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4月
3 寮とはじまりの音
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今日は授業がないためカバンを取りに教室へ行ったらそのまま寮に戻る。中等部から強制に送られる寮は同室者は滅多なことがない限りずっと変わらない。2人1部屋となっていてそれぞれ個室やリビング、キッチンがありとても広い。
入学時に1人1つ配布されるカードをインターホンの下にあるセンサーにかざしてドアを開ける。
「おじゃましま~す……」
自分の家にしては他人行儀な挨拶であるが、これには理由がある。
「おい」
「ひぃぃ!」
前から出てきた人物に驚く。急に出てくるから腰が抜けそうになっちゃったじゃないか。
「お前、始業式途中で寝ただろ。」
「うっ……」
僕が寝ていたことがわかるのは位置的にクラスメイトか壇上に上がる人のみだが、ここでは後者だ。
「クソ生徒会の挨拶だけ聞いて風紀委員長であるこの俺のありがたい挨拶を聞き逃すなんてなぁ?」
「うわぁぁ!ごめんなさい!寝不足だったんですぅ!」
僕の同室の生徒は天下の風紀委員長様内藤龍二先輩である。圧がすごい。
「嘘をつくな。昨日はぐっすり寝ていただろう。」
「うっ……気のせいです……」
休み中は実家に帰るが、休み明けの前日までには寮に戻らないといけないので昨日は2人ともここで1晩過ごしている。僕のテキトーな言い訳はバレバレなのである。
「まぁいい。昼飯、食うだろ?」
「はい!今日はなんですか!」
「カレーだ。」
許された!若干呆れられたがまあ良しとする。この風紀委員長は意外にも家事ができる。僕よりもだ。在学中は食堂のご飯は無料だがそこに行くのはお互い少々面倒なのでいつも2人分のご飯を作ってもらう。
「いただきまーす!」
「いただきます。」
用意したスプーンで1口すくって食べる。美味しい!取りに行ったとき鍋にはカレールーが沢山あったので明日までカレー尽くしかな?
「ついてる」
「わ、龍二先輩ありがとうございます。」
僕はありがたくも龍二先輩と下の名前で呼ばせていただいている。誰かからクレームがきそうで怖い。そしてこの風紀委員長様はなんと面倒見が良い。オカン気質なのである!そんなことを知っているのは中等部から同室の僕と風紀委員会のみんなだけである。生徒会にはバレてるかもしれないが。
「お前の噂についてだが、今日は何か言われたか?」
「え?はい。言われたとしても、もう慣れたので大丈夫です。」
突然自分の話題を振られたのでドキッとした。美味しいご飯の味がわからなくなるからやめて欲しい。
「何かあってからでは遅い。すぐに風紀に言え。わかったな?」
「はい。ありがとうございます。」
噂が流れていちばんに気にかけてくれたのが龍二先輩だ。次に幼なじみである。
「お前は小さいんだからな。気をつけろよ。」
「なっ、みんなが大きいだけですよ!しかもこれから成長する予定ですから!」
僕の160ちょいしかない身長をバカにされた。中等部の弟にも抜かされてしまった。記憶を辿ると成長期はまだきてないはずだからたぶん、これからだ。僕の家族は母以外の父、兄、弟の3人とも背が高くイケメンだ。僕は母に似てどちらかと言うとかわいらしい見た目をしている。
-ピンポーン
「あっ僕出ますね!」
「あぁ、頼む。」
インターホンがなったのでドアを開けるとそこにいたのは
「確認もしないで出てくるなんて不用心やなあ。」
「朝日先輩!」
風紀委員会副委員長の中村朝日先輩だった。
「ごめんなさい、急いで開けちゃいました。次から気をつけます。」
自分の非を指摘されしゅんとしてしまう。せっかくカメラ付きのインターホンなんだからきちんと確認すればよかった。
「許さへんで、お仕置や!」
「わぁ!」
朝日先輩が僕の頭をわしゃわしゃと両手で撫でる。お仕置というには心地よいものだった。
「お前ら何をしてるんだ。」
「お、龍二おったんや。今は頼と遊んでるんやで!」
「はぁ、俺に用があるんじゃないのか」
「せや!頼がかわいくて忘れとったわ!」
優しい手つきで撫でられた状態から解放される。良い撫でられ心地であった。朝日先輩は撫でるのが上手い。実家では犬を飼ってるらしいからそれと同じかな?じゃあ僕って犬なのか!?
