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最後の一週間
過去からの手紙
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食事の後はそのまま車で大型スーパーへ向かった。
「日用品も買ってしまって、俺はもう、こっちで暮らすことにした。サビーナの所にはたいした荷物は残ってないから、クリスティアンに車出してもらって、明日、移動させてしまう」
駐車場をゆっくり走行しながら彼がそう言う。
「こっちのアパート、全然使わなかったのはどうして?」
私の素朴な疑問に、彼は笑いながら答えた。
「あのアパートは、祖母が亡くなった時に父が買った場所で、祖母の残した家具類を保管していたんだ。住んでもよかったんだけど、俺は父の買った所に住むのが嫌だったから」
そういえば、ヴィクターの父親の話は全く聞いていない。
もしかすると、仲違いしているのだろうか。
その事を聞いてもいいのか計りかねて、私は黙って、車を駐車させる彼を眺めていた。
きれいなカーブを描いて一発で車を停めると、サイドブレーキを引いたヴィクターが私を振り返る。
「父は国際線パイロットで、幼い頃からあまり会わなかったから、俺も意地張っていたんだろうな。今、帰って来てるか知らないけど、後で連絡して、居るようなら明日、明後日に君を連れて行くから」
「お父さんに、会わせてくれるの?」
急な話に驚き、同時に嬉しくて笑顔になると、彼が可笑しそうに笑う。
「俺は1人息子なんだ。婚約したことぐらい報告してやらないと、後で相当ショックを受けるだろ」
シートベルトを外して車を下り、手を繋いでスーパーの入り口へ向う。
私は大空に一本の飛行機雲の筋を見つけた。
ヴィクターの父は、この空を飛ぶ仕事をしていたんだ。
国内線ならともかく国際線となると、サラリーマンは違い毎晩帰宅するわけではないから、離婚後、ヴィクターが祖母に育てられたというのも理解できる。
スーパーの入り口までくると、大きなカートを持って来た彼と一緒に店内に入った。
「君がこっちに戻って来たら、別のアパートを一緒に探そう。新しい家具も揃えてさ」
「うん……でも、さっきのアパートも暮らし易そうだし、家具も思い出があるものでしょ?今は生活感ないから寂しい感じだけど、手を加えたら素敵になると思う。温かい雰囲気があったし、なんだか落ち着くなと思ったよ。もし、お父さんにお願いして、お許しをもらえたら、私はあそこで暮らしたいなぁ」
素直な気持ちを口にすると、ヴィクターは目を丸くして驚いた顔で私を見た。
「リオ、本気で言ってるの」
「え?そうだけど、どうして?」
逆に私が驚いていると、ヴィクターは目を細め可笑しそうに笑い、ぎゅっと私の肩を抱き寄せた。
「最高、リオ!」
とても嬉しそうにそう言っている彼を見て、やっぱり彼も、懐かしい祖母を思い出す家具に囲まれて生活したかったんだなと気がつく。
私は一度も会うことが出来ないけれど、きっと、孫のヴィクターをそれは大事に大切に育ててくれた祖母に違いない。幼い頃に親の離婚という辛い経験をしながらも、こうして心優しい大人になっているということは、それだけ祖母が彼を愛してくれたからだろう。
店内を回って必要な生活用品を次々にカートに入れて行き、食品売り場に来た時に、私はこのスーパーには鮮魚コーナーがあるのを見つけて足をとめた。
「ヴィクター、シーフード、食べれる?」
外国人によっては、魚はサーモンだけ食べれるとか、イカ、タコ類は絶対食べないとか聞くので、念のため聞いて見た。ヴィクターは身を屈めて、ガラスケースの中のみぞれ雪のような氷の上にずらりと並ぶ魚介類を眺める。
「俺はかなり好き。日本人も、シーフード好きな国民って聞く」
「うん、私も大好き」
同じく身を屈めて、新鮮さが目を引く有頭海老や貝、イカ、魚を見る。
「ね、パエリアは?シーフードパエリア!」
「へぇ、パエリア作れるんだ、リオ」
