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哀しみの散花
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王妃とリューシルは城内を探索していた。単なる探索ではない。アナベルと娘のアンナを探すためのだ。
しかし、くまなく探したが見つけ出す事が出来ない。
(何処か秘密の隠し部屋とかがあるのかしら)
それはリューシルも考えていた。これだけ探しても見つからない。王の寝室もギエルの部屋も密かに探したが見つからない。二人に焦りが募る。
「おっ、すみません」
「・・・」
リューシルは誰かとぶつかりそうになり、相手に謝意を示したが、当の相手はブツブツ何かを言いながら通り過ぎてしまった。
(なんだぁ?)
「ああ、あの方はカール様です」
通りすがりのメイドが名前を教えてくれた。
「カール?」
「はい。母方はウルフォンヌ公爵の娘さんで、元は貴賓館の館長でした。辞めさせられたのですが、城内にいつも入り込んできてしまって、以前はギエル様が追い出していたのですが、しょっちゅう入って来るので、今は諦めて放置してます」
(あれが・・・)
館長カールの事は聞いていた。メイドに挨拶をして探索に戻る。
「お前、また来てるのか!」
ギエルの声だ。どうやらカールを叱っているらしい。だが、カールはギエルを無視して通り過ぎて行く。
「チッ」
ギエルは舌打ちすると反対方向に歩き出した。リューシルはその後を追う。その先には今は使われていない塔があるが、入り口は無かったはずだ。
階段を降りて行く。見つからない様に間を開けて降りて行くが、行き止まりになった。
(えっ? 居ない?)
階段の下にギエルの姿は無かった。何処かに見えない出入り口があるのだろう。
しばらく上で待ってギエルが上がって来たのを見て、姿が見えなるの確認してから下へ降りて調べてみるが分からない。
(ヒルダ様に報告しよう)
リューシルはすぐさまヒルダの元へと向かった。
「本当にここに?」
ヒルダは不審げに尋ねた。
「間違いありません」
二人で行き止まりの辺りを触ったり、叩いたりして調べるが何も見つからない。
「本当にもうーー!」
何も見つからないのにムカついたのか、ヒルダは壁を蹴飛ばした。ガゴっと音がして蹴ったところが凹んだ。
「えっ?」「えっ!」
二人は同時に声を発した。
「やだぁ、そんなに強く蹴って無いわよ」
強く蹴って無くて壁が凹む方が怖い。
「いや、待って下さい」
リューシルは凹んだ壁の中に手を入れてみる。
「何かある」
リューシルは鎖状の物を掴むと引っ張た。すると、天井が開いて、何かが降りて来た。ハシゴだ。
「こんな仕掛けがあったのね」
「ちょっと上がって見てきます。ヒルダ様は見張りお願いします」
「うむ。気をつけてな」
「はい」
ハシゴを登って上に着くと、壁にはハンドルがあった。リューシルはハンドルを回すと、ハシゴは上に収納され、穴が塞がった。
(こんな仕掛けがあるのでは、分からないはずだ)
リューシルは足跡を忍ばせて奥に進むと、扉があった。部屋になっているのか、しかし、鍵が閉められているのか開かない。扉に耳を押し当て、中の様子を伺う。
(ん? 話し声か?)
微かだが、話す声が聞こえてくる。
「本当ですか?」
女性の声。
「ああ。娘をラウールの元へ返そうと思ってる」
聞き覚えのある声。王だ。
「ああ、ありがとうございます。良かったね、アンナ」
「マーマは?」
「マ、マーマはもう少しここに居なくちゃいけないの」
「やだぁ、マーマと一緒に帰るー」
「・・・アンナ」
どうやら王はアナベルだけを残し、娘のアンナは父であるラウールの元に返そうとしてるらしい。
リューシルは王妃ヒルダの元に戻り、聞いた事を報告した。それを聞いていたヒルダの表情が硬くなる。
「ヒルダ様?」
「貴方はあの王が素直に娘を返すと思って」
「えっ? では・・・」
「王は自分が王になるためには、実の兄を殺してまで王になった人よ。簡単に返すとは思えないわ」
「で、では・・・」
静かに王妃は頷いた。
その日からリューシルはギエルを片時も離さず見張った。ある日、ギエルは秘密の部屋から大きな箱を携えて降りてきた。
(まさか・・・)
リューシルの胸の中に不安が広がる。
ギエルは普段生活ゴミなどを排出する、人気の少ない裏門から外へ出た。
外には荷馬車が止まっており、二人の見知らぬ男が立っているのが見えた。ギエルから箱を受け取ると箱を荷台に乗せ何処かへ向かう。
(まずい!)
早く追いかけたいのに、なかなかギエルが立ち去ってくれない。イライラする中、ようやくギエルは城内に入って行った。その姿が見えなくなった事を確認すると、リューシルは外へ出た。だが、荷馬車の姿は見えない。だが、道は一本道だ。リューシルは走り出す。心の中で叫ぶ。
(烏! この様子を見てるのか?)
それを確かめようが無い。リューシルは全力で荷馬車の後を追う。
街を外れた人気の無い藪の中で、二人の男は預かった箱を開けた。中には小さな女の子が眠っている。
「兄貴、本当にやるのか」
「当たり前だ。金も貰っちまったしな。箱から出してそこに横にしろ」
「・・・可愛い子なのにな」
もう一人の男が箱から出して、草の上に横にする。
兄貴と呼ばらた方がナイフを取り出し、女の子の胸にその切っ先を向ける。
「止めろぉーーー!」
追いかけてきたリューシルが大声で叫ぶ。剣を抜き、女の子に向けられたナイフを払いのけた。
「うわぁー、だ、誰!」
「あ、兄貴、ヤバイよ、逃げよう!」
二人は直ぐに敵わないと判断すると、背を向けて逃げ出そうと試みる。
「!!」
「ヒェーー!」
だが、逃げようとした方向には数人の男達が駆けつけて、立ちはだかっている。
「おっと、逃がさないぜ」
リューシルは女の子を腕に抱き上げた。ジワジワと数人の男達は二人を追い詰めていく。ワナワナ震えて命乞いをする二人の前に、男達を割って前に出たきた男がいた。
「ボス」
ボスと呼ばれたからには、きっとこの男がラウールなのだろうとリューシルは察した。
「ギエルに何を頼まれた」
太く低い声。人を震え上がらすには十分だ。
「ヒッ、ヒッ、い、命だけは・・・」
「おた、おた、お助けを・・・」
「だから、何を頼まれたってボスは聞いてるんだ」
男達はお金を貰って、箱の中の子供を殺すように頼まれたと白状した。
「始末したら、その証拠を持ってまた来いと・・・」
「証拠か・・・」
ラウールは娘の服を脱がせるように命じた。
「どうするんで、ボス?」
ラウールは左腕に娘の服を置いて、胸の辺りと思われる場所にナイフを突き立てた。
「ボス!」
「ヒェーーー!」
ナイフは布を貫き、ラウールの腕に突き刺さった。ジワリとラウールの血が服の胸元を赤く染めていく。
「これで、娘を殺した証拠になるだろう」
そう言うと、その服を二人組みに投げた。
「ボ、ボス、直ぐ手当を」
トーマがラウールの腕の手当をする。娘の為に意図も簡単に我が身を傷つけるとは。
「直ぐにギエルに持って行け。だが、本当の事は言うな。俺達はいつでもお前達を見張っている事を忘れるな」
「は、はい!」
「わ、わ、分かりました!」
二人は血に染まった子供の服を持って逃げ去った。
「だ、大丈夫ですか?」
リューシルは子供をトーマに渡し、ラウールを気遣う。
ラウールは笑うと、
「ありがとうございます」と、リューシルに頭を下げた。トーマに近寄り、まだ寝ている娘の頭を優しく撫でた。
「我が家へどうぞ。お話があります」
ラウール邸に行くと、五歳くらいの男の子が走って出て来た。
「お父さん!」
赤い髪の少年。
(この子が・・・)
「アレク。お客様だ」
「あ、あ、こんにちは、アレクシスと申します」