「いい匂いやな~俺も食べてええ?」
「いいぞ、沢山あるからな。」
「わーい!」
朝日先輩は関西弁で話す。標準語も話せるらしいが朝日先輩曰く、「こんな特殊な学校で個性を出すには関西弁がいちばんや!山奥いうても東京にある学校やからな~」らしい。いつか標準語を話すところ見てみたいな。
「それで、用はなんだ。」
「この紙みてえや。なんか理事長から渡されたんやけど……」
「転校生?」
転校生!?海斗が言っていたやつなのか?だとしたら、悪い予感がする……。
「先輩、それって4月の終わりか5月のはじめだったりします?」
「そうやけどよく分かったなあ、よしよし!」
また撫でられてしまった。これじゃ本当に犬のようだ。話によると海斗の予想通りの転校生が来るようだ
「いい加減やめろ。」
「いやや~!撫でるために来たんや~!」
「俺が代わりに撫でるから落ち着け。」
謎に龍二先輩からも撫でられることになってしまった。
「食べたら帰れ。とりあえず明日放課後に風紀全員で集まることにしよう。全体メールを送っておく。」
「撫で足りないけどしゃあないなあ。龍二、頼またなあ!」
朝日先輩の別れの言葉にぺこりとして玄関から見送った。
「変な時期の転校生だな。理事長直々にとは裏がありそうだ。」
「そうですね。友人が言うには王道転校生って言うらしくて……」
「なんだそれは?」
龍二先輩に王道転校生や生徒会その後の展開を海斗から聞いたままを話した。
「なるほど。それは……厄介だな」
「そうですね。平和がいちばんなんですけどね。」
その後は明日の準備をして龍二先輩のご飯を食べて寝た。ちなみに夜ご飯はカレーうどんだった。だしの素をいれたので美味しかった!龍二ママ……
入学時に1人1つ配布されるカードをインターホンの下にあるセンサーにかざしてドアを開ける。
「おじゃましま~す……」
自分の家にしては他人行儀な挨拶であるが、これには理由がある。
「おい」
「ひぃぃ!」
前から出てきた人物に驚く。急に出てくるから腰が抜けそうになっちゃったじゃないか。
「お前、始業式途中で寝ただろ。」
「うっ……」
僕が寝ていたことがわかるのは位置的にクラスメイトか壇上に上がる人のみだが、ここでは後者だ。
「クソ生徒会の挨拶だけ聞いて風紀委員長であるこの俺のありがたい挨拶を聞き逃すなんてなぁ?」
「うわぁぁ!ごめんなさい!寝不足だったんですぅ!」
僕の同室の生徒は天下の風紀委員長様内藤龍二先輩である。圧がすごい。
「嘘をつくな。昨日はぐっすり寝ていただろう。」
「うっ……気のせいです……」
休み中は実家に帰るが、休み明けの前日までには寮に戻らないといけないので昨日は2人ともここで1晩過ごしている。僕のテキトーな言い訳はバレバレなのである。
「まぁいい。昼飯、食うだろ?」
「はい!今日はなんですか!」
「カレーだ。」
許された!若干呆れられたがまあ良しとする。この風紀委員長は意外にも家事ができる。僕よりもだ。在学中は食堂のご飯は無料だがそこに行くのはお互い少々面倒なのでいつも2人分のご飯を作ってもらう。
「いただきまーす!」
「いただきます。」
用意したスプーンで1口すくって食べる。美味しい!取りに行ったとき鍋にはカレールーが沢山あったので明日までカレー尽くしかな?
「ついてる」
「わ、龍二先輩ありがとうございます。」
僕はありがたくも龍二先輩と下の名前で呼ばせていただいている。誰かからクレームがきそうで怖い。そしてこの風紀委員長様はなんと面倒見が良い。オカン気質なのである!そんなことを知っているのは中等部から同室の僕と風紀委員会のみんなだけである。生徒会にはバレてるかもしれないが。
「お前の噂についてだが、今日は何か言われたか?」
「え?はい。言われたとしても、もう慣れたので大丈夫です。」
突然自分の話題を振られたのでドキッとした。美味しいご飯の味がわからなくなるからやめて欲しい。
「何かあってからでは遅い。すぐに風紀に言え。わかったな?」
「はい。ありがとうございます。」
噂が流れていちばんに気にかけてくれたのが龍二先輩だ。次に幼なじみである。
「お前は小さいんだからな。気をつけろよ。」
「なっ、みんなが大きいだけですよ!しかもこれから成長する予定ですから!」
僕の160ちょいしかない身長をバカにされた。中等部の弟にも抜かされてしまった。記憶を辿ると成長期はまだきてないはずだからたぶん、これからだ。僕の家族は母以外の父、兄、弟の3人とも背が高くイケメンだ。僕は母に似てどちらかと言うとかわいらしい見た目をしている。
-ピンポーン
「あっ僕出ますね!」
「あぁ、頼む。」
インターホンがなったのでドアを開けるとそこにいたのは
「確認もしないで出てくるなんて不用心やなあ。」
「朝日先輩!」
風紀委員会副委員長の中村朝日先輩だった。
「ごめんなさい、急いで開けちゃいました。次から気をつけます。」
自分の非を指摘されしゅんとしてしまう。せっかくカメラ付きのインターホンなんだからきちんと確認すればよかった。
「許さへんで、お仕置や!」
「わぁ!」
朝日先輩が僕の頭をわしゃわしゃと両手で撫でる。お仕置というには心地よいものだった。
「お前ら何をしてるんだ。」
「お、龍二おったんや。今は頼と遊んでるんやで!」
「はぁ、俺に用があるんじゃないのか」
「せや!頼がかわいくて忘れとったわ!」
優しい手つきで撫でられた状態から解放される。良い撫でられ心地であった。朝日先輩は撫でるのが上手い。実家では犬を飼ってるらしいからそれと同じかな?じゃあ僕って犬なのか!?
「いい匂いやな~俺も食べてええ?」
「いいぞ、沢山あるからな。」
「わーい!」
朝日先輩は関西弁で話す。標準語も話せるらしいが朝日先輩曰く、「こんな特殊な学校で個性を出すには関西弁がいちばんや!山奥いうても東京にある学校やからな~」らしい。いつか標準語を話すところ見てみたいな。
「それで、用はなんだ。」
「この紙みてえや。なんか理事長から渡されたんやけど……」
「転校生?」
転校生!?海斗が言っていたやつなのか?だとしたら、悪い予感がする……。
「先輩、それって4月の終わりか5月のはじめだったりします?」
「そうやけどよく分かったなあ、よしよし!」
また撫でられてしまった。これじゃ本当に犬のようだ。話によると海斗の予想通りの転校生が来るようだ
「いい加減やめろ。」
「いやや~!撫でるために来たんや~!」
「俺が代わりに撫でるから落ち着け。」
謎に龍二先輩からも撫でられることになってしまった。
「食べたら帰れ。とりあえず明日放課後に風紀全員で集まることにしよう。全体メールを送っておく。」
「撫で足りないけどしゃあないなあ。龍二、頼またなあ!」
朝日先輩の別れの言葉にぺこりとして玄関から見送った。
「変な時期の転校生だな。理事長直々にとは裏がありそうだ。」
「そうですね。友人が言うには王道転校生って言うらしくて……」
「なんだそれは?」
龍二先輩に王道転校生や生徒会その後の展開を海斗から聞いたままを話した。
「なるほど。それは……厄介だな」
「そうですね。平和がいちばんなんですけどね。」
その後は明日の準備をして龍二先輩のご飯を食べて寝た。ちなみに夜ご飯はカレーうどんだった。だしの素をいれたので美味しかった!龍二ママ……
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