竪琴の乙女

ライヒェル

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八章

賑わうエヴァールの港町

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私達が歩くに従って、人民大移動の如く、観衆も移動する。
あちこちでルシア王子の名を連呼する人々。
時折、そちらへ目を向けて微笑みで応える王子に、女性達の黄色い声が響き渡る。
海から吹き付ける緩やかな風が、時折、王子の美しい髪を攫うように巻き上げていく。ふわりと風に浮いてはキラキラと輝くその美しいブロンドが、まるでオーラのように神々しい。常に浮かべている微笑みも、とても意識して作り上げた上辺だけの表情には見えないほど完璧だ。私がお妃教育で叩き込まれた営業スマイルとは、比較も出来ないほど、あくまで自然にこなしているのに衝撃を受ける。その辺の姫君など、到底足下に及ばないほどの気品を纏うルシア王子に圧倒され、もはや、隣を歩くのも恥ずかしい。
張り合うつもりなんてこれっぽっちもないが、客人扱いになって視察に同行している手前、下手なことをして、ルシア王子に恥をかかせるわけにもいかないだろう。責任感に緊張を覚え、少しでも姫君らしく見せねばと、己の所作に気を配る。ますます、自分の意思とは違う方向へ追い込まれている状況であるのは間違いない。
どうにかして打開策を考えねば、と思いながら、沢山のテントが並ぶ市場のほうへと向かう。凄まじい歓声の中、穏やかな微笑みを浮かべ、優雅に歩く貴公子、ルシア。冷徹なイメージが強かったが、こんなに国民と距離が近い様子を見ると、印象も変わってくる。
せっかく来たのだからと、店頭に並べられている商品を見ながら歩く。外国産と思わしき布やレース類、様々な大きさや形のボタン、彫刻の美しい金属製の箱、大小様々なランプ。食器、カトラリーは勿論、お菓子や生鮮品もあれば、大きな家具類や絵画などまで売られている。私の世界でいう、大型の蚤の市みたいな感じで、ここに来れば何でも揃うというほどの品揃えのようだ。
一際騒々しい広場に着いたので、何事だろうと思って目をやると、何やらゲームをしている様子だった。王子が足を止めたので、同じく立ち止まり、人だかりの向こうを眺める。
見れば、若者達が、ずっと向こうの台の上に置かれた、赤い林檎を的に、小型のナイフを投げて競い合っている。かなりの距離があるせいか、とんでもない方向に飛ぶナイフ、ずっと手前に落ちるナイフが多く、かろうじて、台に当たって落ちるのもある。その記録を記入しているらしい初老の男性がいたが、王子を見るなり、大声をあげた。
「殿下!ぜひ、ご参加を!」
周りが一斉に歓声をあげる。
ここまで気軽に王室の人間に声をかけるのかとびっくりしつつ、どうするつもりだろうと思い、隣に立つルシア王子を見上げた。王子は柔和な笑みを浮かべ、記録取りの男性に声をかけた。
「賞品は準備してあるのか」
「もちろんです!」
声あげた男性の後ろから、7、8歳くらいの男の子が顔を出し、木製の鳥かごを見せる。中には、白い小鳥が入っていた。
「純白で、しかも巻き毛のカナリアです!」
よく見れば、確かにくるくると羽毛が巻いている。小首を傾げてこちらを見上げる様子が可愛らしい。
「いいだろう」
王子が頷くと、並んでいた若者達が一斉に後方へ下がる。優雅な所作で、指定位置となっている白線のあるところに立つ王子。
「ナイフは3本までとなっております」
お盆の上に3本の小型ナイフを乗せた子供がやってくると、王子は首を振り、1本だけを手に取る。それを見た周りの皆がどよめき、歓声を上げた。
まさか、あの小さな林檎を一発で仕留める自信があるのかと驚き、私も息を呑んでその様子を見守る。王子はナイフを片手に持ち、美しい姿勢で体を横に構え、的の方を眺めている。ダーツが割と得意な私も、こういったゲームは真剣に見入ってしまう。やがて、王子はすっとナイフを持った右手を軽く振り上げると、空気を切るようにナイフを前方へと投げた。ほんの一瞬のことだったが、それは正確に直線に飛び、的であった赤い林檎に突き刺さる。その勢いで、ナイフの突き刺さった林檎が後方へ吹っ飛んだ。
沸き上がる歓声と拍手、ルシア王子の名を連呼する人々。
すごい熱気だ。
