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第三章
一日目 夢希の過去の話
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夜が明け朝になった。
今は7月。病室から見えるひまわりはとても元気に上を向いて咲いている。
「死神さん、おはよう!」
見るとそこには寝起きの夢希が居た。
「おはよう。早いね。」
「早寝早起きしないと看護師さんに怒られちゃうの!今日も沢山話そうね!」
「うん。夢希の過去の話とか聞きたいな」
夢希は驚いた。
「えぇ!私の話はつまんないよ?
まぁ聞かせてあげてもいいけど!」
そう言って夢希は嬉しそうに口を開いて話し出した。
「私、小学校5年生の時から癌なんだけど、5年生の時、抗がん剤治療をしてて、髪の毛がほとんどなかったの。それでも時々学校に行ってたからクラスの人達に笑われたりバカにされたりしてたの。
でもある日、私が帽子を取られていじめられていたら、ある男の子が助けてくれたの。私はお礼が言いたかったんだけど、
声が出なくて言えなかった。明日言おうと思っていたら次の日にはその子は遠くに転校して行ったの。つい最近知った事なんだけど、その子は交通事故で亡くなったみたい。」
そう話しながら、夢希は目に涙を溜めていた。その涙には後悔や悲しみの意味が込められているのだろう。
「天国で会えるといいね。」
僕がそう言うと夢希は微笑みながら頷いた。その笑顔はどこか悲しげだった。
僕が過去の話なんか聞いたせいで思い出させてしまった。僕は少し反省した。
その様子に気づいたのか、夢希が慌てて笑顔で話す。
「死神さんって好きなお花とかある?」
「なんで急にそんな事聞くの?」
「いいから教えて!」
「……ひまわりとかかな。」
そう言うと夢希は紙とペンを鞄から取り出して絵を描き始めた。
「何してるの?」
「ちょっと待ってて!」
そう言って10分ほど紙とにらめっこをしていた。
「できた!」
「何が?」
「これあげる!」
そう言って渡してくれたのはひまわりの絵だった。決して上手ではなく、小学生の絵日記みたいだった。それでも一生懸命描いてくれた事がなにより嬉しかった。
「ふふっ」
「え!?なんで笑うの!?」
思わず吹き出してしまった。
「ありがとう。大切にする。」
「うん!」
夢希も嬉しそうに笑った。
ガラッ
「あ!ママ!」
今日もお母さんが来てくれたみたいだ。
「夢希、昨日は怒鳴ったりしてごめんね。」
「全然大丈夫!私こそごめんね!」
そう言って夢希はお母さんに抱きついた。
その頭をお母さんが優しく撫でる。
「良い子ね、夢希。いつまでも私の子供よ。」
「ママはいつまでも私のお母さんよ。」
2人は向かい合ってくすりと笑った。
それから2人は日常の事を話したり、昔の事を笑って話したりしていた。
30分ほど経ってお母さんは病室を出ていった。
「仲直り出来て良かったね。」
「うん!めでたしめでたし!」
そう言って夢希は笑った。その笑いに僕もつられて笑う。
「そういえば、どうして夢希は僕の姿を見て怖がらなかったの?普通の人間なら腰を抜かす程なのに。」
僕は疑問に思っていた事を尋ねた。
「それは……」
夢希が困ったようにしている。どうしてだろうか。
「じゃあ私が死ぬ前に教えてあげる!」
そう言って笑った。
少し意味が分からなかったけど夢希が話したくないなら仕方がない。
「わかった。」
と僕は呟いた。
「ありがとう!」
そのありがとうの意味を僕はまだ理解していなかった。
今は7月。病室から見えるひまわりはとても元気に上を向いて咲いている。
「死神さん、おはよう!」
見るとそこには寝起きの夢希が居た。
「おはよう。早いね。」
「早寝早起きしないと看護師さんに怒られちゃうの!今日も沢山話そうね!」
「うん。夢希の過去の話とか聞きたいな」
夢希は驚いた。
「えぇ!私の話はつまんないよ?
まぁ聞かせてあげてもいいけど!」
そう言って夢希は嬉しそうに口を開いて話し出した。
「私、小学校5年生の時から癌なんだけど、5年生の時、抗がん剤治療をしてて、髪の毛がほとんどなかったの。それでも時々学校に行ってたからクラスの人達に笑われたりバカにされたりしてたの。
でもある日、私が帽子を取られていじめられていたら、ある男の子が助けてくれたの。私はお礼が言いたかったんだけど、
声が出なくて言えなかった。明日言おうと思っていたら次の日にはその子は遠くに転校して行ったの。つい最近知った事なんだけど、その子は交通事故で亡くなったみたい。」
そう話しながら、夢希は目に涙を溜めていた。その涙には後悔や悲しみの意味が込められているのだろう。
「天国で会えるといいね。」
僕がそう言うと夢希は微笑みながら頷いた。その笑顔はどこか悲しげだった。
僕が過去の話なんか聞いたせいで思い出させてしまった。僕は少し反省した。
その様子に気づいたのか、夢希が慌てて笑顔で話す。
「死神さんって好きなお花とかある?」
「なんで急にそんな事聞くの?」
「いいから教えて!」
「……ひまわりとかかな。」
そう言うと夢希は紙とペンを鞄から取り出して絵を描き始めた。
「何してるの?」
「ちょっと待ってて!」
そう言って10分ほど紙とにらめっこをしていた。
「できた!」
「何が?」
「これあげる!」
そう言って渡してくれたのはひまわりの絵だった。決して上手ではなく、小学生の絵日記みたいだった。それでも一生懸命描いてくれた事がなにより嬉しかった。
「ふふっ」
「え!?なんで笑うの!?」
思わず吹き出してしまった。
「ありがとう。大切にする。」
「うん!」
夢希も嬉しそうに笑った。
ガラッ
「あ!ママ!」
今日もお母さんが来てくれたみたいだ。
「夢希、昨日は怒鳴ったりしてごめんね。」
「全然大丈夫!私こそごめんね!」
そう言って夢希はお母さんに抱きついた。
その頭をお母さんが優しく撫でる。
「良い子ね、夢希。いつまでも私の子供よ。」
「ママはいつまでも私のお母さんよ。」
2人は向かい合ってくすりと笑った。
それから2人は日常の事を話したり、昔の事を笑って話したりしていた。
30分ほど経ってお母さんは病室を出ていった。
「仲直り出来て良かったね。」
「うん!めでたしめでたし!」
そう言って夢希は笑った。その笑いに僕もつられて笑う。
「そういえば、どうして夢希は僕の姿を見て怖がらなかったの?普通の人間なら腰を抜かす程なのに。」
僕は疑問に思っていた事を尋ねた。
「それは……」
夢希が困ったようにしている。どうしてだろうか。
「じゃあ私が死ぬ前に教えてあげる!」
そう言って笑った。
少し意味が分からなかったけど夢希が話したくないなら仕方がない。
「わかった。」
と僕は呟いた。
「ありがとう!」
そのありがとうの意味を僕はまだ理解していなかった。
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