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第10話 事情説明②
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母上が僕たちを般若の顔で見ている。
「貴方たちには、貴方たちそれぞれの個性があるの。レオルグは、【剣聖】というお父さんと同じスキルを自分なりに解釈して、名に恥じぬよう努力している。そして、ユーリをしっかりと愛している。ユーリはしっかりと自分を分析して行動できる賢い子。でも、その分析は常にレオルグ中心で考えていて、レオルグのことが大好き。貴方たちは、それぞれ得意なことが違うの。しかも、2人ともお互いのことが大好きなのよ? なんでそんな2人が互いに譲り合って言い合いをしているの? お母さんは悲しい。2人とも私の愛する子なのよ?」
母上の言葉は的を射ていた。
レオ兄が僕のことをどう思っているかは分からない。でも、少なくとも僕はレオ兄に立派であってほしい。これはただの僕の願いだ。でも、叶って欲しい願いなんだ!
「おにーさまたちなんでけんかしてるの? エミィはけんかしてほしくない。えがおでいてほしいよぉ」
エミィ、ごめんね。これだけは譲れないんだ。
「ほら、エミリアもこう言ってるのよ? エミリアを悲しませていいの?」
「「うっ……」」
でも、言い合いには問題があった。熱くなりすぎてしまったみたいだ。
「すまなかった。ユーリ」
「僕こそごめんなさい。熱くなってしまって」
「落ち着いたようだな。2人とも、能力というのは一面から見てはいけないんだ。常に多面的に判断することが重要になってくる。2人とも備わっている能力は異なる。だが、その2人が協力すればどうなる?」
父上らしい、国王らしい意見だ。確かに、僕とレオ兄は能力が大きく異なる。だからこそ、僕はレオ兄を支えることで貢献しようと考えていたのだ。
「さいきょう!!」
「そうだエミリア。最強になるんだよ。どちらが上とか関係ない。どうすれば一番良い形になるのか、一番国にとっていいのか、それだけを考えろ。私情が入るのは仕方がないことだ。だが、私情だけになってはいけない。客観的な意見も持ったうえで議論を行う。それが大切なことなんだ。二人とも分かったか?」
僕はレオ兄に国王になってほしいとしか言えなかった。その時自分はどうするのかを伝えられなかった。逆に僕が国王になったらどうなるのか。レオ兄はどうなるのか。そこまでしっかりと考えて答えを出さないといけないんだ。能力は一面だけ見てはいけない。多面的に見る必要がある。
「「分かりました……」」
「そうか。別に今どちらが国王につくかなんかは考えなくていい。まだ俺は退くつもりはないからな。もしかしたらお前らが王位につく頃には、お前らはおっさんになってるかもしれないな? ハハハッ。 でもな、これだけは言っておくぞ。お前たちには争ってほしくない。しっかりと納得したうえで決めてほしい。俺が国王になる時は争いになったからな。それをお前たちにまで経験してほしくはない。それだけは頼むぞ。」
確かに議論をするのは早すぎたのかもしれない。父上がそんなにすぐ死ぬなんて思えないし、大体まだ僕の才能もはっきりしていないのだしね。
「「はい!」」
「お前らを王位に就かせようと躍起になって、へばりついてくる貴族がいるはずだ。そいつらには気をつけろ。ろくなことにならない。2人で対処するんだ」
はぁ。やっぱりどの世界にも後継者争いってのはあるんだろう。僕とレオ兄が争うなんてことは万が一、いや、億が一もあり得ない。だって僕が王位に就く気はないんだもん。レオ兄が死んだらさすがに就かないとまずいだろうけど、そんなことにはそうそうならないはずだ。
レオ兄とはしっかりと話し合わないとな。
「一応だがな。今の所はレオルグに王位に就いてもらおうと思ってることは伝えとこう」
「なっ!!!! 父上! ユーリの方が……」
「ハハハッ。驚いたか? 正直ユーリは本気でつきたくなさそうだぞ? それにお前は、【剣聖】のスキルを持ってる。自然な流れだ。長男だしな。ユーリはユーリでお前を支えるつもりだろう。お前は国王を継ぐ覚悟をもっておけ」
「レオ兄、僕はレオ兄を支えることで助けたいんだ。第一、僕がレオ兄に指示するとか考えられないよ!」
僕が国王にでもなったら、レオ兄に指示しなければならない。それってなんか嫌なことだ。
「おまえ! 絶対楽だわ~とか思ってるだろ!!」
「いやだな~。レオ兄。そんなこと思ってる訳ないじゃないですか~?」
すこーーしだけ、そんなことも思ってました......
