つーかミィナが思いのほか早く帰って来たのも想定外だった。
掃除して証拠隠滅する予定だったのにな。
「でも~、あの子・・・・・・。ナイミちゃんの為に頑張ったんですよね?」
「ああ。その結果この有様ですまない・・・・・・」
「いえ~、ご主人様らしいです。そういう所嫌いじゃないんですけど・・・・・・」
「ん?」
「わ、私が~、風邪引いても同じように頑張ってくれますよね?」
「んなわけないだろう」
「えっ?」
即答で『もちろんだ』と言ってくれる、そう思っていたミィナは予想外の返答に驚き目を丸くした。
「次はもっとうまく頑張るからな!同じにはならんな」
「も~!ビックリしたじゃないですか!!」
「ごめんごめん。ビックリさせる気はなかったんだ」
「それならいいです~。私が風邪引いたらいっぱい頑張って貰いますから」
「おう!任せろ!」
「では~、さっさと掃除してしまいましょう!」
「おう!」
掃除が終わると診察も終わっていたので、錬金医士の人に結果を聞くと・・・・・・。
「今回の風邪は、体に蓄積された疲労が原因で起きたようですね」
「疲労が原因なのか?」
「えっと~、疲労が原因なんですか?」
「はい。とくに筋肉の損傷が酷いようでして、相当体を酷使したと思われます。本人はその辺りを詳しく話してはくれませんでしたが・・・・・・。そういった疲労が蓄積された結果、免疫力が徐々に落ちてきて風邪になった。そういう流れのようですね」
筋肉の損傷・・・・・・。
もしかして、あのスライムの時になったのか?
蓄積って事は他にも何かある?
「でも、良かったですよ。免疫力が落ちた所に、損傷した筋肉に何かの病原菌が入り込んだら大変ですからね。そこまでにはなってない様なので、薬を飲んで休めば明日にでも元気になるでしょう」
「ありがとうございます」
「その~、ありがとうございます。それで、薬はいくらくらいでしょうか・・・・・・?」
「薬はまず、体の損傷を治す効果のある一般的な回復薬と、免疫力を上げる薬の2つですね。筋肉の損傷は回復薬ですぐにでも良くなると思いますよ。あと、お金はいりません」
「なんでだ?」
「えっと~、それは――」
「あはは。それはですね。エリィさんが代わりに払うって言ってたんですよ。あ、これ秘密でお願いしますね?口止めされてましたから」
ミィナがナイミの薬を受け取ると、錬金医士の人は帰って行った。
「エリィさんに~、お礼言わないとですね」
「口止めされてたらしいし、言っていいものか悩むなぁ。代わりに黒猫にでも言っておくか?」
「ですね~、その方がいいかもしれません。ただ、今日の黒猫さんとエリィさんは忙しそうだったんですよねぇ。なんか、本部の方からの指示で何か大量に作ってるらしいです」
「そうなのか」
「はい~」
何が起きてるのか分からんが、大量に作るならバーコード親父達が何か知ってるかもな。
「ない。というか力入れすぎてちょっと痛い・・・・・・」
「ご、ごめんなさい~」
ミィナは姉特権で早速トラジを洗っていた。いつものようにメイド服姿で。
姉特権とは言うがいつも通りの光景である。一人増えた事以外は。
「やっぱり私が洗った方がいいんじゃない?」
「大丈夫です~!というか気が散るから関係ない人は出て行ってください!」
「でも、あなたが初めてご主人様を洗った時、何度も耳や鼻にお湯を入れちゃってたのを見てたから。見てないと不安なのよね」
ナイミは湯船に浸かりながら、ミィナに洗われるトラジを羨ましそうに見ていた。
ちなみにトラジはそんなナイミをチラチラ見ていた。
「い、今は~、たまにしかしません!」
「まだやっちゃうのね・・・・・・。ご主人様、いつでも私の方を姉にしていいですからね?」
「私が姉です~!」
「あっ、まちなさい!」
ミィナはトラジの体についた泡を勢いよく洗い流した。
「ゲホゲホッ!ミィナ、いきなり洗い流さないでくれ・・・・・・。鼻に入った・・・・・・」
「ご、ごめんなさい~」
「ほんとにたまになの?」
「たまに~です!」
いつもよりもやる事が雑になってるような・・・・・・。
んー。これはもしかするとマズいかもな。
姉がミィナにとってのプレッシャーになっちまうかもしれん。
ミィナの方を姉にしときたいが、ナイミの方がうまく洗ってくれそうではあるな。
「ご主人様」
「どうしたナイミ?」
「私の裸が気になります?」
「えっ・・・・・・」
やっべー。見すぎたか?
