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クエストを請ける
手詰まり/最終手段/1円
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次の日、組合の仕事帰りに再度バーコード親父の所で必要なのが確定したすっぱすぱの種とギャランドゥの根を買って錬成に挑んでいた。
「くそっ!また失敗だ!もうちょっとで何か掴めそうなのに!」
「ごめんなさい~。私の力不足で・・・・・・」
「グゥ、グゥググ」
言葉が分からないもののセンニンもどこか申し訳なさそうだった。
「ミィナのせいじゃないしましてやセンニンが悪いんじゃないって、これは俺の力量が足りてないせいなんだよ・・・・・・」
数は数えちゃいなかったが、失敗続きでトラジは頭が痛くなった。
腕が痛くても我慢し、あやふやな勘のような物に神経を集中し続けて頭がおかしくなりそうな気さえした。
何かを掴み掛けてる感じはあるものの、あと一歩が足りないそんな感じだった。
「そ、それに~。材料もお金も・・・・・・どうしましょうか?」
「それは・・・・・・」
もうさっきので材料を使い切ってしまった。お金も足りない。
もう少しで足りない物が掴めそうな所まで来ていたが、ない袖は振れないし、空鍋回しても物はできない。
「ここまで来て、諦めるしかないのか?」
「ですね~。お金もないですしね・・・・・・」
「グゥ、グ・・・・・・」
「その~、センニンさんには協力してもらって来てるのに申し訳ないですが・・・・・・」
「グゥ」
センニンは残念そうだった。
「かたきとれないの?」
「ウリリ・・・・・・。悪いが冒険者にスライムを任せるしかなさそうだ」
「え~と、ですね?もう冒険者にお任せするしかないって言ってますね」
「いや!!うりりがかたきうつの!」
「ウリリ・・・・・・悪いが――」
ウリリは手をポケットに手を突っ込み何かを握りしめてトラジに差し出した。
「おねがい!うりりのおかねぜんぶあげるから!たすけて!!」
ウリリの開かれた手には28枚の銅貨が乗っていた。
1回分にすら足りもしない額だった。
「ウリリちゃん・・・・・・」
「おねがい・・・・・・」
ウリリは泣いた。
初めて組合であった時も事情を聞いた時も泣いて等なかった。
ウリリにとって今頼れるのは、本当にトラジ達だけなのだろう。
「ウリリちゃ――」
「待て!ミィナ!!」
トラジの言葉にミィナが言いかけた言葉を飲み込んだ。
トラジはウリリに近づき、口で銅貨を苦戦しながら時間をかけて28枚全部を咥えた。
「ご、ご主人様!!」
ミィナも何をしようとしてるのか理解が追いつかずに、ついご主人様と声を上げてしまう。
「ん!ふぇをだふぇ」
トラジはミィナに銅貨を咥えた口を向けた。
ミィナはそれを受け取って欲しい事を察し手でウリリの銅貨を受け取った。
「ねこちゃん・・・・・・?」
「ミィナ、これから言うことをそのままウリリに言ってくれ。ウリリのおかげでもう一度挑戦できる!絶対敵討ちさせてやるからな!って猫ちゃんが言ってます」
「ウ、ウリリのおかげでもう一度挑戦できる!絶対敵討ちさせてやるからな!って猫ちゃんが言ってます」
「うんうん!おねがいー!」
「ウリリはここで待っててくれ、すぐ材料そろえて来るから!って言ってますね。で終わり」
ミィナはそのままウリリに伝えると、トラジと共に家を出た。
「ご主人様~、いいんですか?あんな事言って・・・・・・」
「わからん。だが、なんでだろうな。ミィナの時と同じで、そうしなきゃいけない気がしたんだよな」
「でも~、どうするんですか?お金も足りませんし、材料のあてだって・・・・・・」
「ミィナこれからするのは最終手段だ。下手をするとこの町を出た方がいいかもしれなくなるくらいのだ」
「えっと~、夜逃げってやつでしょうか?した事ないですけどなんだか楽しそうですね」
「いいのか?」
「私は~、今はご主人様さえいればどこでもやっていけそうな気がしてるので。あ、でも覚悟してくださいね?私の面倒一生見てもらいますから」
「おう!任せろ!」
「はい~。任せました。と言っても使い魔になった日から任せたままですけどね。大好きですご主人様」