「絶対嘘だ!」
「ハハハッ」
「このやろっ!」
そう言って僕のことをこちょばしに来る。ちょ。やめて!! ハハハッ。笑いが止まらねぇ。
僕はこうしてるのが一番なんだ。みんなで楽しく冗談を言い合って過ごすのが。
――前世では味わえなかった景色なんだから。
だから死ぬ気で、レオ兄を国王にして支える。それを遮るものは容赦しない。例え戦争になったとしても。
「貴方たちには、貴方たちそれぞれの個性があるの。レオルグは、【剣聖】というお父さんと同じスキルを自分なりに解釈して、名に恥じぬよう努力している。そして、ユーリをしっかりと愛している。ユーリはしっかりと自分を分析して行動できる賢い子。でも、その分析は常にレオルグ中心で考えていて、レオルグのことが大好き。貴方たちは、それぞれ得意なことが違うの。しかも、2人ともお互いのことが大好きなのよ? なんでそんな2人が互いに譲り合って言い合いをしているの? お母さんは悲しい。2人とも私の愛する子なのよ?」
母上の言葉は的を射ていた。
レオ兄が僕のことをどう思っているかは分からない。でも、少なくとも僕はレオ兄に立派であってほしい。これはただの僕の願いだ。でも、叶って欲しい願いなんだ!
「おにーさまたちなんでけんかしてるの? エミィはけんかしてほしくない。えがおでいてほしいよぉ」
エミィ、ごめんね。これだけは譲れないんだ。
「ほら、エミリアもこう言ってるのよ? エミリアを悲しませていいの?」
「「うっ……」」
でも、言い合いには問題があった。熱くなりすぎてしまったみたいだ。
「すまなかった。ユーリ」
「僕こそごめんなさい。熱くなってしまって」
「落ち着いたようだな。2人とも、能力というのは一面から見てはいけないんだ。常に多面的に判断することが重要になってくる。2人とも備わっている能力は異なる。だが、その2人が協力すればどうなる?」
父上らしい、国王らしい意見だ。確かに、僕とレオ兄は能力が大きく異なる。だからこそ、僕はレオ兄を支えることで貢献しようと考えていたのだ。
「さいきょう!!」
「そうだエミリア。最強になるんだよ。どちらが上とか関係ない。どうすれば一番良い形になるのか、一番国にとっていいのか、それだけを考えろ。私情が入るのは仕方がないことだ。だが、私情だけになってはいけない。客観的な意見も持ったうえで議論を行う。それが大切なことなんだ。二人とも分かったか?」
僕はレオ兄に国王になってほしいとしか言えなかった。その時自分はどうするのかを伝えられなかった。逆に僕が国王になったらどうなるのか。レオ兄はどうなるのか。そこまでしっかりと考えて答えを出さないといけないんだ。能力は一面だけ見てはいけない。多面的に見る必要がある。
「「分かりました……」」
「そうか。別に今どちらが国王につくかなんかは考えなくていい。まだ俺は退くつもりはないからな。もしかしたらお前らが王位につく頃には、お前らはおっさんになってるかもしれないな? ハハハッ。 でもな、これだけは言っておくぞ。お前たちには争ってほしくない。しっかりと納得したうえで決めてほしい。俺が国王になる時は争いになったからな。それをお前たちにまで経験してほしくはない。それだけは頼むぞ。」
確かに議論をするのは早すぎたのかもしれない。父上がそんなにすぐ死ぬなんて思えないし、大体まだ僕の才能もはっきりしていないのだしね。
「「はい!」」
「お前らを王位に就かせようと躍起になって、へばりついてくる貴族がいるはずだ。そいつらには気をつけろ。ろくなことにならない。2人で対処するんだ」
はぁ。やっぱりどの世界にも後継者争いってのはあるんだろう。僕とレオ兄が争うなんてことは万が一、いや、億が一もあり得ない。だって僕が王位に就く気はないんだもん。レオ兄が死んだらさすがに就かないとまずいだろうけど、そんなことにはそうそうならないはずだ。
レオ兄とはしっかりと話し合わないとな。
「一応だがな。今の所はレオルグに王位に就いてもらおうと思ってることは伝えとこう」
「なっ!!!! 父上! ユーリの方が……」
「ハハハッ。驚いたか? 正直ユーリは本気でつきたくなさそうだぞ? それにお前は、【剣聖】のスキルを持ってる。自然な流れだ。長男だしな。ユーリはユーリでお前を支えるつもりだろう。お前は国王を継ぐ覚悟をもっておけ」
「レオ兄、僕はレオ兄を支えることで助けたいんだ。第一、僕がレオ兄に指示するとか考えられないよ!」
僕が国王にでもなったら、レオ兄に指示しなければならない。それってなんか嫌なことだ。
「おまえ! 絶対楽だわ~とか思ってるだろ!!」
「いやだな~。レオ兄。そんなこと思ってる訳ないじゃないですか~?」
すこーーしだけ、そんなことも思ってました......
「絶対嘘だ!」
「ハハハッ」
「このやろっ!」
そう言って僕のことをこちょばしに来る。ちょ。やめて!! ハハハッ。笑いが止まらねぇ。
僕はこうしてるのが一番なんだ。みんなで楽しく冗談を言い合って過ごすのが。
――前世では味わえなかった景色なんだから。
だから死ぬ気で、レオ兄を国王にして支える。それを遮るものは容赦しない。例え戦争になったとしても。
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