だって仕方ないじゃん俺は男だもの!
「そうなんですか~・・・・・・?」
いかん!ミィナがまた、すごく面白くないと言わんばかりの顔してる!!
ごまかさねばっ!
「あ、いや・・・・・・、そうじゃなくてな。ナイミがさっき言った事が気になっててな」
「何でしょう?」
「初めてミィナが俺を洗った時の話だ。なんで知っているんだと思ってな」
「そういえば~、そうですね。確かに気になります」
た、助かった。
うまくごまかせたようだ。
「それはその子が見た物を、私も見ていたからです」
「ミィナが見た物を見る?そういう力があると?」
「いえ、それは違います。私が見ていたのは土に埋められる前までの事です。今は見れませんし、その子が見た物を眺めていた感じでしょうか?説明しずらくてごめんなさい」
ミィナが見ていた物を見ていた、か・・・・・・。
視界を共有していたのか、それとも多重人格の人みたいにミィナの中に同居でもしていた?
本人にもよく分かってないみたいだし、想像でしかないが・・・・・・。
「あー、悪いがナイミこの桶にお湯を入れてくれ」
「私の入ってるお湯でいいのですか?」
「ああ。それで構わない」
「ご主人様が私の浸かったお湯をご所望とは!」
「ん?ダメだったか?」
「ご主人様~お湯なら新しいのを入れますから――」
「いいえ!大丈夫です!!どうぞ、私の成分の入ったお湯をご堪能下さい!!ハァハァ!」
「変な言い方をするな!湯に浸かりたかっただけだから!あと、ミィナが引いちゃってるじゃないか!」
「てっきりお飲みになるのかと・・・・・・」
「飲まねぇから!あと、なんで残念そうなんだよ!」
バシャッ!
ミィナは無言でナイミ湯を捨てた。
「何も捨てなくてもいいのに」
「なにか~、問題でも?」
笑顔で答えたミィナであるが、目が笑っていなかった。
「笑顔なのに怖い!」
「すぐに~、新しいお湯を入れますから。も、もしくは、私が入った後のお湯を・・・・・・」
「・・・・・・新しいお湯でいいか」
「そうですね。私も悪ふざけが過ぎました・・・・・・」
「どうしてそうなるんですか~!」
トラジはごまかすように新しい湯に浸かる。
「あー。いい湯だなー」
そういや、ナイミはミィナの見てた物を見ていたと言ってたな。
昔からミィナをずっと見ていたと言うなら、ちょっと試しに聞いてみるか。
「ナイミに、もう一つ聞いてみたいんだがいいか?」
「何でもお聞き下さい。ご主人様」
「ミィナの嫌いな食べ物って何か知ってるか?」
「ご、ご主人様~!」
「確か、にんじんとカボチャだったと思います」
「ギクギク~・・・・・・」
「いつの事だったか定かではありませんが、嫌いと思われる食べ物を端に避けていた事がありました」
「ほう・・・・・・」
子供っぽいな。
いや、実際子供なんだけども。
つーか、これくらいの方が可愛い。
が、いつか克服させてやるとしよう。
ぐふふふふ・・・・・・食わせる日が楽しみだな!
