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4月
7 王道転校生と食堂イベント
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4月も終わりに近づき、転校生が来る日がだんだんと近づく。
「なぁ、俺は絶対今日だと思うんだよ。」
「何が?」
「転校生!!毎日門の前で見張ってるけど、今日こそ来る気がする!」
海斗が力説してくる。なんだか危ない発言が聞こえたが、朝から元気だな。
「じゃあ、今日も見てくるから、授業までに戻らなかったら先生に言っといて!」
「はいはい」
行ってしまった。行動力のある腐男子は厄介だな……。
1時間目は担任の相模先生の数学だった。まだ海斗は戻っていない。今日も転校生は来ないのかな。海斗、早く戻ってこい。
1時間目の終わりを告げるチャイムがなると同時に海斗が忍び足で教室に入ってきた。
「海斗!遅かったじゃん!もう、何して…」
「……せいだ。」
「え?」
「王道転校生だったんだよ!!!いやぁ、勘が当たったな!ちゃんともじゃもじゃしていたよ!しかも副会長様が……!」
「副会長様が?」
戻ってきた海斗はものすごく興奮していた。そうか、王道転校生というものは本当にいたんだなぁ。というか副会長様がどうしたんだ?
「学園の案内役が副会長様だったんだけどさ、キスはしなかったけどすっごく笑ってて、なぁ、なんて言ったと思う?」
「分かんないけど……」
「あなたのことを気に入りましたってさ!これは完全に王道ルートだ!BL漫画ならキスするはずなんだけどなぁ、下の名前で呼んでたし、あともう一押し!」
副会長様が笑うのって珍しくないけど、すっごくってことはいつもと違ったってことなのかな。というか、キスってなに!?初対面でキスはしないでしょ!副会長様はそんな人じゃないから!
「ねぇ、転校生の名前ってなに?」
「あぁ、たしか御堂歩って言ってたな。」
「御堂歩……」
「あとさ、転校生って2-Cに転入するっぽいんだてっきりうちのクラスかと思ってたら副会長様が見送った後三船先生が来てさ~」
「待って、それって尾行してたってこと?」
「え゛、まあ結果的にそうなったかもしれないけど~……これも萌えのためだし……。」
「はぁ、次やったら龍二先輩に言うからね。」
「ごめん!マジでごめん!言わないで!」
海斗の行動力には驚いたが、いつも助けてもらっているので不問にしておく。
三船先生というのは2-C担任の三船夏樹先生だ。体育の先生でちょっと熱血気味だが、嫌いな人はいないと思う。体育の授業では結構走らされるけど……。
「王道転校生が来たし、今日は食堂に行こうかな!頼も来るか?」
「僕はいいかな、いつもみたいに教室颯太と晃牙と3人で食べるよ。」
「残念だな~、でも食堂イベントがあったら生徒会が来ると思うから。行ったほうがいいんじゃないか?」
食堂イベント……。以前、海斗から聞いた話にそんなものがあったかもしれない。生徒会の皆さまがいらっしゃるのか。行った方が……。
〝転校生には絶対近づくな〟
ふと西園寺の言葉が思い出される。たしかそう言われてたんだっけ。よし、行かないことにしよう。約束は守らなきゃね!
「ごめん、お弁当持ってきてるし、今日はいいや。何かあったら教えてよ。」
「分かった!俺が食堂イベントをしっかり見届ける!」
そう意気込む海斗だった。ほどほどにね……。
「転校生、もう話題になっているぞ。」
「そんなに?」
「あぁ、副会長様を虜にしたって話だ。その事で生徒会は転校生に興味があるってさ。親衛隊が騒いでやがる。頼のとこはどうなんだ?」
サンドイッチを食べながらそう面倒くさそうに話す晃牙。騒ぎになったらいちばんに被害を被るのは風紀委員会だからだろう。
「うちの親衛隊は今のところなんにもないかな……。」
「気をつけろよ!頼は特に目立つからな~!」
「そうだ。親衛隊は騒ぐと、頼に責任が問われてしまう。風紀も協力するから何かあったら言え。」
「2人ともありがとう。親衛隊は統率がとれてるからたぶん大丈夫!相談するし!」
そうして昼休みの時間が終わった。次の授業の準備をしようと席を立とうとしたとき廊下が騒がしいことに気がついた。不思議に思っていると、海斗が走って教室に戻ってきた。ゼェゼェと息を切らしている。
「食堂イベント……神……。会長が、転校生にキスしたぞ!!!それで転校生が会長を殴ったんだ!」
「えっ!?それって本当?」
「ああ、様子を見たところ会計様も庶務様達も落ちたとみられる!王道展開だ……!」
王道展開。やっかいな言葉だ。腐男子のフィルターがかかっているからそう見えただけかもしれないが、廊下の騒ぎはこのことだったのか。そんなことをしたら、学園が荒れるに決まっている。確かめなければ。
そう思い、西園寺にメールを送る。
〝今日生徒会室に行ってもいい?転校生について話があるんだけど〟
〝今日は来るな。あと、新入生歓迎会が終わるまで生徒会室に来るな。俺もお茶会にも行かない。〟
意外な返事が返ってきた。いつもなら二つ返事でいいと言ってくれるはずなのに。
〝分かった。でも新入生歓迎会が終わったら説明はしてね。〟
今なにが起きているのか分からない。完全に除け者だ。西園寺は義理堅い男なので言ってくれるはず。それまで待つしかない。
この平和な学園生活が続くように祈った。
「なぁ、俺は絶対今日だと思うんだよ。」
「何が?」
「転校生!!毎日門の前で見張ってるけど、今日こそ来る気がする!」
海斗が力説してくる。なんだか危ない発言が聞こえたが、朝から元気だな。
「じゃあ、今日も見てくるから、授業までに戻らなかったら先生に言っといて!」
「はいはい」
行ってしまった。行動力のある腐男子は厄介だな……。
1時間目は担任の相模先生の数学だった。まだ海斗は戻っていない。今日も転校生は来ないのかな。海斗、早く戻ってこい。
1時間目の終わりを告げるチャイムがなると同時に海斗が忍び足で教室に入ってきた。
「海斗!遅かったじゃん!もう、何して…」
「……せいだ。」
「え?」
「王道転校生だったんだよ!!!いやぁ、勘が当たったな!ちゃんともじゃもじゃしていたよ!しかも副会長様が……!」
「副会長様が?」
戻ってきた海斗はものすごく興奮していた。そうか、王道転校生というものは本当にいたんだなぁ。というか副会長様がどうしたんだ?