こともなげに一発で的を落としたその腕は、確かなものだ。
ナイフの突き刺さった林檎を拾い、高々と空に掲げる人。更に興奮し盛り上がる観衆に、優雅な微笑みを向けて応える王子。
さすが、伊達に一国の王子をやっているわけではないのだと感心する。
「殿下、賞品のカナリアです!」
さっきの子供が、大張り切りで、籠を抱えてこちらへ駆け出して来た。
小柄な子が大きな籠を持って走るのが危なっかしくて、ハラハラしながら見ていたら、案の定、煉瓦の隙間に靴がひっかかったのか、前につんのめるようにして倒れる。あっと思ったが、子供は、鳥かごを潰すように倒れてしまい、いとも簡単に壊れた籠から、カナリアが逃げ出してしまった。真っ白で小さな小鳥が空に舞い上がると、眩しい日光ですぐ、見えなくなる。
「こらっ!どうするんだ!殿下に差し上げる鳥を逃がしてしまうとは!」
記録表を投げ出した初老の男性が、激怒して子供に駆け寄り、襟首を掴み上げて叱りつける。子供はショックのあまりか、さっきまでの笑顔はどこへやら、真っ赤になって泣き出した。どうやら、祖父と孫という関係らしいが、男の子はわんわん泣いているし、初老の男性は今にもげんこつで殴ろうとしているかのような剣幕だ。
誰か早く止めないかと思って見ていたが、ルシア王子はただ黙って様子を見守っているだけだ。周りも、どちらかというと、王子が受け取る筈だったカナリアが逃げた事のほうがショックのようで、困惑したように、顔を見合わせている。
「きちんと、謝罪してこい!この、役立たずめ!」
怒鳴りつけられた子供が、涙でぐちゃぐちゃになった顔でこちらへ連れてこられ、王子の足下に跪く。
「鳥が、鳥が、逃げて……ごめ……」
「馬鹿者、もっとちゃんとお詫び申し上げろ!」
後方から怒鳴りつけられ、更に怖くなったのか、謝るどころか、わっと泣き出す子供。
そこまできつく叱らなくても、と思ったものの、肝心のルシア王子が何も言わないし、ただ黙って見ているので、あまりにも気の毒になってくる。
少し離れた煉瓦畳の上に、記録表が落ちているのを見て、私はふと、あることを思いつく。
この場をどうにか収めるには、この子やお爺さんの気が逸れるようなことをすればいい。
持っていた花束を、後方にいた護衛に渡すと、私は少し歩いて落ちていた記録表が挟まれている板を取り上げた。
その紙をチェックしてみる。
手触りを確認し、日光に透かして調べてみると、どうやら、羊皮紙ではないのは確か。いわゆる木材が原料の紙で、かなり精度が高く、薄い割にはしっかりしていた。
大丈夫そうだと確信し、泣いている子供の側に戻る。
ドレスでやることではないが、やむをえないと思い、煉瓦畳に膝をつき、板を下に置くと、その子の肩を叩いた。
突然の私の行動に、さっきまで泣きわめいていた子供が泣き止み、呆然と私を見る。私はその紙が、大体A4サイズになるくらいに折り、不要な部分を破り取った後、まず、ひとつの紙飛行機を作った。それを煉瓦畳に置くと、次の紙飛行機に取りかかる。
遠くまで直線に飛ぶ細身のものや、横広がりで滞空時間の長いもの。
回転するものや、鳥みたいに翼が揺れるもの、ブーメランのように戻ってくるもの。
折り紙が好きだった私にとっては、朝飯前の工作だ。
私が並べた紙飛行機を見下ろして、一体何事かと面食らった様子の人々。子供は目を見開き、あんぐりと口を開けていた。
どうやら、紙飛行機という工作は、この世界では存在しないのかもしれない。
「これは、何だ?蝶か鳥のような形をしているが」
王子も不思議そうにそう言って、ひとつの紙飛行機を手に取る。私は滞空時間が長い、ギネス登録された紙飛行機を手に取り、立ち上がる。
目を丸くして私を見ている子供に微笑みかけて、私はそれを空に向かって投げた。紙飛行機がふわりと空中に浮き、風に吹かれると上空へと舞い上がり、ゆっくりと下降しながら飛び続け、人ごみの向こうのほうへと消えていく。
「これは、紙ひこ……紙で作った、鳥のようなものです」
飛行機、と言いかけて、誰も分からないと気づき、言い換える。
王子が手に持った紙飛行機を、空に投げる。それは、一直線に飛び、見上げる人々のずっと上を越え、遠くのテントの向こうに消えた。
「すごい!」
さっきまで泣いていた子供が、驚いて紙飛行機を手に取る。