「む~!あなたはもう黙ってて!!」
「そ、そうね。そろそろのぼせそうだし、先に上がらせてもらうわ」
ナイミは浴槽から出て脱衣所に向かった。
ナイミはスレンダー美人な感じがして目を引くなぁ。
つい目で追ってしまった。
「ご主人様~」
「な、なんだ?」
「私~、やっぱりあの子は苦手です・・・・・・」
「向こうはこっちの事をよく知ってるのに、こっちは相手の事がよく分からない状態だからな。苦手に感じるのも仕方ないが、そのうち仲良くなるさ」
「そうでしょうか~?」
「そういうもんだ。ミィナは俺が好きだろ?」
「はい~、とっても!」
「で、それはナイミも同じ――」
「私の方が大好きです~!」
「そ、そうか。まぁ、今は落ち着け。同じ物が好きなら、そこから相手の考えや気持ちだって分かるはずだ。相手への理解を深めていけば、うまく付き合えるようにもなるさ」
「でも~・・・・・・」
「ミィナは姉だろ?少しは譲るつもりで許容できないとダメだぞ?ナイミの方は距離感つーか引き際を測っているような気もするし。ミィナが歩み寄ればすぐ仲良くなるさ」
「ご主人様を~、譲りたくはないです・・・・・・」
やれやれ、姉への道のりはまだまだ長そうだな。
ミィナとトラジがお風呂を終えて、ミィナの部屋のベッドで寝ようとするとなぜかナイミが待機していた。上半身裸の黒の下着姿で。
「ナイミ・・・・・・。服は着ないのか・・・・・・?」
「この方が楽なので」
「というか~、どうしてあなたがいるんですか!」
「ご主人様と寝るからに決まっているじゃない」
「決まってません~!」
トラジはナイミとミィナが言い争いをしそうだったので、話題を変えることにした。
「そういや、ナイミの部屋とか決まってなかったな」
「ご主人様と同じ部屋であれば、どこでも構いません」
「ご主人様の部屋は~、私の部屋です!」
「なら、私もこの部屋で決まりね」
「決まってません~~!!」
「わがまま言わないの」
「わがままじゃないです~!」
結局こうなるか・・・・・・。
しかし、部屋か。そういやこの家の部屋全部は見て回ってなかったな。
一度家の中を見て把握しておいた方がいいか。
ま、それはまた今度にして今は寝よう。
「ミィナ少しは譲らないとだろ」
「え~・・・・・・」
「仕方ない。なら俺とミィナとナイミみんな別々の部屋で寝るか」
「「却下!!」」
たく。
こういう時だけは息ピッタリだよな。
「んじゃ、みんな一緒で決まりだな」
「し、仕方ないですね~・・・・・・」
「さすがご主人様です。この子の扱いがお上手です」
こうしてミィナのベッドにみんなで寝る事になったトラジだが・・・・・・。
弱ったな、いつもにも増して寝れない。
右を見るとミィナの服の隙間から見える二つの山の谷間が目に入る。
左を見るとナイミの・・・・・・、あーなんだ?なんでコイツは服を着ないんだ?ま、ようするにモロ見えな訳だ。
気温も高めだし毛布とか服が無くても今は問題ないが・・・・・・。そういやナイミは服とか持ってないんだったな。
埋めた時の服を着まわしてたようだし、そのうち用意してやらないとな。
トラジはどうするか悩んだ。
金銭的な問題もあった。
お金といえば、まだリーヤ達にお金を返してなかった。
色々考える事は多いが・・・・・・、さて俺は右と左どちらを見ながら寝ればいいのだろうな。それが問題だ。
悩ましい・・・・・・。
えっ?天井を見る選択肢?何言ってんだか、そんな選択は無い!!