「学園の案内役が副会長様だったんだけどさ、キスはしなかったけどすっごく笑ってて、なぁ、なんて言ったと思う?」
「分かんないけど……」
「あなたのことを気に入りましたってさ!これは完全に王道ルートだ!BL漫画ならキスするはずなんだけどなぁ、下の名前で呼んでたし、あともう一押し!」
副会長様が笑うのって珍しくないけど、すっごくってことはいつもと違ったってことなのかな。というか、キスってなに!?初対面でキスはしないでしょ!副会長様はそんな人じゃないから!
「ねぇ、転校生の名前ってなに?」
「あぁ、たしか御堂歩って言ってたな。」
「御堂歩……」
「あとさ、転校生って2-Cに転入するっぽいんだてっきりうちのクラスかと思ってたら副会長様が見送った後三船先生が来てさ~」
「待って、それって尾行してたってこと?」
「え゛、まあ結果的にそうなったかもしれないけど~……これも萌えのためだし……。」
「はぁ、次やったら龍二先輩に言うからね。」
「ごめん!マジでごめん!言わないで!」
海斗の行動力には驚いたが、いつも助けてもらっているので不問にしておく。
三船先生というのは2-C担任の三船夏樹先生だ。体育の先生でちょっと熱血気味だが、嫌いな人はいないと思う。体育の授業では結構走らされるけど……。
「王道転校生が来たし、今日は食堂に行こうかな!頼も来るか?」
「僕はいいかな、いつもみたいに教室颯太と晃牙と3人で食べるよ。」
「残念だな~、でも食堂イベントがあったら生徒会が来ると思うから。行ったほうがいいんじゃないか?」
食堂イベント……。以前、海斗から聞いた話にそんなものがあったかもしれない。生徒会の皆さまがいらっしゃるのか。行った方が……。
〝転校生には絶対近づくな〟
ふと西園寺の言葉が思い出される。たしかそう言われてたんだっけ。よし、行かないことにしよう。約束は守らなきゃね!
「ごめん、お弁当持ってきてるし、今日はいいや。何かあったら教えてよ。」
「分かった!俺が食堂イベントをしっかり見届ける!」
そう意気込む海斗だった。ほどほどにね……。
「転校生、もう話題になっているぞ。」
「そんなに?」
「あぁ、副会長様を虜にしたって話だ。その事で生徒会は転校生に興味があるってさ。親衛隊が騒いでやがる。頼のとこはどうなんだ?」
サンドイッチを食べながらそう面倒くさそうに話す晃牙。騒ぎになったらいちばんに被害を被るのは風紀委員会だからだろう。
「うちの親衛隊は今のところなんにもないかな……。」
「気をつけろよ!頼は特に目立つからな~!」
「そうだ。親衛隊は騒ぐと、頼に責任が問われてしまう。風紀も協力するから何かあったら言え。」
「2人ともありがとう。親衛隊は統率がとれてるからたぶん大丈夫!相談するし!」
そうして昼休みの時間が終わった。次の授業の準備をしようと席を立とうとしたとき廊下が騒がしいことに気がついた。不思議に思っていると、海斗が走って教室に戻ってきた。ゼェゼェと息を切らしている。
「食堂イベント……神……。会長が、転校生にキスしたぞ!!!それで転校生が会長を殴ったんだ!」
「えっ!?それって本当?」
「ああ、様子を見たところ会計様も庶務様達も落ちたとみられる!王道展開だ……!」
王道展開。やっかいな言葉だ。腐男子のフィルターがかかっているからそう見えただけかもしれないが、廊下の騒ぎはこのことだったのか。そんなことをしたら、学園が荒れるに決まっている。確かめなければ。
そう思い、西園寺にメールを送る。
〝今日生徒会室に行ってもいい?転校生について話があるんだけど〟
〝今日は来るな。あと、新入生歓迎会が終わるまで生徒会室に来るな。俺もお茶会にも行かない。〟
意外な返事が返ってきた。いつもなら二つ返事でいいと言ってくれるはずなのに。
〝分かった。でも新入生歓迎会が終わったら説明はしてね。〟
今なにが起きているのか分からない。完全に除け者だ。西園寺は義理堅い男なので言ってくれるはず。それまで待つしかない。
この平和な学園生活が続くように祈った。
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