「こんにちは。リューシルです」
利発そうな少年だった。少年はトーマの腕に抱かれている妹の姿を見て、嬉し涙を流している。
「良かったね、アンナ、よかった・・・」
リューシルはラウールの仕事部屋に居た。中には数人のラウールの仲間達も。
「良かった。知らせが行ったのですね」
「貴方のただ事では無い動きに、鴉もピンと来たのでしょう。直ぐに報告が来ました」
「すごい早さでですね」
「何事もスピードが要です」
「なるほど」
リューシルはラウールを筆頭にした統率力に感心していた。
(まさに頂点に立つにふさわしい人物だ)
リューシルは城内の略図を書き、アナベルが閉じ込められている塔の略図を書いた。
「この塔は・・・」
「ご存知ですか?」
「・・・昔、王の母が幽閉されて居たと」
「そうなのですか?」
それはリューシルでさえ知らない事実だった。
そしてその塔内に入る仕掛けを教える。
「成る程」
しばし、考えていたラウールはリューシルに告げた。
「近い内にアナベルを助けに強硬手段に出ます。ですから、その時は王妃様達には城内に居ないので欲しいのですが」
「何処かに行っていろと言う事ですか?」
「そうです。王妃様には無関係でいて欲しいので」
「・・・分かりました」
部屋を出ると、泣きべそ顔のアレクシスが立っていた。
「どうした、アレク」
「お父さん、お母さんは無事に帰って来る?」
ラウールは腕を伸ばし、息子の頭を撫でた。
「当たり前だ。お父さんの言葉を信じろ」
「うん・・・」
心配顔の息子を抱き上げ、微笑みかける。
「お客様のお帰りだよ」
「うん。グス・・また、いらして、ウェ、下さいね」
泣きながらも強気にリューシルに挨拶する。
「またお邪魔します。では、失礼します」
ラウールと子供達を見て、リューシルは王妃の娘、ローラ姫に会いたくなった。
しかし、くまなく探したが見つけ出す事が出来ない。
(何処か秘密の隠し部屋とかがあるのかしら)
それはリューシルも考えていた。これだけ探しても見つからない。王の寝室もギエルの部屋も密かに探したが見つからない。二人に焦りが募る。
「おっ、すみません」
「・・・」
リューシルは誰かとぶつかりそうになり、相手に謝意を示したが、当の相手はブツブツ何かを言いながら通り過ぎてしまった。
(なんだぁ?)
「ああ、あの方はカール様です」
通りすがりのメイドが名前を教えてくれた。
「カール?」
「はい。母方はウルフォンヌ公爵の娘さんで、元は貴賓館の館長でした。辞めさせられたのですが、城内にいつも入り込んできてしまって、以前はギエル様が追い出していたのですが、しょっちゅう入って来るので、今は諦めて放置してます」
(あれが・・・)
館長カールの事は聞いていた。メイドに挨拶をして探索に戻る。
「お前、また来てるのか!」
ギエルの声だ。どうやらカールを叱っているらしい。だが、カールはギエルを無視して通り過ぎて行く。
「チッ」
ギエルは舌打ちすると反対方向に歩き出した。リューシルはその後を追う。その先には今は使われていない塔があるが、入り口は無かったはずだ。
階段を降りて行く。見つからない様に間を開けて降りて行くが、行き止まりになった。
(えっ? 居ない?)
階段の下にギエルの姿は無かった。何処かに見えない出入り口があるのだろう。
しばらく上で待ってギエルが上がって来たのを見て、姿が見えなるの確認してから下へ降りて調べてみるが分からない。
(ヒルダ様に報告しよう)
リューシルはすぐさまヒルダの元へと向かった。
「本当にここに?」
ヒルダは不審げに尋ねた。
「間違いありません」
二人で行き止まりの辺りを触ったり、叩いたりして調べるが何も見つからない。
「本当にもうーー!」
何も見つからないのにムカついたのか、ヒルダは壁を蹴飛ばした。ガゴっと音がして蹴ったところが凹んだ。
「えっ?」「えっ!」
二人は同時に声を発した。
「やだぁ、そんなに強く蹴って無いわよ」
強く蹴って無くて壁が凹む方が怖い。
「いや、待って下さい」
リューシルは凹んだ壁の中に手を入れてみる。
「何かある」
リューシルは鎖状の物を掴むと引っ張た。すると、天井が開いて、何かが降りて来た。ハシゴだ。
「こんな仕掛けがあったのね」
「ちょっと上がって見てきます。ヒルダ様は見張りお願いします」
「うむ。気をつけてな」
「はい」
ハシゴを登って上に着くと、壁にはハンドルがあった。リューシルはハンドルを回すと、ハシゴは上に収納され、穴が塞がった。
(こんな仕掛けがあるのでは、分からないはずだ)
リューシルは足跡を忍ばせて奥に進むと、扉があった。部屋になっているのか、しかし、鍵が閉められているのか開かない。扉に耳を押し当て、中の様子を伺う。
(ん? 話し声か?)
微かだが、話す声が聞こえてくる。
「本当ですか?」
女性の声。
「ああ。娘をラウールの元へ返そうと思ってる」
聞き覚えのある声。王だ。
「ああ、ありがとうございます。良かったね、アンナ」
「マーマは?」
「マ、マーマはもう少しここに居なくちゃいけないの」
「やだぁ、マーマと一緒に帰るー」
「・・・アンナ」
どうやら王はアナベルだけを残し、娘のアンナは父であるラウールの元に返そうとしてるらしい。
リューシルは王妃ヒルダの元に戻り、聞いた事を報告した。それを聞いていたヒルダの表情が硬くなる。
「ヒルダ様?」
「貴方はあの王が素直に娘を返すと思って」
「えっ? では・・・」
「王は自分が王になるためには、実の兄を殺してまで王になった人よ。簡単に返すとは思えないわ」
「で、では・・・」
静かに王妃は頷いた。
その日からリューシルはギエルを片時も離さず見張った。ある日、ギエルは秘密の部屋から大きな箱を携えて降りてきた。
(まさか・・・)
リューシルの胸の中に不安が広がる。
ギエルは普段生活ゴミなどを排出する、人気の少ない裏門から外へ出た。
外には荷馬車が止まっており、二人の見知らぬ男が立っているのが見えた。ギエルから箱を受け取ると箱を荷台に乗せ何処かへ向かう。
(まずい!)
早く追いかけたいのに、なかなかギエルが立ち去ってくれない。イライラする中、ようやくギエルは城内に入って行った。その姿が見えなくなった事を確認すると、リューシルは外へ出た。だが、荷馬車の姿は見えない。だが、道は一本道だ。リューシルは走り出す。心の中で叫ぶ。
(烏! この様子を見てるのか?)