魚介類から目を離してこちらを見たヴィクターが、目を丸くしている。
「うーん、作れるっていうか、レシピ見ながら、だけどね。お気に入りレシピのあるHPを知ってる。下準備にちょっと時間かかるけど、沢山作って、小分けして冷凍すれば、後で温めて食べれるし」
「Chevere !」
楽しげにそう言って、ヴィクターが頷いた。
言葉の響きから、喜んでいるのはよくわかるけれど、スペイン語は挨拶やメニューくらいしかわからない自分が残念な気がした。
彼に頼んで、鮮魚コーナーの人に材料の相談をしてもらい、7、8人分くらいのパエリアに使う海老、イカ、アサリを計量して包んでもらう。
「米、タマネギ、赤と緑のパプリカ、玉葱、ガーリック、レモンに、そして鶏もも肉。後は、オリーブオイルやサフランなどの香辛料、調味料類。あ、そこに卵あるよ。茹で卵も添える?」
「オッケー、俺も茹で卵くらいは作れるし」
冗談ぽく言いながら卵パックの並ぶ棚を眺める彼に、有機卵パックの棚を指して、中身が割れてないかチェックしてもらう。
「最後にキャロット・ラペを作って、それで、今日の晩ご飯だね」
大袋の有機人参をカートに入れて、やっとすべてが揃い、山盛り状態のカートを押す彼についてレジに向かう。調味料類は殆ど考えられる種類を全て揃えたので、かなりの量だ。
列の後ろに並んで順番を待ちながら、私はふと、次にベルリンに来た時のことを考えてみる。仕事を辞めて、ベルリンで彼との新しい生活を始めたら、私は普段、何をすればいいのだろう。当然まずは、生活に必須なドイツ語の勉強は勿論だなと思い、でもそれなら、スペイン語も同時に学ぶなんて、どうだろうと考えてみる。
「ね、ヴィクター?」
「ん?」
「二カ国語を同時に勉強って、無理だと思う?」
「二カ国語?」
彼は少し首を傾げて考える様子を見せて、それから明るく微笑んだ。
「無理ってことはないと思う。なに、二カ国語って、ドイツ語の他にもやりたいの?」
「うん、スペイン語」
「スペイン語?」
「そう。ロスに居た時、スペイン人がたくさん居て、友達に、英語が話せるようになったらスペイン語の勉強はやり易いよって勧められたことあって……それに、貴方が一番好きな言語みたいだし、私も、スペイン語の響きはとても好き」
「いいね!」
お日様のような笑顔を見せたヴィクターが、私の耳に唇を寄せて、優しい声でゆっくりと囁いた。
「Te amo」
「……Te amo」
その言葉を真似して繰り返すと、彼が目を細めて微笑んだ。
彼がとても嬉しそうなので、もう一度、彼の耳に唇を寄せて繰り返してみる。
「Te amo」
目を閉じてその言葉に耳を傾ける彼の横顔を見て、私はその意味に気がつく。
これは、愛しているという言葉に違いない。
Te amo、これは彼が私に教えてくれた最初のスペイン語。
短いけれど、胸に響く響き。
その言葉を噛み締めるように繰り返すと、彼の世界がもっと見えて来た気がした。
スーパーで買い込んだものを一度車に入れると、隣にあったインテリア用品店で、バスタオル何枚かと、店頭にあったヤシの木の鉢植えまで買ってしまう。
アパートに戻って来て、大荷物を二人で二往復してアパートの玄関まで運んだ。スーパーで袋詰めする時に、食品と生活用雑貨と分けたので、ヴィクターが食品の詰まった重い荷物を持ってキッチンへ行き、私はバスルームに行って、アメニティを並べたり、バスマットを敷いたりする。
色の好みも合うらしく、オレンジやダークレッド、深いグリーンの色合いのものを揃えたせいで、真っ白で無機質だったバスルームが急に明るく元気の出る空間になった。
キッチンへ戻ると、棚の扉を大きく開けたヴィクターが、買って来た調味料やタッパー類、パスタの袋などを片付けていて、野菜や生物はもうすでに冷蔵庫へ入れた後だった。
「ヴィクター、洗剤やスポンジ類はもう、出した?」
「まだ、袋の中」
フロアに置かれていた袋の中は殆ど空っぽになっていて、食器用洗剤とスポンジ、衣類洗剤くらいが残っているだけになっている。
