7 / 43
第一章 〜幼少期〜
回帰するもの
しおりを挟む
ひなは麟と隣り合って座り、手にしたジュースを飲みながら目の前の煌びやかな街並みをぼんやりと見つめていた。
行き交うあやかしたちは、表情こそ分かり難いもののみんなどこか楽しそうだ。お店をしているあやかしたちは一生懸命客を引き、それに引き寄せられるものたち。
黙ってみていると本当に様々な姿形をしている。人に似ている者、スライムのように原型が無い者。それでも誰も身なりに対して物言うものはいない。
皆違って皆いいと良く聞くが、ここはそれがよく体現されているように思えた。
「皆、凄く楽しそう……」
「?」
ぽつんと呟いて、隣にいる麟に寄りかかった。
麟がそんなひなに視線を向けると、ひなはウトウトと眠たそうにしている。
「ひな、もう屋敷に戻ろう。長時間ここの空気に触れ続けられるほど体はまだここには馴染んでいないから、疲れただろう?」
「……うん。ちょっと体が重たい感じがする」
時間の感覚がない幽世。今が何時でどれくらいの時間が経ったのかは分からない。
ひなが目覚めて、ここで食事を済ませるまでの時間の感覚はそんなには経っていないように思えたが、激しい運動をした後のような感覚が体中に圧し掛かっている。
麟は疲れ果てたようになっているひなを抱き上げると、屋敷への道を急ぐ。
少しの時間であれば時折街に降りる事も可能だが、ひなにはしばらくの間屋敷の中だけで過ごしてもらう方が賢明だ。
幽世はいわば、現世に実態を持たない者たちが住まう場所。黄泉の世界に行くまでの順番待ちで成り立つ世界だ。そんな世界に実体があるままここに飛び込んだひなの体には色々な不都合が起きてもおかしくはない。
麟の屋敷に戻り大門をくぐると、それまで体に圧し掛かっていた重たさが嘘のように和らぎ、ひなは眠気は残るものの再び元気を取り戻す。
「何だか急に体が軽くなった気がする」
「ここはひなが過ごしやすいように結界を張ってあるからね」
「そんなことも出来るの? 麟さん凄いね!」
「しばらくはここの屋敷で過ごすと良い。欲しいものがあれば揃えさせよう」
「うん! ……あ、でも」
全て自分の為に準備をしてくれる麟の言葉に、ひなは素直に嬉しく思った。だが、心の中には嬉しさと同時に申し訳なさが込み上げてくるのも否めない。
ひなは困ったような笑みを浮かべながら申し訳なさそうに呟く。
「色々してくれるの嬉しいけど、それで麟さんが大変になっちゃうのは嫌だなって思って」
その言葉を聞いた瞬間、麟の脳裏に一人の女性の言葉が蘇る。
――色々してくれるのは嬉しいけど、それであなたが大変になるのは嫌なの。
「!」
相手を気遣うひなの言葉に、麟はハッとなったようにひなを見た。
その驚いた表情を浮かべる麟にひなは不思議に思い首を傾げる。
「麟さん?」
「あ……いや。何でもない」
麟は慌てて困ったように笑いながら彼女の頭にぽんと手を置く。
「ひな、君はまだ子供だ。私たちの事情など気にする必要は無いし、存分に甘えればいい。私がそのことで大変になることはないよ」
「……ほんとに?」
「もちろんだ」
ニコリと笑みを浮かべると、ひなは顔を赤らめながらも心底嬉しそうに大きく頷き返し、麟に思い切り抱きつく。
「麟さんありがと!」
「さあ、部屋へ戻ろう。八咫烏も戻って来ているはずだ」
そう言って先に歩き出した麟の後姿を見たひなは、先ほどまで繋いでいた麟の空いている手を見つめる。
もう少し手を繋いでいたい……。
ここはお屋敷で外とは違い、手を繋いでいる理由は特にないのだが大きく暖かな手に触れていたいと思ってしまう。
突然繋ぎに行ったら嫌がられるだろうか?
