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5月
11 新入生歓迎会
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5月になり、とうとう、新入生歓迎会当日がやってきた。海斗によると、漫画の展開では、転校生が生徒会の皆さまを惚れさせた後は生徒会が機能しなくなるって話だったけど新入生歓迎会が開催できているってことは仕事はしているということだろう。また、アンチ王道展開ってものはそんな転校生を誰かがギャフンと言わせるらしい。そっちはそっちで荒れそうだなぁ…。
それにしても、生徒会の皆さまと会わなくなったなぁ。未だに転校生とも会わない。1度会って話をしてみたい。今の状況と酷似した作品があるって伝えた方が良いだろう。
新入生歓迎会の内容は鬼ごっこ。これは毎年変わらない。くじ引きで鬼側と逃げる側を決める。生徒会は必ず鬼。僕は去年は逃げる側だったけどすぐに西園寺に捕まってしまった。今年は鬼がいいな!
鬼ごっこで注目されるのは特典である。1週間の外出許可証か1年間食堂無料券、そして生徒会にできる範囲で何でも叶えて貰える権利だ。その特典を貰える対象者は捕まえた人数が多い人の中で上から5人と逃げ切った人である。
僕は千尋くんが心配だから鬼でも逃げる人でもそんなに活躍出来ないだろう。特典はすごく魅力的だけど……。
今から新入生歓迎会が始まる。講堂に集まり、壇上を見ると副会長様がいる。
「これから新入生歓迎会を始めます。新入生も上級生も楽しんでください。それではくじを引いてもらいます。」
くじは配布されたスマホのアプリで引くことが出来る。便利な時代である。
「うわー!俺は今年は逃げる方だ!これじゃあ萌えの観察が……!」
隣に座っている海斗がしょんぼりと項垂れる。
「わっ僕も逃げる側だ。今年は鬼がよかったのになぁ」
「じゃあ一緒に逃げるか?萌えを見つけに!」
「ごめん、やることがあって一緒に逃げれないや。萌えもほどほどにね。」
「そっか~。ま、お互い頑張ろうぜ!」
「うん!」
ちなみに晃牙は風紀委員だから参加は難しいが鬼だ。颯太も鬼らしい。今日は2人に会えないということだ。
そうこうしているうちに鬼ごっこの開始の合図が鳴った。急いで逃げよう。5分間のうちに逃げなければならない。どこか隠れる場所があればいいけど……。
5分経つと放送が流れる。鬼も動き出したようだ。結局僕はどこか空いている教室に入った。
ーコツコツ
人の足音がした。見つからないようにそっと息を潜める。……足音が消えた。遠くに行ったのかな?ひとまず安心し一息ついた。
「頼様?」
「わあ!」
背後からの声がして飛び跳ねるように驚く。
「し、紫音先輩……。」
「ここにいらっしゃったのですね。頼様も逃げていたのですか?」
「も、ってことは紫音先輩は逃げる側?というか僕のこと探してたの?」
「そうです。どちらも合っていますよ。話したいことがありまして、乾達のことについてなのですが……」
「千尋くんか。何か言ってた?」
千尋くんが制裁するとしたらたぶん、このタイミングだろう。風紀委員が見回りをしているとはいえ鬼ごっこ中のため気づかれにくいからだ。
「……制裁は本日行われるでしょう。乾が接触した不良に制裁をやめるよう言いました。先程まで乾を追いかけていたのですが、見失ってしまいました。申し訳ありません。」
「ありがとう、紫音先輩。じゃあこれから2人で千尋くんを探そうか。」
2人で行動すると目立ってしまうが、捕まったら元も子もない。気をつけながら移動しよう。
「紫音先輩が最後に千尋くんを見たのはどこ?」
「第三棟です。中に入ったのかは分かりませんでした。」
ひとまず第三棟に行ってみることにした。第三棟には美術室や調理室などの教室がある。
1階の1つ1つの教室を見てまわる。人がいないようだ。
「風紀委員は見回りを終えたのでしょうか。」
「そうなのかな。みんな捕まっちゃったのかも。」
「いつでも逃げれるようにしましょう。いざとなったら頼様が先に逃げてくださいね。」
「もう、そんなことしないよ。でもどっちかは逃げないとね。」
話ながら歩けるほどに静かな廊下を進む。
「頼様、そこに人の影が!」
たしかに人の気配がする。ここは……美術室だ。
それにしても、生徒会の皆さまと会わなくなったなぁ。未だに転校生とも会わない。1度会って話をしてみたい。今の状況と酷似した作品があるって伝えた方が良いだろう。
新入生歓迎会の内容は鬼ごっこ。これは毎年変わらない。くじ引きで鬼側と逃げる側を決める。生徒会は必ず鬼。僕は去年は逃げる側だったけどすぐに西園寺に捕まってしまった。今年は鬼がいいな!