「そんな事言われると、うっかり惚れそうになるじゃないか」
「まだ~、惚れてくれないんですか?」
「まだまだだね。あーでも」
「でも~?」
「だいぶ好きだぞ」
「・・・・・・」
「どした?」
「え~と。その、なんかキュンッ!てしました」
「気のせいだ気のせい」
「え~・・・・・・」
今は材料集めだ。
シリアスにいこうシリアスに。
「あの~、最終手段って何なんですか?」
トラジとミィナはリーヤの家に向かっていた。
トラジはそのあと、ヤガタやアメリー。さらに、バーコード親父の店にも行くつもりだった。
「簡単な話、信用を担保にしてお金を借りて材料を買うんだ」
「信用を~、担保に?どういう事ですか?」
「黒猫が前に弟子について教えてくれたことがあったろ?組合が出来たばかりの頃は、弟子にクエストを任せることに苦情があったってやつ」
「確か~、許容してもらう為の保証として何かあれば師匠が処理するって話ですよね?」
「ああ、それだ。その保証を強引に信用にすり換えるようなもんだな。だから下手をすると信用を全部失って、この町で買い物一つ出来なくなるかもしれないんだ。商売ってのは信用で成り立ってるからな」
「なんとなくは~、分かったんですけど・・・・・・。実は私、保証とか担保とかよく分からないんですよね」
「そっからかよ!後で個人授業だな!」
「なんだか~、楽しそうです」
「そう言ってられるのは今だけだぞ!つり上がった三角メガネに少しきつめのワイシャツにミニスカにタイツ姿で机の上で足組してもらうからな!」
「え~と、なんですかそれ?」
すまん。つーかそれだと俺が授業受ける側だったな。
「悪い。今のは忘れて、とっととリーヤの所へ向かってくれ」
「了解です~」
そして、リーヤの家についたトラジとミィナは事情を説明し、お金を貸してほしいと頼んだ。
「で、それでお金を貸して欲しいわけね」
トラジは猫の姿ではあるが、土下座の構えだ。
「私は男らしくない事は嫌いなのよ。ウリリちゃんのお願いを引き受けたのはいいけど、それで私の所に来るなんて男らしくないじゃない。引き受けた以上は自分達でどうにかするべきじゃない?違う?」
「それでも頼む!お金は後で必ず稼いで返す!だから今回だけは貸してくれ!!」
「・・・・・・それでも頼む!お金は後で必ず稼いで返す!だから今回だけは貸してくれ!って言ってます」
トラジは目を閉じ額を床に着けたままで、ミィナに通訳してもらっていた。
「自分で言うのもなんだけど、私のような小娘に頭を下げるなんて恥ずかしくないの?」
「・・・・・・頼む」
「リーヤちゃん~・・・・・・。ごめんなさい。迷惑なのは分かるけど、私からもおね――」
お願いしようとしたミィナの口元に、リーヤの人差し指が押し当てられ言葉が途切れる。
なぜか、リーヤは笑顔でミィナにウィンクして見せた。
「女の子のミィナちゃんにまで頭下げさせるなんて、ホントに男らしくないわ!何か言ったらどうなの?」
「全部の責任は俺にあるし!責任は必ずとる!だから頼む!!」
ミィナの口元に押し当てられてた人差し指が離れる。
ミィナは通訳して欲しい事をすぐに悟った。
「全部の責任は俺にあるし!責任は必ずとる!だから頼む!!って――」
リーヤはそこまで聞いてトラジを抱き上げる。
その顔は明るい笑顔だった。
「いいわよ。私の今あるお金全部あげる。実を言うとまだ必要になるんじゃないかって気がしてせっせとクエストをやってたくらいなんだから」
「じゃ、じゃぁ~、さっきまでのは?」
「演技。私の方こそごめんね。あまりに男らし過ぎたからちょっといじわるしちゃった」
「いや、謝るのは俺の方だ。ごめんな。お金は必ず返す」
「えっと~、謝るのは俺の方だって、ごめん。お金は必ず返すって」
「謝る事はないし、返さなくていいわ。ただし」
「なんだ?」
「男なら結果で示してね。それ次第じゃ、ただじゃおかないわよ?」
「ああ!もちろんだ!絶対成功させる!!」
「絶対成功させる!って言ってます」
「お金を持ってくるから待ってて」
トラジをミィナに渡しリーヤが階段を駆け上がり、部屋を漁る音が聞こえた。
たぶん部屋の掃除サボるような事言ってたし、財布をテキトーに置いたりして場所とか分からなくなったんだろうな。