そう思うと少し怖くもあったが、麟はそんなことで怒るような人じゃないと言う事は分かっている。だから無意識に体が動き、パタパタと小走りに駆け寄るとその手を握り締めた。
突然手を握られて少し驚いたようにひなを見下ろした麟だったが、少しばかり遠慮して不安そうな色を見せるひなの表情にやんわりとその小さな手を握り返すと、彼女は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「八咫烏。戻ったよ」
「麟。頼まれた物を買って来たけど、人間の子供の着る着物の大きさはよく分からなくて……こんな感じでいいのか?」
部屋に戻ると、先に戻っていたヤタがこちらに背を向けたまま風呂敷を解きながらこちらを振り返ると同時にその動きが止まった。突然固まってしまったヤタの姿に不思議そうな顔を浮かべる麟とひなは、目を瞬かせてポカンとしてしまう。
「どうした?」
「……いや、別に」
ヤタの視線の先には、ひなと繋いでいる麟の手が映っている。
声をかけられて何でもないと呟くが、どこか憮然とした雰囲気を消せないヤタの様子にひなが気付いた。
ヤタの視線の先と自分の繋いでいる手を見比べて思い至ったのだが、ひなは繋いでいる手にぎゅっと力を込めてしまう。
「?」
ふいに強く握り返された麟がひなを振り返ると同時にひなは口を開いた。
「ヤタさんもしかして焼きも……」
「う、うううううるさいな! とにかくこの着物が合うかどうか試したらどうだ!?」
早口でまくしたてるように言葉を遮ると、目の前に置いてあった着物をぐいっとひなの前に押し出して来た。
そこに綺麗に畳まれていたのは二種類の着物で、一つは淡い黄色で可愛らしい桜の絵が描かれており、もう一枚は白地に赤い朝顔の描かれた着物だった。
帯は赤地のものと淡い緑色のもので、一見すれば大人の女性が合わせるような色合いではある。
「わぁ、凄い綺麗! ヤタさんありがとう! 着てもいい!?」
「あ、あぁ……」
「やった~!」
ひなは着物を抱きかかえ、傍に控えていたシナに連れられて別室へ移動する。
残されたヤタはちらりと隣に立っていた麟に視線を投げかけると、麟は彼のすぐそばに腰を下ろす。
「八咫烏、どうした?」
「何がだ?」
「ひなが来てから様子がおかしいぞ?」
「……そりゃ、いきなり人の子が実体を持ったまま幽世に来たなんて、らしくもなくなるだろ」
まさか、麟の隣にいるのが自分じゃない事に嫉妬した。などと言えるはずもなく、 本当の気持ちはぐっと飲み込み、もっともらしい理由を口にすれば麟も納得したように「それもそうだな」と笑いながら頷いた。
柔和に笑う麟の横顔を見ていたヤタが、やはりどこか釈然としない色を滲ませながらボソリと呟くように訊ねる。
「……二人でどっか出掛けてたのか?」
「あぁ、ひなはこちらに来てから何も口にしていなかったからな、街に降りて食事を摂らせていたんだ。ところで、化け猫屋で菓子は買って来たか?」
「あぁ、これでいいか?」
ヤタは着物の袂から宝石のような琥珀糖の入った瓶を差し出した。
様々な色に輝く琥珀糖が詰まった瓶を手に取ると、カラリと音が鳴る。
「これだけあればしばらくは大丈夫そうだな」
「化け猫屋の菓子って言う事は、あの子の能力の制御の為なんだな」
この世界には様々な菓子店がある。そしてその菓子は特別なもので、種類によって「効能」と言うものが必ず備わっていた。
「記憶」、「制御」、「解放」、「呪縛」など、病的な物とは違う部分に作用する物だ。とりわけ、化け猫屋の琥珀糖は「制御」に関する効能が高く、闇の力の暴走に高い効果があった。
「ひなの力もいつ暴走するか分からない。自分でコントロールが出来るようになるまでは、この菓子の力が必要になるだろう」
「麟……あの子の異能が何なのか、あんたはもう分かってるのか?」
ひなが持つ異能。神獣でもある麟にはおぼろげに感じるところがあった。
彼女が秘めているものは常人にはない何かだ。普通の人にはまず持ち合わせないであろう力。それはこの世界に生きるあやかし達でさえそう容易く持ち合わせるものではない。
