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5月
12 新入生歓迎会2
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「今回の制裁は中止にするから帰って。」
「そう言ったってなぁもう遅いよ~。」
千尋くんの声がする。他にも人がいるようだ。不穏な会話に思わず声をかけた。
「千尋くん!何してるの!」
「鮎川頼……よくここが分かったね。せっかく天知先輩を撒いたっていうのに。」
「鮎川頼?まじか!大物じゃん!」
「チヒロクンの仲間かな~?」
ヘラヘラとする不良達を見て、紫音先輩に話しかける。
「ねぇ、この人達って先輩がさっき言ってた人?」
「いえ、違うようです。」
「僕、結構声かけたんだ。来てくれたのはこの人達だけだったけど。」
小さい声で話したつもりが聞こえていたのか千尋くんが答えるように話し、不良達に顔を向ける。
「報酬は払うから。限りはあるけど出せるだけ出す。」
「いや、金はいらない。家にあるし。それよりもっといいもんもらうから。」
「どういうこと?」
「俺、チヒロクンのこと結構気になってるんだよね。1回シてみない?」
「僕を襲おうっていうの?」
先程まで余裕そうだったが、焦ったように言い放つ。千尋くんが標的になってしまう!阻止しなければ!
「ダメだ!近づくな!制裁をやらないからって千尋くんには手を出すな!」
「邪魔すんなよ、勝手に来といてそれは無いんじゃない?」
このまま話していても埒が明かない。風紀を呼びたいが難しそうだ。勢いで乱入してしまったことに後悔する。あれ、不良がひとり近づいてくる……あ
「頼様!」
一瞬視界が真っ白になった。痛い、殴られたのか!暴力反対!
「クソっこのやろう!全員ぶっ倒す!」
「紫音先輩!?」
なんだか口調が変わった紫音先輩が不良達をバッタバッタと倒していく。つ、強いな……。
「おいおい意外とやるじゃん、でも俺は強いよ~」
「2対1だから諦めな~」
不良達が残り2人となったが紫音先輩は先程の戦いで今にも倒れそうだ。
「千尋くん、ボクが注意を引くから逃げて」
「でもそれじゃあ……お前はどうするんだ。」
「ここで待ってるから風紀を呼んできてくれる?」
「僕が残る。全部僕のせいだ。最初から僕がわがままだったから……。」
「責任をとるっていうなら今すぐ風紀を呼んできて。千尋くんの方が足速いから!」
「……分かった。今までごめん。この借りは返す。」
「お兄さんたち、こっちこっち!」
「なんだ?」
バンバンと机を叩いて注意をこっちに向けた。ちょっと無理やりすぎたかな?とか思ったけど意外と食いついてくれた。
「天知先輩!」
「ちょ、おい!」
千尋くんと天知先輩が教室から出るのを確認した。よし、あとは何とかここから出ないように時間稼ぎを……。
「おい、逃がしやがったな!」
「困るよ~。ま、こいつでもいっか。」
不良達が僕の服を脱がしてきた。まずい!このままじゃ裸になってしまうのでは!?なにか話をして気をそらさないと……。え~と、え~と、天気がいいですね。違う!
「え~と一旦お話しませんか?」
「は?」
ダメか。追い詰められてしまった。どうしよう、とドアの方を見ると……あれ、誰かこっちを見てる?あ、この前の!
狼と呼ばれた男が何故かドアの方からこちらを見ていた。その男はなにか口をパクパクしている。
なにか言ってる?えっと、た、す、け、て、ほ、し、い、か、だって!?
この人は信用できるのか分からないが藁にもすがる思いでコクコクと頷くと狼がウインクをしたような気がした。
「よう、面白いことやってんじゃん。オラっ!」
入ってくるとすぐに不良達を躊躇なく殴った。一瞬にして倒されてしまった。すごいな……。
「頼ちゃん、久しぶり♡」
語尾全部にハートマークがつきそうな甘い声でこちらに話かけてくる。
「ありがとうございました。狼さん?」
「いいねぇ、さんって呼ばれるの。」
「なんでドアのところにいたんですか?」
「秘密~!ねぇ、連絡先交換しようよ。困ったときはいつでも呼んで。すぐ行くからね。」
「はぁ……。ありがとうございます。」
なぜこの人は助けてくれるのだろう。前回もよく考えてみると本当に襲おうとした訳ではなさそうだった。
「ほら、スラックス履かせるから座って~」
「大丈夫です。自分で履きます。」
「ほら、俺の膝の上でもいいよ」
「いやだから自分で履きます!」
なんでこんなことで揉めているんだと思っているとガラガラとドアが開いた。誰かが来てしまった。風紀の人かな?誤解を生みそうな状況なんだけど……。ドアの方を見ると西園寺がいた。
「そう言ったってなぁもう遅いよ~。」
千尋くんの声がする。他にも人がいるようだ。不穏な会話に思わず声をかけた。
「千尋くん!何してるの!」
「鮎川頼……よくここが分かったね。せっかく天知先輩を撒いたっていうのに。」
「鮎川頼?まじか!大物じゃん!」
「チヒロクンの仲間かな~?」
ヘラヘラとする不良達を見て、紫音先輩に話しかける。
「ねぇ、この人達って先輩がさっき言ってた人?」
「いえ、違うようです。」
「僕、結構声かけたんだ。来てくれたのはこの人達だけだったけど。」
小さい声で話したつもりが聞こえていたのか千尋くんが答えるように話し、不良達に顔を向ける。
「報酬は払うから。限りはあるけど出せるだけ出す。」
「いや、金はいらない。家にあるし。それよりもっといいもんもらうから。」
「どういうこと?」
「俺、チヒロクンのこと結構気になってるんだよね。1回シてみない?」
「僕を襲おうっていうの?」
先程まで余裕そうだったが、焦ったように言い放つ。千尋くんが標的になってしまう!阻止しなければ!
「ダメだ!近づくな!制裁をやらないからって千尋くんには手を出すな!」
「邪魔すんなよ、勝手に来といてそれは無いんじゃない?」
このまま話していても埒が明かない。風紀を呼びたいが難しそうだ。勢いで乱入してしまったことに後悔する。あれ、不良がひとり近づいてくる……あ
「頼様!」
一瞬視界が真っ白になった。痛い、殴られたのか!暴力反対!
「クソっこのやろう!全員ぶっ倒す!」
「紫音先輩!?」
なんだか口調が変わった紫音先輩が不良達をバッタバッタと倒していく。つ、強いな……。
「おいおい意外とやるじゃん、でも俺は強いよ~」
「2対1だから諦めな~」
不良達が残り2人となったが紫音先輩は先程の戦いで今にも倒れそうだ。
「千尋くん、ボクが注意を引くから逃げて」
「でもそれじゃあ……お前はどうするんだ。」
「ここで待ってるから風紀を呼んできてくれる?」
「僕が残る。全部僕のせいだ。最初から僕がわがままだったから……。」
「責任をとるっていうなら今すぐ風紀を呼んできて。千尋くんの方が足速いから!」
「……分かった。今までごめん。この借りは返す。」
「お兄さんたち、こっちこっち!」
「なんだ?」
バンバンと机を叩いて注意をこっちに向けた。ちょっと無理やりすぎたかな?とか思ったけど意外と食いついてくれた。
「天知先輩!」
「ちょ、おい!」
千尋くんと天知先輩が教室から出るのを確認した。よし、あとは何とかここから出ないように時間稼ぎを……。
「おい、逃がしやがったな!」
「困るよ~。ま、こいつでもいっか。」
不良達が僕の服を脱がしてきた。まずい!このままじゃ裸になってしまうのでは!?なにか話をして気をそらさないと……。え~と、え~と、天気がいいですね。違う!
「え~と一旦お話しませんか?」
「は?」
ダメか。追い詰められてしまった。どうしよう、とドアの方を見ると……あれ、誰かこっちを見てる?あ、この前の!
狼と呼ばれた男が何故かドアの方からこちらを見ていた。その男はなにか口をパクパクしている。
なにか言ってる?えっと、た、す、け、て、ほ、し、い、か、だって!?
この人は信用できるのか分からないが藁にもすがる思いでコクコクと頷くと狼がウインクをしたような気がした。
「よう、面白いことやってんじゃん。オラっ!」
入ってくるとすぐに不良達を躊躇なく殴った。一瞬にして倒されてしまった。すごいな……。
「頼ちゃん、久しぶり♡」
語尾全部にハートマークがつきそうな甘い声でこちらに話かけてくる。
「ありがとうございました。狼さん?」
「いいねぇ、さんって呼ばれるの。」
「なんでドアのところにいたんですか?」
「秘密~!ねぇ、連絡先交換しようよ。困ったときはいつでも呼んで。すぐ行くからね。」
「はぁ……。ありがとうございます。」
なぜこの人は助けてくれるのだろう。前回もよく考えてみると本当に襲おうとした訳ではなさそうだった。
「ほら、スラックス履かせるから座って~」
「大丈夫です。自分で履きます。」
「ほら、俺の膝の上でもいいよ」
「いやだから自分で履きます!」
なんでこんなことで揉めているんだと思っているとガラガラとドアが開いた。誰かが来てしまった。風紀の人かな?誤解を生みそうな状況なんだけど……。ドアの方を見ると西園寺がいた。
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