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鮮紅色
しおりを挟む「貴様の言っていることの方が理解し難いな」
「あのクソ女は死んで当然、これのどこが理解できない?」
『私の母が、貴方に何をしたの?』
「...母親?あの女がか?」
頭のてっぺんから足の爪先までじっとりと観察するように見てくる
「くっくっく⋯これはいい!あの女が死んだのは嬉しいが私の手で殺すことができなかったのが少し残念だったんだ」
女が心底嬉しそうな顔で私を見る
「娘が殺されたとなったら、あの女はどんな顔をするんだろうな」
その目は、欲にまみれていた。ゾッと背筋が寒くなる。
「そんなこと絶対にさせないから安心してよ」
湊くんが女に近づきながら小刀を取り出し、女の首に向かって小刀を高く掲げた
女は逃げようとするが鎖で動きを封じられ逃げることができない
開いたカーテンから、月光が差し込む。
その月光は鋭い刃を青白く染めた。
─────ザシュッ
「あ゙...っ」
刃が女の首に深く食い込み、一振りで女の首を刎ねた
女の胴体からは血が噴き出し、床に血溜まりができる
月光で青白く染まっていた刃は鮮紅色に染まっていた。
この残忍な光景を目の当たりにしても、恐怖という感情は湧き上がらず、ただただ無感覚な状態で立ち尽くしていた。
「ごめん部屋が血塗れに⋯」
『いや、大丈夫⋯』
「血乾く前に片付けるね」
この血の量をどうやって片付けるんだろう、カーペットに染み込んでるしフローリングの溝にも入り込んでるだろうし…
『大丈夫だよ、助けてくれてありがとう』
湊くんが嬉しそうな表情でほほ笑む。その瞬間、私の胸には心臓がきゅっと締め付けられるような痛みが走った。
「とりあえず片付けるね」
湊くんの手のひらから水が湧き出てくる。
『え?』
部屋が一瞬で水浸しになり、水が血と混ざり赤く染まっていく
『え、何この水?え?』
「こんなもんかなぁ」
赤く染まった水が湊くんの手のひらに集まり、吸収されていく
水浸しだった部屋は水一滴も残っていない。それどころかカーペットに染み込んだ血や血溜まりも無くなっている
残っているのは女の首と首の無い体だけだ。
「やっぱこれ気持ち悪い」
『⋯⋯なにこれ』
今目の前で起きたことを、理解しようと脳みそをフル回転させるが今まで張り詰めていた緊張の糸が切れたせいか
猛烈な疲れが身体を襲い、視界には霧が立ち込めるかのようにぼやけたものが広がっていく。
やがて黒い闇に包まれ、意識を失ってしまった。
「~~~、~~。」
「~~~~。」
誰かの喋り声が聞こえてくる。
「医者によれば、こはくの体に特に異常はないそうだ。首も浄化をしたからすぐに良くなる」
「申し訳ございません。こはくちゃんの霊力は大人になるまで抑えられるはずだったのですが⋯僕の実力不足です」
湊くんとおじい様の声だ。何の話だろう。
「よい。この子がここまで何事もなく、健やかに育って来れたのは紛れもなく湊のおかげだ。礼を言う」
「いずれこうなってしまうことは分かっていた。」
「これから、どうするべきかを考えなければならないな霊力を外から抑えるのもこれ以上は無理だろう、妖怪も見えるようになってしまったし......」
「はぁ...どうするべきか」
──────スパーンッ
襖が勢いよく開く音がした。
「おはようございマース!」
弾んだ調子の男の声が聞こえてきた。
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