私とルシア王子が投げた紙飛行機を拾って戻って来た人達も、代わる代わる紙飛行機を投げ始め、広場は、順番待ちで大騒ぎとなる。
「折り畳んでいるのを開いて見て、新しい紙で同じように作れば、いくつでも出来るし、自分で折り方を考えてみるのも試してね」
なかなか順番が回ってこなくてじれったそうに歯嚙みしているさっきの子に声をかけると、真っ赤になって大きく頷く。
少し前までカンカンに怒っていた初老の男性も、すっかり紙飛行機に夢中になっている様子だ。見よう見まねで自分の紙飛行機を作り、競い合うように飛ばし始めた彼等の盛り上がりに、ルシア王子が可笑しそうに目を細めて笑った。
「なんとも面白い工作だ。カナリアは逃げたが、今は紙の鳥が数えきれぬほど舞っておる」
広場に集まる人々の真上には、いくつもの紙飛行機が交差するように飛び回っていた。その楽し気な歓声を聞きながら、なんだか自分は全く別の世界に来たような錯覚を覚え、不思議な気持ちで彼等を眺めていた。
しばらくして、ルシア王子に促され広場を後にする。
「さっきは、どうして叱られている子やお爺さんに何も言わなかったんですか?」
気になっていることを訊ねると、ルシア王子は静かに笑いを零した。
「自分たちで解決出来る問題に、この私が口を挟むわけにはいかない。あの場合、子供が祖父の納得する謝罪を口にしたところで、私が許せば収まっただろう。途中で止めるわけにはいかなかったのだ。私が子供を庇えば、祖父が非難の的になり、私が子供を咎めれば、その罪は必要以上に重くなってしまう。上に立つものは、むやみやたらに下々の生活に介入してはならない。私の常識がやつらの理屈に合わないことも、少なくはないのだ」
「そう、ですね。確かに……」
いずれ国家の頂点に立つルシア王子も、カスピアン同様、帝王学なるものを学んだ人なのだ。その上、感情の起伏が緩やかで、常に冷静さを保てる大人びた性格。私みたいにその時の気分や感覚で行動してしまうことはないのだろう。
テントが並んでいた市場から、お店や飲食店が並ぶ通りに入る。
「殿下!こちらもご覧ください!」
「殿下!目新しいものはいかがでしょうか!」
「殿下!お耳に入れたい情報がございます!」
店頭からひっきりなしに声があがり、その度に立ち止まるルシア王子の背中を見ながら、ふっとカスピアンを思い浮かべた。ラベロアでは、彼が通るだけで周りはピリピリと緊張し、発言するのも、基本、許可なしじゃ無理だ。でも、カスピアンは別に、そんな状況を望んでいるわけじゃなかった。ラベロアの長い歴史の中で、神格化された国王は、畏れられる存在である、という常識が皆に植え付けられているからだ。勿論、カスピアンの纏う威圧感が更に近寄りがたさを強めてしまっているのも否めない。
でもきっと、王室改革が成功すれば、カスピアンもルシア王子のように、皆に慕われるような国王になれるはずだ。何より、彼自身がそれを強く望んでいるのだから。
そんなことを考えては、ため息が漏れる。
今更、ラベロアの行く末をいくら考えても、私が彼の助力になれるわけではないのだ。
「セイラ。こちらに来い」
ひとつのお店の正面に居たルシア王子に呼ばれ、そちらのほうへ行ってみる。甘い焼き菓子の香りに気がついた。店頭の陳列棚には、ゴルフボールくらいのお菓子が山積みになった、銀のトレイがずらりと並んでいた。真っ白な粉砂糖が雪のようにかかったのもあれば、チョコレートがコーティングされたもの、ナッツやドライフルーツが練り込まれたものなど、種類も豊富。
「殿下、こちらをお使いください」
頬を紅潮させた女主人が、1本の長い串を王子に差し出した。ルシア王子は穏やかな笑みを浮かべ、隣の私の顔を覗き込んだ。
「おまえが選んでみろ」
「私がですか?」
もともと焼き菓子に目がなく、焼くのも食べるのも大好きな私の目は、目移りしそうな可愛らしいお菓子に釘付けになっていた。ボール型のミニドーナッツに見えなくもないが、どちらかというと、柔らかめのクッキーのように見えた。
ホワイトチョコのコーティングのもの、胡桃とキャラメルが練りこまれたもの、ピンク色のチョコレートにラズベリーソースがかけられたもの、真っ白な粉砂糖がかかったもの……私が指で差したものを、順番に串に挿していくルシア王子。全部で、8個。
カラフルでとても奇麗なお菓子だ。串に挿していくというアイデアも斬新で、食べ歩きするには最高のアイデアだろう。
