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最高のもっふもふを目指して!
もふもふLv2&くーん!くーん
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私は猿達と別れて元の町まで帰った。
このまま猿達と暮らすのもありだったのでは?と言う人もいるかもしれない。
だが、あえて言おう。
あんな硫黄臭いところにいつまでも暮らせるわけ無いだろう!狼の鼻が腐り落ちるわ!!
「あの独特の臭いがなければなぁ。居続けるのもできたかもな。……細かい所に色々目を瞑ればだけど」
そう。問題は臭いだけではない。
短期間であったからこそ無視して飲み込んでいられるという事もある。
その細かい所というのは上げればキリが無いが、上からいくつかあげてみると次の通りだ。
キーキィー言ってて、何を言っているのかよく分からない所。
半数くらいの猿は好意的だが他が警戒してるっぽい所。
私が歩いていると背中に乗っかってくる奴(大人の猿)がいる所。
そして……、時折背中の猿が場所を他の猿に取られそうになり、喧嘩をおっぱじめる所だ。
「あれは痛い……。私の毛をぎゅっと強く握って争いだすしなぁ」
色々あったが、結果ノミダニ対策は出来たかのように思う。
前より体が痒く感じることは無くなった気がしていたから。
この体から滲み出る硫黄泉(いおうせん)臭がしばらくはノミダニから身を守ってくれる筈だ。
しばらくは……。
「猿達のおかげでノミダニの大幅な除去が一応出来たが、現状をこれからも維持しなきゃいけないな」
完全除去まで出来ているかまではわからない。
だが、このノミダニ対策は一生続く問題で、現状で満足してあぐらを掻くわけにはいかない。
油断すればまた振り出しに戻ってしまう。
「……ノミダニを寄せ付けないと言えば、一定の効果をみせたハーブが有効だとは思うが……」
思い出されるのは、複雑に交じり合ったあの悪臭……。
しかも目に染みる。
何より寝たときの悪夢!!
「……複雑に混じり合わせなければ大丈夫かな?」
効果は薄まるかもしれないが、使うハーブの種類を搾ればいいのかもしれない。
いくつかは良い香りな気もした。
前世の人間知識に香水というものがあるらしい。それは複数の香りのエキスを複雑に混ぜ合わせ、人間達の好む香りにしたものらしい。
もし人間達の好む香りを身につけることとが出来るとすれば……。
「……やり方次第で、私は人間達の人気者になるかもしれない」
そうなれば、引く手あまたの引っ張りダコ!
『ぜひ我が家に来て欲しい』
『いや!ぜひ私のうちに!!』
『だーめー!私のなの!!』
もはや、3食昼寝どころではないな。
高級ブランド肉や高級さしみ……。いやいや、それどころか最高峰の料理人が私のために料理を作り献上してきてもおかしくはないだろう!!
「じゅるり……。素晴らしい!!!!」
私は早速行動を開始した。
以前ハーブを探し回った森に入り、使えそうなものを探して回る。
今の私は硫黄臭さに守られた鉄壁ガード状態で、言うなれば星を取ったドカンを出入りする赤い人みたいなものだ。
ノミダニ等怖くはない!
「さて、前回と同様に集めれるだけ集めてみたけど、匂いの組み合わせとかやった事ないしどうしたもんか……」
もうすでにごちゃ混ぜの臭いになりだしてるハーブらしい山を見て、私は頭と捻り鼻を手で押さえる。
このごちゃ混ぜ臭は良くないのは経験済みだ、私にとっても人間にとっても。
単体で見れば好き嫌いはあるだろうが、悪くはないはずだ。
仕方ない。とりあえず、私の好きな順で並べてみるか……。
「ミントっぽいのがこの中では好きかもしれない。あとは、レモンっぽいやつとラベンダーっぽいやつか。リンゴっぽいやつにバニラっぽいやつの甘い香りはちょっとなぁと言う感じ。バラっぽいのやちょっと苦そうな薬膳的な香りのやつは集めはしたがあんまり好きな香りじゃないな」
好きなのはまぁいい。
甘い系の香りはたまにならいいけど、常時となると遠慮したい……からパス。
バラはともかく薬膳的な香りは好きじゃないが、隠し味的な感じで混ぜても良いかもしれない。
こういう時は主体となる香りを決めて、それを引き立たせるように他のを少量混ぜ込むのがセオリーだろう。と、前世の人間知識が言ってる。
「……ミントっぽいやつとラベンダーっぽいやつを主体にして後は……」
私は何を混ぜていくか鼻を鳴らして嗅いでいく。
そして、どういう風に組み合わせれていくか頭を悩ました。
だが、今までにそういった事をした経験もなく、前世の人間知識もそっから先はうんともすんとも言わなかった。
「……なるほど!まったく分からん!」
よく分からんかったので、ミント&ラベンダーっぽいのを8割程度に薬膳的な香りがしたものを2割程混ぜた。
あとは、混ぜたやつと小石5つを木箱に入れ、不安定な石の上においてガタガタと前足で器用に揺らした。
揉んだり潰したりした方が香りがより強く出るらしいので、それを狙っての事だ。
だが、ハッキリ言って失敗した。なんか香りが予想以上に強く出すぎた。
「これ……。直で体に付けていい濃度じゃない気がする……」
どういった物でも適量というものがある。
度を越せば薬でも毒にもなりうるというやつだ。
良い香りだからって原液を床にぶちまければどうなるか、誰でも予想が付くだろう。
それを今になって学んだ私だった。
その後の試行錯誤の結果、ハーブを下に敷いて寝るだけになった。
上でゴロゴロしているだけで、ハーブ達が私の体重で適度に揉み潰される。
それが適量の香りとなった。
「……やっとだ」
硫黄臭さが体から抜け落ち、下に敷いていたハーブの香りが体に付いてきた。
うまく行くだろうか?そんな不安は依然としてあるが、今までの苦労を結果に結び付けたい気持ちが勝っていた。
私は以前より計画していた作戦を実行する事にした。
その作戦名はもちろん『私を飼いたければ豪華なご飯を献上のうえ、3食&昼寝付きとブラッシング+αで、大事に。甘やかすべし!!』だ。
ん?前よりも作戦名が酷くなってるって?
気のせいだろう。
なんか前のもこんな感じだった気がするし、なんならこれに室内生活も義務付けてもいいかもしれないくらいだ。
ま、うまく行くかどうかはさておき、私は人通りの多い噴水広場に来ているわけだよ。
もちろん、人目につかないように朝一でスタンバイしました。
「まぁ、分かってたけどこの時間だと人がいないなぁ」
私はその場で木箱の中、少し眠る事にしたのだった。
「……だよ」
「……だな」
ん?
私は誰かの話し声がして目を覚ました。
顔を上げると2人の男性が話し合っていた。
「くーん」
私は演技で同情を誘うようにひと鳴きしてみせた。
内心では完璧すぎる自分の演技に恐怖すら感じるほどだった。
もしかしたら、私の前世は映画界の大スターだったのかもしれない。
それくらいの自画自賛をしていた私だった。
だが、次の瞬間私は固まった。
「まったく駄目だよなぁ。こんなとこに犬を捨てたらさ」
「うんうん。仕方ないし保健所の人呼んでこよう。ちょっと可哀想な気もするけどな」
なんだと!?なんだとっ!?なんだとぅっ!?
なんでやねーーーん!!
「くーん!くーん!くーん!!」
私の華麗なる演技はすぐさま吹き飛び、必死ささえ感じるようなくーんを連呼していた。
もはや悠長に演技などしていられない。
保健所行きとなれば、飼い主が見つからずにあんな事やそんな事にされてしまうに違いない。
私はもうちょっとしたパニック状態だった。
「そう泣くなって。きっといい飼い主がみつかるって」
「うし、俺は早速保健所の方に行ってみるわ。この時間でやってるかわからんけども」
見つからなかったらどうしてくれんだよぉこのぉぉ!
そうやって碌な保障も無しに無責任な事言わないで欲しいぃ!!