私は先に、タオル類をまとめてバスルームの洗濯機に入れて、高温メニューの時間短縮コースでスタートさせた。乾燥機も洗濯機の上のラックにあるので、1時間半もあれば、タオル類は乾いてふかふかになるだろう。
キッチンに戻ると、もう殆ど片付いていて、ヴィクターがゴミ袋をアルミ缶のゴミ箱にセットして蓋を締めるところだった。
「調理器具とか、お皿とか一回、洗っておくね」
今、お皿を拭くタオルは洗っているので、自然乾燥になるけれど、時間がある時に出来ることはやっておいたほうがいい。
フロアに出したままだった段ボールの隣に座って、私が箱を開けて中を物色している間、ヴィクターは買って来たヤシの木の鉢植えを、あのシャンデリアがある部屋へ運ぶためにキッチンを出て行った。
私はお鍋やフライパン、お皿やカトラリーなどをどんどん出して、キッチンのカウンターに並べていく。これら全てがヴィクターの祖母が使っていたものなんだなと思うと、とても貴重で価値を付けられないものに見えて、傷をつけたり壊さないよう、細心の注意を払って手に取る。
大きなパエリア鍋も出て来た。
幼い頃からヴィクターの為に彼の祖母が料理の腕を奮ってきた、そんな歴史のあるこのお鍋を、私が使ってもいいのだろうかと少し気が引けてしまいながら、そっとカウンターへ置く。
肝心の包丁がなかなか見つからないと思っていたら、箱の底のほうに、大きな木箱があって、手に取るとそのずっしりとした重みでこれが探していた包丁類だと確信する。
「あ、それがナイフ。重いから気をつけて」
キッチンへ戻って来ていたヴィクターが後ろから言うと、私が持っていたその大きな木箱を手に取って、テーブルの上に置いた。
小さな留め金をいくつも外して、ようやく蓋を開けると、包丁の形に削られた板の上にずらりといろんな形の包丁や包丁研ぎなど、鋭利なものがすべてひとつも欠けることなく揃っている。
そして、その上に、色あせてくすんだ白い封筒が乗っていた。
「なんだ、これ」
ヴィクターが不思議そうにその封筒を手に取ってひっくり返すと、驚いたように私の顔を見た。
「これ、祖母の手紙。しかも、俺宛になってる」
「えっ、貴方への手紙が入ってたの?包丁入れに?!」
驚いて顔を見合わせ、二人でその封筒を見る。
ヴィクターが封筒の中から、1枚の便せんを取り出す。そこには、スペイン語でいろいろ書かれてあった。
最初の文章をさっと目読したヴィクターが私を振り返り、信じられないというような顔で微笑み、そこに書かれてあるスペイン語を、英語に置き換えて読んでくれた。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
愛する私のヴィクター
入院する私を迎えにくるおまえに
手紙を残しておく事にしたよ
こうして包丁ケースを開けたということは、
おまえの隣に誰かがいるということだね
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
そこまで読むと、ヴィクターは私の肩を抱いて微笑んだ。
二人で、その手紙の続きに目をやり、彼は続きを読む。
『彼女に、私から10の質問をさせておくれ』
ヴィクターが、えっ、と驚いたように目を見開いて私を見て、私もびっくりして彼を見る。
『この包丁ケースを開けたということは、あなたは、料理が好きということなの?』
『あなたは、よく笑う?』
『あなたは、よく泣く?』
『あなたは、踊ることが好き?』
『あなたは、歌うことが好き?』
『あなたは、スペイン語が好き?』
『あなたは、母になりたい?』
『あなたは、子供が好き?』
『あなたは、クリスマス・イブに、ヴィクターと教会へ行ってくれるの?』
そこまで読んだヴィクターが、一息ついて、それから、ゆっくりと最後の文を読んだ。
『最後の質問。あなたは、私のヴィクターを愛してくれている?』
私は胸がいっぱいになり、大きく頷いて、ヴィクターの背を抱きしめた。
