前世は不遇でしたが、今世では頑張ろうと思います。王子に転生してスキル【領地内政】と【人徳】を武器に異世界を生きる!

しょー

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第8話 神様との逢瀬②

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 目を閉じて眠りについた。次に目を開けると昨日見たような、白い空間、そしてダイニングセットがあった。

「守さん、いえ、今はユーリさんでしたね。お久しぶりです」

「お久しぶり? です。僕としての体感は神様とは昨日ぶりなんですけど?」

「あぁ、そうでしたね。とにかく転生できたようで良かったです」

「その節はどうも、本当にありがとうございました。それで、スキルの詳細を教えて下さるという話では?」

「そうでした。では、説明を始めましょう!」

絶対に忘れてたよね。神様でもそんなことあるんだなぁ。神様に見えないはずの汗が見える......

「お願いします!」

 こうして、美人神様と僕との【スキル】講座が始まった。

 まずは【人徳】のスキルについてだ
神様に渡された紙にはこのように書いてあった。

【人徳】
・このスキルを持つ者は、物事を習得する速度に補正がかかる。
・行動に品性が備わる。

 このスキルはしっかりと一つのスキル!! って感じではなさそうだ。 
 神様によると、このスキルは、すぐに効果が出るようなものじゃなく、後から効いてくるものなんだそうだ。これは転生する前のユーリが授かるはずの能力だったらしい。ユーリ! 君のおかげでダブルスキルになったんだって!! ありがとう!

 このスキルのおかげで、鍛錬と勉強にも少しは希望が見えてきた! 要するにちょっと器用になるってことだろうから、一生懸命やれば報われると分かっているようなものだ。おまけだと思ってたけど充分僕には必要なスキルだ。

 もう一つのスキル【領地内政】は、まさに【ユニークスキル】って感じのスキルだった。神様の説明資料も前世の取扱説明書ぐらいあった。絶対全部読まないやつなのに……

【領地内政】
・為政者の素養を見ることができる
・その都市の防衛力や兵力など都市についての情報を得ることができる。
・自分が街を治める場合、住民の幸福度から算出されるポイントを用いて、様々なイベントを起こすことが可能。

 ざっとまとめるとこんなくらいだろう。これだけでもさっきの【人徳】と比べて盛りだくさんだ。一つ一つ見ていこう。

 まず、為政者の素養を見るためには、【人物鑑定】と唱える必要があるらしい。そうすると、その人の近くにその素養の書かれたステータス板が出される。



名 前:
性 格:
スキル:

演説力:
人 望:
武 勇:
政 治:



 イメージ例を出されたけど、これだけでもなかなかにチートなんじゃないか?
相手の性格からスキル、素養まで見れる。それだけでもその人の人となりが分かる。この機能があれば、どの人物が信用できるかが目に見えて分かるようになる。

 次に、都市の情報を知れるものだな。これは、基本的にその都市にいなければ見れないらしい。そして、【都市鑑定】と唱える必要がある。例えば、今僕がいる都市は、アレクシオール王国の首都エルギルだ。今の状態だけならば、エルギルしか見れないってことだね。でも、一度見た情報は、頭の中にインプットされるようになっていて、見たい時に見れるようになっている。ただし情報の更新は僕自身が行くしかないみたいだ。でも、神様がその部分を質問した時にはぐらかしていたから、もしかしたらスキルの成長とかもあるのかもしれない。

 次が説明書に書いてあったイメージ図だ。



都市名:
為政者:
人 口:
兵 力:
防衛力:
幸福度:
財 力:
交易力:
(補足情報)



 こんな感じで都市の情報が丸見えだ。その都市の保有戦力から、街の状態まで。幸福度が低ければ、それだけ反乱の可能性が高まっているということを示すことにもなる。また、補足情報の所では、今起きている特殊な事情について把握することができる。ここまで至れり尽くせりの機能でいいのかと不安になるレベルだ。

 ここまでは領地を持たない僕でも使える機能だ。

 最後は、僕が街を治めることになった時に使うことができる機能だ。住民の幸福ポイントからイベントを起こせるものらしい。イベントというのは多種多様らしくて、僕の能力の強化から、兵の強化、優秀な人材の出現など、僕が街を治めるのに助かるイベントばかりだ。ぜひとも早く街を治めてみたいものだ。また、頃合いを見て父上に提案しよう。

ざっとこんな感じで何時間も説明された。神様は案外暇なのかもしれない。

「ふぅ……っと。大体は説明し終えたかな」

 神様は話し終えると、肩が凝ったわぁ。 みたいな仕草をとって、息を吐いた。神様は肩凝らないでしょう!

「えげつないですね。このスキル」

「でしょ!? 私が丹精込めて作りました! 喜んでもらえたようでうれしい」

「え!? 神様が作ったんですか?」

「そうよ。ちょっとやりすぎちゃったかもしれないね。でも、君ならそんなに悪用はしないでしょう?」

 一応は僕を信頼してくれているようだ。でも、裏切れば何があるか分からない。

「確かにそうですけど……」

「貴方の周りで大切な人には話していいよ。貴方の家族には悪い人はいないしね。だ・け・ど! 家族以外には、しっかりと話す人は選ぶこと! いいわね?」

 神様が前のめりで注意してきた。確かにこのスキルはやりようによっては悪用し放題だ。例えば、僕が盗賊の捕虜になれば都市や村の情報が盗賊に筒抜けになる。また貴族に伝えるにしても、その貴族が味方ではなかった際、最も先に暗殺されてしまうのは僕だろう。気をつけなければ

「分かりました。その時は家族と相談します」

「よろしい。じゃあ、説明し終わったことだし、そろそろお開きにしましょうかね」

「もう少し神様と話していたかったです……」

「あら? うれしいことを言ってくれるじゃない。でもね、神様は本来そこまで干渉してはいけないのよ。貴方のことはしっかりと見守っておくから心配しないでね」

「分かりました。確かにそうですよね。でも、神様が見守ってくれるなら安心です! 今まで本当にありがとうございました」

 神様自身も寂しいのかもしれないな。

「本当にいい子ね。じゃあ、もう会わないだろうから」

 チュッ

 ユーリは再びまどろみに落ちていった。

 ――スキル【女神の加護】を習得しました

◆◆◆◆

【女神の加護】
女神の祈りがスキルとなったもの。運がよくなる。良き人に巡り合いやすくなる。

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