「くーん!くーん!くーん!!」
もはや作戦は台無しだった。
まさかの保健所警察が現れ、私はまともな演技すらできてない状態。
まともな演技も出来ないようでは、同情に訴える事も不可能だろう。
こうなればアレしかない!
「撤退ーーーーーーーー!!!!」
「あっこら!逃げるんじゃなーーーい!!」
私は素早く木箱を被り逃走した。
「くっそぅー!やっぱありやがったよ保健所がぁ!!」
そして始まったのは大人による町中の捜索だった。
私は素早く民家の敷地の物陰に隠れた。
その場でじっとして、ほとぼりが冷めるのを待つつもりだ。
「まったく、酷い目に遭った……。はぁ……」
危うく保健所行きになりそうになった私は溜息をした。
「ただ、町の治安を維持するという面では保健所の必要性は理解できなくもないな。捕まる狼側としては絶対拒否だけど」
保健所を悪魔みたいにも思う私だが、冷静に考えれば保健所の必要性自体は理解できる。
野良犬が増えた際の被害があるだろう?慣れてない人に噛み付いたり、吠えたり、所構わず糞尿したり、食べ物を扱う店で盗みをするやつもいるかもしれない。
町の治安維持には確かに貢献してると言えるし、捕まえた犬の数が多くなれば面倒みきれないし、新たに捕まえる事ができない。
パンクさせずに保健所を機能させ続けるにはあんな事やそんな事も必要ではあるのだろう。
「ま、私は御免だけどね。トイレだって町の外でしてるし猫のように一応土に埋めてるし、人間達に迷惑はかけてない筈」
私がそういった行動が出来るのは前世の人間知識があるからこそではある。
その辺考慮して優遇して欲しい。
そして超豪華な食事でもてなし甘やかして欲しい。
でもそれは無理な話。私に前世の人間知識があるなんて見て分かるわけもなく、人間達に伝える事もできてない。
というかそんな手段が今のところない。
「やっぱり何かしてかないと、なんだろうか……」
そんな事を考えていた時だった。
パカッ。
そんな音がした気がして、木箱の中にいた私の視界が大きく開かれると同時に、私は背後に誰かの視線を感じた。
だが、それは以前にも感じた事のあるものだったのだ。
このまま猿達と暮らすのもありだったのでは?と言う人もいるかもしれない。
だが、あえて言おう。
あんな硫黄臭いところにいつまでも暮らせるわけ無いだろう!狼の鼻が腐り落ちるわ!!
「あの独特の臭いがなければなぁ。居続けるのもできたかもな。……細かい所に色々目を瞑ればだけど」
そう。問題は臭いだけではない。
短期間であったからこそ無視して飲み込んでいられるという事もある。
その細かい所というのは上げればキリが無いが、上からいくつかあげてみると次の通りだ。
キーキィー言ってて、何を言っているのかよく分からない所。
半数くらいの猿は好意的だが他が警戒してるっぽい所。
私が歩いていると背中に乗っかってくる奴(大人の猿)がいる所。
そして……、時折背中の猿が場所を他の猿に取られそうになり、喧嘩をおっぱじめる所だ。
「あれは痛い……。私の毛をぎゅっと強く握って争いだすしなぁ」
色々あったが、結果ノミダニ対策は出来たかのように思う。
前より体が痒く感じることは無くなった気がしていたから。
この体から滲み出る硫黄泉(いおうせん)臭がしばらくはノミダニから身を守ってくれる筈だ。
しばらくは……。
「猿達のおかげでノミダニの大幅な除去が一応出来たが、現状をこれからも維持しなきゃいけないな」
完全除去まで出来ているかまではわからない。
だが、このノミダニ対策は一生続く問題で、現状で満足してあぐらを掻くわけにはいかない。
油断すればまた振り出しに戻ってしまう。
「……ノミダニを寄せ付けないと言えば、一定の効果をみせたハーブが有効だとは思うが……」
思い出されるのは、複雑に交じり合ったあの悪臭……。
しかも目に染みる。
何より寝たときの悪夢!!