「Te amo」
覚えたての、スペイン語で私の気持ちを伝える。
彼の祖母は、未来のヴィクターのことも気にかけて、こんな手紙を残していたんだ。もしかしたら、自分の先が長くないことを感じていて、愛するヴィクターを置いて逝くことが心残りでたまらなかったのかもしれない。
ヴィクターが手紙の続きを読む。
『ヴィクター、彼女はこの10の質問に、すべて頷いてくれたかね
すべての質問に頷いてくれたなら、おまえは正しい相手を見つけたということ
ただのひとつも、欠けていてはだめなんだよ』
『彼女がすべての質問に頷いてくれたのなら、今度はおまえに聞こう
おまえは、彼女を愛している?』
「Te amo」
ヴィクターが私を抱きしめてそう囁くと、もう一度手紙に目を落とす。
『ここまで読んだということは、すべては私の願い通りということだね
さあ、ヴィクター、この木箱の中敷きを開けるといい
私は安心して、おまえたちの幸せを見守ることにしよう
永遠の愛をこめて
おまえの祖母 クラリサ』
最後まで読むと、ヴィクターが手紙をテーブルに置いて、包丁を順番にすべて取り出していく。テーブルに鋭利な光を放つナイフ類がずらり並ぶと、ヴィクターは木の中敷きを指でつまんで、そっと持ち上げる。
上げ底になっていたその中敷きをはずすと、その下に、滑らかな輝きのある黒のビロードの包みがあった。
「……これ」
ヴィウターが少し掠れた声で呟いて、その包みを手に取ると、私の顔を見た。
何かに気がついたような、驚きと喜びに輝く彼の青い目に、私はなんだろうとドキドキしながら、彼の手のひらにのるビロードの包みを見下ろした。
彼がゆっくりと慎重にその包みを開けて、手のひらにビロードの布が広がった時、そこにあるものに私の目は釘付けになる。
美しい、赤い石の指輪が、星空のようになめらかな黒いビロードの上で、静かに、情熱的な光を放っていた。ゴールドのリングの上に乗るその美しい深紅の宝石を、眩しく煌めくダイアモンドがぐるりと囲っている。
「これは、祖母の指輪だ。父が結婚した時は、祖母は俺の母を認めず、この指輪を譲らなかったんだ。案の定、俺が生まれてまもなく両親は離婚したから、祖母の勘は当たっていたんだろうな。祖母がいつも、俺が結婚する時には、この指輪をその子にあげるんだと言っていたんだ。でも、ずっと見当たらないから、もう、無くなったんだと思っていた」
ヴィクターは嬉しそうにその指輪を取ると、幸せそうな微笑みを浮かべて呟いた。
「すべて、祖母の想像通りってやつかもしれないな」
そう言うと、彼は私の左手を取る。
私は驚きと感動で膝が笑ってしまうほど、感極まって震えていた。
彼が私の左手の薬指にその指輪をそっと通して行く。
ひんやりとした滑らかな金の感触が肌を伝い、寸分の隙間も無くぴったりと私の薬指にはめられた。
神々しく輝く深紅の石と、その周りを華やかに囲むダイアモンドの粒の煌めきが眩しくて、何度も瞬きをする。
「これは、ピジョン・ブラッドのルビー。炎のような、情熱と血」
濃い深紅色のその石は、内側から妖艶で強力な光を放つ、神秘的な色合いだった。
私の手に輝くその神々しい紅い光を見下ろしながら、ヴィクターはとても優しい声で言う。
「リオ、とても似合ってる。まさに君を表す、秘めた情熱の色」
私は彼を見つめた。
感動の涙が頬から滑り落ちていく。
この美しい指輪の光の中に、彼の祖母の愛と慈しみ、そして彼の幸福を願う強い想いを見た。
心の中で、彼の祖母、クラリサに誓いを立てる。
私は彼と共に、愛と幸せに満ちた人生を築いていく。
私達はこの世の森羅万象をすべて共有していく。
彼に出会えた事を神様に感謝して、私は涙で歪む視界の先にいるヴィクターに微笑んだ。
「ありがとう、ヴィクター。そして、貴方の大切な祖母のクラリサ」
ヴィクターは笑って私をぎゅっと抱きしめた。
「リオ、ずっと離さないから。何があっても」
「わかってる!私、絶対に離れないから」
私達は競うようにそう言い合うと、顔を見合わせて笑った。