「ん~、ご主人様ぁ・・・・・・。むにゃむにゃ・・・・・・」
「ご主人様・・・・・・。好きで、すぴー・・・・・・」
またベタな寝言だな。
「うおっ、ちょ・・・・・・」
ナイミとミィナは寝ながらトラジに手を伸ばし、ミィナは首にナイミは脇に手をかけ自分の方に引っ張った。
「いたっ!痛いから!や、やめぇ・・・・・・」
首に手をかけられ声がうまく出せず、そのまま強制ブラックアウトした。
「あー、昨日は酷い目に遭った。まさかあんな方法で寝ることになるとは・・・・・・」
「ご主人様~、起きたんですね!たいへんです!」
「どうした?」
ミィナは風呂桶に水を入れて濡れタオルを用意していた。
「その~、隣を見てください!」
「ん?となりとな?」
ナイミは汗を掻き、呼吸も苦しそうにしていた。
ナイミは風邪を引いていたのだ。
「風邪引いてしまったか。熱も高そうだな」
「はい~、朝起きたらすでにこんな感じでした」
ミィナは濡れタオルでナイミの汗を拭いていく。
「ミィナ薬とかはないのか?」
「ないんです~・・・・・・」
「となると組合に行く必要があるか」
この世界では病院というものはない。回復薬等の薬の調合は錬金術で作られている都合上、治療は医術に精通した錬金術士の仕事だ。錬金医士または医術士と言われている。
「祭りの期間中は仕事はないからと言われてたが、今日からまた行くし都合がいいといえばいいが・・・・・・」
「でもお金が~・・・・・・。リーヤちゃん達に借りたお金は使わなかったのでありますけど・・・・・・」
「ご主人様・・・・・・。わ、私の事は気にせず、休めばよく、なりますから・・・・・・」
トラジは苦しそうにするナイミを見てどうするか決めた。
「おし!決めた!リーヤ達には悪いが使わせてもらおう!」
「ですよね~。ご主人様ならそう言うと思いました」
「そ、そこまでしなくても、だ・・・・・・、大丈夫ですから・・・・・・」
「風邪引いて苦しそうにしてるやつが、冷静に正しい判断を下せてると思うなよ?これは決定事項だ!」
「知ってるとは思いますけど~、ご主人様はこういう猫なんですよ?諦めて下さい」
「ありが、とぅ・・・・・・、ございます」
ほんとに苦しそうだな。
「ミィナ!一旦体を拭き終えたら、上だけでいいから寝巻きを何か着せてやってくれ」
「は~い」
「あと、濡れタオルで首の両側を冷やすように当ててくれ」
「えっと~、額じゃないんですか?」
「基本的には体温を下げるなら脇か首筋を冷やした方がいいんだ。なるべく心臓に近い血管を冷やすのが効率的と言われてる。ま、気持ちよさなら額だし、精神的に楽になれるだろうから額にも乗せてやってくれ」
頭を直接冷やす意味はあまりないという人もいるが、気分が楽になるならするべきだな。
人間の体はストレスや気分等、精神的なもので体調を崩したり悪化させる事もあるわけだし。
「了解です~!」
トラジの指示通りナイミを寝かせ、準備を終えて組合に向かう時にミィナから思わぬセリフが出た。
「いいのか?」
「はい~、任せてください。医術士さんを連れてきますから、その間あの子を看てあげててください」
「あのミィナが、姉っぽい事を自分から・・・・・・。ほろり」
「ほんとは嫌ですけど~、あの子のおかげでご主人様が無事なので・・・・・・。その、しかたなーくちょっとは譲ろう。そう思っただけですから!」
「それでもいいと思うぞ。あと、ナイミの事は名前で呼んでやってくれな」
「う~・・・・・・。か、考えておきます」
「おし!頑張って来い!」
「行って来ます~」
ミィナが出かけたあとトラジは早速ナイミの元に向かった。
「ナイミ大丈夫か?」
「ええ。なんとか・・・・・・」
「何か食うか?つっても野菜炒めくらいしか出せないが・・・・・・」
「ご、ご主人様の・・・・・・」
「俺の?」
「口移しなら、いけそうです」
難易度たけーのきたーーー!!
つーか、無理!!俺には無理!!
つーか衛生的にもマズイ!!
「冗談が言えるようなら大丈夫だな。口移しは無理だが、あーんくらいはしてやるから待ってな」
「冗談では、ないんですが・・・・・・。分かりました」
本気だったんかい!!
トラジは台所に向かった。
「さて、どうやって運ぶか・・・・・・」
台所のフライパンに残された、ナイミの分の野菜炒めを見つつトラジは思案する。
「両手で運ぶか、銜えて運ぶか。正直2足歩行であの距離は無理だなバランス崩してぶちまけるのがオチだ。なら、咥えて運ぶしかないが、衛生的になぁ。うーむ・・・・・・、間接的ならいけるか?」
使えそうな物がないな・・・・・・。
となれば・・・・・・。
これならいけるか?
トラジはふきんを風呂敷代わりに使うことにした。
「まずはふきんを広げーの、皿を両手で置いてーの、フライパンをその隣で回転させーのでひっくり返して・・・・・・。あーちょっと落としちまった。まぁいいや、あとで片付けよう。後はフォークを載せてーの、ふきんの角を中央に持ってきてーので、咥えて運ぶだけだ」
トラジはふきんを風呂敷代わりにして野菜炒めを運ぶ。
おーしこれならいけそうだ!!