「……複雑に混じり合わせなければ大丈夫かな?」
効果は薄まるかもしれないが、使うハーブの種類を搾ればいいのかもしれない。
いくつかは良い香りな気もした。
前世の人間知識に香水というものがあるらしい。それは複数の香りのエキスを複雑に混ぜ合わせ、人間達の好む香りにしたものらしい。
もし人間達の好む香りを身につけることとが出来るとすれば……。
「……やり方次第で、私は人間達の人気者になるかもしれない」
そうなれば、引く手あまたの引っ張りダコ!
『ぜひ我が家に来て欲しい』
『いや!ぜひ私のうちに!!』
『だーめー!私のなの!!』
もはや、3食昼寝どころではないな。
高級ブランド肉や高級さしみ……。いやいや、それどころか最高峰の料理人が私のために料理を作り献上してきてもおかしくはないだろう!!
「じゅるり……。素晴らしい!!!!」
私は早速行動を開始した。
以前ハーブを探し回った森に入り、使えそうなものを探して回る。
今の私は硫黄臭さに守られた鉄壁ガード状態で、言うなれば星を取ったドカンを出入りする赤い人みたいなものだ。
ノミダニ等怖くはない!
「さて、前回と同様に集めれるだけ集めてみたけど、匂いの組み合わせとかやった事ないしどうしたもんか……」
もうすでにごちゃ混ぜの臭いになりだしてるハーブらしい山を見て、私は頭と捻り鼻を手で押さえる。
このごちゃ混ぜ臭は良くないのは経験済みだ、私にとっても人間にとっても。
単体で見れば好き嫌いはあるだろうが、悪くはないはずだ。
仕方ない。とりあえず、私の好きな順で並べてみるか……。
「ミントっぽいのがこの中では好きかもしれない。あとは、レモンっぽいやつとラベンダーっぽいやつか。リンゴっぽいやつにバニラっぽいやつの甘い香りはちょっとなぁと言う感じ。バラっぽいのやちょっと苦そうな薬膳的な香りのやつは集めはしたがあんまり好きな香りじゃないな」
好きなのはまぁいい。
甘い系の香りはたまにならいいけど、常時となると遠慮したい……からパス。
バラはともかく薬膳的な香りは好きじゃないが、隠し味的な感じで混ぜても良いかもしれない。
こういう時は主体となる香りを決めて、それを引き立たせるように他のを少量混ぜ込むのがセオリーだろう。と、前世の人間知識が言ってる。
「……ミントっぽいやつとラベンダーっぽいやつを主体にして後は……」
私は何を混ぜていくか鼻を鳴らして嗅いでいく。
そして、どういう風に組み合わせれていくか頭を悩ました。
だが、今までにそういった事をした経験もなく、前世の人間知識もそっから先はうんともすんとも言わなかった。
「……なるほど!まったく分からん!」
よく分からんかったので、ミント&ラベンダーっぽいのを8割程度に薬膳的な香りがしたものを2割程混ぜた。
あとは、混ぜたやつと小石5つを木箱に入れ、不安定な石の上においてガタガタと前足で器用に揺らした。
揉んだり潰したりした方が香りがより強く出るらしいので、それを狙っての事だ。
だが、ハッキリ言って失敗した。なんか香りが予想以上に強く出すぎた。
「これ……。直で体に付けていい濃度じゃない気がする……」
どういった物でも適量というものがある。
度を越せば薬でも毒にもなりうるというやつだ。
良い香りだからって原液を床にぶちまければどうなるか、誰でも予想が付くだろう。
それを今になって学んだ私だった。
その後の試行錯誤の結果、ハーブを下に敷いて寝るだけになった。
上でゴロゴロしているだけで、ハーブ達が私の体重で適度に揉み潰される。
それが適量の香りとなった。
「……やっとだ」
硫黄臭さが体から抜け落ち、下に敷いていたハーブの香りが体に付いてきた。
うまく行くだろうか?そんな不安は依然としてあるが、今までの苦労を結果に結び付けたい気持ちが勝っていた。
私は以前より計画していた作戦を実行する事にした。
その作戦名はもちろん『私を飼いたければ豪華なご飯を献上のうえ、3食&昼寝付きとブラッシング+αで、大事に。甘やかすべし!!』だ。
ん?前よりも作戦名が酷くなってるって?
