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第5話 【鑑定の儀】①
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ミリアと共にダイニングのような場所に移動した。
来客用の長机ではなく、前世での一般家庭で置かれているような一般的な机だった。アレクシオール王族は王族然としていないようだ。少しああいうスタイルで食事を取ることを期待してたんだけどな......
既に家族は全員揃っていて僕が最後のようだった。実際に見ると全員凄い美形だ。改めて自分が転生したのだと認識させられた。
「お~い! 遅いぞ~ ユーリ」
父上は本当に王様なのか? と疑うぐらいただの父親の顔をしている。大丈夫なのだろうか?
「ユーリ。お母さんはそんなに待ってないから大丈夫よ」
母上は優しい。ただ、怒らせると人が変わったかのようにどす黒いオーラを纏うから騙されてはダメだ。
「ユーリ。そんなに遅いとお前の分まで食べるぞ?」
レオ兄を見ていると自然と尊敬の感情が湧いてきた。ユーリにとってレオ兄は尊敬の対象だったようだ。確かにこんな兄がいれば尊敬してしまうかもしれない。
「ユーリにーさま! おはようございます!」
エミィは安定の可愛さだね。まるで天使だ。父上とレオ兄がなんでもしてあげたい気持ちも分かるような気がする。
やっぱり結構待たせちゃったかも。でも、今日だけは許してほしい! だって、今日転生したんだもん。それは仕方ないじゃん!! 転生したとは口が裂けても言えないけどね。
「おはよう! ごめんなさい。遅れてしまって」
「分かってくれればいいんだよ」
「別に遅れてくれてもいいんだぞ。俺が食べるからな!」
「どんだけ食べたいんですか。レオ兄!」
「ハハハッ。だって食べ盛りなんだもん。」
これもレオ兄なりの優しさなんだよね。これ。前世ではこんな会話なんかしなかったから、泣いちゃいそうだ。
レオ兄と僕の掛け合いで家族の場に笑顔が生まれた。僕は愛されていたんだなと認識する。
「今日は【鑑定の儀】だぞ!? ユーリは覚えてたか?」
ユーリの記憶によると今日は【鑑定の儀】らしい。昨日の夜もドキドキしながら寝ていたみたいだ。【鑑定の儀】は貴族階級にとっては大切な儀式だ。教会に所属する人間にしか鑑定のスキルが授けられないため、平民は高いお金を払わないと受けられないことになっている。それほど【鑑定の儀】とは大切なものなのだ。
【鑑定の儀】とは、人のスキルを鑑定する儀式だ。レオ兄も3年前に受けてる。【剣聖】はもうレオ兄が取ってるから、正直レオ兄を支えられるような力の方がいい。
「分かってます! でも、もう【剣聖】はレオ兄が持ってるから、国王はレオ兄で決まりだし、それならできるだけレオ兄を支えられるようなスキルが欲しいですねぇ」
「嬉しいことを言ってくれるなぁ。ユーリ、お前がどんなスキルだったとしても俺はお前のことを頼りにするからな? 覚悟しとけよ?」
「任せてよ! レオ兄」
レオ兄はほんとに良い兄だ。僕がどんなスキルをとっても良いようにさりげなくフォローしてくれる。レオ兄は良い君主になるだろう。その隣には僕が立っていたい。
確か神様が僕にスキルを与えるって言ってたから、悪い結果にはならないとは思うんだけど……。 不安だ。
「どんなスキルであれ、勉強と鍛錬は5歳から始めるからな」
「ゲッ…… そうだった…… 嫌だなぁ」
嫌すぎてゲッて言ってしまった。前世でもそれなりに頑張っていたけど、今世は王子だからな。きっと努力量は前世の比じゃないだろう。転生したからには努力すると決意した。でも嫌だな.....
「ゲッってなんだ。ゲッって。当然だろう」
「それはそうですけど……」
「ユーリ、諦めろ。ごねたところで何も変わらないぞ。俺が経験済みだ......」
あ、レオ兄が遠い目をしてる。朧気だけど、レオ兄が五歳の時にものすごいごねてたのを覚えてるな。その後何日間かは顔が死んでた。
「ユーリにーさま、だいじょうぶ?」
本当に心配してくれているみたいだ。エミィには純粋なまま育ってほしいな。お兄ちゃん頑張るからな!
「うっ、うん。大丈夫だよエミィ。心配してくれてありがとう」
「うん!!!」
これで逃げ場がなくなった。頑張るか。決して、ミリィに言われて断れなかったからとかじゃないからね!?
勉強も前世ではまあまあできた方だし、高校までしっかりと勉強できてたから、勉強の方は大丈夫なはずだ。鍛錬はまぁ嫌だけど、王族なわけだし、ある程度自衛ができてないとだめだよね。
まぁ勉強も鍛錬も嫌だけど、今はそれより【鑑定の儀】だ。このスキルが何かによって、僕の人生が決まると言ってもおかしくない。そう思うと緊張してきたな。
今はちゃんと朝食を食べよう。
来客用の長机ではなく、前世での一般家庭で置かれているような一般的な机だった。アレクシオール王族は王族然としていないようだ。少しああいうスタイルで食事を取ることを期待してたんだけどな......