彼女になぜそんな強力な異能を持っているのか……。
麟はどことなく思い当たるところがあったが、確証が得られない為断言は出来ない。
「今はまだハッキリとは言えない。ただ、あの子の持つ力は……現世に置いてはおけないほど強いと言う事ぐらいだ」
「……」
「彼女の力がおかしな方向へ行かないよう、見守らなければならない。それに……」
麟はそれ以上の言葉を飲み込んだ。
長年彼の傍に仕えてきたヤタだが、麟が何を言わんとしているのか分からず不思議そうに見つめて来る。
麟は手にしていた琥珀糖から視線を上げ、穏やかな時間が流れる庭園に向けた。
行き交うあやかしたちは、表情こそ分かり難いもののみんなどこか楽しそうだ。お店をしているあやかしたちは一生懸命客を引き、それに引き寄せられるものたち。
黙ってみていると本当に様々な姿形をしている。人に似ている者、スライムのように原型が無い者。それでも誰も身なりに対して物言うものはいない。
皆違って皆いいと良く聞くが、ここはそれがよく体現されているように思えた。
「皆、凄く楽しそう……」
「?」
ぽつんと呟いて、隣にいる麟に寄りかかった。
麟がそんなひなに視線を向けると、ひなはウトウトと眠たそうにしている。
「ひな、もう屋敷に戻ろう。長時間ここの空気に触れ続けられるほど体はまだここには馴染んでいないから、疲れただろう?」
「……うん。ちょっと体が重たい感じがする」
時間の感覚がない幽世。今が何時でどれくらいの時間が経ったのかは分からない。
ひなが目覚めて、ここで食事を済ませるまでの時間の感覚はそんなには経っていないように思えたが、激しい運動をした後のような感覚が体中に圧し掛かっている。
麟は疲れ果てたようになっているひなを抱き上げると、屋敷への道を急ぐ。
少しの時間であれば時折街に降りる事も可能だが、ひなにはしばらくの間屋敷の中だけで過ごしてもらう方が賢明だ。
幽世はいわば、現世に実態を持たない者たちが住まう場所。黄泉の世界に行くまでの順番待ちで成り立つ世界だ。そんな世界に実体があるままここに飛び込んだひなの体には色々な不都合が起きてもおかしくはない。
麟の屋敷に戻り大門をくぐると、それまで体に圧し掛かっていた重たさが嘘のように和らぎ、ひなは眠気は残るものの再び元気を取り戻す。
「何だか急に体が軽くなった気がする」
「ここはひなが過ごしやすいように結界を張ってあるからね」
「そんなことも出来るの? 麟さん凄いね!」
「しばらくはここの屋敷で過ごすと良い。欲しいものがあれば揃えさせよう」
「うん! ……あ、でも」
全て自分の為に準備をしてくれる麟の言葉に、ひなは素直に嬉しく思った。だが、心の中には嬉しさと同時に申し訳なさが込み上げてくるのも否めない。
ひなは困ったような笑みを浮かべながら申し訳なさそうに呟く。
「色々してくれるの嬉しいけど、それで麟さんが大変になっちゃうのは嫌だなって思って」
その言葉を聞いた瞬間、麟の脳裏に一人の女性の言葉が蘇る。
――色々してくれるのは嬉しいけど、それであなたが大変になるのは嫌なの。
「!」
相手を気遣うひなの言葉に、麟はハッとなったようにひなを見た。
その驚いた表情を浮かべる麟にひなは不思議に思い首を傾げる。
「麟さん?」
「あ……いや。何でもない」
麟は慌てて困ったように笑いながら彼女の頭にぽんと手を置く。
「ひな、君はまだ子供だ。私たちの事情など気にする必要は無いし、存分に甘えればいい。私がそのことで大変になることはないよ」
「……ほんとに?」
「もちろんだ」
ニコリと笑みを浮かべると、ひなは顔を赤らめながらも心底嬉しそうに大きく頷き返し、麟に思い切り抱きつく。
「麟さんありがと!」
「さあ、部屋へ戻ろう。八咫烏も戻って来ているはずだ」
そう言って先に歩き出した麟の後姿を見たひなは、先ほどまで繋いでいた麟の空いている手を見つめる。
もう少し手を繋いでいたい……。
ここはお屋敷で外とは違い、手を繋いでいる理由は特にないのだが大きく暖かな手に触れていたいと思ってしまう。
突然繋ぎに行ったら嫌がられるだろうか?