気のせいだろう。
なんか前のもこんな感じだった気がするし、なんならこれに室内生活も義務付けてもいいかもしれないくらいだ。
ま、うまく行くかどうかはさておき、私は人通りの多い噴水広場に来ているわけだよ。
もちろん、人目につかないように朝一でスタンバイしました。
「まぁ、分かってたけどこの時間だと人がいないなぁ」
私はその場で木箱の中、少し眠る事にしたのだった。
「……だよ」
「……だな」
ん?
私は誰かの話し声がして目を覚ました。
顔を上げると2人の男性が話し合っていた。
「くーん」
私は演技で同情を誘うようにひと鳴きしてみせた。
内心では完璧すぎる自分の演技に恐怖すら感じるほどだった。
もしかしたら、私の前世は映画界の大スターだったのかもしれない。
それくらいの自画自賛をしていた私だった。
だが、次の瞬間私は固まった。
「まったく駄目だよなぁ。こんなとこに犬を捨てたらさ」
「うんうん。仕方ないし保健所の人呼んでこよう。ちょっと可哀想な気もするけどな」
なんだと!?なんだとっ!?なんだとぅっ!?
なんでやねーーーん!!
「くーん!くーん!くーん!!」
私の華麗なる演技はすぐさま吹き飛び、必死ささえ感じるようなくーんを連呼していた。
もはや悠長に演技などしていられない。
保健所行きとなれば、飼い主が見つからずにあんな事やそんな事にされてしまうに違いない。
私はもうちょっとしたパニック状態だった。
「そう泣くなって。きっといい飼い主がみつかるって」
「うし、俺は早速保健所の方に行ってみるわ。この時間でやってるかわからんけども」
見つからなかったらどうしてくれんだよぉこのぉぉ!
そうやって碌な保障も無しに無責任な事言わないで欲しいぃ!!
「くーん!くーん!くーん!!」
もはや作戦は台無しだった。
まさかの保健所警察が現れ、私はまともな演技すらできてない状態。
まともな演技も出来ないようでは、同情に訴える事も不可能だろう。
こうなればアレしかない!
「撤退ーーーーーーーー!!!!」
「あっこら!逃げるんじゃなーーーい!!」
私は素早く木箱を被り逃走した。
「くっそぅー!やっぱありやがったよ保健所がぁ!!」
そして始まったのは大人による町中の捜索だった。
私は素早く民家の敷地の物陰に隠れた。
その場でじっとして、ほとぼりが冷めるのを待つつもりだ。
「まったく、酷い目に遭った……。はぁ……」
危うく保健所行きになりそうになった私は溜息をした。
「ただ、町の治安を維持するという面では保健所の必要性は理解できなくもないな。捕まる狼側としては絶対拒否だけど」
保健所を悪魔みたいにも思う私だが、冷静に考えれば保健所の必要性自体は理解できる。
野良犬が増えた際の被害があるだろう?慣れてない人に噛み付いたり、吠えたり、所構わず糞尿したり、食べ物を扱う店で盗みをするやつもいるかもしれない。
町の治安維持には確かに貢献してると言えるし、捕まえた犬の数が多くなれば面倒みきれないし、新たに捕まえる事ができない。
パンクさせずに保健所を機能させ続けるにはあんな事やそんな事も必要ではあるのだろう。
「ま、私は御免だけどね。トイレだって町の外でしてるし猫のように一応土に埋めてるし、人間達に迷惑はかけてない筈」
私がそういった行動が出来るのは前世の人間知識があるからこそではある。
その辺考慮して優遇して欲しい。
そして超豪華な食事でもてなし甘やかして欲しい。
でもそれは無理な話。私に前世の人間知識があるなんて見て分かるわけもなく、人間達に伝える事もできてない。
というかそんな手段が今のところない。
「やっぱり何かしてかないと、なんだろうか……」
そんな事を考えていた時だった。
パカッ。
そんな音がした気がして、木箱の中にいた私の視界が大きく開かれると同時に、私は背後に誰かの視線を感じた。
だが、それは以前にも感じた事のあるものだったのだ。
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