赤いしらゆり

つぶ焼き

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出会い

接触

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緊張で息が詰まる。ただ連絡先を教えて貰って、あとは登録すれば良いだけなのに。指が震えて、何度も打ち間違える。
『春宮さん、こんにちは。玲香と申します。』
少し冷たいだろうか。文章なんて伝わればそれでいいと思っていた。どんな印象を持たれるのか、不安で仕方がない。ギュッと目を瞑り、意を決して送信する。
 少しして、握りしめたスマホからメッセージの着信音が部屋に響く。驚いて落としそうになった。
『こんにちは~。春宮です!
登録ありがと♡
よろしくです!』
思っていたよりもとても元気な印象の文面だった。私もこんな風に書いたら良かったのだろうか。いろいろ考えて、ふと気付く。すっかり不安が消えている。私が気にしていた部分なんか気付きもしなかったかのような返事に、いつの間にか安堵していたらしい。嬉しい。
『お話できてとても嬉しいです。よろしくお願いします!』
震えのなくなった指がスラスラと画面をなぞっていく。楽しい。
『玲香さんの絵、拝見しました!すっごく好みの色使いなんですけど、加工とかどうしてるんですか??』
「…!」
ドキ、と心臓が跳ねる。
 私も絵を描くのが好きだった。現実なんか気にせず、好きに描いている時間が好きなのだ。折角なのだからと、保存を兼ねてSNSに投稿していたのだ。春宮さんのように。
 ただ、絵を描く人に褒められたのは初めてだった。

『ありがとうございます。嬉しいです!
でもなんとなく描いてるだけで、春宮さんに教えられるような技術はありません…。』
恥ずかしいとか、嬉しいとか、お世辞なんだろうな、とか。いろいろな感情が混ざる。これでいいのだろうか。気を悪くしないだろうか。

 誰かと話す時って、こんな気持ちになるものだっただろうか。

 春宮さんについて、もっとたくさん知りたいと思うと同時に、私の話を聞いて嫌われないかという不安に焦れる。人から嫌われるのは怖いし、嫌だと思うけれど、今は誰よりも春宮さんに嫌われたくなかった。
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