魔王様と私の日常

さいだー

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私の返答を聞くと、その人は私をゆっくり持ち上げた。労るように、優しく優しく。結局痛いのは痛いけど、何もしなくても痛いくらいだからしょうがない。


『…………………痛い?ごめんね、人を抱っこしたことなんてないから……』


慌てて首を横にふる。【大丈夫】って。伝わったかな?喋れないのが嫌になったのはいつぶりだろ。


『………………取り敢えず、お風呂に入ろうね。……………………………【クルメ】』


「────────はい、只今…………って!えぇ!どうしたんですかその子!」


『……………………うるさいよ。説明は後、お風呂に入れて、治療してあげて』


「────あ、え、はい!畏まりました!ええっと………………失礼しますね」


男の人と同じくらい慎重に私を抱っこしてくれた女の人は、暖かくて安心する匂いがした。


「では、お風呂場に行きましょうか。」


にっこり笑うと、彼女はゆっくり歩きだした。
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