そう思うと少し怖くもあったが、麟はそんなことで怒るような人じゃないと言う事は分かっている。だから無意識に体が動き、パタパタと小走りに駆け寄るとその手を握り締めた。
突然手を握られて少し驚いたようにひなを見下ろした麟だったが、少しばかり遠慮して不安そうな色を見せるひなの表情にやんわりとその小さな手を握り返すと、彼女は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「八咫烏。戻ったよ」
「麟。頼まれた物を買って来たけど、人間の子供の着る着物の大きさはよく分からなくて……こんな感じでいいのか?」
部屋に戻ると、先に戻っていたヤタがこちらに背を向けたまま風呂敷を解きながらこちらを振り返ると同時にその動きが止まった。突然固まってしまったヤタの姿に不思議そうな顔を浮かべる麟とひなは、目を瞬かせてポカンとしてしまう。
「どうした?」
「……いや、別に」
ヤタの視線の先には、ひなと繋いでいる麟の手が映っている。
声をかけられて何でもないと呟くが、どこか憮然とした雰囲気を消せないヤタの様子にひなが気付いた。
ヤタの視線の先と自分の繋いでいる手を見比べて思い至ったのだが、ひなは繋いでいる手にぎゅっと力を込めてしまう。
「?」
ふいに強く握り返された麟がひなを振り返ると同時にひなは口を開いた。
「ヤタさんもしかして焼きも……」
「う、うううううるさいな! とにかくこの着物が合うかどうか試したらどうだ!?」
早口でまくしたてるように言葉を遮ると、目の前に置いてあった着物をぐいっとひなの前に押し出して来た。
そこに綺麗に畳まれていたのは二種類の着物で、一つは淡い黄色で可愛らしい桜の絵が描かれており、もう一枚は白地に赤い朝顔の描かれた着物だった。
帯は赤地のものと淡い緑色のもので、一見すれば大人の女性が合わせるような色合いではある。
「わぁ、凄い綺麗! ヤタさんありがとう! 着てもいい!?」
「あ、あぁ……」
「やった~!」
ひなは着物を抱きかかえ、傍に控えていたシナに連れられて別室へ移動する。
残されたヤタはちらりと隣に立っていた麟に視線を投げかけると、麟は彼のすぐそばに腰を下ろす。
「八咫烏、どうした?」
「何がだ?」
「ひなが来てから様子がおかしいぞ?」
「……そりゃ、いきなり人の子が実体を持ったまま幽世に来たなんて、らしくもなくなるだろ」
まさか、麟の隣にいるのが自分じゃない事に嫉妬した。などと言えるはずもなく、 本当の気持ちはぐっと飲み込み、もっともらしい理由を口にすれば麟も納得したように「それもそうだな」と笑いながら頷いた。
柔和に笑う麟の横顔を見ていたヤタが、やはりどこか釈然としない色を滲ませながらボソリと呟くように訊ねる。
「……二人でどっか出掛けてたのか?」
「あぁ、ひなはこちらに来てから何も口にしていなかったからな、街に降りて食事を摂らせていたんだ。ところで、化け猫屋で菓子は買って来たか?」
「あぁ、これでいいか?」
ヤタは着物の袂から宝石のような琥珀糖の入った瓶を差し出した。
様々な色に輝く琥珀糖が詰まった瓶を手に取ると、カラリと音が鳴る。
「これだけあればしばらくは大丈夫そうだな」
「化け猫屋の菓子って言う事は、あの子の能力の制御の為なんだな」
この世界には様々な菓子店がある。そしてその菓子は特別なもので、種類によって「効能」と言うものが必ず備わっていた。
「記憶」、「制御」、「解放」、「呪縛」など、病的な物とは違う部分に作用する物だ。とりわけ、化け猫屋の琥珀糖は「制御」に関する効能が高く、闇の力の暴走に高い効果があった。
「ひなの力もいつ暴走するか分からない。自分でコントロールが出来るようになるまでは、この菓子の力が必要になるだろう」
「麟……あの子の異能が何なのか、あんたはもう分かってるのか?」
ひなが持つ異能。神獣でもある麟にはおぼろげに感じるところがあった。
彼女が秘めているものは常人にはない何かだ。普通の人にはまず持ち合わせないであろう力。それはこの世界に生きるあやかし達でさえそう容易く持ち合わせるものではない。
彼女になぜそんな強力な異能を持っているのか……。
麟はどことなく思い当たるところがあったが、確証が得られない為断言は出来ない。
「今はまだハッキリとは言えない。ただ、あの子の持つ力は……現世に置いてはおけないほど強いと言う事ぐらいだ」
「……」
「彼女の力がおかしな方向へ行かないよう、見守らなければならない。それに……」
麟はそれ以上の言葉を飲み込んだ。
長年彼の傍に仕えてきたヤタだが、麟が何を言わんとしているのか分からず不思議そうに見つめて来る。
麟は手にしていた琥珀糖から視線を上げ、穏やかな時間が流れる庭園に向けた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
これもなにかの縁ですし 〜あやかし縁結びカフェとほっこり焼き物めぐり
枢 呂紅
キャラ文芸
★第5回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました!応援いただきありがとうございます★
大学一年生の春。夢の一人暮らしを始めた鈴だが、毎日謎の不幸が続いていた。
悪運を祓うべく通称:縁結び神社にお参りした鈴は、そこで不思議なイケメンに衝撃の一言を放たれてしまう。
「だって君。悪い縁(えにし)に取り憑かれているもの」
彼に連れて行かれたのは、妖怪だけが集うノスタルジックなカフェ、縁結びカフェ。
そこで鈴は、妖狐と陰陽師を先祖に持つという不思議なイケメン店長・狐月により、自分と縁を結んだ『貧乏神』と対峙するけども……?