既に家族は全員揃っていて僕が最後のようだった。実際に見ると全員凄い美形だ。改めて自分が転生したのだと認識させられた。
「お~い! 遅いぞ~ ユーリ」
父上は本当に王様なのか? と疑うぐらいただの父親の顔をしている。大丈夫なのだろうか?
「ユーリ。お母さんはそんなに待ってないから大丈夫よ」
母上は優しい。ただ、怒らせると人が変わったかのようにどす黒いオーラを纏うから騙されてはダメだ。
「ユーリ。そんなに遅いとお前の分まで食べるぞ?」
レオ兄を見ていると自然と尊敬の感情が湧いてきた。ユーリにとってレオ兄は尊敬の対象だったようだ。確かにこんな兄がいれば尊敬してしまうかもしれない。
「ユーリにーさま! おはようございます!」
エミィは安定の可愛さだね。まるで天使だ。父上とレオ兄がなんでもしてあげたい気持ちも分かるような気がする。
やっぱり結構待たせちゃったかも。でも、今日だけは許してほしい! だって、今日転生したんだもん。それは仕方ないじゃん!! 転生したとは口が裂けても言えないけどね。
「おはよう! ごめんなさい。遅れてしまって」
「分かってくれればいいんだよ」
「別に遅れてくれてもいいんだぞ。俺が食べるからな!」
「どんだけ食べたいんですか。レオ兄!」
「ハハハッ。だって食べ盛りなんだもん。」
これもレオ兄なりの優しさなんだよね。これ。前世ではこんな会話なんかしなかったから、泣いちゃいそうだ。
レオ兄と僕の掛け合いで家族の場に笑顔が生まれた。僕は愛されていたんだなと認識する。
「今日は【鑑定の儀】だぞ!? ユーリは覚えてたか?」
ユーリの記憶によると今日は【鑑定の儀】らしい。昨日の夜もドキドキしながら寝ていたみたいだ。【鑑定の儀】は貴族階級にとっては大切な儀式だ。教会に所属する人間にしか鑑定のスキルが授けられないため、平民は高いお金を払わないと受けられないことになっている。それほど【鑑定の儀】とは大切なものなのだ。
【鑑定の儀】とは、人のスキルを鑑定する儀式だ。レオ兄も3年前に受けてる。【剣聖】はもうレオ兄が取ってるから、正直レオ兄を支えられるような力の方がいい。
「分かってます! でも、もう【剣聖】はレオ兄が持ってるから、国王はレオ兄で決まりだし、それならできるだけレオ兄を支えられるようなスキルが欲しいですねぇ」
「嬉しいことを言ってくれるなぁ。ユーリ、お前がどんなスキルだったとしても俺はお前のことを頼りにするからな? 覚悟しとけよ?」
「任せてよ! レオ兄」
レオ兄はほんとに良い兄だ。僕がどんなスキルをとっても良いようにさりげなくフォローしてくれる。レオ兄は良い君主になるだろう。その隣には僕が立っていたい。
確か神様が僕にスキルを与えるって言ってたから、悪い結果にはならないとは思うんだけど……。 不安だ。
「どんなスキルであれ、勉強と鍛錬は5歳から始めるからな」
「ゲッ…… そうだった…… 嫌だなぁ」
嫌すぎてゲッて言ってしまった。前世でもそれなりに頑張っていたけど、今世は王子だからな。きっと努力量は前世の比じゃないだろう。転生したからには努力すると決意した。でも嫌だな.....
「ゲッってなんだ。ゲッって。当然だろう」
「それはそうですけど……」
「ユーリ、諦めろ。ごねたところで何も変わらないぞ。俺が経験済みだ......」
あ、レオ兄が遠い目をしてる。朧気だけど、レオ兄が五歳の時にものすごいごねてたのを覚えてるな。その後何日間かは顔が死んでた。
「ユーリにーさま、だいじょうぶ?」
本当に心配してくれているみたいだ。エミィには純粋なまま育ってほしいな。お兄ちゃん頑張るからな!
「うっ、うん。大丈夫だよエミィ。心配してくれてありがとう」
「うん!!!」
これで逃げ場がなくなった。頑張るか。決して、ミリィに言われて断れなかったからとかじゃないからね!?
勉強も前世ではまあまあできた方だし、高校までしっかりと勉強できてたから、勉強の方は大丈夫なはずだ。鍛錬はまぁ嫌だけど、王族なわけだし、ある程度自衛ができてないとだめだよね。
まぁ勉強も鍛錬も嫌だけど、今はそれより【鑑定の儀】だ。このスキルが何かによって、僕の人生が決まると言ってもおかしくない。そう思うと緊張してきたな。
今はちゃんと朝食を食べよう。
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