15 / 18
14
しおりを挟む
「本当、あなたって令嬢っていう自覚がないわね!!」
「申し訳ございませんでした。」
「謝る余裕があるのなら、令嬢らしい生活をしなさいな」
私は実家に帰るなり、お怒りのお母様から私は叱咤を受けた。
楽しいお茶会になるはずが、説教会になってしまった。まあお母様とのお茶会で楽しい雰囲気になったためしはないのだけれど。
何と言うか、どれの事を怒っているのか私には分からなかった。
スラムで奴隷を救ったこと?
王様の誘いをさりげなく断ったこと?
それとも、なんだろう。
「男爵位の娘アルネアに紅茶を掛けたって本当かしら?」
それか、すっかり忘れていたよ。
手紙に書いてあったから、もう満足したものだと思っていた。けれど手紙に書く程度じゃあ気は収まらなかったらしい。
「ええ。本当よ」
「なぜ?」
「気に食わなかったからよ」
「こんなに大きくなった娘にこういうことは言いたくないのだけれど、人にやられたくないことはやってはいけません」
「別に。私水掛けられた程度で」
気分は害さないわ。と続く言葉はお母様に取られた。
「怒るでしょう?あなたなら。」
「怒るかもしれないけれど。ムカついたのだもの」
「本当に世話の焼ける子だわね。こんなんじゃあ新しい恋人に逃げられてしまいますよ」
きっとマリクの事を言っているのだろう。
やはり手紙で追及するだけじゃあ、気は収まらないか。
「別に。逃げられてもいいし」
「私達はそうは思っていませんよ。あなたみたいなのを恋人にわざわざしようとする物好きなんてそうそう、いるものじゃありません。最初で最後のチャンスを逃さないで」
意外といるみたいですけど。物好きさんも。
「普通結婚までの段取りを決めて、交際する人なんていないでしょう」
「貴族ではそれが普通なのよ」
「そうなの」
私は自分が貴族であることをすっかり忘れてしまったようだ。うそ、貴族のしきたりだか何だかを頭から強制的に抜け落ちさせていたようだ。
「なんだか、計算して交際するなんて面倒ね」
「普通よ。庶民でもやってることだわ」
「ああ旅にでも出てしまおうかしら」
「探すのが大変だから、やめなさい」
そこで沈黙が下りる。
お茶会なのになんでこんなに疲弊するんだろう。と思ったところで従者が入って来た。
「おくつろぎのところ申し訳ございません。奥様、お嬢様」
「いいえ、気にしないで丁度この子と話して疲れていたところよ」
私はじっとお母様を睨む。
「国王陛下からお嬢様へ、今すぐに王宮へ来るようにと召集命令が」
「何かしたのあなた?」
「さあね」
お母さんの説教よりかはあの狸にあった方がましかと思い私はドレスの上にジャケットを羽織り実家を後にした。
「申し訳ございませんでした。」
「謝る余裕があるのなら、令嬢らしい生活をしなさいな」
私は実家に帰るなり、お怒りのお母様から私は叱咤を受けた。
楽しいお茶会になるはずが、説教会になってしまった。まあお母様とのお茶会で楽しい雰囲気になったためしはないのだけれど。
何と言うか、どれの事を怒っているのか私には分からなかった。
スラムで奴隷を救ったこと?
王様の誘いをさりげなく断ったこと?
それとも、なんだろう。
「男爵位の娘アルネアに紅茶を掛けたって本当かしら?」
それか、すっかり忘れていたよ。
手紙に書いてあったから、もう満足したものだと思っていた。けれど手紙に書く程度じゃあ気は収まらなかったらしい。
「ええ。本当よ」
「なぜ?」
「気に食わなかったからよ」
「こんなに大きくなった娘にこういうことは言いたくないのだけれど、人にやられたくないことはやってはいけません」
「別に。私水掛けられた程度で」
気分は害さないわ。と続く言葉はお母様に取られた。
「怒るでしょう?あなたなら。」
「怒るかもしれないけれど。ムカついたのだもの」
「本当に世話の焼ける子だわね。こんなんじゃあ新しい恋人に逃げられてしまいますよ」
きっとマリクの事を言っているのだろう。
やはり手紙で追及するだけじゃあ、気は収まらないか。
「別に。逃げられてもいいし」
「私達はそうは思っていませんよ。あなたみたいなのを恋人にわざわざしようとする物好きなんてそうそう、いるものじゃありません。最初で最後のチャンスを逃さないで」
意外といるみたいですけど。物好きさんも。
「普通結婚までの段取りを決めて、交際する人なんていないでしょう」
「貴族ではそれが普通なのよ」
「そうなの」
私は自分が貴族であることをすっかり忘れてしまったようだ。うそ、貴族のしきたりだか何だかを頭から強制的に抜け落ちさせていたようだ。
「なんだか、計算して交際するなんて面倒ね」
「普通よ。庶民でもやってることだわ」
「ああ旅にでも出てしまおうかしら」
「探すのが大変だから、やめなさい」
そこで沈黙が下りる。
お茶会なのになんでこんなに疲弊するんだろう。と思ったところで従者が入って来た。
「おくつろぎのところ申し訳ございません。奥様、お嬢様」
「いいえ、気にしないで丁度この子と話して疲れていたところよ」
私はじっとお母様を睨む。
「国王陛下からお嬢様へ、今すぐに王宮へ来るようにと召集命令が」
「何かしたのあなた?」
「さあね」
お母さんの説教よりかはあの狸にあった方がましかと思い私はドレスの上にジャケットを羽織り実家を後にした。
0
お気に入りに追加
1,184
あなたにおすすめの小説
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様
さくたろう
恋愛
役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。
ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。
恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。
※小説家になろう様にも掲載しています
いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。
美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

誰の代わりに愛されているのか知った私は優しい嘘に溺れていく
矢野りと
恋愛
彼がかつて愛した人は私の知っている人だった。
髪色、瞳の色、そして後ろ姿は私にとても似ている。
いいえ違う…、似ているのは彼女ではなく私だ。望まれて嫁いだから愛されているのかと思っていたけれども、それは間違いだと知ってしまった。
『私はただの身代わりだったのね…』
彼は変わらない。
いつも優しい言葉を紡いでくれる。
でも真実を知ってしまった私にはそれが嘘だと分かっているから…。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる