王子様は悪徳令嬢を溺愛する!

リカ

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「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。今日は生きの良い、奴隷を入荷しましたよ」

見物客もまばらの中私たちは、椅子に座ってつまらなそうに、滑稽な様子を眺めている。
馬鹿な商人、私に目さえつけられなければ、もっとましな人生を歩めたかもね。

競りとなった時に、私はその日の最高額を言った。どの奴隷にもすべて、奴隷たちは怯えた目をしていた。これからされること、自分の境遇を想像しているのだろう。可哀そうに。こんな奴らに捕まらなければ、家族で楽しく暮らせていたのにね。
大丈夫変態のところよりはましな生活をさせてあげるよ。

わたしが法外なお金を提示したからか、周りの人間たちからはブーイングは止まらず。奴隷商人は口元を緩ませながら、なだめに入っていく。
そこで、隣の奴隷商人が立った。そして二度ほど、手を叩く。

「まあまあ、気を収めてご主人」

馴れ馴れしく、彼はご立腹のご主人の肩を叩いた。

「なんなんだ、あんたは」

「いやあ、この騒ぎの元凶の知り合いですわ」

手もみをしながら、私の方を向いた。私は軽くそっぽを向いた。

「いやあ、彼女が面白い提案をしましてね。ご主人の気持ちも晴れると思うんですよ」

「なんなんだ一体」

「奴隷がいない市場って面白くないですか。」

ご立腹のご主人は彼の言いたいことが分からないようだ。私も分からない。

「何も面白くないだろう。商品はないんだから」

「そうです。何もないんです。商品がないのって買い占めた人ではなく、だれの責任でしょうね」

ご主人は考え込んだ。こんなのに付き合うなんて、意外と優しい人なのかもしれない。奴隷市場にいる時点で論外だけど。

「奴隷商人か?」

「そう!さすがご主人!分かってるぅ。ならこの場で次に商品になるとしたら...」

私は後ろから、家の岸が声を掛けてきたのでそちらに行く。

「もうそろそろ、いいでしょう。あとはあの男に任せれば、ここで市場をするような奴隷商人はいなくなります。だれだって奴隷の上に立つ者にはなりたくても、奴隷になりたい人はいない」

「それもそうね」

私は彼らのこれからは知らない。あの青ざめた顔を見ただけで十分満足だった。人で金儲けしようなんて腐った考えを持つからこうなるんだ。ざまあみろ。

私は奴隷制度を壊滅させなきゃならない。そのためにはあの馬鹿の嫁って座席は楽だっただろうなあ、国王陛下の言うように政治参入でも視野に入れてみようかしら。


私はこれから、奴隷たちと面談をしてこれからの生活の方向性を決めていかなければならない。忙しくなるなあ。
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