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「出会い」

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 退屈な日々の中で私はマッチングアプリで
 ある一人の男性と会うことになった。

 独りで意味もなくしっかり化粧をし
 最近買ったばかりの服を着てカフェに
 行っていた。時刻は夕方位だった。

 ちょうど暇になってきて帰ろうかと思った時
 何通かやり取りしていた男性に
 マッチングアプリからの通知が来た。

「今何してるの?」

 そのメッセージをくれたのはKさん。


 私は「カフェに来ている」
 と返した。


 Kさんから
「今から会わない?」
  と返信が来ていた。
 


 私はこの退屈な日常とS先輩を引きずっていたのもあり出会いも大切だと思い

「いいよ。どこで会う?」と聞いた。

 彼からは位置情報が送られた来た。

 マップで調べると東京の新宿付近の
 とあるマンションだった。

 まさか自宅?なんて思ってはいたが
 私はもうどうにでもなれとやけくそに
 なっていたのもあり位置情報で送られた場所へと
 1時間かけて向かったのである。

 Kさんからは
「着いたら電話して欲しいから連絡先を
 追加して欲しい。」
 と返信があったので日本人のほとんどが使ってる
 アプリにて友達追加をした。

 今思えばなんて軽率な行動だったのか。
 普通なら怖いし監禁される可能性もあったのに
 私の判断はとても鈍っていておかしくなっていたのだ。

 1時間後に位置情報で送られてきたマンションに
 私は着いていた。

 そしてKさんに電話をした。

「○○○号室だからインターホン鳴らして」
 と言われたので部屋の番号を打ち
 オートロックのドアが開きエレベーターに乗った。

 そして、部屋の前まで着いた。

 Kさんからは
「鍵は空いてるよ」
 と連絡が来ていた。

 私はノックをしてから部屋を開けて
 Kさんの家へお邪魔した。

 Kさんは写真通りの金髪の細身の男性だった。

 私は緊張して敬語ばかりを使っていた。

    Kさんは
「そんな敬語じゃなくていいよ。なんかこっちも緊張するし。」と言った。


 私はずっと私の容姿を見てKさんは 
  ガッカリしたのではないかと焦っていた。

 とりあえず私から沢山質問をした事は覚えているが何を話したかあまりよく覚えてない。

 Kさんの職業はホストということを聞いて
 やっぱり…と内心思った事だけは覚えている。


 Kさんに「彼女はいないの?」
 と私は聞いてみた。

 
   Kさんは
「居たら家に呼んでないよ。」
 言って笑っていた。


 Kさんは少し前に付き合っていた
   女性がいた事を私に打ち明けてくれた。

  Kさんは
「彼女と結婚しようと思った。けど仕事と結婚を考えた時、仕事を選んで別れた」と悲しげに話していた。

当時付き合っていた彼女は
1番お店に通ってくれてた年下の
女の子だったらしい。



 今思えばKさんは大切な物が
【愛よりお金】になったのだと思う。



 色々と話し込んでいたら
 終電の時間になっていたので私は
 帰宅する準備をしていた。


 Kさんは
「泊まっていきなよ」と言った。

 私からしたら男性の家に泊まることが
 初めてだったので動揺したが
 Kさんともう少し一緒に居たかったので
 泊まることにした。


 案の定男女ふたりで寝るなんて考えたら
 大人の関係になりかねないと思い
 私は少し焦っていた。


 電気を消して少し時間が経ってから
 私はKさんにキスをされた。
 身体を触られ私はあまりにも困惑し



「ごめん。私処女なの…」

 と言ってしまった。


 私は20歳過ぎても処女だったのである。  



 それを聞いたKさんは

「そうなの?やめとこうか。」

 と言ってからその後は特に何も手を出してこず
 2人で寄り添って夜を過ごした。


 朝になってKさんは支度をしていた
 どうやら友人の結婚式に行くらしく
   朝から忙しなく準備をしていた。



 当時彼が使っていたバッグを今でも覚えてる。
 私が好きなVivienne Westwoodだった。




 同じタイミングで家を出て
「今日はありがとう。」と
 私は伝えた。



 Kさんも
「気をつけてね」と言い



 私は手を振り帰りの電車の途中Kさんに
 改めてお礼の連絡をした。



 その後Kさんからは楽しそうに
 笑っている友人の結婚式の写真が送られてきた。



 微笑ましく思い当たり障りのない
 返信をした後




 それ以降Kさんからの返信が来なくなった。
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