「ぜひ、召し上がってください」
女主人や店員が、全員揃って期待を込めた熱い視線を向けるのに苦笑したルシア王子が、一番最後に挿した、レモンピールが練り込まれたボールを指で抜き取り、口にする。一口で食べてしまうという行為なのに、相変わらず上品にこなすのがすごい。
「おまえも食べてみろ」
「……はい、ありがとうございます」
素直に返事をして、差し出された串に手を伸ばす。真っ白な粉砂糖がかかったボールを抜いて、一口、食べてみた。予想に反し、ほろりと崩れるように柔らかい。さっくりとした生地が甘く溶けていく。もう一口食べてみると、中に、バニラ風味の濃厚なバタークリームが入っていた。
「とても、美味しいです。甘い雪のお菓子のように溶けていく感じが、珍しいですね」
「まぁ、お姫様のおっしゃる通りです!これは、雪の玉という名前のお菓子で、秋から冬の終わりまでしか作らないのですよ」
女主人が嬉しそうにそう言って、商品名を見せてくれる。
「卵白を多めに使っているんでしょうか」
つい、具体的な質問が口から出てしまい、しまったと思ったが、女主人は特に驚く様子もなく、大きく頷いて、材料の配合の細かい割合は秘密だけれど、と前置きしながら、彼女が考案したというレシピについて熱く語ってくれた。
興味深い話を聞きながら、漠然と、こんなことろで働けたらどんなに楽しいだろうと考える。
串に差されていたお菓子も、ルシア王子と交互にいただいて、結局全部食べてしまった。店員がお茶までいれてくれて、トレイに乗せたカップをすすめてくれる。大きな陶器のカップを両手で受け取り、熱い湯気がたつお茶を一口飲む。すっきりとしたミントの香りが、ふわりと漂って、心が温かく満たされるような気がした。
強ばっていた体の関節が緩むような感覚に、自然と笑みが浮かぶ。
この素敵な焼き菓子店の内装をくるりと見渡してみる。あちこちに、松ぼっくりやドングリなどで作った動物や人形が飾られていて、とてもメルヘンチック。高価な家具で飾り立てられた王宮より、ずっと居心地のいい、暖かみのある場所だ。
「セイラ」
呼ばれて振り返ると、同じくミントティの器を持っているルシア王子の片手が、こちらに伸びてくるのが見えて、思わず目をつぶる。頬に触れられた感触に目を開き、どうやら頬に粉砂糖がついていたのを払ってくれたらしいと気がついた。
可笑しそうに目を細めるルシア王子を見て、羞恥のあまり、顔から火が出るかと思った。粉砂糖を気にして、ドレスにかからないよう注意はしていたが、肝心の顔についていたとは!
実際のところ、私は姫でもないただの一般人だけれど、この状況ではそんな言い訳など役に立たない。マゼッタ女官長だったら、そういうお菓子には最初から手を出すな、と言っただろう。
顔の熱が引かないまま、女主人にお礼を述べて、焼き菓子店を後にする。
海から吹き付ける風が少し強まり、潮の香りを感じた。
青空高く飛ぶカモメの影を見上げて、ひとつ、深呼吸する。
私の魂も、いつかあのように空高く舞い上がれるくらい、自由に羽ばたけるだろうか。
祈るような気持ちで、澄み渡る青い空を見つめた。
この海の遥か向こうに、私が愛した人がいる。
同じ空の下に。
カスピアン。
いつか、貴方とこうして、ラベロアの街を歩けると思っていた。
ずっと一緒に居ると、約束したはずだった。
どんな試練も、どんな苦難も、愛があれば乗り越えられると信じていた。
貴方の過去も、どんな事実も、すべてをありのままに受け入れられる強さがあればよかったのに。
何も言わず、逃げるように貴方のもとを去った。
きっと、私は貴方を深く傷つけた。
こんな酷い終わらせ方をしたのは、この私。
それもこれも、私は自分が思っていたよりずっと、弱かったせいだ。
「疲れたか」
隣に立つルシア王子が、気遣うように美しい眉を少しひそめて、私の目を覗き込む。まるで私の心を読もうとしているかのような視線に、私は慌てて首を振った。
「だいじょうぶです」
早口に答えると、王子はくすりと笑いを零した。
「ならば、先へ行くぞ」
頷いた私の背に手を回し、紳士的にエスコートするルシア王子。
容赦なく襲いかかろうとする悲しみから逃れようと、私は海から目を逸らした。
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