「Te amo」
「Te amo」
同時に口にした愛の言葉。
もう一度二人で輝く指輪を見つめて、永遠を誓うキスをした。
「日用品も買ってしまって、俺はもう、こっちで暮らすことにした。サビーナの所にはたいした荷物は残ってないから、クリスティアンに車出してもらって、明日、移動させてしまう」
駐車場をゆっくり走行しながら彼がそう言う。
「こっちのアパート、全然使わなかったのはどうして?」
私の素朴な疑問に、彼は笑いながら答えた。
「あのアパートは、祖母が亡くなった時に父が買った場所で、祖母の残した家具類を保管していたんだ。住んでもよかったんだけど、俺は父の買った所に住むのが嫌だったから」
そういえば、ヴィクターの父親の話は全く聞いていない。
もしかすると、仲違いしているのだろうか。
その事を聞いてもいいのか計りかねて、私は黙って、車を駐車させる彼を眺めていた。
きれいなカーブを描いて一発で車を停めると、サイドブレーキを引いたヴィクターが私を振り返る。
「父は国際線パイロットで、幼い頃からあまり会わなかったから、俺も意地張っていたんだろうな。今、帰って来てるか知らないけど、後で連絡して、居るようなら明日、明後日に君を連れて行くから」
「お父さんに、会わせてくれるの?」
急な話に驚き、同時に嬉しくて笑顔になると、彼が可笑しそうに笑う。
「俺は1人息子なんだ。婚約したことぐらい報告してやらないと、後で相当ショックを受けるだろ」
シートベルトを外して車を下り、手を繋いでスーパーの入り口へ向う。
私は大空に一本の飛行機雲の筋を見つけた。
ヴィクターの父は、この空を飛ぶ仕事をしていたんだ。
国内線ならともかく国際線となると、サラリーマンは違い毎晩帰宅するわけではないから、離婚後、ヴィクターが祖母に育てられたというのも理解できる。
スーパーの入り口までくると、大きなカートを持って来た彼と一緒に店内に入った。
「君がこっちに戻って来たら、別のアパートを一緒に探そう。新しい家具も揃えてさ」
「うん……でも、さっきのアパートも暮らし易そうだし、家具も思い出があるものでしょ?今は生活感ないから寂しい感じだけど、手を加えたら素敵になると思う。温かい雰囲気があったし、なんだか落ち着くなと思ったよ。もし、お父さんにお願いして、お許しをもらえたら、私はあそこで暮らしたいなぁ」
素直な気持ちを口にすると、ヴィクターは目を丸くして驚いた顔で私を見た。
「リオ、本気で言ってるの」
「え?そうだけど、どうして?」
逆に私が驚いていると、ヴィクターは目を細め可笑しそうに笑い、ぎゅっと私の肩を抱き寄せた。
「最高、リオ!」
とても嬉しそうにそう言っている彼を見て、やっぱり彼も、懐かしい祖母を思い出す家具に囲まれて生活したかったんだなと気がつく。
私は一度も会うことが出来ないけれど、きっと、孫のヴィクターをそれは大事に大切に育ててくれた祖母に違いない。幼い頃に親の離婚という辛い経験をしながらも、こうして心優しい大人になっているということは、それだけ祖母が彼を愛してくれたからだろう。
店内を回って必要な生活用品を次々にカートに入れて行き、食品売り場に来た時に、私はこのスーパーには鮮魚コーナーがあるのを見つけて足をとめた。
「ヴィクター、シーフード、食べれる?」
外国人によっては、魚はサーモンだけ食べれるとか、イカ、タコ類は絶対食べないとか聞くので、念のため聞いて見た。ヴィクターは身を屈めて、ガラスケースの中のみぞれ雪のような氷の上にずらりと並ぶ魚介類を眺める。
「俺はかなり好き。日本人も、シーフード好きな国民って聞く」
「うん、私も大好き」
同じく身を屈めて、新鮮さが目を引く有頭海老や貝、イカ、魚を見る。
「ね、パエリアは?シーフードパエリア!」
「へぇ、パエリア作れるんだ、リオ」
魚介類から目を離してこちらを見たヴィクターが、目を丸くしている。
