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第21話 クラス分け①
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これから各々のクラスに移動することになっている。この学園のクラスは2クラスと少ない。より高度なことを学ばせたいかららしい。基本的には中等部、高等部とエスカレーター式になっているから、中等部の面々とは仲よくする必要がある。でも、家の用事で高等部からの参加となる人もいるみたいだ。
僕とエルドがAクラスだ。警備面からして、僕とエルドが別クラスになることはないだろう。単純にエルドと一緒なのは嬉しいけどね。でも、Aクラスの他の人はどんな人がいるか分からないから、楽しみだな。できれば、セシリアとは同じクラスになりたいな。
◆
エルドを伴ってクラスに入ると、Aクラス内にいた生徒の目が一斉に僕に集中する。その中にはセシリアもいた。その視線からはどこか嬉しそうな雰囲気を感じ取れる。良かったぁ。一緒になれた。まずは、セシリアの所に行こうかな。
「セシリア! 同じクラスだったんだね! うれしいよ!」
「私もです! ユーリさん!」
「敬語とさん付けはやめてよぉ」
「え? でもやっぱり……」
「僕から宣言したんだ。学園では身分は関係ない。だから協力してくれない? お願いだ」
「分かりま――分かった。でも、さすがに名前を呼び捨てなのは嫌だからユーリ君って呼ぶけどいい?」
まぁ、セシリアの中で懸命に考えた結果だから、大きな進歩かな。今はこの距離間でいいか。
「いいよ。敬語やめてくれてありがとう!」
「お友達のユーリ君のためだからね!」
お友達……か。そういえば、今世では友達はまだできていなかったなぁ。王族だと関わる者皆が身分上、僕より下の者になる。初めての友達か。セシリアと友達かぁ。えへへっ。
「じゃあ、セシリアは僕にとって初めての友達だね!」
「はじめて……? あ、そっか。ユーリ君は王族だから……」
「そうなんだ。これからも仲よくしてね! セシリア」
「もちろんだよ! ユーリ君」
身分上は下。だけど、学園内ではそんな身分なんかは関係ない。そんな友達をいっぱい作りたい。身分も気にしないような友達を。なんでも話せるそんな友達を。
そんなことを考えながら、セシリアと話していると先生らしき人が入ってきた。
「おーい! みんな席についてくれ」
皆慌てたように席に着く。
「俺は、ガイトスだ。一応貴族ではあるが位は高くない。だが、国王や学園長からも宣言があったように、この学園は身分というものは意味をなさない。だから、ここでは、俺は先生で、お前等はただの一生徒だ。そのことを頭に入れておいてほしい。俺の担当は武術だ。元々は冒険者をやってたから、それなりの強さはあるつもりだ。武術のことについて質問があればいつでも言ってくれ。何か質問はないか?」
第一印象は、ハツラツとした人って感じだ。年は30半ばに見えるが、まだまだ覇気があふれている。きっと有名な冒険者だったのだろう。でも、なんでこの学園に教師として来ようとしたのかな? よっぽど給料が良かったのかな?
「はい!」
「なんだ? お前はユーリか。王族だとしてもタメ口でいくからな。怒って処刑しないでくれよ」
「処刑なんかしませんよ! 僕から宣言したんですから。それで質問なのですが、なんで学園に先生として来ようと思ったんですか? 先生であれば冒険者として続けていけたと思うのですが」
「いい質問だな。率直に言えば、金がよかったからだ。冒険者というのは常に依頼を受けて稼がなきゃならねぇ。だが、俺も年でな。色々な所にガタが来たんだ。全盛期に比べたら力も落ちてきてた。そんなときにここの学長から声をかけられたんだ。『学園で教師として働かないか?』とな。正直初めは断っていた。だがな、冷静に考えてみれば、冒険者として居れるのはあと数年だ。貴族だと言っても領地も持っていない名誉貴族だ。なら、安全で給料が良い俺の知識が活きるかもしれない学園で働いた方がいいんじゃねぇかと思ったんだ。どうだ? ユーリ。見損なったか?」
「いえ。賢明な判断だと思います。ガイトスさんが学園に来てくれてよかったです。質問に答えて頂きありがとうございました」
「おう。だが、お前らに負けるこたぁねぇだろうから安心しろ。それぐらいにはまだ強い。お前の兄には負けるかもしれねぇがな」
「え? レオ兄を知っているのですか?」
「知っているも何も俺が去年まで受け持っていたからな。あいつは化けもんだぜ。ハハハッ」
「そ、そうなんですか」
「あぁ、レオルグからはお前のことをよろしく頼まれてる。これからよろしくな。ユーリ」
「は、はい!」
「ほかに質問はないか?」
まさかレオ兄の事も知ってるなんて。レオ兄は先生のことを一言もしゃべってなかったのに。負けるかもしれないってことは勝ってたってことだよなぁ。
ガイトス先生か。
またレオ兄に聞いてみよう。
僕とエルドがAクラスだ。警備面からして、僕とエルドが別クラスになることはないだろう。単純にエルドと一緒なのは嬉しいけどね。でも、Aクラスの他の人はどんな人がいるか分からないから、楽しみだな。できれば、セシリアとは同じクラスになりたいな。
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エルドを伴ってクラスに入ると、Aクラス内にいた生徒の目が一斉に僕に集中する。その中にはセシリアもいた。その視線からはどこか嬉しそうな雰囲気を感じ取れる。良かったぁ。一緒になれた。まずは、セシリアの所に行こうかな。
「セシリア! 同じクラスだったんだね! うれしいよ!」
「私もです! ユーリさん!」
「敬語とさん付けはやめてよぉ」
「え? でもやっぱり……」
「僕から宣言したんだ。学園では身分は関係ない。だから協力してくれない? お願いだ」
「分かりま――分かった。でも、さすがに名前を呼び捨てなのは嫌だからユーリ君って呼ぶけどいい?」
まぁ、セシリアの中で懸命に考えた結果だから、大きな進歩かな。今はこの距離間でいいか。
「いいよ。敬語やめてくれてありがとう!」
「お友達のユーリ君のためだからね!」
お友達……か。そういえば、今世では友達はまだできていなかったなぁ。王族だと関わる者皆が身分上、僕より下の者になる。初めての友達か。セシリアと友達かぁ。えへへっ。
「じゃあ、セシリアは僕にとって初めての友達だね!」
「はじめて……? あ、そっか。ユーリ君は王族だから……」
「そうなんだ。これからも仲よくしてね! セシリア」
「もちろんだよ! ユーリ君」
身分上は下。だけど、学園内ではそんな身分なんかは関係ない。そんな友達をいっぱい作りたい。身分も気にしないような友達を。なんでも話せるそんな友達を。
そんなことを考えながら、セシリアと話していると先生らしき人が入ってきた。
「おーい! みんな席についてくれ」
皆慌てたように席に着く。
「俺は、ガイトスだ。一応貴族ではあるが位は高くない。だが、国王や学園長からも宣言があったように、この学園は身分というものは意味をなさない。だから、ここでは、俺は先生で、お前等はただの一生徒だ。そのことを頭に入れておいてほしい。俺の担当は武術だ。元々は冒険者をやってたから、それなりの強さはあるつもりだ。武術のことについて質問があればいつでも言ってくれ。何か質問はないか?」
第一印象は、ハツラツとした人って感じだ。年は30半ばに見えるが、まだまだ覇気があふれている。きっと有名な冒険者だったのだろう。でも、なんでこの学園に教師として来ようとしたのかな? よっぽど給料が良かったのかな?
「はい!」
「なんだ? お前はユーリか。王族だとしてもタメ口でいくからな。怒って処刑しないでくれよ」
「処刑なんかしませんよ! 僕から宣言したんですから。それで質問なのですが、なんで学園に先生として来ようと思ったんですか? 先生であれば冒険者として続けていけたと思うのですが」
「いい質問だな。率直に言えば、金がよかったからだ。冒険者というのは常に依頼を受けて稼がなきゃならねぇ。だが、俺も年でな。色々な所にガタが来たんだ。全盛期に比べたら力も落ちてきてた。そんなときにここの学長から声をかけられたんだ。『学園で教師として働かないか?』とな。正直初めは断っていた。だがな、冷静に考えてみれば、冒険者として居れるのはあと数年だ。貴族だと言っても領地も持っていない名誉貴族だ。なら、安全で給料が良い俺の知識が活きるかもしれない学園で働いた方がいいんじゃねぇかと思ったんだ。どうだ? ユーリ。見損なったか?」
「いえ。賢明な判断だと思います。ガイトスさんが学園に来てくれてよかったです。質問に答えて頂きありがとうございました」
「おう。だが、お前らに負けるこたぁねぇだろうから安心しろ。それぐらいにはまだ強い。お前の兄には負けるかもしれねぇがな」
「え? レオ兄を知っているのですか?」
「知っているも何も俺が去年まで受け持っていたからな。あいつは化けもんだぜ。ハハハッ」
「そ、そうなんですか」
「あぁ、レオルグからはお前のことをよろしく頼まれてる。これからよろしくな。ユーリ」
「は、はい!」
「ほかに質問はないか?」
まさかレオ兄の事も知ってるなんて。レオ兄は先生のことを一言もしゃべってなかったのに。負けるかもしれないってことは勝ってたってことだよなぁ。
ガイトス先生か。
またレオ兄に聞いてみよう。
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