鬼ごっこで注目されるのは特典である。1週間の外出許可証か1年間食堂無料券、そして生徒会にできる範囲で何でも叶えて貰える権利だ。その特典を貰える対象者は捕まえた人数が多い人の中で上から5人と逃げ切った人である。
僕は千尋くんが心配だから鬼でも逃げる人でもそんなに活躍出来ないだろう。特典はすごく魅力的だけど……。
今から新入生歓迎会が始まる。講堂に集まり、壇上を見ると副会長様がいる。
「これから新入生歓迎会を始めます。新入生も上級生も楽しんでください。それではくじを引いてもらいます。」
くじは配布されたスマホのアプリで引くことが出来る。便利な時代である。
「うわー!俺は今年は逃げる方だ!これじゃあ萌えの観察が……!」
隣に座っている海斗がしょんぼりと項垂れる。
「わっ僕も逃げる側だ。今年は鬼がよかったのになぁ」
「じゃあ一緒に逃げるか?萌えを見つけに!」
「ごめん、やることがあって一緒に逃げれないや。萌えもほどほどにね。」
「そっか~。ま、お互い頑張ろうぜ!」
「うん!」
ちなみに晃牙は風紀委員だから参加は難しいが鬼だ。颯太も鬼らしい。今日は2人に会えないということだ。
そうこうしているうちに鬼ごっこの開始の合図が鳴った。急いで逃げよう。5分間のうちに逃げなければならない。どこか隠れる場所があればいいけど……。
5分経つと放送が流れる。鬼も動き出したようだ。結局僕はどこか空いている教室に入った。
ーコツコツ
人の足音がした。見つからないようにそっと息を潜める。……足音が消えた。遠くに行ったのかな?ひとまず安心し一息ついた。
「頼様?」
「わあ!」
背後からの声がして飛び跳ねるように驚く。
「し、紫音先輩……。」
「ここにいらっしゃったのですね。頼様も逃げていたのですか?」
「も、ってことは紫音先輩は逃げる側?というか僕のこと探してたの?」
「そうです。どちらも合っていますよ。話したいことがありまして、乾達のことについてなのですが……」
「千尋くんか。何か言ってた?」
千尋くんが制裁するとしたらたぶん、このタイミングだろう。風紀委員が見回りをしているとはいえ鬼ごっこ中のため気づかれにくいからだ。
「……制裁は本日行われるでしょう。乾が接触した不良に制裁をやめるよう言いました。先程まで乾を追いかけていたのですが、見失ってしまいました。申し訳ありません。」
「ありがとう、紫音先輩。じゃあこれから2人で千尋くんを探そうか。」
2人で行動すると目立ってしまうが、捕まったら元も子もない。気をつけながら移動しよう。
「紫音先輩が最後に千尋くんを見たのはどこ?」
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ひとまず第三棟に行ってみることにした。第三棟には美術室や調理室などの教室がある。
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「風紀委員は見回りを終えたのでしょうか。」
「そうなのかな。みんな捕まっちゃったのかも。」
「いつでも逃げれるようにしましょう。いざとなったら頼様が先に逃げてくださいね。」
「もう、そんなことしないよ。でもどっちかは逃げないとね。」
話ながら歩けるほどに静かな廊下を進む。
「頼様、そこに人の影が!」
たしかに人の気配がする。ここは……美術室だ。
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