「うーん、作れるっていうか、レシピ見ながら、だけどね。お気に入りレシピのあるHPを知ってる。下準備にちょっと時間かかるけど、沢山作って、小分けして冷凍すれば、後で温めて食べれるし」
「Chevere !」
楽しげにそう言って、ヴィクターが頷いた。
言葉の響きから、喜んでいるのはよくわかるけれど、スペイン語は挨拶やメニューくらいしかわからない自分が残念な気がした。
彼に頼んで、鮮魚コーナーの人に材料の相談をしてもらい、7、8人分くらいのパエリアに使う海老、イカ、アサリを計量して包んでもらう。
「米、タマネギ、赤と緑のパプリカ、玉葱、ガーリック、レモンに、そして鶏もも肉。後は、オリーブオイルやサフランなどの香辛料、調味料類。あ、そこに卵あるよ。茹で卵も添える?」
「オッケー、俺も茹で卵くらいは作れるし」
冗談ぽく言いながら卵パックの並ぶ棚を眺める彼に、有機卵パックの棚を指して、中身が割れてないかチェックしてもらう。
「最後にキャロット・ラペを作って、それで、今日の晩ご飯だね」
大袋の有機人参をカートに入れて、やっとすべてが揃い、山盛り状態のカートを押す彼についてレジに向かう。調味料類は殆ど考えられる種類を全て揃えたので、かなりの量だ。
列の後ろに並んで順番を待ちながら、私はふと、次にベルリンに来た時のことを考えてみる。仕事を辞めて、ベルリンで彼との新しい生活を始めたら、私は普段、何をすればいいのだろう。当然まずは、生活に必須なドイツ語の勉強は勿論だなと思い、でもそれなら、スペイン語も同時に学ぶなんて、どうだろうと考えてみる。
「ね、ヴィクター?」
「ん?」
「二カ国語を同時に勉強って、無理だと思う?」
「二カ国語?」
彼は少し首を傾げて考える様子を見せて、それから明るく微笑んだ。
「無理ってことはないと思う。なに、二カ国語って、ドイツ語の他にもやりたいの?」
「うん、スペイン語」
「スペイン語?」
「そう。ロスに居た時、スペイン人がたくさん居て、友達に、英語が話せるようになったらスペイン語の勉強はやり易いよって勧められたことあって……それに、貴方が一番好きな言語みたいだし、私も、スペイン語の響きはとても好き」
「いいね!」
お日様のような笑顔を見せたヴィクターが、私の耳に唇を寄せて、優しい声でゆっくりと囁いた。
「Te amo」
「……Te amo」
その言葉を真似して繰り返すと、彼が目を細めて微笑んだ。
彼がとても嬉しそうなので、もう一度、彼の耳に唇を寄せて繰り返してみる。
「Te amo」
目を閉じてその言葉に耳を傾ける彼の横顔を見て、私はその意味に気がつく。
これは、愛しているという言葉に違いない。
Te amo、これは彼が私に教えてくれた最初のスペイン語。
短いけれど、胸に響く響き。
その言葉を噛み締めるように繰り返すと、彼の世界がもっと見えて来た気がした。
スーパーで買い込んだものを一度車に入れると、隣にあったインテリア用品店で、バスタオル何枚かと、店頭にあったヤシの木の鉢植えまで買ってしまう。
アパートに戻って来て、大荷物を二人で二往復してアパートの玄関まで運んだ。スーパーで袋詰めする時に、食品と生活用雑貨と分けたので、ヴィクターが食品の詰まった重い荷物を持ってキッチンへ行き、私はバスルームに行って、アメニティを並べたり、バスマットを敷いたりする。
色の好みも合うらしく、オレンジやダークレッド、深いグリーンの色合いのものを揃えたせいで、真っ白で無機質だったバスルームが急に明るく元気の出る空間になった。
キッチンへ戻ると、棚の扉を大きく開けたヴィクターが、買って来た調味料やタッパー類、パスタの袋などを片付けていて、野菜や生物はもうすでに冷蔵庫へ入れた後だった。
「ヴィクター、洗剤やスポンジ類はもう、出した?」
「まだ、袋の中」
フロアに置かれていた袋の中は殆ど空っぽになっていて、食器用洗剤とスポンジ、衣類洗剤くらいが残っているだけになっている。
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キッチンに戻ると、もう殆ど片付いていて、ヴィクターがゴミ袋をアルミ缶のゴミ箱にセットして蓋を締めるところだった。