人とあやかしの世が別れた時代に、ひとと妖怪、そして店主の趣味のほっこり焼き物が交錯する。
これは、偶然に出会い結ばれたひととあやかしを繋ぐ、優しくあたたかな『縁結び』の物語。
真夜中の仕出し屋さん~料理上手な狛犬様と暮らすことになりました~
椿蛍
キャラ文芸
「結婚するか、化け物屋敷を管理するか」
仕事を辞めた私に、父は二つの選択肢を迫った。
料亭『吉浪』に働いて六年。
挫折し、料理を作れなくなってしまった――
結婚を断り、私が選んだのは、化け物屋敷と父が呼ぶ、亡くなった祖父の家へ行くことだった。
祖父が亡くなって、店は閉まっているはずだったけれど、なぜか店は開いていて――
初出:2024.5.10~
※他サイト様に投稿したものを大幅改稿しております。
ナマズの器
螢宮よう
キャラ文芸
時は、多種多様な文化が溶け合いはじめた時代の赤い髪の少女の物語。
不遇な赤い髪の女の子が過去、神様、因縁に巻き込まれながらも前向きに頑張り大好きな人たちを守ろうと奔走する和風ファンタジー。
おっ☆パラ
うらたきよひこ
キャラ文芸
こんなハーレム展開あり? これがおっさんパラダイスか!?
新米サラリーマンの佐藤一真がなぜかおじさんたちにモテまくる。大学教授やガテン系現場監督、エリートコンサル、老舗料理長、はたまた流浪のバーテンダーまで、個性派ぞろい。どこがそんなに“おじさん心”をくすぐるのか? その天賦の“モテ力”をご覧あれ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
我が家の家庭内順位は姫、犬、おっさんの順の様だがおかしい俺は家主だぞそんなの絶対に認めないからそんな目で俺を見るな
ミドリ
キャラ文芸
【奨励賞受賞作品です】
少し昔の下北沢を舞台に繰り広げられるおっさんが妖の闘争に巻き込まれる現代ファンタジー。
次々と増える居候におっさんの財布はいつまで耐えられるのか。
姫様に喋る犬、白蛇にイケメンまで来てしまって部屋はもうぎゅうぎゅう。
笑いあり涙ありのほのぼの時折ドキドキ溺愛ストーリー。ただのおっさん、三種の神器を手にバトルだって体に鞭打って頑張ります。
なろう・ノベプラ・カクヨムにて掲載中
神の妖診療所
あきゅう
キャラ文芸
神として駆け出しの瑞穂は、人間からの人気がなく、まだ自分の神社を持っていなかった。そんな彼は、神々がおわす天界には住めず、人間や低級妖の住む下界で貧乏暮らしをしながら、「妖の診療所」を開いてなんとか食いつないでいた。
しかし、その経営も厳しく今や診療所は破綻寸前。
そんな時、瑞穂はある人間の娘と出会う。彼女とは、どこかで会ったことがある気がするのに瑞穂はどうしても思い出せない。楓と名乗ったその娘は、診療所で働きたいと言い出し、さらに彼女が拾ってきた猫又の美少年も加わり、診療所は賑やかになる。
満月の夜に烏 ~うちひさす京にて、神の妻問いを受くる事
六花
キャラ文芸
第八回キャラ文芸大賞 奨励賞いただきました!
京貴族の茜子(あかねこ)は、幼い頃に罹患した熱病の後遺症で左目が化け物と化し、離れの陋屋に幽閉されていた。一方姉の梓子(あづさこ)は、同じ病にかかり痣が残りながらも森羅万象を操る通力を身につけ、ついには京の鎮護を担う社の若君から求婚される。
己の境遇を嘆くしかない茜子の夢に、ある夜、社の祭神が訪れ、茜子こそが吾が妻、番いとなる者だと告げた。茜子は現実から目を背けるように隻眼の神・千颯(ちはや)との逢瀬を重ねるが、熱心な求愛に、いつしか本気で夢に溺れていく。しかし茜子にも縁談が持ち込まれて……。
「わたしを攫ってよ、この現実(うつつ)から」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる