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レイフォード皇子×悪役令息
なんで?
しおりを挟む……どうして、俺はここにいるんだ?
(さっき、追放処分宣言したのは貴方ですよね???
ハッ……もしかして……さっき弁明してたときに「ありがとうございます!」って言いかけていたのがバレてた!?……いや、あのときは「ありッ……もしない……」って言い直したし、あ、もしかして嬉しくて若干笑い声になってたところとか……!?いや、なんとか嗚咽っぽくして泣きかけてた感を演出したし……だとしても、ありがとうとか嬉しくて笑いかけてたのとかがバレたとしても、それで罪が変わるわけでも無いし?実際悪事をしたのは事実だし覆すことなんて出来ないよね?
じゃあなんで……
俺 は 第 1 皇 子 の 部 屋 に い る ん だ ?)
ワインレッド色のカウチソファで、太ももをぴっちりとくっつけて若干内股気味に脚を揃えているジェノヴィ。
彼の頭の中は、ひとつの疑問が駆け巡っていた。
これ……本当に追放エンドだったのか……?
ー前世でしっていた追放エンドでは、エンディングイラストで僅かに悪役令息が辺境の村で穏やかにお茶を飲むシーンを見ていたので、記憶が正しければ、追放後に第1皇子と謁見することなど有り得ない……と
(ここで呼び出されたということは、もしや追放エンドとみせかけた処刑エンド……ってコト!?いやでも死人が出るような悪事は行ってはいないし……なになになに?!?ぜんっぜんわかんない!!まじわかんない!!)
ジェノヴィは、うう……と小さく呻きながらぐるぐると駆け巡る不安に体を震わせる。
キイ……
ゆっくりと開かれた扉の音にビクゥッ!と肩を震わせた。
扉の前にはレイフォード第1皇子がいて、ゆっくりと私室に入ってくる。
ーバタン
扉を閉めたレイフォードは、目の前のカウチソファに座り、ジェノヴィと対峙する形になる。
ジェノヴィは心の中で(終わった……)と、もはや悟るかのように瞳を閉じて、天井を見上げていた。
「……話は、短い方がいいと思うが……まずは一言……君に言わなくてはならない事がある。」
(あー……ですよねー……追放じゃなくて処刑!そうきっとこれは処刑!ああ……この世界で死んだ後とか、転生とかってワンチャンあるのかなー……あるといいなー……そしたら次の人生は、めちゃくちゃ可愛がられるペットになりたい……)
虚構に満ちた瞳ながらも、なんとか表情は崩さずにレイフォードに向き合う。ジェノヴィは心の中で、最後の言葉を思い浮かべた。
ああ……さよなら世界……と
だがしかし、そんな思いは杞憂となった。
「この度は、本当に……申し訳ない!!!」
それは、第1皇子が悪役令息に、頭を擦り付けて謝っている姿であった。
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