「ナイミ!おまたせ」
「ご主人様は・・・・・・、器用です、ね」
「喉も枯れてきてるな。だが、大丈夫だ。俺が付いてるし、ミィナが医術士を連れてきてくれるからな」
「あの子、が・・・・・・、ですか?」
「ああ。驚きだろ?」
「は、い。私と同じ、で・・・・・・。ご主人様と、いたがる、筈です」
「ナイミのおかげで俺が助かったから今回は譲るってさ」
「そう、ですか・・・・・・。私は、あの子に謝らないと、ですね・・・・・・」
「何かは分からんが頑張れナイミ。どうなろうと俺が助けてやるから」
「あの、子が・・・・・・、怒ると、しても?」
「怒るとしてもだ。俺はミィナもナイミも助けると決めたからな」
「ご主人様、らしい・・・・・・、ですね」
カチャ、カチャ。
トラジは両手でフォークを挟んで野菜炒めを器用に刺していく。
「喉が枯れてきてんだ、あまり喋らず食え。ほら、あーんだ」
「あー、ん」
「どうだ?まだ食えるか?」
「水が・・・・・・、欲しいです」
「おう!まってろ用意してやる」
しばらくトラジがナイミを看病していると、予想より早くミィナが錬金医士を連れて帰ってきた。
なんでも、病人がいる事を話したら早めに仕事を切り上げさせてくれたらしい。
ちなみにミィナが連れてきた錬金医士の使い魔は白いキツネだった。
「で~、これはどういう事ですか?」
「すまないと思っている」
錬金医士の人にナイミを診察して貰っている間、部屋の外に出たミィナとトラジだったがトラジはミィナに怒られていた。
「私が~、戻るのを待っても良かったんじゃないですか?」
「・・・・・・本当にすまないと思っている」
何を怒られたかと言うと、台所からミィナの部屋付近にかけて野菜がぽろぽろ落ちていたり、所々水で濡れていたからだ。
うまく運んだつもりだったのになぁ。
つーかミィナが思いのほか早く帰って来たのも想定外だった。
掃除して証拠隠滅する予定だったのにな。
「でも~、あの子・・・・・・。ナイミちゃんの為に頑張ったんですよね?」
「ああ。その結果この有様ですまない・・・・・・」
「いえ~、ご主人様らしいです。そういう所嫌いじゃないんですけど・・・・・・」
「ん?」
「わ、私が~、風邪引いても同じように頑張ってくれますよね?」
「んなわけないだろう」
「えっ?」
即答で『もちろんだ』と言ってくれる、そう思っていたミィナは予想外の返答に驚き目を丸くした。
「次はもっとうまく頑張るからな!同じにはならんな」
「も~!ビックリしたじゃないですか!!」
「ごめんごめん。ビックリさせる気はなかったんだ」
「それならいいです~。私が風邪引いたらいっぱい頑張って貰いますから」
「おう!任せろ!」
「では~、さっさと掃除してしまいましょう!」
「おう!」
掃除が終わると診察も終わっていたので、錬金医士の人に結果を聞くと・・・・・・。
「今回の風邪は、体に蓄積された疲労が原因で起きたようですね」
「疲労が原因なのか?」
「えっと~、疲労が原因なんですか?」
「はい。とくに筋肉の損傷が酷いようでして、相当体を酷使したと思われます。本人はその辺りを詳しく話してはくれませんでしたが・・・・・・。そういった疲労が蓄積された結果、免疫力が徐々に落ちてきて風邪になった。そういう流れのようですね」
筋肉の損傷・・・・・・。
もしかして、あのスライムの時になったのか?
蓄積って事は他にも何かある?