リーヤが階段を駆け下りそのままトラジの方へ行くと思われたが違った。
「起きなさい!クソ親父!!」
「な、なんだ?リーヤどうしたんだ?」
「惚れた男を助けたいから!お金あるだけ貸しなさい!!」
「む、娘がグレた!?」
「グレてないわよ!!」
そんな声がトラジには聞こえた。
猫は人間より耳がいいのだ。
「なんか~、すごい事になってますね・・・・・・」
猫は関係なかったくらいの大声だったようだ。
そしてしばらくドタバタする音が聞こえた後、リーヤが戻ってきた。
「これが、今私の出せるお金すべてよ」
差し出されたお金の袋をみてミィナは固まる。
受け取っていいのか悩んだためだ。
「どうしたの?ミィナちゃん」
みかねたトラジはジャンプしてそのお金を強奪する。
「と、トラジさん?」
トラジは袋を一旦床に置き答えた。
「ミィナ、結果で答えるそう約束したばかりで、受け取らないのは違うだろ?だよなリーヤ?」
「え~と、結果で答える約束して受け取らないのは違うだろって言われちゃいました・・・・・・」
「その通りよ。でも、不甲斐ない結果残したら覚悟してね」
「おう!勿論だ!」
「ご、トラジさんが~、勿論だって」
「しかし男らしいだけじゃなくて、ほんとに人間の言葉理解してるのね。すごい」
「え~と・・・・・・そのぉ」
「実はね組合の人に口止めされてたんだけど、ミィナちゃんが使い魔だって事も前に襲われた時に聞いて知ってるの。だから気にしないで・・・・・・は違うか。他の人の前では気をつけてね?前みたいに狙われるかもしれないから」
「うん、わかった~。リーヤちゃんありがとう」
ミィナとトラジはリーヤの家を出て行った。
「トラジちゃんすごいなぁ。銅貨28枚であれだけの事が出来るなんて。そんな思いの詰まった重いお金を、感じ取った上で受け取れる奴なんてそういるもんじゃないわ」
「なんだー。惚れた男とか言うから驚いたが、女の子じゃないか。男気に溢れてて惚れたとかだったのか、安心したぞー!」
「違うわよ!男よあれは。ちなみに、お父さんは銅貨28枚で何倍も損をすると分かっててその頼みを聞ける?」
「何を言ってんだ?そんな馬鹿な事するわけないだろう。あーでもリーヤの頼みならやるかな」
「そういう話じゃないんだけど・・・・・・。それが普通よね。トラジちゃんが人間だったらいいのになぁ」
「もしかして、その惚れた相手って人間じゃないのか!ダメだぞ!お父さんは認めません!というかブチ殺してやる!!」
「ああもう!うっさいわね!クソ親父!!」
トラジとミィナはヤガタとアメリーの家を訪れてお金を受け取った。
リーヤのところでの話をしたのが利いたのか、2人ともしぶる事もなくお金を出してくれた。
リーヤの信頼度はすごいな。
もしかしたら、あの可愛い顔でジャイアンみたいな立ち位置してるのかもしれないな。
「ご主人様~。エリィさんの所は行かないんですか?トーマスさんを頼る手もあるんじゃないですか?」
「ダメだな。エリィに直接聞いた事はないが、黒猫が反対してたからな。主人も同じ判断してるだろう。トーマスは、馴染みが薄すぎる。信用はある程度関わりあってないとされる事はない。ミィナだって見ず知らずの赤の他人を信頼も信用もできないだろ?」
「た、確かに~。だからリーヤちゃん達だけを頼ったんですね」
「ああ。だが、黒猫のやつとはちょっと対立しちまったが、後で仲直りしないとだよなぁ・・・・・・」
「ですね~。反対はされたけど、私達の事を考えてですもんね」
「こういう時は俺から言わないとだよな・・・・・・。すごく言い出しにくい」
「大丈夫です~。私もついてますから」
「だな、助かる。話を戻すが、次に行こうか」
「次はどこなんですか?」
「バーコード親父のとこで最後だ。今あるお金でどれだけ材料を売ってもらえるかが鍵だ。みんなから受け取ったお金だ1円たりとも無駄にできない!」
ミィナがその言葉を聞いて疑問符を浮かべた。
「あの~、1円ってなんですか?」
「あ、え~とだな・・・・・・」
やっべー。
つい口が滑ってこっちにはありもしないお金を言っちまった。
どう説明すっかな・・・・・・。
こっちには存在してないんだしテキトーにでっちあげるか?
「1円ってのはだな。思いの単位だ。まぁ、これは俺の育ての親が言ってただけだから他じゃ通用しないかもしれんが・・・・・・」
「なるほど~。1円、思いの単位・・・・・・。覚えました!ちなみに今は何円くらいなんですか?」
「は?え、あーいや。そ、そうだな。1千万円くらいだ!たぶんきっと!」
「え~と、桁がすごいですね・・・・・・。でも、とても強そうです」
「ああ!負けられないからな!」
トラジとミィナはバーコード親父の店に向かった。
どうやら、今回はちゃんと店にいるようだ。
「こ、この~、お金で買えるだけ材料を売ってください!」
バーコード親父は出されたお金を見て目を細める。
「おめぇ、この金どうした」
「ウリリやリーヤ達からかき集めた!材料があるだけ欲しい!売ってくれ!!」
ミィナはトラジの言葉をそのままバーコード親父に伝えた。
バーコード親父はお金を数えているようだ。
「28枚か・・・・・・。おめぇ、この銅貨がなんだか分かるか?」
バーコード親父はその銅貨のうちの一枚を裏を上にして見せる。
そこには、この世界の文字でウと書かれていた。
「これはなぁ。あのウリ坊の名前だ。そのウリ坊の一月の小遣いいくらか知ってるか?」
トラジとミィナは揃って首を横に振る。
「銅貨1枚だとよ。まぁ、あの年の子供ならよくある額だ。わーきゃーやかましかったがこの銅貨を見せて来てよく言ってたもんだ。この銅貨を一杯集めて両親にでっかい贈り物するんだってな、銀貨も金貨もしらねぇくせによ」
バーコード親父の目が鋭くなる。
「おめぇ、そんなウリ坊がせっせと毎月集めてた銅貨を巻き上げやがったな!恥をしれぇ!」
「ちょ、お父さん!こんなの何か事情が――」
「俺達の力不足なのは認めるし、恥も承知の上だ。それでもウリリにお願いされて、銅貨を受け取り引き受けたんだ!引き下がれねぇんだよ!!」
「えっと~、私達の力不足なのは認めます、恥なのも分かってます。それでも、私達はウリリちゃんにお願いされこの銅貨を受け取ってお願いを引き受けたんです!引き下がれないんです!!」
「ミィナちゃん・・・・・・」
バーコード親父は目を閉じしばし考えた後考えがまとまったのか質問をした。
「すこし熱くなっちまったすまねぇな。それで材料とやらはどれくらいいるんだ?」
「正直どれだけ必要になるかわからねぇ。買えるだけ欲しい」
「え~と、どれだけ必要になるか分かりません。だから買えるだけ欲しいです」
「確認するぞ、これはウリ坊のためなんだな?」
「ああ」
「はい・・・・・・」
「わかった」
バーコード親父は28枚の銅貨を懐にしまい目を大きく見開き宣言する。
「うちにある必要なもん全部持ってけ!代金はさっきの銅貨だ!文句は言わせねぇ!!」
「え?あ、ちょっと!!お父さんさすがにそれは駄目よ!どれだけの赤字かわかってるの?今までの割引とかじゃないんだよ!正直ミィナちゃんが出したお金受け取っても余裕で大赤字なのに!!」
「この店の店主がいいって言ってんだ!ワカバ、これ以上の許可がいるかよ!」
「私はこのお店を継ぐの!無くなったら困るから口くらい挟むわよ!」
「けっ!だがなぁ、もう代金は受け取ったんだこれは変わらねぇよ!」
「ああ、もう・・・・・・。これだから頑固親父はぁ・・・・・・」
「ふんっ!」
「わかりました!それでいいです。けど、条件が二つあります」
「ちっ!ワカバおめぇも十分頑固じゃねぇかよ。その条件次第じゃ俺も口を挟ませてもらうからな」
「どうぞ!ごかってに!」
ワカバはミィナとトラジに向き直り、条件を述べた。
「条件1つめ。必要なものをあるだけ使っていいけど、残った物はこちらに返却して貰います。条件2つめ。ここまでしたんだから、必ず成功させてウリリちゃんの願いをかなえてあげて。以上よ!お父さんは文句はある?ミィナちゃんもそれでいい?」
「いや、ねぇよ」
「はい~、ぜひお願いします!」
ミィナは両手と背中の鞄に、必要なものを持てるだけ持って店を出た。
今回ばかりはトラジは徒歩だ。
材料の残りはバーコード親父が運ぶ事になっている。
「お父さん。ほんとに何であんな赤字を背負うような事をしたの?」
「ワカバぁ、おめぇはまだまだだな。決まってんじゃねぇかよ」
「また、期待とか惚れたーとかなの?」
「それだけでもねぇさ。今スライムがこの町だけじゃねぇ国中で異常発生してるのは知ってるな?」
「まぁ、知ってるけど・・・・・・」
「あのガキ共がスライムをぶち殺すアイテムを作ろうとしてんだろ?」