それを確かめようが無い。リューシルは全力で荷馬車の後を追う。
街を外れた人気の無い藪の中で、二人の男は預かった箱を開けた。中には小さな女の子が眠っている。
「兄貴、本当にやるのか」
「当たり前だ。金も貰っちまったしな。箱から出してそこに横にしろ」
「・・・可愛い子なのにな」
もう一人の男が箱から出して、草の上に横にする。
兄貴と呼ばらた方がナイフを取り出し、女の子の胸にその切っ先を向ける。
「止めろぉーーー!」
追いかけてきたリューシルが大声で叫ぶ。剣を抜き、女の子に向けられたナイフを払いのけた。
「うわぁー、だ、誰!」
「あ、兄貴、ヤバイよ、逃げよう!」
二人は直ぐに敵わないと判断すると、背を向けて逃げ出そうと試みる。
「!!」
「ヒェーー!」
だが、逃げようとした方向には数人の男達が駆けつけて、立ちはだかっている。
「おっと、逃がさないぜ」
リューシルは女の子を腕に抱き上げた。ジワジワと数人の男達は二人を追い詰めていく。ワナワナ震えて命乞いをする二人の前に、男達を割って前に出たきた男がいた。
「ボス」
ボスと呼ばれたからには、きっとこの男がラウールなのだろうとリューシルは察した。
「ギエルに何を頼まれた」
太く低い声。人を震え上がらすには十分だ。
「ヒッ、ヒッ、い、命だけは・・・」
「おた、おた、お助けを・・・」
「だから、何を頼まれたってボスは聞いてるんだ」
男達はお金を貰って、箱の中の子供を殺すように頼まれたと白状した。
「始末したら、その証拠を持ってまた来いと・・・」
「証拠か・・・」
ラウールは娘の服を脱がせるように命じた。
「どうするんで、ボス?」
ラウールは左腕に娘の服を置いて、胸の辺りと思われる場所にナイフを突き立てた。
「ボス!」
「ヒェーーー!」
ナイフは布を貫き、ラウールの腕に突き刺さった。ジワリとラウールの血が服の胸元を赤く染めていく。
「これで、娘を殺した証拠になるだろう」
そう言うと、その服を二人組みに投げた。
「ボ、ボス、直ぐ手当を」
トーマがラウールの腕の手当をする。娘の為に意図も簡単に我が身を傷つけるとは。
「直ぐにギエルに持って行け。だが、本当の事は言うな。俺達はいつでもお前達を見張っている事を忘れるな」
「は、はい!」
「わ、わ、分かりました!」
二人は血に染まった子供の服を持って逃げ去った。
「だ、大丈夫ですか?」
リューシルは子供をトーマに渡し、ラウールを気遣う。
ラウールは笑うと、
「ありがとうございます」と、リューシルに頭を下げた。トーマに近寄り、まだ寝ている娘の頭を優しく撫でた。
「我が家へどうぞ。お話があります」
ラウール邸に行くと、五歳くらいの男の子が走って出て来た。
「お父さん!」
赤い髪の少年。
(この子が・・・)
「アレク。お客様だ」
「あ、あ、こんにちは、アレクシスと申します」
「こんにちは。リューシルです」
利発そうな少年だった。少年はトーマの腕に抱かれている妹の姿を見て、嬉し涙を流している。
「良かったね、アンナ、よかった・・・」
リューシルはラウールの仕事部屋に居た。中には数人のラウールの仲間達も。
「良かった。知らせが行ったのですね」
「貴方のただ事では無い動きに、鴉もピンと来たのでしょう。直ぐに報告が来ました」
「すごい早さでですね」
「何事もスピードが要です」
「なるほど」
リューシルはラウールを筆頭にした統率力に感心していた。
(まさに頂点に立つにふさわしい人物だ)
リューシルは城内の略図を書き、アナベルが閉じ込められている塔の略図を書いた。
「この塔は・・・」
「ご存知ですか?」
「・・・昔、王の母が幽閉されて居たと」
「そうなのですか?」
それはリューシルでさえ知らない事実だった。
そしてその塔内に入る仕掛けを教える。
「成る程」
しばし、考えていたラウールはリューシルに告げた。
「近い内にアナベルを助けに強硬手段に出ます。ですから、その時は王妃様達には城内に居ないので欲しいのですが」
「何処かに行っていろと言う事ですか?」
「そうです。王妃様には無関係でいて欲しいので」
「・・・分かりました」
部屋を出ると、泣きべそ顔のアレクシスが立っていた。
「どうした、アレク」
「お父さん、お母さんは無事に帰って来る?」
ラウールは腕を伸ばし、息子の頭を撫でた。
「当たり前だ。お父さんの言葉を信じろ」
「うん・・・」
心配顔の息子を抱き上げ、微笑みかける。
「お客様のお帰りだよ」
「うん。グス・・また、いらして、ウェ、下さいね」
泣きながらも強気にリューシルに挨拶する。
「またお邪魔します。では、失礼します」
ラウールと子供達を見て、リューシルは王妃の娘、ローラ姫に会いたくなった。
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