「でも、良かったですよ。免疫力が落ちた所に、損傷した筋肉に何かの病原菌が入り込んだら大変ですからね。そこまでにはなってない様なので、薬を飲んで休めば明日にでも元気になるでしょう」
「ありがとうございます」
「その~、ありがとうございます。それで、薬はいくらくらいでしょうか・・・・・・?」
「薬はまず、体の損傷を治す効果のある一般的な回復薬と、免疫力を上げる薬の2つですね。筋肉の損傷は回復薬ですぐにでも良くなると思いますよ。あと、お金はいりません」
「なんでだ?」
「えっと~、それは――」
「あはは。それはですね。エリィさんが代わりに払うって言ってたんですよ。あ、これ秘密でお願いしますね?口止めされてましたから」
ミィナがナイミの薬を受け取ると、錬金医士の人は帰って行った。
「エリィさんに~、お礼言わないとですね」
「口止めされてたらしいし、言っていいものか悩むなぁ。代わりに黒猫にでも言っておくか?」
「ですね~、その方がいいかもしれません。ただ、今日の黒猫さんとエリィさんは忙しそうだったんですよねぇ。なんか、本部の方からの指示で何か大量に作ってるらしいです」
「そうなのか」
「はい~」
何が起きてるのか分からんが、大量に作るならバーコード親父達が何か知ってるかもな。
0
お気に入りに追加
215
あなたにおすすめの小説
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
モブです。静止画の隅っこの1人なので傍観でいいよね?
紫楼
ファンタジー
5歳の時、自分が乙女ゲームの世界に転生してることに気がついた。
やり込んだゲームじゃ無いっぽいから最初は焦った。
悪役令嬢とかヒロインなんてめんどくさいから嫌〜!
でも名前が記憶にないキャラだからきっとお取り巻きとかちょい役なはず。
成長して学園に通うようになってヒロインと悪役令嬢と王子様たち逆ハーレム要員を発見!
絶対お近づきになりたくない。
気がついたんだけど、私名前すら出てなかった背景に描かれていたモブ中のモブじゃん。
普通に何もしなければモブ人生満喫出来そう〜。
ブラコンとシスコンの二人の物語。
偏った価値観の世界です。
戦闘シーン、流血描写、死の場面も出ます。
主筋は冒険者のお話では無いので戦闘シーンはあっさり、流し気味です。
ふんわり設定、見切り発車です。
カクヨム様にも掲載しています。
24話まで少し改稿、誤字修正しました。
大筋は変わってませんので読み返されなくとも大丈夫なはず。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
悪役令嬢は魔神復活を応援しません!
豆狸
ファンタジー
魔神復活!
滅びるのは世界か、悪役令嬢ラヴァンダか……って!
どっちにしろわたし、大公令嬢ラヴァンダは滅びるじゃないですか。
前世から受け継いだ乙女ゲームの知識を利用して、魔神復活を阻止してみせます。
とはいえ、わたしはまだ六歳児。まずは家庭の平和から──
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
死亡フラグだらけの悪役令嬢〜魔王の胃袋を掴めば回避できるって本当ですか?
きゃる
ファンタジー
侯爵令嬢ヴィオネッタは、幼い日に自分が乙女ゲームの悪役令嬢であることに気がついた。死亡フラグを避けようと悪役令嬢に似つかわしくなくぽっちゃりしたものの、17歳のある日ゲームの通り断罪されてしまう。
「僕は醜い盗人を妃にするつもりはない。この婚約を破棄し、お前を魔の森に追放とする!」
盗人ってなんですか?
全く覚えがないのに、なぜ?
無実だと訴える彼女を、心優しいヒロインが救う……と、思ったら⁉︎
「ふふ、せっかく醜く太ったのに、無駄になったわね。豚は豚らしく這いつくばっていればいいのよ。ゲームの世界に転生したのは、貴女だけではないわ」
かくしてぽっちゃり令嬢はヒロインの罠にはまり、家族からも見捨てられた。さらには魔界に迷い込み、魔王の前へ。「最期に言い残すことは?」「私、お役に立てます!」
魔界の食事は最悪で、控えめに言ってかなりマズい。お城の中もほこりっぽくて、気づけば激ヤセ。あとは料理と掃除を頑張って、生き残るだけ。
多くの魔族を味方につけたヴィオネッタは、魔王の心(胃袋?)もつかめるか? バッドエンドを回避して、満腹エンドにたどり着ける?
くせのある魔族や魔界の食材に大奮闘。
腹黒ヒロインと冷酷王子に大慌て。
元悪役令嬢の逆転なるか⁉︎
※レシピ付き
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる