16 / 43
第16話 入学試験④
しおりを挟む
入学試験終わりの夜……
「ユーリ(にーさま)! 入学試験お疲れさまー!!!」
「お疲れさまでした!」
「ユーリ。どうだったんだ。試験は」
「大丈夫だと思います。筆記は全部かけましたし、実技もそこそこに戦えたと思います」
「そうか。ユーリは賢いな。俺は勉強したくなかったから、筆記はそこまで良くはなかったぞ」
「レオ兄は実技でとれるでしょう!」
「それはそうだな。でも、今日は正直ドルトスとのことの方が印象に残ったぞ」
「なんだ? ドルトスとのことって? 確かドルトスはゲルドの所の息子だったな」
「はい。それが、今日ドルトスが権力を振りかざして、男爵家の娘さんに言い寄っていたんです」
「なっ!!!! まったくあいつの所はどんな教育をしているんだ。 いや、あいつのせいで息子の性格が曲がったのか。」
「ゲルド公爵ってどんな人なんですか?」
「あぁ、まだ弟について話したことはなかったか。ゲルドは俺の弟で、アンドレス公爵家の現当主だ。この話は長くなる」
そう言うと父上はゲルド公爵について話し始めた。
昔は父上に引っ付いて遊んでいたらしい。だが、ゲルドさんの【鑑定の儀】を終えてからゲルドさんは変わってしまったのだと。
自分のスキルが大したことがないことにイラついていたゲルドさんは、自然に父上に対して劣等感を覚え、父上に近づかなくなった。だが、それを皮切りに父上を国王に押し上げたい派閥とゲルドさんを国王に押し上げたいという2つの派閥が存在することになってしまった。
その結果、幼いゲルドさんの周りにはゲルドさんをおだて、へりくだる者しか残らなかった。しかもゲルドさんは父上に劣等感を抱いていた。様々な要因が絡み合うことによって、今のゲルド公爵が誕生した。
話を聞いていくうちに同情しなかったこともない。でも、それは今のような下級貴族を軽んじていい理由にはならないはずだ。ゲルド公爵自身も引き返せないところまで来てしまっていてそれを息子にも押し付けようとしている。しかも、もうドルトスはそれを下級貴族は従うのが当然として定着してしまっている。
だがそれを「つらかったね」とは言うことはできない。なぜならもうドルトスも引き返せないところまで来ていて、容赦をかけるとかえって面倒になるからだ。
ゲルド公爵の身の上話を一通り聞いて、結局は要注意とすることで一致した。それとセシリアの実家の方には気を配ってもらうようにした。怒ったドルトスが何をするか分からないからな。
――アンドレス公爵家によって今後のアレクシオール王国は混沌の時代へと巻き込まれていくことになる。この時、既に小さな火種が発生しつつあるのだった。
「ユーリ(にーさま)! 入学試験お疲れさまー!!!」
「お疲れさまでした!」
「ユーリ。どうだったんだ。試験は」
「大丈夫だと思います。筆記は全部かけましたし、実技もそこそこに戦えたと思います」
「そうか。ユーリは賢いな。俺は勉強したくなかったから、筆記はそこまで良くはなかったぞ」
「レオ兄は実技でとれるでしょう!」
「それはそうだな。でも、今日は正直ドルトスとのことの方が印象に残ったぞ」
「なんだ? ドルトスとのことって? 確かドルトスはゲルドの所の息子だったな」
「はい。それが、今日ドルトスが権力を振りかざして、男爵家の娘さんに言い寄っていたんです」
「なっ!!!! まったくあいつの所はどんな教育をしているんだ。 いや、あいつのせいで息子の性格が曲がったのか。」
「ゲルド公爵ってどんな人なんですか?」
「あぁ、まだ弟について話したことはなかったか。ゲルドは俺の弟で、アンドレス公爵家の現当主だ。この話は長くなる」
そう言うと父上はゲルド公爵について話し始めた。
昔は父上に引っ付いて遊んでいたらしい。だが、ゲルドさんの【鑑定の儀】を終えてからゲルドさんは変わってしまったのだと。
自分のスキルが大したことがないことにイラついていたゲルドさんは、自然に父上に対して劣等感を覚え、父上に近づかなくなった。だが、それを皮切りに父上を国王に押し上げたい派閥とゲルドさんを国王に押し上げたいという2つの派閥が存在することになってしまった。
その結果、幼いゲルドさんの周りにはゲルドさんをおだて、へりくだる者しか残らなかった。しかもゲルドさんは父上に劣等感を抱いていた。様々な要因が絡み合うことによって、今のゲルド公爵が誕生した。
話を聞いていくうちに同情しなかったこともない。でも、それは今のような下級貴族を軽んじていい理由にはならないはずだ。ゲルド公爵自身も引き返せないところまで来てしまっていてそれを息子にも押し付けようとしている。しかも、もうドルトスはそれを下級貴族は従うのが当然として定着してしまっている。
だがそれを「つらかったね」とは言うことはできない。なぜならもうドルトスも引き返せないところまで来ていて、容赦をかけるとかえって面倒になるからだ。
ゲルド公爵の身の上話を一通り聞いて、結局は要注意とすることで一致した。それとセシリアの実家の方には気を配ってもらうようにした。怒ったドルトスが何をするか分からないからな。
――アンドレス公爵家によって今後のアレクシオール王国は混沌の時代へと巻き込まれていくことになる。この時、既に小さな火種が発生しつつあるのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
826
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる