死神と天使。

雨音露乃

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第四章

二日目   夢希の友達

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チュンチュンとスズメが鳴くのを
目覚まし時計にして朝を迎えた。
今は午前7時半。ちょうど夢希も目を覚ました。
「おはよう死神さん……ふぁー」
夢希があくびをしながら挨拶をした。
それが可笑しくて笑ってしまった。
「どうしたの?」
夢希が不思議そうな顔でこっちを見ている。
「なんでもない。」
僕がそう言うと夢希が納得してないような表情を浮かべた。
ガラッ
病室のドアが開いた。また夢希のお母さんが来たのかと思って振り向くと、
そこには2人の女の子が立っていた。
誰だろうと疑問を持っていると、夢希がその子達に抱きついた。
「待ってたよォ!」
どうやら夢希の友達らしい。
背が高くてクールな印象の子が聖良。
おしとやかで優しい雰囲気の子が美穂と言うみたいだ。3人は仲良く話していた。
「明日は学校に来る日だよね?お見舞いがてら時間割持ってきたよー!」
美穂が優しく時間割を差し出す。
「明日体育あんじゃん最悪!」
聖良が不快そうに言い放つ。
「ほんとだ!でも家庭科があるよ!」
夢希が嬉しそうに微笑む。
「家庭科あるのはラッキーすぎる!」
「家庭科の授業は裁縫をするみたい!」
「勉強しなくていいのは最高!」
なんて中学生らしい会話を3人は3時間程続けていた。
「おっと。もうこんな時間。」
「私達学校に戻らなきゃだからまたね!」
「うん!またあした!」
バタンとドアがしまった音がしたと共に僕は夢希に問いかけた。
「明日学校に行くってどうゆう事?」
「あ!言うの忘れてた!私は1ヶ月に1回
だけ体に異常がない時は学校に行くの!」
忘れてたってどうゆう事だ、
昨日虐められてたっていう話を聞いたばかりなのに夢希を1人で学校に行かせるなんて……やはり心配だ、
「ねぇ夢希、僕も学校についていっていい?」
「え!なんで!?」
「夢希が虐められたりしないか心配だから。」
「でももう最近は虐められてないよ?」
「そんなの関係ない。心配だから着いていきたいんだ。」
「そんなに行きたいの?しょうがないなぁ!いいよ!」
すんなり許可してくれた。
「明日がワクワクするね!」
キラキラした目で夢希が言った。
「学校に居る時は僕に話しかけない方がいいよ。」
「えぇ!なんで!?」
彼女はバカなのだろうか。天然なのだろうか。
「他の人には僕の姿は見えないんだから僕と話すと皆からは夢希が1人で話してるように見えるってわけ。」
「なるほど!じゃあ学校から帰ってきたら沢山話そうね!」
天使のように純粋な心を持っている夢希に僕はいつもびっくりさせられる。
夢希なら良い天使になれそうだ。
天使になって欲しくないという本音を隠しながらも僕は無理やりそう思った。

その日は明日の支度をして早めに眠りについた。
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