「調理器具とか、お皿とか一回、洗っておくね」
今、お皿を拭くタオルは洗っているので、自然乾燥になるけれど、時間がある時に出来ることはやっておいたほうがいい。
フロアに出したままだった段ボールの隣に座って、私が箱を開けて中を物色している間、ヴィクターは買って来たヤシの木の鉢植えを、あのシャンデリアがある部屋へ運ぶためにキッチンを出て行った。
私はお鍋やフライパン、お皿やカトラリーなどをどんどん出して、キッチンのカウンターに並べていく。これら全てがヴィクターの祖母が使っていたものなんだなと思うと、とても貴重で価値を付けられないものに見えて、傷をつけたり壊さないよう、細心の注意を払って手に取る。
大きなパエリア鍋も出て来た。
幼い頃からヴィクターの為に彼の祖母が料理の腕を奮ってきた、そんな歴史のあるこのお鍋を、私が使ってもいいのだろうかと少し気が引けてしまいながら、そっとカウンターへ置く。
肝心の包丁がなかなか見つからないと思っていたら、箱の底のほうに、大きな木箱があって、手に取るとそのずっしりとした重みでこれが探していた包丁類だと確信する。
「あ、それがナイフ。重いから気をつけて」
キッチンへ戻って来ていたヴィクターが後ろから言うと、私が持っていたその大きな木箱を手に取って、テーブルの上に置いた。
小さな留め金をいくつも外して、ようやく蓋を開けると、包丁の形に削られた板の上にずらりといろんな形の包丁や包丁研ぎなど、鋭利なものがすべてひとつも欠けることなく揃っている。
そして、その上に、色あせてくすんだ白い封筒が乗っていた。
「なんだ、これ」
ヴィクターが不思議そうにその封筒を手に取ってひっくり返すと、驚いたように私の顔を見た。
「これ、祖母の手紙。しかも、俺宛になってる」
「えっ、貴方への手紙が入ってたの?包丁入れに?!」
驚いて顔を見合わせ、二人でその封筒を見る。
ヴィクターが封筒の中から、1枚の便せんを取り出す。そこには、スペイン語でいろいろ書かれてあった。
最初の文章をさっと目読したヴィクターが私を振り返り、信じられないというような顔で微笑み、そこに書かれてあるスペイン語を、英語に置き換えて読んでくれた。
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愛する私のヴィクター
入院する私を迎えにくるおまえに
手紙を残しておく事にしたよ
こうして包丁ケースを開けたということは、
おまえの隣に誰かがいるということだね
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そこまで読むと、ヴィクターは私の肩を抱いて微笑んだ。
二人で、その手紙の続きに目をやり、彼は続きを読む。
『彼女に、私から10の質問をさせておくれ』
ヴィクターが、えっ、と驚いたように目を見開いて私を見て、私もびっくりして彼を見る。
『この包丁ケースを開けたということは、あなたは、料理が好きということなの?』
『あなたは、よく笑う?』
『あなたは、よく泣く?』
『あなたは、踊ることが好き?』
『あなたは、歌うことが好き?』
『あなたは、スペイン語が好き?』
『あなたは、母になりたい?』
『あなたは、子供が好き?』
『あなたは、クリスマス・イブに、ヴィクターと教会へ行ってくれるの?』
そこまで読んだヴィクターが、一息ついて、それから、ゆっくりと最後の文を読んだ。
『最後の質問。あなたは、私のヴィクターを愛してくれている?』
私は胸がいっぱいになり、大きく頷いて、ヴィクターの背を抱きしめた。
「Te amo」
覚えたての、スペイン語で私の気持ちを伝える。
彼の祖母は、未来のヴィクターのことも気にかけて、こんな手紙を残していたんだ。もしかしたら、自分の先が長くないことを感じていて、愛するヴィクターを置いて逝くことが心残りでたまらなかったのかもしれない。
ヴィクターが手紙の続きを読む。
『ヴィクター、彼女はこの10の質問に、すべて頷いてくれたかね
すべての質問に頷いてくれたなら、おまえは正しい相手を見つけたということ
ただのひとつも、欠けていてはだめなんだよ』
『彼女がすべての質問に頷いてくれたのなら、今度はおまえに聞こう
おまえは、彼女を愛している?』
「Te amo」
ヴィクターが私を抱きしめてそう囁くと、もう一度手紙に目を落とす。
『ここまで読んだということは、すべては私の願い通りということだね
さあ、ヴィクター、この木箱の中敷きを開けるといい
私は安心して、おまえたちの幸せを見守ることにしよう
永遠の愛をこめて
おまえの祖母 クラリサ』
最後まで読むと、ヴィクターが手紙をテーブルに置いて、包丁を順番にすべて取り出していく。テーブルに鋭利な光を放つナイフ類がずらり並ぶと、ヴィクターは木の中敷きを指でつまんで、そっと持ち上げる。
上げ底になっていたその中敷きをはずすと、その下に、滑らかな輝きのある黒のビロードの包みがあった。
「……これ」
ヴィウターが少し掠れた声で呟いて、その包みを手に取ると、私の顔を見た。
何かに気がついたような、驚きと喜びに輝く彼の青い目に、私はなんだろうとドキドキしながら、彼の手のひらにのるビロードの包みを見下ろした。
彼がゆっくりと慎重にその包みを開けて、手のひらにビロードの布が広がった時、そこにあるものに私の目は釘付けになる。
美しい、赤い石の指輪が、星空のようになめらかな黒いビロードの上で、静かに、情熱的な光を放っていた。ゴールドのリングの上に乗るその美しい深紅の宝石を、眩しく煌めくダイアモンドがぐるりと囲っている。
「これは、祖母の指輪だ。父が結婚した時は、祖母は俺の母を認めず、この指輪を譲らなかったんだ。案の定、俺が生まれてまもなく両親は離婚したから、祖母の勘は当たっていたんだろうな。祖母がいつも、俺が結婚する時には、この指輪をその子にあげるんだと言っていたんだ。でも、ずっと見当たらないから、もう、無くなったんだと思っていた」
ヴィクターは嬉しそうにその指輪を取ると、幸せそうな微笑みを浮かべて呟いた。
「すべて、祖母の想像通りってやつかもしれないな」
そう言うと、彼は私の左手を取る。
私は驚きと感動で膝が笑ってしまうほど、感極まって震えていた。
彼が私の左手の薬指にその指輪をそっと通して行く。
ひんやりとした滑らかな金の感触が肌を伝い、寸分の隙間も無くぴったりと私の薬指にはめられた。
神々しく輝く深紅の石と、その周りを華やかに囲むダイアモンドの粒の煌めきが眩しくて、何度も瞬きをする。
「これは、ピジョン・ブラッドのルビー。炎のような、情熱と血」
濃い深紅色のその石は、内側から妖艶で強力な光を放つ、神秘的な色合いだった。
私の手に輝くその神々しい紅い光を見下ろしながら、ヴィクターはとても優しい声で言う。
「リオ、とても似合ってる。まさに君を表す、秘めた情熱の色」
私は彼を見つめた。
感動の涙が頬から滑り落ちていく。
この美しい指輪の光の中に、彼の祖母の愛と慈しみ、そして彼の幸福を願う強い想いを見た。
心の中で、彼の祖母、クラリサに誓いを立てる。
私は彼と共に、愛と幸せに満ちた人生を築いていく。
私達はこの世の森羅万象をすべて共有していく。
彼に出会えた事を神様に感謝して、私は涙で歪む視界の先にいるヴィクターに微笑んだ。
「ありがとう、ヴィクター。そして、貴方の大切な祖母のクラリサ」
ヴィクターは笑って私をぎゅっと抱きしめた。
「リオ、ずっと離さないから。何があっても」
「わかってる!私、絶対に離れないから」
私達は競うようにそう言い合うと、顔を見合わせて笑った。
「Te amo」
「Te amo」
同時に口にした愛の言葉。
もう一度二人で輝く指輪を見つめて、永遠を誓うキスをした。
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