「そう聞いてますけど」
「もし、それをよぉ。完成させたらどうなると思うよ?」
「どうって、それは・・・・・・あ!」
「そういうこった。国中でそのアイテムが作られるだろうなぁ。んで今のうちにその材料を押さえりゃ大儲けよ」
「じゃぁ、やっぱり儲ける為にやったんだ」
「分かってねぇな。それだけだと、まだまだ店を任せるわけにはいかねぇなぁ。そもそもアイテムを作れなきゃ無意味だろうがよ。失敗すりゃ大損よ。できるかできないか見分けの決め手は惚れるかどうかよぉ!それができなきゃ商売は失敗するし、できりゃやってける。ワカバも店やる気があるなら見極めできるようになりな」
「でも、その惚れた相手のミィナちゃんは女の子でトラジちゃんは猫なんだけどねー」
「ガハハハッ!ちげぇねぇな!確かにな!俺もついにヤキがまわっ――」
「私も実は惚れたとは少し違うけど、ミィナちゃん達はできると思う。だからヤキとか言わずせっせと働いてもらうよ!ミィナちゃん達より先に儲けれる下地を完成させなきゃでしょ!!」
「あたぼーよ!大儲けしてやろうじゃねぇかよ!」
「くそっ!また失敗だ!もうちょっとで何か掴めそうなのに!」
「ごめんなさい~。私の力不足で・・・・・・」
「グゥ、グゥググ」
言葉が分からないもののセンニンもどこか申し訳なさそうだった。
「ミィナのせいじゃないしましてやセンニンが悪いんじゃないって、これは俺の力量が足りてないせいなんだよ・・・・・・」
数は数えちゃいなかったが、失敗続きでトラジは頭が痛くなった。
腕が痛くても我慢し、あやふやな勘のような物に神経を集中し続けて頭がおかしくなりそうな気さえした。
何かを掴み掛けてる感じはあるものの、あと一歩が足りないそんな感じだった。
「そ、それに~。材料もお金も・・・・・・どうしましょうか?」
「それは・・・・・・」
もうさっきので材料を使い切ってしまった。お金も足りない。
もう少しで足りない物が掴めそうな所まで来ていたが、ない袖は振れないし、空鍋回しても物はできない。
「ここまで来て、諦めるしかないのか?」
「ですね~。お金もないですしね・・・・・・」
「グゥ、グ・・・・・・」
「その~、センニンさんには協力してもらって来てるのに申し訳ないですが・・・・・・」
「グゥ」
センニンは残念そうだった。
「かたきとれないの?」
「ウリリ・・・・・・。悪いが冒険者にスライムを任せるしかなさそうだ」
「え~と、ですね?もう冒険者にお任せするしかないって言ってますね」
「いや!!うりりがかたきうつの!」
「ウリリ・・・・・・悪いが――」
ウリリは手をポケットに手を突っ込み何かを握りしめてトラジに差し出した。
「おねがい!うりりのおかねぜんぶあげるから!たすけて!!」
ウリリの開かれた手には28枚の銅貨が乗っていた。
1回分にすら足りもしない額だった。
「ウリリちゃん・・・・・・」
「おねがい・・・・・・」
ウリリは泣いた。
初めて組合であった時も事情を聞いた時も泣いて等なかった。
ウリリにとって今頼れるのは、本当にトラジ達だけなのだろう。
「ウリリちゃ――」
「待て!ミィナ!!」
トラジの言葉にミィナが言いかけた言葉を飲み込んだ。
トラジはウリリに近づき、口で銅貨を苦戦しながら時間をかけて28枚全部を咥えた。
「ご、ご主人様!!」
ミィナも何をしようとしてるのか理解が追いつかずに、ついご主人様と声を上げてしまう。
「ん!ふぇをだふぇ」
トラジはミィナに銅貨を咥えた口を向けた。
ミィナはそれを受け取って欲しい事を察し手でウリリの銅貨を受け取った。
「ねこちゃん・・・・・・?」
「ミィナ、これから言うことをそのままウリリに言ってくれ。ウリリのおかげでもう一度挑戦できる!絶対敵討ちさせてやるからな!って猫ちゃんが言ってます」
「ウ、ウリリのおかげでもう一度挑戦できる!絶対敵討ちさせてやるからな!って猫ちゃんが言ってます」
「うんうん!おねがいー!」
「ウリリはここで待っててくれ、すぐ材料そろえて来るから!って言ってますね。で終わり」
ミィナはそのままウリリに伝えると、トラジと共に家を出た。
「ご主人様~、いいんですか?あんな事言って・・・・・・」
「わからん。だが、なんでだろうな。ミィナの時と同じで、そうしなきゃいけない気がしたんだよな」
「でも~、どうするんですか?お金も足りませんし、材料のあてだって・・・・・・」
「ミィナこれからするのは最終手段だ。下手をするとこの町を出た方がいいかもしれなくなるくらいのだ」
「えっと~、夜逃げってやつでしょうか?した事ないですけどなんだか楽しそうですね」
「いいのか?」
「私は~、今はご主人様さえいればどこでもやっていけそうな気がしてるので。あ、でも覚悟してくださいね?私の面倒一生見てもらいますから」
「おう!任せろ!」
「はい~。任せました。と言っても使い魔になった日から任せたままですけどね。大好きですご主人様」
「そんな事言われると、うっかり惚れそうになるじゃないか」
「まだ~、惚れてくれないんですか?」
「まだまだだね。あーでも」
「でも~?」
「だいぶ好きだぞ」
「・・・・・・」
「どした?」
「え~と。その、なんかキュンッ!てしました」
「気のせいだ気のせい」
「え~・・・・・・」
今は材料集めだ。
シリアスにいこうシリアスに。
「あの~、最終手段って何なんですか?」
トラジとミィナはリーヤの家に向かっていた。
トラジはそのあと、ヤガタやアメリー。さらに、バーコード親父の店にも行くつもりだった。
「簡単な話、信用を担保にしてお金を借りて材料を買うんだ」
「信用を~、担保に?どういう事ですか?」
「黒猫が前に弟子について教えてくれたことがあったろ?組合が出来たばかりの頃は、弟子にクエストを任せることに苦情があったってやつ」
「確か~、許容してもらう為の保証として何かあれば師匠が処理するって話ですよね?」
「ああ、それだ。その保証を強引に信用にすり換えるようなもんだな。だから下手をすると信用を全部失って、この町で買い物一つ出来なくなるかもしれないんだ。商売ってのは信用で成り立ってるからな」
「なんとなくは~、分かったんですけど・・・・・・。実は私、保証とか担保とかよく分からないんですよね」
「そっからかよ!後で個人授業だな!」
「なんだか~、楽しそうです」
「そう言ってられるのは今だけだぞ!つり上がった三角メガネに少しきつめのワイシャツにミニスカにタイツ姿で机の上で足組してもらうからな!」
「え~と、なんですかそれ?」
すまん。つーかそれだと俺が授業受ける側だったな。
「悪い。今のは忘れて、とっととリーヤの所へ向かってくれ」
「了解です~」
そして、リーヤの家についたトラジとミィナは事情を説明し、お金を貸してほしいと頼んだ。
「で、それでお金を貸して欲しいわけね」
トラジは猫の姿ではあるが、土下座の構えだ。
「私は男らしくない事は嫌いなのよ。ウリリちゃんのお願いを引き受けたのはいいけど、それで私の所に来るなんて男らしくないじゃない。引き受けた以上は自分達でどうにかするべきじゃない?違う?」
「それでも頼む!お金は後で必ず稼いで返す!だから今回だけは貸してくれ!!」
「・・・・・・それでも頼む!お金は後で必ず稼いで返す!だから今回だけは貸してくれ!って言ってます」
トラジは目を閉じ額を床に着けたままで、ミィナに通訳してもらっていた。
「自分で言うのもなんだけど、私のような小娘に頭を下げるなんて恥ずかしくないの?」
「・・・・・・頼む」
「リーヤちゃん~・・・・・・。ごめんなさい。迷惑なのは分かるけど、私からもおね――」
お願いしようとしたミィナの口元に、リーヤの人差し指が押し当てられ言葉が途切れる。
なぜか、リーヤは笑顔でミィナにウィンクして見せた。
「女の子のミィナちゃんにまで頭下げさせるなんて、ホントに男らしくないわ!何か言ったらどうなの?」
「全部の責任は俺にあるし!責任は必ずとる!だから頼む!!」
ミィナの口元に押し当てられてた人差し指が離れる。
ミィナは通訳して欲しい事をすぐに悟った。
「全部の責任は俺にあるし!責任は必ずとる!だから頼む!!って――」
リーヤはそこまで聞いてトラジを抱き上げる。
その顔は明るい笑顔だった。
「いいわよ。私の今あるお金全部あげる。実を言うとまだ必要になるんじゃないかって気がしてせっせとクエストをやってたくらいなんだから」
「じゃ、じゃぁ~、さっきまでのは?」
「演技。私の方こそごめんね。あまりに男らし過ぎたからちょっといじわるしちゃった」
「いや、謝るのは俺の方だ。ごめんな。お金は必ず返す」
「えっと~、謝るのは俺の方だって、ごめん。お金は必ず返すって」
「謝る事はないし、返さなくていいわ。ただし」
「なんだ?」
「男なら結果で示してね。それ次第じゃ、ただじゃおかないわよ?」
「ああ!もちろんだ!絶対成功させる!!」
「絶対成功させる!って言ってます」
「お金を持ってくるから待ってて」
トラジをミィナに渡しリーヤが階段を駆け上がり、部屋を漁る音が聞こえた。
たぶん部屋の掃除サボるような事言ってたし、財布をテキトーに置いたりして場所とか分からなくなったんだろうな。
リーヤが階段を駆け下りそのままトラジの方へ行くと思われたが違った。
「起きなさい!クソ親父!!」
「な、なんだ?リーヤどうしたんだ?」
「惚れた男を助けたいから!お金あるだけ貸しなさい!!」
「む、娘がグレた!?」
「グレてないわよ!!」
そんな声がトラジには聞こえた。
猫は人間より耳がいいのだ。
「なんか~、すごい事になってますね・・・・・・」
猫は関係なかったくらいの大声だったようだ。
そしてしばらくドタバタする音が聞こえた後、リーヤが戻ってきた。
「これが、今私の出せるお金すべてよ」
差し出されたお金の袋をみてミィナは固まる。
受け取っていいのか悩んだためだ。
「どうしたの?ミィナちゃん」
みかねたトラジはジャンプしてそのお金を強奪する。
「と、トラジさん?」
トラジは袋を一旦床に置き答えた。
「ミィナ、結果で答えるそう約束したばかりで、受け取らないのは違うだろ?だよなリーヤ?」
「え~と、結果で答える約束して受け取らないのは違うだろって言われちゃいました・・・・・・」
「その通りよ。でも、不甲斐ない結果残したら覚悟してね」
「おう!勿論だ!」
「ご、トラジさんが~、勿論だって」
「しかし男らしいだけじゃなくて、ほんとに人間の言葉理解してるのね。すごい」
「え~と・・・・・・そのぉ」
「実はね組合の人に口止めされてたんだけど、ミィナちゃんが使い魔だって事も前に襲われた時に聞いて知ってるの。だから気にしないで・・・・・・は違うか。他の人の前では気をつけてね?前みたいに狙われるかもしれないから」
「うん、わかった~。リーヤちゃんありがとう」
ミィナとトラジはリーヤの家を出て行った。
「トラジちゃんすごいなぁ。銅貨28枚であれだけの事が出来るなんて。そんな思いの詰まった重いお金を、感じ取った上で受け取れる奴なんてそういるもんじゃないわ」
「なんだー。惚れた男とか言うから驚いたが、女の子じゃないか。男気に溢れてて惚れたとかだったのか、安心したぞー!」
「違うわよ!男よあれは。ちなみに、お父さんは銅貨28枚で何倍も損をすると分かっててその頼みを聞ける?」
「何を言ってんだ?そんな馬鹿な事するわけないだろう。あーでもリーヤの頼みならやるかな」
「そういう話じゃないんだけど・・・・・・。それが普通よね。トラジちゃんが人間だったらいいのになぁ」
「もしかして、その惚れた相手って人間じゃないのか!ダメだぞ!お父さんは認めません!というかブチ殺してやる!!」
「ああもう!うっさいわね!クソ親父!!」
トラジとミィナはヤガタとアメリーの家を訪れてお金を受け取った。
リーヤのところでの話をしたのが利いたのか、2人ともしぶる事もなくお金を出してくれた。
リーヤの信頼度はすごいな。
もしかしたら、あの可愛い顔でジャイアンみたいな立ち位置してるのかもしれないな。
「ご主人様~。エリィさんの所は行かないんですか?トーマスさんを頼る手もあるんじゃないですか?」
「ダメだな。エリィに直接聞いた事はないが、黒猫が反対してたからな。主人も同じ判断してるだろう。トーマスは、馴染みが薄すぎる。信用はある程度関わりあってないとされる事はない。ミィナだって見ず知らずの赤の他人を信頼も信用もできないだろ?」
「た、確かに~。だからリーヤちゃん達だけを頼ったんですね」
「ああ。だが、黒猫のやつとはちょっと対立しちまったが、後で仲直りしないとだよなぁ・・・・・・」
「ですね~。反対はされたけど、私達の事を考えてですもんね」
「こういう時は俺から言わないとだよな・・・・・・。すごく言い出しにくい」
「大丈夫です~。私もついてますから」
「だな、助かる。話を戻すが、次に行こうか」
「次はどこなんですか?」
「バーコード親父のとこで最後だ。今あるお金でどれだけ材料を売ってもらえるかが鍵だ。みんなから受け取ったお金だ1円たりとも無駄にできない!」
ミィナがその言葉を聞いて疑問符を浮かべた。
「あの~、1円ってなんですか?」
「あ、え~とだな・・・・・・」
やっべー。
つい口が滑ってこっちにはありもしないお金を言っちまった。
どう説明すっかな・・・・・・。
こっちには存在してないんだしテキトーにでっちあげるか?
「1円ってのはだな。思いの単位だ。まぁ、これは俺の育ての親が言ってただけだから他じゃ通用しないかもしれんが・・・・・・」
「なるほど~。1円、思いの単位・・・・・・。覚えました!ちなみに今は何円くらいなんですか?」
「は?え、あーいや。そ、そうだな。1千万円くらいだ!たぶんきっと!」
「え~と、桁がすごいですね・・・・・・。でも、とても強そうです」
「ああ!負けられないからな!」
トラジとミィナはバーコード親父の店に向かった。
どうやら、今回はちゃんと店にいるようだ。
「こ、この~、お金で買えるだけ材料を売ってください!」
バーコード親父は出されたお金を見て目を細める。
「おめぇ、この金どうした」
「ウリリやリーヤ達からかき集めた!材料があるだけ欲しい!売ってくれ!!」
ミィナはトラジの言葉をそのままバーコード親父に伝えた。
バーコード親父はお金を数えているようだ。
「28枚か・・・・・・。おめぇ、この銅貨がなんだか分かるか?」
バーコード親父はその銅貨のうちの一枚を裏を上にして見せる。
そこには、この世界の文字でウと書かれていた。
「これはなぁ。あのウリ坊の名前だ。そのウリ坊の一月の小遣いいくらか知ってるか?」
トラジとミィナは揃って首を横に振る。
「銅貨1枚だとよ。まぁ、あの年の子供ならよくある額だ。わーきゃーやかましかったがこの銅貨を見せて来てよく言ってたもんだ。この銅貨を一杯集めて両親にでっかい贈り物するんだってな、銀貨も金貨もしらねぇくせによ」
バーコード親父の目が鋭くなる。
「おめぇ、そんなウリ坊がせっせと毎月集めてた銅貨を巻き上げやがったな!恥をしれぇ!」
「ちょ、お父さん!こんなの何か事情が――」
「俺達の力不足なのは認めるし、恥も承知の上だ。それでもウリリにお願いされて、銅貨を受け取り引き受けたんだ!引き下がれねぇんだよ!!」
「えっと~、私達の力不足なのは認めます、恥なのも分かってます。それでも、私達はウリリちゃんにお願いされこの銅貨を受け取ってお願いを引き受けたんです!引き下がれないんです!!」
「ミィナちゃん・・・・・・」
バーコード親父は目を閉じしばし考えた後考えがまとまったのか質問をした。
「すこし熱くなっちまったすまねぇな。それで材料とやらはどれくらいいるんだ?」
「正直どれだけ必要になるかわからねぇ。買えるだけ欲しい」
「え~と、どれだけ必要になるか分かりません。だから買えるだけ欲しいです」
「確認するぞ、これはウリ坊のためなんだな?」
「ああ」
「はい・・・・・・」
「わかった」
バーコード親父は28枚の銅貨を懐にしまい目を大きく見開き宣言する。
「うちにある必要なもん全部持ってけ!代金はさっきの銅貨だ!文句は言わせねぇ!!」
「え?あ、ちょっと!!お父さんさすがにそれは駄目よ!どれだけの赤字かわかってるの?今までの割引とかじゃないんだよ!正直ミィナちゃんが出したお金受け取っても余裕で大赤字なのに!!」
「この店の店主がいいって言ってんだ!ワカバ、これ以上の許可がいるかよ!」
「私はこのお店を継ぐの!無くなったら困るから口くらい挟むわよ!」
「けっ!だがなぁ、もう代金は受け取ったんだこれは変わらねぇよ!」
「ああ、もう・・・・・・。これだから頑固親父はぁ・・・・・・」
「ふんっ!」
「わかりました!それでいいです。けど、条件が二つあります」
「ちっ!ワカバおめぇも十分頑固じゃねぇかよ。その条件次第じゃ俺も口を挟ませてもらうからな」
「どうぞ!ごかってに!」
ワカバはミィナとトラジに向き直り、条件を述べた。
「条件1つめ。必要なものをあるだけ使っていいけど、残った物はこちらに返却して貰います。条件2つめ。ここまでしたんだから、必ず成功させてウリリちゃんの願いをかなえてあげて。以上よ!お父さんは文句はある?ミィナちゃんもそれでいい?」
「いや、ねぇよ」
「はい~、ぜひお願いします!」
ミィナは両手と背中の鞄に、必要なものを持てるだけ持って店を出た。
今回ばかりはトラジは徒歩だ。
材料の残りはバーコード親父が運ぶ事になっている。
「お父さん。ほんとに何であんな赤字を背負うような事をしたの?」
「ワカバぁ、おめぇはまだまだだな。決まってんじゃねぇかよ」
「また、期待とか惚れたーとかなの?」
「それだけでもねぇさ。今スライムがこの町だけじゃねぇ国中で異常発生してるのは知ってるな?」
「まぁ、知ってるけど・・・・・・」
「あのガキ共がスライムをぶち殺すアイテムを作ろうとしてんだろ?」
「そう聞いてますけど」
「もし、それをよぉ。完成させたらどうなると思うよ?」
「どうって、それは・・・・・・あ!」
「そういうこった。国中でそのアイテムが作られるだろうなぁ。んで今のうちにその材料を押さえりゃ大儲けよ」
「じゃぁ、やっぱり儲ける為にやったんだ」
「分かってねぇな。それだけだと、まだまだ店を任せるわけにはいかねぇなぁ。そもそもアイテムを作れなきゃ無意味だろうがよ。失敗すりゃ大損よ。できるかできないか見分けの決め手は惚れるかどうかよぉ!それができなきゃ商売は失敗するし、できりゃやってける。ワカバも店やる気があるなら見極めできるようになりな」
「でも、その惚れた相手のミィナちゃんは女の子でトラジちゃんは猫なんだけどねー」
「ガハハハッ!ちげぇねぇな!確かにな!俺もついにヤキがまわっ――」
「私も実は惚れたとは少し違うけど、ミィナちゃん達はできると思う。だからヤキとか言わずせっせと働いてもらうよ!ミィナちゃん達より先に儲けれる下地を完成させなきゃでしょ!!」
「あたぼーよ!大儲けしてやろうじゃねぇかよ!」
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